大阪・釜ヶ崎
 新センターへ向け、第48回釜ヶ崎夏祭り
  「地域づくり」を労働者の力で

 今年も多くの参加者のもと、「第48回釜ヶ崎夏まつり」が8月中旬開催された。
 大型台風の接近、直撃予報の中で2日目(14日)のスケジュールを変更し、また3日目を中止とする結果となったが、最もメインの企画である慰霊祭を14日に変更して行なうことができた。
 しかし、労働者に人気があり、大いに盛り上がる「つな引き大会」「すもう大会」が行なわれなかったこと、また仲間たちが準備していた屋台が2日間しか出せなかったことは残念であった。ともあれ、今年も釜夏祭りを大いに楽しむことができた。
 今回の「夏まつり」は、仮移転に伴なう西成総合センターの閉鎖後、初めての夏祭りであり、「センター建て替え」問題が今後の釜ヶ崎(釜ヶ崎の未来)に向けた重要な問題であることを、広く仲間に訴えるものであった。
 三角公園の会場掲示板には、「センターの未来を提案する行動委員会」による「大字報」が貼り出され、また会場に隣接する「ふるさとの家」では、「釜ヶ崎ライブラリー」が開設された。ここでは90年代の反失業闘争、暴動、初期の「特掃」などの映像・写真が、そしてセンターの模型が展示された。
 残念なことに3日目の中止に伴なって「建て替え問題についての大討論会」は実現しなかったが、この問題の重要性は仲間たちに訴えることができたのではないか。
 さて、春の統一地方選での府市ダブル選挙、そして7月参院選によって、「維新」は大きく勢力を拡大し、公明、自民を屈服させ、「大阪都構想」に向けて攻撃を強めている。来年秋にも、都構想の是非を再び問う「住民投票」の実施が確実視されている。
 こうした中、前回の「住民投票」で敗北し、政治的に大きく後退した大資本、それにつながる政治家どもが策動を強めている。このかん地域の中で、ねばり強い討論を通じて合意されてきた内容(センター建て替え等)は、必ずしも、これらの勢力(ジェントリフィケーション)にとって、その意に沿うものではなかった。
 今後の「住民投票」の結果次第では、国・府市そして住民という合意の構図が大きく崩れ、センター跡地の大資本への「叩き売り」という最悪のシナリオすら予想される。
 釜ヶ崎労働者の声を要求としてまとめ上げ、地域の中での合意をつくり出し、「新センター」の構想をつくり出して、行政に呑ませていかなければならない。
 また、こうした作業と一体のものとして、仮移転後の現状を、労働者の「使い勝手の良さ」に変えさせていく取り組みを強めていこう。すぐに職安や、センターのシャツターの開閉、休日の問題について、またシェルターの利用時間延長などについても改善を実現させてきたが、まだまだ不十分だ。
 夏祭り前に「新萩の森」の排水工事を仲間たちの力で実現したように、すべてを行政ぺースに合わせるのではなく(行政の予定では排水工事は年度末の予定だった)、あるときは労働者独自で、またあるときは地域住民との合意を図りつつ進めていかなければならない。
 1994年の「センター夜間解放闘争」を想起せよ。当時大阪府下で1万人、釜ヶ崎地区内で1千数百人が野宿を強いられていた。そうした中、「野宿をさせるな」を要求にかかげ、「センター夜間解放闘争」が闘われ、逮捕者を出しつつも、責任ある自主管理を多くの仲間たちの結集で貫徹した。その成果で、行政に土地を提供させ、アルジェリア・テントの自前のシェルターを建設・自主管理して、それが今のシェルターとして実現している。
 また、釜ヶ崎で「野宿」問題を語るとき、「失業」問題として考えなければ、その解決の方向を定めることはできない。引き続き「反失業・仕事よこせ」の闘いを強めていこう。  「特掃」の大幅拡大、「苦しい仲間の仕事の『しくみ』づくり」を更に強めていかなければならない。
 反失業闘争を前進させつつ、「安心して働き生活できる釜ヶ崎」の実現に向けて、地域の人々との連携を強め、ジェントリフィケーションと対決し、「地域づくり」を進めていこう。
 その主導勢力は、釜ヶ崎労働者だ。(釜ヶ崎S) 

釜ヶ崎講座
 8・13「特掃」体験行動

今年も「釜ヶ崎講座」は、釜夏祭りに合わせ、「特掃体験ツアー」及び「釜歩きツアー」を企画したが、15日の「釜歩きツアー」は台風接近のためやむなく中止となり、13日の「特掃体験ツアー」のみの行動となった。
 当日は、NPO釜ヶ崎支援機構の計らいにて、3名が茨木地区にある府下の水処理施設一帯の除草作業に出向いた。午前中のみの作業であったが労働者と共に汗を流した。
 1994年以来、55歳以上の日雇労働者を対象としたこの特別清掃事業は、釜ヶ崎労働者の長期にわたる自力の闘いの成果として、25年に及ぶ継続を積み重ねてきた。しかし近年、大阪府は予算削減の動きにあり、今年の「お礼参り」(新年の府・市への要望書行動)では、特掃削減するな、新たな働き方の拡大を、と労働者の切実な声が強まる状況にある。
釜ヶ崎では、こうした行政に対する仕事よこせの取り組みとともに、世代移行の流れに即した柔軟な形態をともなう仕事開拓の行動にも、それぞれの運動組織が取り組みを始めつつあるというのが今日的特徴と言える。
こうした状況をうけて釜ヶ崎講座は、釜ヶ崎地区の運動と協働を強めつつ、地区外の市民への発信を継続していくだろう。(講座会員I)