東アジア新秩序の逆流=安倍倒せ!


 10月4日臨時国会が開会した。安倍首相はその所信表明演説で、憲法審査会での改憲論議を改めて呼びかけ、また国会野党は、おもに消費増税後の内政問題で安倍政権を追及し、総選挙に備えようとしている。
 しかし本来、今国会の最大課題が、安倍政権の韓国敵視政策を是正することにあることは明らかである。安倍は所信表明演説でも、「国と国の約束を守れ」と繰り返すのみで、日韓関係打開の何の解決策も示さなかった。問われているのは、経済報復の撤回、植民地支配被害者個人の人権回復、朝鮮強制併合の謝罪・反省に基づく日韓条約・請求権協定の見直しである。これらが朝鮮半島の統一に寄与し、また改憲阻止、辺野古新基地阻止に連動していく。
 諸野党が安倍政権をそのように攻めきれないのは、かれらの政治的本質を露呈させるものでもあるが、日韓民衆連帯を求める世論・運動が弱いことの反映でもある。反戦実などの10・25、総がかり実の11・3の大成功から始めよう!(編集部)


  即位式は憲法違反
     10・22天皇即位式反対デモへ

 10月22日に、新天皇徳仁(なるひと)の即位を国内外に宣言するとされる「即位礼正殿の儀」が、「国事行為である国の儀式」として強行されようとしている。
 これに反対し、「東京戒厳令を打ち破れ!10・22天皇即位式反対デモ」が、都内の新橋駅傍から行なわれる。午後1時15分・ニュー新橋ビル地下2階に集合、午後3時ごろデモ出発予定。(即位式は午後1時に開始され、天皇パレードは午後3時半からとみられる)。主催は、反天皇製運動連絡会など諸団体・個人による「終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク」(おわてんねっと)。
 天皇制なんかいらない、あるいは昨今の天皇制のあり様は主権在民に反する、とお考えの皆さんは、こぞってこの行動に参加しよう。地下2階はすぐに一杯になるだろうから、3時前までにニュー新橋ビルの駅寄りに集まっていればよい。
今年5月1日代替わり時の「朝見の儀」に抗議するデモは、主催のおわてんねっと発表で500人であった。22日も同程度以上の結集を実現して、日本における君主制廃止要求の持続・発展を内外に示すべきである。
 安倍政権は9月18日に即位式の細目を確認し、近く閣議決定を行なう。近藤内閣法制局長官が、「即位礼正殿の儀はもとより宗教上の儀式の性格を有するものではない」とするのはデタラメ。皇室神道での神権のしるし・剣と玉が使用されるのは、政教分離原則違反である。
 また、「歴史上、伝統的皇位継承儀式で用いられ、皇位と結びついた古式ゆかしい調度品として伝承されてきた高御座から天皇陛下がおことばを述べることは、憲法との関係において問題ない」とするのもデタラメ。
 現在の即位儀式は、大正天皇即位を前にして創作された近代の産物である。長らく唐制・陰陽道であった儀式を、明治天皇即位の時に、王政復古だから古式に戻すとなったが詳細分からず、てきとーにやったものを、天皇主権・国家神道に沿うよう整備したのが登極令(1909制定)である。天皇主権を示す王座の使用は、国民主権原則違反である。(A)

 朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!9・17集会
  朝鮮半島統一を妨害するな  

 9月17日の夜、東京・文京区民センターで、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!日朝国交正常化交渉の再開を!9・17集会」が、380名の参加で開催された。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と3・1朝鮮独立運動100周年キャンペーンの呼びかけによる、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」市民連帯行動実行委員会。
 これは、日朝ピョンヤン宣言から17年目を迎え、激動する東アジアの中で孤立する安倍政権に、その対韓国・朝鮮政策の全面的な変更を促がし、平和への市民的希求を高めようとの集会であった。
 最初に、主催者あいさつを総がかり行動実行委の福山真劫さんが行ない、続いてメイン発言を3氏、日朝国交正常化連絡会顧問の和田春樹さん、朝鮮大学校教員のリ・ビョンフィさん、韓国ゲストのカン・へジョンさん(アジアの平和と歴史教育連帯国際協力委員長、正義記憶連帯運営委員)の各氏が行なった。
 リ・ビョンフィさんからは、「朝鮮民主主義人民共和国から見た朝鮮半島情勢」との演題で、解放後の歴史を朝鮮側から追っていき、現在の朝米関係にいたるまでの細かい説明がなされた。朝鮮の歴史に認識の少ない日韓連帯運動関係者には、認識を新たにする講演と言えた。リさんはまた、現在の東アジア情勢では、日本の進路と立ち位置の重要性を強調した。
 休憩後、尾澤邦子さん制作による「8・14~15ソウル行動の記録」が上映された。
 このあと韓国ゲストのカン・へジョンさんから、「日韓関係の現状から考える朝鮮半島の平和と日本」との演題での講演が行なわれた。その内容は、日韓の民衆次元からの視点を基本とするもので、とりわけ韓国民衆にとっては、「キャンドル革命」をふまえた上でのNO!安倍運動となっていること、また元「徴用工」問題にしても、1965年の日韓条約の歴史的な限界にしても、今後の東アジアの平和という観点に立ったうえで、それら課題を解決する日韓民衆の役割を強調するものであった。
 カンさんのお話しは、流暢な日本語に聴衆が助けられたばかりではなく、日韓民衆の連帯へ具体的な指針を示す素晴らしい講演であった。
 このあと、「朝鮮半島における平和への流れを確かなものにしよう」、「安倍政権は朝鮮半島の平和への動きを妨害するな」を主旨とする決議案が朗読され、会場の圧倒的な拍手で採択された。
 最後に、閉会あいさつを、3・1独立運動百周年キャンペーンの渡辺健樹さんが行ない、10月「19の日」行動、全国的な取り組みとなる11・3国会前行動の闘いが提起されて終了した。(東京Ku通信員)


