10・5〜6第31回コミュニティ・ユニオン全国交流集会in姫路
 拡大し定着するユニオン運動

 10月5日から6日の両日、コミュニティ・ユニオンの第31回全国交流集会が、兵庫県姫路市内のホテルで開催された。全国から530名の仲間が結集し、再会を喜び、交流を深めた。
 初日、午後1時から始まったコミュニティ・ユニオン全国ネットワークの総会では、岡本事務局長から報告があり、最初に、昨年11月に亡くなられた小野博文共同代表の追悼を行なった。昨年度は新たに2団体が全国ネットに加盟し、現在全国で79団体(約2万人)が全国ネットに結集していることが報告された。
 昨年度の活動報告では、「最低賃金、今すぐどこでも時給1000円に!そして時給1500円をめざそう!」を掲げた、最低賃金大幅引き上げキャンペーンが全国的にたたかわれたこと。職場でのパート組合員の時給アップや自治体、地方最賃審議会への行動が各ユニオンによって取り組まれたこと、などが報告された。
 まだまだ生活できる賃金には程遠く、また地域間格差もどんどん広がっているなど、多くの問題点をもっており、今後も最賃引き上げのたたかいを強めていくことが必要だと協調された。また、各地方ブロックごとの共同行動や学習会なども活発に行なわれてきたこと、などが報告された。
 今年度の活動方針では、最低賃金引き上げ運動として、新たに全国共通の署名活動を、ユニオンの統一した運動として実施することが提起された。
 最賃引き上げについて、全国のユニオンが統一して行動するという方針の提起は初めてであり、これによって、最賃引き上げのたたかいが全国で活発に行なわれることが期待される。また、労働法制改悪反対や安倍政権による改憲に反対するたたかいなど、緊要な課題への取り組みが提起された。
 最後に、今年度の運営委員の顔ぶれが大幅に刷新され、共同代表が全面的に入れ替る役員体制が提起された。総会は、これらの報告と運動方針を満場の拍手で採択した。
 休憩の後で、三つの特別報告が行なわれた。最初に、ひょうごユニオンが、住友ゴムのアスベスト訴訟について報告し、続いて、ユニオンみえが、シャープ亀山工場や三重工場での減産による外国人労働者の解雇・賃下げに対するたたかいの報告を行なった。最後に、韓国非正規労働団体ネットワークの10数名の訪問団からの報告が行なわれた。
 夜の交流集会までのあいだ、別室で各ユニオンからの闘争報告が行なわれた。
 夜の交流集会は、参加者が各テーブルについてバイキング方式で、兵庫の仲間たちが用意してくれたご馳走を頬張った。全国各ブロックごとに参加団体の紹介があり、参加者全員が舞台に上がって、紹介された。夜も更けて、一日目の行事が終わった。
 二日目は朝9時から、12の分科会に分かれて、より突っ込んだ報告と議論がたたかわされた。
 最後に、姫路市労働会館ホールに移って、全体集会が開かれた。関西生コン労組への大弾圧に抗議する特別決議が採択され、また、集会宣言が決議された。
 来年は、9月26日から27日までの二日間、神奈川県の横須賀市で交流集会を開くことが確認された。来年、ヨコスカで再会することを約束して、ユニオンごとに帰途についた。
 参加者の顔が活き活きとしており、ユニオン運動が各地で活発に行なわれていることが感じられた。(ユニオン活動家S)


