日韓民衆連帯で安倍打倒!
  韓国・文政権の日韓GSOMIA破棄を断固支持する

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が8月22日、日韓の軍事情報包括保護協定GSOMIAの終了決定を断行し、翌日日本政府に通告した。
 これによって、元徴用工問題でのこのかんの日韓紛争の、その今日的な政治的背景が明らかとなり、政治方向の選択が、より大きなステージで問われることとなった。問われているのは、朝鮮半島の統一を推進し、日韓米の軍事結託を解体し、新しい東アジアの平和秩序を実現するのか、それとも、朝鮮半島の統一を妨害し、日韓米の軍事結託を維持・強化し、旧い冷戦思考の東アジアを固守して新しい戦争に突入するのか、このどちらを選ぶのかという選択である。
 こうして現情勢は、後者の選択を求める日韓の反動勢力が、文在寅政権を打倒するのか、それとも、前者の選択を求める日韓の進歩勢力が、安倍政権を打倒するのか、という熾烈な政治闘争に突入した。日韓の労働者民衆がいっそう連帯を拡大し、共通の敵・アベ政権を一日も早く退陣させなければならない。
 アメリカ支配層が、日韓2つのブルジョア政権の抗争で、文在寅を選ぶのか、安倍を選ぶのかは必ずしも明確ではない。しかし、朝鮮・金正恩(キム・ジョンウン)委員長との対話を重視し、米朝関係の進展を政治的成果としたいトランプ大統領とは別に、米国の軍部と主流政治家は、米日韓の結束を最重要事として中国・ロシア・朝鮮に対峙することを慣わしとしている。それですぐに、ポンペオ国務長官やペンタゴンの報道官が、文政権のGSOMIA破棄に対して「失望」、「強い懸念」と表明した。
 日韓GSOMIAの有効期限は11月下旬まで残っており、日韓米の駆け引きが続くとみられる。日韓米軍事結託の修復を許してはならない。
 かってはアメリカが仲介して15年末、日韓両政府に日本軍「慰安婦」合意を成立させ、日韓関係を修復させることができた。これは当時の朴クネ政権が、対米自主性を欠き、韓米日の結託を最優先にする政権であったからである。この被害当事者の合意を欠いた日韓合意は、その後の文政権によって、当然ながら合意履行が停止された。
 1965年の日韓条約・日韓請求権協定も、日本が植民地支配の清算を回避する形で、冷戦体制をすすめるアメリカ帝国主義の圧倒的主導力によって成立させられたものであった。今回、米帝は日韓両政府の対立をまとめきれず、その主導力の歴史的低下を露呈した。
 韓国の反動勢力、自由韓国党などがいっせいに街頭に飛び出し、協定破棄を韓国の安全を損なう売国行為と非難し、さらに文大統領側近の不正疑惑なるものを急に持ち出して、大いに騒ぎ出した。韓国と在日の反文政権勢力、安倍政権と日本の反動勢力、アメリカの反動勢力が公然非公然に結びつき、相呼応して、韓国「キャンドル革命」の成果を潰す反革命を進めようとしている。
 ところで、日韓の間でGSOMIAが欠けても、米韓、米日でGSOMIAがあるので、安全保障上何の問題があるのか不明である。韓国国会に出された資料によると、2016年~19年で韓日GSOMIAが適用されて共有保護情報となった総件数は29件で、17年が19件を占める。朝鮮のミサイル実験で模擬弾頭がどこに落ちたか、などの情報とみられる。米軍が把握する情報にすぎない。また、GSOMIAができる以前から、自衛隊のP3C情報など重要なものは、米軍を介して韓国に渡っているはずである。
 07年締結の日米GSOMIAは、13年の秘密保護法、15年の戦争法の強行成立につながる仕掛けであった。軍事機密の共有は、実戦を共にするためである。情報共有がなく戦えば、ただの駒、傭兵になってしまう。自衛隊が米軍と共に、実際に戦争できるようするための協定である。
 16年締結の日韓GSOMIAは、日本を米国の「ミサイル防衛」に組み込み、秋田や山口に自衛隊の中距離弾道ミサイル及びレーダー基地「イージス・アショア」を作るための仕掛けであった。それだけではない。第二次朝鮮戦争が始まれば、戦争法が発動され、米韓連合軍の朝鮮侵攻を支援する日本の集団的自衛権行使が宣言され、自衛隊が朝鮮半島に侵攻することにつながる協定であった。
 日韓米の軍事結託は、そこまで危険なところに来ていた。この危険を押し返してくれたのが、18年4月の「板門店宣言」であった。
 日韓GSOMIAは、日本政府のほうからすすんで破棄すべきものであった。日韓両国の平和と友好、また憲法9条を活かす日本外交の立場からは、文政権の破棄はまさに歓迎すべきものである。これを韓国側の対抗策として懸念を示すような曖昧な態度は、安倍政権反対の陣営からは一掃されるべきである。
 安倍政権の韓国敵対政策を撤回させる現在の闘いの中から、より積極的な大きな闘い、すなわち朝鮮半島統一の実現を支持し、新しい東アジア平和秩序を創造する大きな闘いへと進むべきである。
 現在、東アジア南端の香港での情勢が耳目を集めている。しかし香港情勢は結局、中国主権下の領域内での自治、分離と結合をめぐる紛争の一つであり、国際的枠組みに与える影響は小さい。中国がこれを武力的に解決することは非難されるべきであるが、米英が下心をもって干渉することも非難されるべきである。
 統一コリアの出現が、国際的枠組みに与える影響はとてつもなく大きい。この新しい時代を恐れる反動勢力の一切に、引導を渡す時が近づいている。