新型コロナウイルス感染が2月以降、日本・韓国・世界で拡大し、各国の支配層・被支配層双方に大きな影響を与えている。今春の米韓合同軍事演習が2月27日、「延期」と発表される他方、日本では民衆側の大衆行動も中止・延期が続出している。
 ここしばらくは、健康に気をつけ、力を蓄える持久戦だ。年度末の「非正規切り」など、コロナ大不況の犠牲転化を許さず、「いのち」よりも「経済」という現体制=資本主義そのものを問う時だ。(編集部)

  新型コロナ特措法反対
           「いのち」よりも政権延命を優先
        する独断強権の安倍政権打倒!



 安倍首相は、失策続きの新型コロナウイルス感染症対策などによる政権求心力・支持率の低落を巻き返そうという政治的意図をもって、2月27日突然に、3月2日からの小中高など全国一斉休校を要請した。
 これは、2月25日に閣議決定したばかりの、新型コロナ対策基本方針にも無かった。「やっている感」を出すための安倍のこの独断は、学校・保護者かつ労働者・関係業者かつ労働者に大混乱と犠牲を引き起こし、かえって安倍政権に赤信号を付けることとなっている。
 安倍とその独断専横を容認した自民・公明与党は、この法的根拠もなく、感染防止効果も不明な画一的な一斉休校要請を何ら反省することなく、これに続いて、「緊急事態宣言」を可能とする新型コロナウイルス特別措置法案(新型インフルエンザ等特措法の改正案)を早期成立させんとしている。3月中旬までに成立・施行させ、2月にさかのぼって適用とする。
 我々は、この新型コロナ特措法の制定に断固反対し、無能無策・独断強権の安倍政権の即時退陣を要求する!
 第一に、コロナ特措法は、一斉休校の混乱を居直り、法的根拠のない首相の一斉休校要請について、これにさかのぼって法的根拠を与え、安倍政権を救おうという政治的代物である。
 第二に、コロナ特措法は不要であり、感染防止対策は既存の諸法律で充分可能である。現状は安倍政権が、既存法律の適用と資源・人員の活用を有効に行なっていないだけの話である。
 たとえば、マスクが店頭から消えた状態が延々と続き、一般市民は本当に困っているのだが、これは安倍政権が、水際対策から国内感染対策に重点を転換することにひどく遅れたこと、この一つの結果である。マスクの増産措置は早期に取るべきだったし、また国民生活安定緊急措置法(第一次石油ショック時に制定)はもっと早く使って、マスク買占め・転売を阻止すべきであった。
 また、次のようにも言える。強制力のない一斉休校要請に、公立小中高の99%、私立でも92%が従っている。このように同調圧力が強く、全体主義的な日本社会では、コロナ特措法やインフル等特措法のような法的強制の必要性は小さい。もちろん、これは社会の自治能力とは真逆の話であるが。
 第三に、コロナ特措法は、改憲の地ならしである。
 コロナ特措法は、政府が「緊急事態宣言」を出せば、感染拡大防止を名目に、集会禁止・学校閉鎖・物資人員の徴発徴用などを命令することができる。安倍自民党は、「非常事態条項」を一つとする改憲4項目を国会憲法審査会に提示して、改憲発議に持ち込もうと依然ねらっている。コロナ対策で強権も必要と世論を馴らさせ、改憲につなぐ狙いがある。
 第四に、コロナ特措法は、国民のいのちを守ることよりも、何がなんでも東京五輪開催を守るためのものである。
 感染拡大で東京五輪が中止になれば、安倍政権の決定的ダメージとなる。それで安倍政権は、特措法で手を尽くし、コロナを収束させましたという形を作りたい。「非常事態宣言」をチラつかせてでも、「収束」へもっていきたい。
 日本では、PCR検査が意図的に抑制されており、韓国に比べて国内感染者数が非常に少なく出ていると推定される。フクシマ収束でっちあげに続く、コロナ収束でっちあげの危険がある。(W)