 日朝平壌宣言17周年9・30講演討論会 
  日韓条約体制は崩壊へ

 9月30日、東京・文京シビックセンターの会議室で、「日朝平壌宣言17周年9・30講演討論会 韓国への経済報復と崩壊過程に入った東アジアの戦後体制、朝鮮半島情勢を中心に」の集会がひらかれ、約50人が参加した。これは、日韓民衆連帯委員会の「日韓連帯講座2019年秋」として設定され、今回は「戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委」との共催として行なわれた。
 まず、司会の尾澤孝司さん(日韓連帯委員会)が挨拶。
 安倍政権が、徴用工判決に対し経済報復を強行する中、韓国が8月23日、日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の終了を日本に通告した。「この問題の背景にあるものは、崩壊過程に入った東アジアの戦後体制―南北分断と65年日韓条約体制の崩壊です。安倍は何としても南北分断体制と日韓条約体制を維持しようとしています。」「戦後最悪の日韓関係の本質は何か、どうしたら解決していくことができるのか、その方向性を探る」との集会の趣旨が説明された。
 続いて、林哲さん(リム・チョル、津田塾大名誉教授)が、「戦後東アジア分断体制の終わりの始まり―歴史認識を手掛かりに」との演題で講演。
 リムさんは、朝鮮戦争避難民の在日一世である。お話しは、氏が日本に来ることになった朝鮮半島分断と朝鮮戦争から始まり、近年の南北関係・朝米関係の進展まで一望しつつ、現在の日本が、「真の対話・交流・協力の道か、米に追随して東アジアの分断体制に立った覇権秩序を追求するのか、という転換点」にあると指摘した。そして、「日本は徴用工の被害について韓日請求権協定で解決済みという立場の再検討をも含めて対話・交渉に臨むべきであり、世界史の流れに目をそむければ自らの国際社会での敗北は避けられない」と結論するものであった。
 討論の後、反戦実の松平直彦さんが、「韓国・沖縄民衆と連帯し、安倍を倒そう!10・25新宿デモ」への結集を訴え、また尾澤邦子さん(ノレの会)が、「朝鮮学校支援10・8ノレペ・ウリナラ東京公演」を案内して、集会を終った。(東京A通信員)


 経済報復を撤回しろ!9・13討論会
  安倍倒せ!国際連帯の力で

 9月13日、東京・文京シビックセンターの学習室で、「日本政府は経済報復を撤回しろ!日韓民衆連帯の今後を考える9・13討論会」が開かれ、戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委員会の主催で約40名が参加した。
 反戦実の2名の仲間から、文書提起が行なわれた。
 最初に尾澤さん(日韓民衆連帯委員会)から、8月27~30日の韓国訪問報告をメインに、当面課題などが提起された。今回の訪韓では、韓国GM民推委・韓国GM非正規労働者、双龍自動車支部などとの交流が行なわれている。
 尾澤さんは、「65年日韓条約体制の崩壊」がすすむ中、日本側の歴史認識を正し、国益論に陥ることなく、国家・国境の壁を超えて、日韓労働者民衆の連帯を前進させよう。在韓米軍・在沖米軍・在日米軍の撤退をめざそう、と提起した。
 次に、迫田さん(アジア共同行動AWC首都圏)が、日韓対立の全体像の認識として、①歴史認識と戦争責任をめぐる対立、②韓国資本家階級に対する日本資本家階級の経済戦争、③北東アジアにおける軍事的関係の再編をねらったもの(統一へ向う韓国を「敵国」とみなし、統一に敵対する戦争国家日本を登場させる)として提起。全領域における全面対立であり、行くところまで行くと分析。
 また、和田春樹氏らによる「声明・韓国は『敵』なのか」について、その限界と誤謬を指摘しつつ、国際連帯の力で安倍政権を打倒しようと訴えた。
 国会諸野党が対韓政策では、安倍政権に同調あるいは黙認している状況があり、この現状下、反戦実や総がかり実など大衆運動の役割が重要になっている。
 この大衆運動は、日韓条約(および日韓請求権協定)の体制自体を変えなければならないとする勢力と、日韓条約を前提として解決策をさぐろうとする勢力との二傾向に大別される。論争もあってしかるべきである。しかし、個人請求権の解決や対韓ヘイト反対など当面課題では、この二傾向の一致点も大きく、大きな共同行動が努力されるべきものとおもわれる。(東京W通信員)