韓国敵視政治といかに闘うか
  民衆の国際連帯で逆流・安倍を倒し、社会革命の時代をひらけ


 安倍政権は10月18日の国家安全保障会議で、中東沖への海上自衛隊艦船などの派兵方針を決定した。防衛庁設置法の「調査・研究」条項を法的根拠とし、国会承認もいらないとするデタラメさである。「独自派遣」とするのも、友好国イランの手前そう言っているだけで、米軍との連絡・調整は前提と公言されている。

 超大国アメリカ・トランプ政権は自己の国力の建て直しを優先し、その為に同盟諸国に過大な負担を負わせ、戦後世界体制を崩すことになろうと構っておれないという態度だ。世界史的激動の幕が開かれようとしている。その中で安倍政権は、アメリカの忠実な番犬としてその世界覇権の衰退を補完する仕方で、戦争法を強行し、海外武力行使できる覇権国家の道を突進しだした。
 あれこれの地域への派兵に、そのつど阻止闘争で闘う必要があるが、根本にあるのは東アジアでの日本の在り方である。戦争国家日本を阻止する要は、現在の韓国敵視政治の打破にある。
 
  韓国敵視政治の打破

 韓国敵視政治を打ち砕くには、三つの領域での闘いが求められる。
 一つは、南北の統一を支持し、日米安保体制を廃絶する領域。
 安倍の韓国敵視政治はもちろん、東アジア冷戦体制―南北分断体制を終わらせようとするものではない。この体制を再編・強化しようとする政治なのだ。すなわち安倍は、アメリカの指揮・統制下で南の政権を日本の従属下に置き、朝鮮半島有事に日本が軍事介入できる体制をつくろうと企んでいる。これを粉砕しなければならない。
 二つは、侵略・植民地支配の謝罪と賠償を実現する領域。
 韓国敵視政治は侵略・植民地支配の開き直りであり、したがって逆にその清算問題を前面に押し出した。同時にそれは日本国内においては、朝鮮敵視政治と合わさって、教育無償化からの朝鮮高校の排除をはじめとしたあからさまな民族差別政策への転換となって現れ、対外的な過去清算問題とリンクしだしている。心からの謝罪と賠償を実現しなければならない。
 三つは、日韓民衆連帯の領域。
 韓国敵視政治と対決し日韓民衆連帯を発展させる闘いは、人と人が信頼し助け合う社会を国境を超えて創り出していく社会革命事業の一環であり、要をなす推進的環である。新しい社会を創造していく活動を土台に据えることが大切である。
  2020年は、安倍政権による侵略・植民地支配の開き直り・韓国敵視政治に圧倒されるか、これを打破するか、正念場の年となるだろう。安倍政権は、韓国敵視・排外主義の高まりを創り出し、改憲発議・改憲国民投票を強行することを狙っている。その為に軍事を弄ぶことも辞さない、治安の危機にも備えた政権布陣を敷いている。我々は、安倍政権の策謀を破綻させ、この政権を打倒していかなければならない。

  政治的推進勢力の創出
 
 安倍政権の韓国敵視政治の発動は、没落中間層や非正規層をも一部巻き込む形で排外主義の高まりを呼び起こし、第二極勢力(野党共闘)の中に動揺を顕在化させた。
 第二極勢力には、韓国敵視政治と排外主義の高まりに立ち向かうことには限界がある。国際主義の旗を鮮明に押し立てる第三極政治勢力を形成しよう。
 
  新たな層との結合
 
 韓国敵視政治・排外主義の高まりと対決し、これを解体するためには、韓国民衆との連帯を握りしめ、このブルジョア社会ではやっていけない・生きていけない人々に依拠する必要がある。第二極勢力は、こうした人々と結合しようとすることに及び腰である。この層との結合を求め模索しているのは、いわゆるポピュリズムであるが、新しい社会の創造を目指す我々こそがそうすべきであり、第二極勢力との共同だけでなく左派ポピュリズムと協力する状況も生まれてくるに違いない。
 いまや「貴族・平民・奴隷」的な社会構造がこの日本においても姿を現してきている。現代の「奴隷」層は、失業者、非正規労働者、移住労働者、差別されている人々、没落中間層等々によって構成され、政治的に排除され、放置されてきた。しかしこの層は日増しに増大しており、その政治的動向がこれからの社会の在り方と方向を大きく規定していくことになる。
 我々はこの層の人々と結びつく回路を掴み、広げていかねばならない。そして奴隷の境遇が自己責任ではなく、一握りの支配者と大金持ち(その拠って立つシステム)の責任だということ。階級社会・差別社会という土台の腐った絶望の牢獄を解体し、人と人・人と自然の関係の豊かな協同社会を実現することは可能だということ。仲間は圧倒的多数であり、全世界の仲間と国境を超えてつながれば世界を変えられると、うまずたゆまず訴えていくことである。
  
  沖縄と連帯して闘う

 安倍政権は、沖縄の民意を無視し、法を踏みにじり、税金を湯水のごとく投入して辺野古新基地を強行し続けてきた。翻って見れば安倍政権が沖縄に寄り添うポーズを放擲し、沖縄の起ち上がりを敵視し圧殺する態度へと転換したことは、今日の韓国に対する敵視政治への転換の前哨であった。他民族支配・覇権拡張政治のあからさまな展開は、既に国境内において先行的に実行されていたのである。
 これに対して我々もまた、沖縄との連帯を一層強めつつ韓国民衆に連帯し、安倍政権打倒の闘いを前進させていかねばならない。

 今を特徴づけるとするならば、旧体制の崩壊の始まりであるだろう。アメリカの覇権とそれがビルドインされた戦後体制の崩壊の始まりであり、ブルジョア社会そのものの崩壊の始まりである。安倍政権による韓国敵視政治や排外主義の高まりは、そうした崩壊の始まりが生み出した逆流に過ぎない。「崩壊」は、新しい社会を創造する「革命」に行き着く。第三極政治勢力を形成し、安倍政権を倒すことを通して国境を超えた民衆連帯を発展させ、社会革命の時代を大きく開いていこう。