 安倍の不当な教育介入―
 「一斉休校」要請で大混乱

  教育は地域が決めるもの

 2月27日、安倍首相は新型コロナウイルス感染拡大の防止策だとして、全国すべての小・中・高等・特別支援学校を対象に、「3月2日から春休みまで臨時休校を行なうよう要請する」と発表し、全国の学校と家庭を大混乱に陥れた。
 今、マスコミが取り上げているその混乱の一つに、学童保育の問題がある。厚労省は、小学校の臨時休校に伴ない放課後クラブ(学童保育)の原則開所を要請した。学童保育所は、学校の長期休業時には職員を増員して対処する。しかし、今回の急な要請には保育所が対応できず、少ない職員で普段より増えた子どもに対応する現状が報告されている。子どもの安全が損なわれ、密度が高まることで感染リスクも増大している。
 臨時休校に伴なう学級指導のために、3月1日の日曜日に急きょ登校を決めた学校もある。
 長期休暇にあたっては、時間をかけて学級指導をし、安全で有意義な生活ができるよう促す必要がある。家庭との連携も追求されるなど、指導は付け焼刃ではできない。しかし急な要請に、多くの学校が休校の対応に追われてしまった。俄かづくりの対応は、子どもたちを危険にさらす可能性がある。げんに子どもが娯楽施設に多数で出入り、との報告も寄せられている。感染の危険性は高い。
 長期臨時休校は、学習面にも大きな影響を与えている。年度末は、一年間のまとめとして基礎学力の定着をはかり、生きる力を育み人権を尊重した教育の実現にとって、大切な時期になる。文を読み綴る力、計算力などは生きるために欠かせない。これまでの努力が、急な休校要請によって半ばで打ち切りとなった。3週間分の時間を新年度に補おうとしても、無理がある。夏休み等の活用も予想されるが、子どもには負担である。
 休校によって思いで作りやクラス集団が高まる機会を奪われた児童生徒の間からは、「ショックすぎる」との声も聞かれた。
 到達することを目標にした絶対評価の原則、それに反した緊急の成績処理は、教職員を悩ませ長時間労働を強いた。
 また、長期休校による子どもの世話で、勤務が難しくなった保護者の問題もある。政府は、休校による保護者休業に一日最大8330円を助成と発表した。しかしこれは、法定有給休暇とは別に休校に伴なう有休を労働者が申告し、これを認めた企業に助成されるものであり、有休を取りにくい労使関係では絵に描いた餅になりかねない。
 このように各地で大きな問題を引き起こした一斉休校の要請は、子どもを守り、いのちを守るためではなく、安倍政権が延命を図るために強行されたと言わざるをえない。「桜を見る会」等々に続き、後手後手の感染症対策で、保守層からも批判が相次ぎ、各種世論調査でも支持率下落が顕著となっている。
 そこで安倍首相は、2月24日発表の感染症対策専門家会議の見解「これから1~2週間が瀬戸際」を唯一の根拠に、教育への介入によって難を逃れるバクチに出たとみられる。
 しかし、教育内容や学校運営は本来、各地域の教職員・保護者・児童生徒の論議によって決定し進められるべきものであり、国家主導ではなく地域主導の教育のために戦後、教育委員会が設けられたのである。任命制教育委員会制度では本来の姿が歪められ、教育の国家統制と教育労働者の管理強化が進められ、また安倍政権では教育基本法が改悪されるなど、国家の介入が欲しいままにされてきた。しかし、本来教育は地域の民衆のものである。
 学校保健安全法20条は、臨時休校は学校設置者の権限と定めている。形骸化した教育委員会制度下でも、地方の教育委員会が決定すべき事柄なのだ。各地の教委は、状況を把握し、児童生徒・保護者・教職員の意見をもとに、休校・開校の是非、休校の期間等を自主的に決定しなければならない。
 国は、早期からできる限り正確で網羅的な情報を提供し、専門家の意見を紹介して、各教委が地域の実情に合わせて判断できるように支援すべきである。また国は、国の責任として、万全の検査・治療体制を整えることが必要だ。
 安倍政権は、この国民のいのちを守る憲法的責任からいっても、政権としてすでに失格である。またさらに、今回の独断強権の一斉休校という教育介入によって、無能であるだけでなく有害であることがはっきりした。
 安倍打倒の闘いを強めつつ、各地の教育委員会と自治体に、有効な感染症対策と地域の実情に合った学校運営を行なうよう要求する必要がある。子どもの幸せのために、安倍首相のデタラメな教育政策を打ち砕こう。(教育労働者O)