10・31狭山全国集会―鑑定人尋問実現へ
 検察の引き延ばし許すな

 狭山再審闘争は、検察が不当に引き延ばしをはかり、事実調べ・再審開始を遅らせようと画策する緊迫した情勢となっている。
 この中、狭山事件の確定有罪判決・寺尾不当判決から45年目の、10・31を迎えた。検察の悪辣な画策を粉砕すべく10月31日、東京・日比谷野外音楽堂で、「10・31狭山事件の再審を求める市民集会-不当有罪判決から45年!東京高裁は鑑定人尋問・再審開始を!」が開催され、全国から約3000名の労働者・市民・部落解放同盟員が結集し、集会・デモを闘いぬいた。主催は、狭山事件の再審を求める市民集会実行委。
 今年9月9日、第40回三者協議が東京高裁で開催され、弁護団は、福江意見書と下山第2鑑定に対する検察側反証の提出時期などについて求釈明を行なった。席上、検察官は、福江意見書(筆跡鑑定)の反証は10月に提出としたものの、下山第2鑑定(万年筆インク鑑定)については見通しが立っていないと説明した。
 裁判所は、双方の新証拠・主張が出そろった段階で事実調べの必要性を判断するとしている。検察の行為は、明らかに引き延ばしをねらったものである。事実、石川一雄さんは80歳になり、後藤裁判長の任期も2020年6月に迫っている。
 一方、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は6月25日、大崎事件の第3次再審請求特別抗告審で、鹿児島地裁と福岡高裁宮崎支部が下した再審開始決定を棄却するという前例のない不当な決定を行なった。しかも、下級審に差し戻さずに、最高裁自身が判断して再審請求を棄却する決定は、前例にない。
 また、狭山事件を担当する後藤眞理子・東京高裁裁判長も、事実調べを全くすることなしに三鷹事件の再審請求を棄却している。司法の反動化は著しい。司法の反動化を許さず、大衆闘争の高揚で鑑定人尋問・再審開始を闘い取ることが求められている。
 集会は、組坂繁之・部落解放同盟中央本部委員長の開会挨拶で始まった。「検察側は、下山第2鑑定の反証に苦慮している。来年6月に後藤裁判長の任期が終わる。それまでに鑑定人尋問の扉をこじあけたい。石川さんの見えない手錠を外して、両親の墓に手を合わせられるようがんばる」と。
 続いて、石川一雄さんが登壇。「45年前の今日、無期懲役の不当判決を受けた。拘置所の係員が、腕時計と革靴を持って行っていいと言った。しかし、残念ながら不当判決で拘置所に逆戻りし、今に至っている。信念を曲げずに今日まできた。今度こそ無罪を勝ち取る」と述べ、
「確定の差別判決看過せず 皆の糾弾心強かし」
と詠んだ。
 そして石川早智子さんは、「石川一雄は、文字を書くことが生きる希望だ。冤罪が晴れたら夜間中学で学ぶという夢がある。裁判で勝利しないかぎり、夢は実現しない。本当に最後のチャンスかもしれない」と声を詰まらせた。
 基調提案では、片岡明幸・解放同盟中央本部副委員長が、検察のねらいを暴露した。「弁護団と解放同盟は、後藤裁判長の任期6月までに裁判の道筋を付けると確信している。下山第2鑑定など鑑定人尋問の実現が重要だ。検察は昨年12月、第2鑑定の反証のために実験を準備していると言った。しかし今年9月には、見通しが立っていないと説明している。検察は、後藤裁判長が退官するまで引き延ばし、裁判官が替わってから巻き返そうとしているからだ。あるいは、実験したが鑑定を崩せなかったからだろう。狭山事件は万年筆が有罪の決め手となり、万年筆が石川さんを解放する。鑑定人尋問が要だ」と。
 連帯アピールでは、布川事件冤罪被害者の桜井昌司さんが、「発見万年筆は、警察が捏造した偽物だ。これを許していいのか。裁判所は道理の通った審理を進めるべきだ」と訴えるなど発言が続いた。
 最後に、鎌田慧・狭山事件の再審を求める市民の会事務局長がアピールし、「寺尾裁判長は亡くなっても、彼の勇気のなさが石川さんを苦しめている。45年経っても裁判長は、責任を追及される。裁判官に正しい判決を出すよう勇気づけるために闘う」とも述べて、闘いの現局面を表現した。
 集会は、狭山事件の再審と再審法改正の実現を求める集会アピールを発して終了。参加者は、銀座方面へデモ行進を貫徹した。
 今や狭山再審闘争は、福江鑑定・下山第2鑑定など数多くの科学的な証拠によって、検察・裁判所を追い詰めている。今こそ、地域・職場から運動を創り出し、狭山事件の勝利へ前進しよう。(東京O通信員)

