2020年新春
 旧年をきびしく総括し、韓国敵視政治を打倒しよう!
  新たな民衆の台頭と結合し

 最悪・最長の安倍政権、この延命を許したまま2020年の新年を迎えることとなってしまった。新年は必ず、我々労働者人民の力で安倍政権を打倒し、それを機に大きな情勢転換をかちとらねばならない。
 その情勢転換の性格は、一言で言うと、新しい東アジア民衆の台頭に逆らって、日本の安倍政権が始めた逆流、これを打倒・一掃することである。韓国敵視政治の打破をはじめ、闘いをつうじて、民衆の東アジア実現に合流する日本の民衆の、新しい運動と組織を生み出すことである。
 このかんの安倍政権との闘いをふりかえりつつ、新年の闘争方向を探ってみよう。

 12月9日、安倍政権と与党自民・公明は、国会野党の「桜を見る会」追及から逃れるように、臨時国会を閉会させた。国会が(1月20日頃まで)無いままにして、その間に、自衛隊中東派兵の閣議決定、日韓関係での韓国右派勢力との裏取引、「桜を見る会」問題もみ消し、等々をやろうとしている。
 そして、閉会日の記者会見で安倍首相は、「憲法改正は、必ずや私の手で成し遂げていきたい」などと、おのれの執念を吐露した。「私の手」でやることに意味があるとするのだから、まさに憲法改正の私物化である。安倍は、思い残すことは改憲だけ、という腐敗・無責任状態に入ってきた。
 また同時に、「国民の信を問うべき時が来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇はない」とも述べた。衆院の任期は21年10月、安倍総裁の任期は21年9月。新年は7月東京都知事選で、東京五輪と続く。旭日旗を掲げ、ナショナリズムを煽り、五輪「成功」しました解散である。(韓国国会は、東京五輪での旭日旗使用禁止要請決議を上げている)。
 21年の大学共通入試での民間英語試験、国数記述試験の導入は、当事者の高校2年生や教育労働者の反対運動によって、さんざん長引いた後、ようやく「見直し」となった。しかし見直しと言っても延期であり、萩生田文科相は、入試を資本の儲け口とする方針を撤回していない。安倍政権の教育再生実行会議での教育民営化路線は、そのままとなっている。
 しかし、青年・学生が当事者として運動を起こし、世論を獲得して、政府の政策を変更させ得たことは近年珍しく、反安倍陣営全体に大きな示唆を与えている。
 「桜を見る会」問題は、血税を投じる首相公式行事の私物化であり、それへの安倍後援会らの招待という公職選挙法違反、また国会で野党が質問したら即、公文書はシュレッダーで破棄という公文書管理法違反である。森友・加計問題の繰り返しだ。

 さて、この1~2年の間、安倍政権を倒すチャンスは、二度ほどあった。一つは、18年春を頂点とした、この森友・加計問題追及の闘いであった。その前の17年10月総選挙で安倍与党は勝利していたが、このとき国政私物化糾弾が全国民的に爆発していれば、自公政権は続いたとしても、安倍の首はあぶなかった。
 また、18年9・30の沖縄知事選デニー圧勝、それを無視した安倍政権の12・14辺野古土砂投入強行という過程も、安倍打倒のチャンスであった。
 翁長「撤回」表明からデニー勝利と続く攻勢に、工事再開できないままだったら、辺野古新基地は本当に頓挫していた。何をやっても止められないではなく、安倍政権には強行突破するしか手は無かったと見るべきだ。沖縄の海を埋め殺す映像に、「本土」の人々も驚き、民心に変化が生じた。安倍の暴政糾弾が全国民的に爆発していれば、政府危機が生じただろう。
 これらの好機に安倍を攻めきなかったことが、19年7月参院選での安倍与党の辛勝という結果に、制度的には収束されたのである。

 確かに、この7月参院選で、「野党・市民共闘」によって改憲派「3分の2」を割らせた。また、総がかり行動などの闘いによって、自民党の改憲案提示を阻止し続けている。だから我々はそれなりに安倍政権と闘えているのではないか、こう総括するならば、まったく甘い総括となる。
 ここ1~2年、我々日本の労働者人民は、安倍政権に対してまったく守勢にあり、長期政権の終わりが見えてきた現在になっても、いぜん政治を変える主導権を握れていない。
 そのかん米朝関係が極度に緊張し、戦争勃発と9条改憲強行が現実化しかねない非常に危ない時期があった。17年総選挙を反動の頂点とした一時期である。
 この危ない時期を救ったのは、18年4・27「板門店宣言」に代表される朝鮮半島情勢の大変化であり、その土台が16年冬の韓国「キャンドル革命」であった。また沖縄民衆は、翁長・玉城の両知事を掲げて日本政府との対峙を続けた。日本「本土」の力関係で、情勢が変わったのではない。
 韓国、沖縄に救われたという、この「本土」の弱さは、安倍政権の韓国敵視政治の開始によって、一挙に露呈してしまった。反安倍勢力の大半が、これと闘えず、韓国との血を流さない「戦争」で、「第2インタナショナルの崩壊」状態になってしまったのである。この状態は、朝鮮半島での血を流す「政治」、本当の戦争にも直結する。
 新年2020年は、安倍改憲完全打倒の決着をつける一年となる。また辺野古では、設計変更申請に対する玉城知事の却下によって、違法工事強行の無理が一挙に露呈し、闘いは決戦局面に入る。
 社会・経済領域も問われている。最低賃金の大幅引き上げと、消費税半減・廃止が、20年春闘と総選挙の大きなテーマとなりつつある。これらの闘いは、既成の労働運動を超えて、ものを言わなかった民衆が、ものを言い出し、大きく動き出す契機として重要なのである。
 しかし、これらの諸課題は、東アジア民衆と切断された状態では、本当の成果を得ることはできない。排外主義の分け前にも、転化しうるのである。
 民衆の新しい東アジア、その展望をもって新年の闘いを開始しよう!