最低賃金全国署名が開始
      「今すぐどこでも1000円以上、速やかに1500円」!

 開始された2020年春闘では、連合がベースアップ2%、「中小労組で総額10500円以上」、「企業内最賃1100円以上」を掲げている。
 しかし経団連などが、一斉賃金改善要求である春闘じたいを消滅させようしている中、連合指導部が主要労組の個別対応を容認し、また「生産性三原則」を基本姿勢として「成果の公正な分配」論にしがみついているかぎり、今春闘も結果は見えている。
 OECDは3月2日、新型コロナウイルス感染の拡散を受けて、今年の実質経済成長率見通しの下方修正を行ない、世界経済成長率2・4%、日本0・2%と発表した。これでも国際ブルジョアジーの甘い見通しである。すでに、人・モノの動きの縮小という実体経済の面から新型コロナ世界不況に入っており、これに金融市場の暴落と続けば、08年リーマンショックを超える世界恐慌のおそれもある。
 主要感染国の一つである日本は、昨年比マイナス成長とみるべきで、成長分配論では賃上げの余地はまったくない。格差是正論で資本・国家・金持ちから取り、もって社会底辺から世の中を元気にしていく必要がある。
 こうした中、春闘とともに、最低賃金大幅改善運動が各団体で始まっている。
 コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの場合、「最低賃金 今すぐ全国どこでも時給1000円以上、速やかに1500円の実現を求める」署名運動を全国各地で開始した。
 この署名は、中央最低賃金審議会会長に対して、①今すぐどこでも1000円以上、速やかに1500円の答申を行なうこと、②中央・地方最低賃金審議会の審議をすべて公開とし、低賃金で働く当事者を委員に入れること、③最賃引き上げのため、中小零細企業への特別支援を答申に入れること、以上3項目を要請するもの。
 署名の第一次集約は4月20日、最終集約5月31日とし、6月中旬までに中央最賃審に提出する。中央最賃審が答申、いわゆる「目安」を出すのは7月末。各都道府県の地方最賃審が、ほぼ「目安」どおりに最賃額を8月中に決定、というのが例年のパターンである。
 このユニオン全国ネットの署名運動では、最低賃金法改正を必要とする全国一律最低賃金制度は要求していないが、最賃の地域間格差(東京1013円、鹿児島など15県で790円)の是正、これも大きな課題としている。
 署名呼びかけ文では、各地方で生計費に大差がなくなっている状況と、「今すぐ全国どこでも」の必要が次のように説明されている。「企業の形も大きく変わり、様々な業種で系列化が進み、個人商店が減少してきました。どこの地域でも全国展開する系列のコンビニ、スーパー、洋服店、フード店など画一化が進み、物流も同様に、サービスやモノの値段に違いがなくなっています。商品価格は全国どこでも同じなのに、同じ仕事に従事しても働く地域が違うというだけで時給が異なる。こんなおかしな話はありません」。
 署名運動は一つの手がかりであり、大衆運動を作り、世論を動かすためのものである。全国一律最賃制の立法運動をやる場合でも、国会まかせ・政党まかせではなく、格差撲滅国民運動のかまえが必要だ。各地域から、創意ある大衆運動を!(A)