  関西キャラバン

 以上の10・31全国集会へ向け、関西地方では9月23日に大阪市西成区の釜ヶ崎ふるさとの家で、「狭山事件の再審を!関西キャラバンスタート集会」が開かれた。
 集会では、狭山事件の再審を求める釜ヶ崎住民の会の本田哲郎共同代表が、石川さんに連帯するキャラバンの意味を提起し、また解放同盟狭山闘争本部の安田聡さんが、部落差別の見込み捜査で石川さんを犯人にでっち上げたこと、この狭山差別裁判の本質を報告した。
 その後、10月19日には狭山再審を求めるJR環状線一周情宣が行なわれる等、関西各地でキャラバンが展開され、狭山釜ヶ崎住民の会や釜ヶ崎日雇労組など関西からも多数が上京し、10・31野音に合流した。(編集部)


10・22天皇即位式反対デモに500名
  終わりにしよう天皇制!

 10月22日、皇居では午後1時から、天皇徳仁(なるひと)の「即位礼正殿の儀」が強行される中、都内では新橋から、「東京戒厳令を打ち破れ!10・22天皇即位式反対デモ」(主催・終わりにしよう天皇制!「代替わり」反対ネットワーク、略称おわてんねっと)が約500人の参加で行なわれるなど、即位式に抗議し、天皇制廃止などを求める諸行動が闘われた。
 おわてんねっと主催のデモ行進は、午後3時に新橋駅前を出発し、銀座、八重洲と行進したが、これに対し警視庁は、銀座で3名の仲間を連続的に不当逮捕する暴挙を行なった。
 この救援会(10・22天皇即位式弾圧救援会)の10・24声明では、「デモを両側から規制する重装備の機動隊は、参加者に手を出して腕をつかみ、押し、耳元で『早く進め!』と大声を張り上げるなどの妨害をくりかえし」、「妨害に『触るな』と抗議していた仲間3名が、突然『公妨!』『確保!』のかけ声とともに機動隊に体を押さえ込まれ、地面に引き倒され、逮捕されてしまったのです!」と状況が説明されている。何が公務執行妨害か!警察官による違法なデモ妨害でしかない。強く抗議し、即時釈放を求める。(25日に1名釈放、2名に勾留延長)。
 このデモ行進に先立つ集会は、午後1時半から新橋駅傍のニュー新橋ビル地下2階集会室でもたれ、会場・廊下は満杯。
 主催のおわてんねっとの仲間から、「天皇代替りとの闘いは後半戦に入った。今日は大阪、静岡でも行動があるが、東京でこそ頑張ろう!」と司会発言。
 続いて、反戦・反差別など様々な観点から、参加の仲間がリレー発言。「戦争と植民地支配の反省に真摯に向き合おうとしない感情と、天皇制を支持する感情は重なっている」、「天皇制があると、また戦争が起きる」、「私たち自身が社会を作っていく力を、私たちから奪うもの、それが象徴天皇制だ」などなど。元死刑囚・免田栄さんの言葉、「天皇制があるかぎり、本当の民主主義はない」も紹介された。
 愛知、大分からの参加発言もあった。「不自由展」再開を求める愛知県民の会の仲間は、歴史改ざん主義との闘いを強調しつつ、「天皇制批判なくして市民の自立的な運動はない」とアピールした。
 集会は、おわてんねっと主催の以下の行動提起で終わり、地上で待つ人々と合流してデモ行進に移った。
 11月14日、「ナイトイベント大嘗祭反対@トーキョーステーション」(午後6時半・東京駅丸の内駅前広場集合)。
 12月7日、終わりにしよう天皇制2019大集会・デモ(午後、千駄ヶ谷区民会館)。

 さて安倍政権は、消費増税10月実施で国民を苦しめる一方、2万6千人の警官を動員し、外国要人を4百人も招待し、即位式や4回もの饗宴の儀などを国事行為として強行して莫大な税金を浪費した(国事行為の即位パレードは、11月10日に強行予定)。
 即位式は、天孫降臨神話に基づく高御座、剣と玉を使用し、その下に首相ら三権の長、知事らが敬礼するという有様で、政教分離違反、国民主権否定の暴挙であった。今回は、高御座から天皇徳仁がパッと出現するという、天皇の神権性を演出するための旧手法すら復活した。
 これら儀式は、天皇の「勅語」(今は「おことば」と称される)、首相の「寿詞」の応答をふくめ、日本国憲法施行によって廃止・失効したはずの登極令そのままに行なわれている。それでいて、両名が「憲法にのっとり」と発言したのは欺瞞そのものである。
 また、11月14日には皇居で大嘗祭が行われる。この国事行為ではなく皇室の宗教儀式であるにすぎない大嘗祭が、宮廷費であれ内廷費であれ、国の予算を投じて強行されるのは憲法違反である。大嘗祭の「公的行為」化、事実上の国家行事化に断固反対しよう。
 即位式に対し、日本共産党は『赤旗』紙上で、「憲法に抵触する」として批判はしている。しかし、天皇制に関しては反対行動は一切しないという方針を意識的にとっている。
 こうした天皇制翼賛状況の中では、東京での「おわてんねっと」の存在ように、反対行動の結集軸が立てられていること自体が重要である。参加者数の大小は、たいした問題ではない。行動を起こさなければ、世論もメディアも動かない。他の課題でも言えることだが、情勢が動いてきた時に、その結集軸は大きな役割を果たせることになるだろう。(W)


憲法審査会を始動させるな!
東アジアに平和と友好!
10月「19の日」行動、国会前に2500名

 韓国市民代表と共に

 臨時国会が10月4日から始まる中、東京では国会前で10月19日の午後3時から、49回目の「19の日」行動が取り組まれた。この行動は、「憲法審査会を始動させるな!辺野古新基地建設やめろ!『嫌韓』あおるな!東北アジアに平和と友好!10・19国会議員会館前行動」として行なわれ、2500名が参加した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、安倍9条改憲NO!全国市民アクション。
 まず、主催者挨拶を高田健さん(9条壊すな!実行委)が発言、「臨時国会では台風被害対応をはじめ次々に問題が噴出しているが、昨日18日、菅官房長官が自衛隊艦船の中東派遣方針を表明した。防衛庁設置法の第4条『調査・研究』を名目とするなど、甚だしいデタラメだ! 中東に自衛隊は行くな!全力で取り組みたい。」「憲法審査会を動かすな!昨日、各界の緊急声明が出された。7月参院選で民意は改憲望まず、と出ている。アベの、アベによる、アベのための改憲だ、絶対に阻止する!」と表明した。
 国会野党からは、社民党の福島瑞穂、立憲民主党の石川大我(比例で初当選)、日本共産党の田村智子ら各参院議員が発言。
 韓国ゲストとして、韓国で750余団体が参加して作られている「安倍糾弾市民行動」から代表団の3名が、この行動に参加。
 代表して、ユン・ジョンスクさん(グリーン・コリア)が次のように発言。「韓国市民の行動は、反日集会から反安倍集会に転換した。そのきっかけは三つほどあり、①8・15ソウル各集会への日本市民代表団の参加、②8月末の日本青年によるハグの企画、③日本知識人による声明『韓国は敵なのか』の発表である」、そして「キャンドル革命を行なった私たち韓国市民の使命として、日本市民の安倍打倒の闘いに合流し、東アジアの平和をともに創っていきたい」と。この素晴らしい発言に、大きな拍手が寄せられた。
 連帯発言として、辺野古の海を埋めるな!国会包囲実行委からは、沖縄県の埋立て撤回を取り消した国の採決の違法性を訴える抗告訴訟への支援が訴えられ、また、幕張メッセの武器見本市への反対運動からは、初日の会場包囲行動(11・18正午)への参加が訴えられた。
 最後の行動提起では、11・3の全国統一行動、東京では国会正門前憲法集会への大結集とともに、憲法審査会始動が強行された場合の対抗行動などを確認した。
 安倍は、憲法審査会を始動させ、ここに自民党改憲案を提示し、あくまで来年中の改憲発議を執拗に狙っている。7月に崩れた参院「3分の2」は僅差であり、油断することなく、安倍打倒の大衆運動を持続・発展させなければならない。
 開会中の国会を完全に無視して、安倍政権は勝手に海自艦船などの中東派兵を打ち出した。「調査・研究」での運用なら国会承認もいらない、としている。来年1月までに派兵強行とも言われるが、この暴挙を安倍政権の墓場に転化し、中東派兵を止めねばならない。(東京A通信員)