首都圏原発・東海第二を廃炉へ
 8・16東海村一日行動――日本原電を追求

 昨年11月、原子力規制委員会は、茨城県東海村の東海第二原発について、日本原子力発電による「工事計画認可申請」と「運転期間延長認可申請」の2つの申請を認可した。東海第二原発は、「安全性向上対策」を進めるなど再稼働・20年延長に向けて準備を進めている。
 認可が下りるや否や日本原電は、手のひらを返すように態度を変え、市民団体の集めた署名を送り返す(11月)など高圧的な態度で臨み、強引に再稼働を推進する姿勢を今日まで続けている。
 8月16日、「東海第二原発の再稼働中止!20年延長は首都圏壊滅の道!廃炉を求める一日行動」が、東海村現地で決行された。25回目の「六ヶ所ピースサイクルin東海村行動」である。
 行動には、20名近くの労働者市民が結集し、東海村役場訪問、東海第二原発抗議行動、近隣住民との交流集会など一日にわたる闘いが展開された。主催は、ピースサイクル2019全国ネットワーク常磐線ルート。

 村長「自治体に拒否権なし」

 行動は東海村役場では、「再稼動に必要な安全対策」や「日本原電の資金調達計画」など7項目について質疑し、東海第二廃炉への村政を求めた。しかし質疑では、東海村は再稼働容認の立場で諸施策を進めていることが、いっそう鮮明になった。
 防潮堤の浸水対策工事、基準地震動に基づく主要設備の耐震補強工事、難燃ケーブルへの取り替え・防火シート設置工事など「安全向上対策」の現状について、村は、「進捗状況は言えないが、2021年3月まで続け完成する」と発言、日本原電側の見解そのままに伝達した。
 この発言は、住民の安全のために介入・調査するのではなく、企業の報告をうのみにする行政の姿勢を浮き彫りにしている。
 また村は、広域避難計画の策定にむけて、2016年5月公表の「東海村広域避難計画」案の検証と実効性向上を図ることを目的として、今年6月24日、3回目の避難訓練を実施している。
 訓練は、つくばみらい市、取手市の協力の下に実施されている。質問に村は、「課題を洗い出し検討を重ねれば、安全な避難計画策定は可能」と発言した。しかし、30km圏内94万人、首都圏3千万人の避難は不可能である。行政の自信はどこから来るのか。
 昨年10月下旬、東海村・山田村長は現電と周辺6市村が結んだ新安全協定について、「発電事業を認めた上での協定」、「最終的には事業者が了解をもらうもの」、「了解権は持っているが拒否権ではない」、「自治体に拒否権はない」などとマスコミに対して発言している。これは、再稼働・20年延長を容認した発言である。
 続いて11月7日、原電・和地副社長は、「拒否権なんて言葉は、新協定のなかにはどこにもない」との発言をし、周辺6市村への謝罪に至った。和地発言は、山田発言が影響したものと考えられる。
 質疑で村は、原発事故が起きた際の責任は、「再稼働容認や否かをきめていないのだから、ない」などと許しがたい発言をした。山田村政は、再稼働・20年延長容認で進められていることが、この発言で裏付けられた。

  原電、今年は交渉拒否

 一日行動は、正午に六ヶ所ピースサイクル隊を送り出し、午後2時より日本原子力発電東海第二発電所への要請行動が開始された。
 この「質問と要請」行動は、2017年、18年では別館や近隣のコミュニティセンターにおいて原電側出席で実施され、定着したかに見えた。しかし、今年の19年要請行動では、原電側が日程と会場が取れないことを理由に拒否し、質問書への回答も約束の期日に届かないまま当日を迎えることとなった。
 要請行動は急きょ抗議行動に変えられ、自動車隊・自転車隊とも隊列を整えて東海第二原発正門前に結集し、抗議行動を展開した。
 行動隊は、再稼働中止と廃炉を求め、会社側の不誠実な対応を糾弾した。追い詰められた原電側は、「文書回答は、質問書が届いていないためできなかった」との苦しい言い訳に終止したが、来年20年の要請行動受け入れに努力する旨を回答した。
 行動隊は最後に、日本原電と東海第二発電所・星野知彦所長に対する「貴社への〈質問と要請〉に対する回答・面会拒否に対する抗議」書を手渡して、東海第二原発を後にした。

  「避難計画」は成り立たない

 続いて行なわれた近隣住民との交流会では、再稼動を阻止するために各地域の市民運動などが連携し、関連自治体を攻めるなど多様な戦術の必要性が訴えられた。
 東海第二原発は、安全性向上対策や「特定重大事故等対処施設」の建設に時間がかかっている。東電からの資金援助が決まらず、特重施設の建設では設備の仕様を検討している段階で、23年10月17日までの完成は難しい。それでも原電は強引に進めようとしている。
 今年2月28日、6市村(東海村、水戸・那珂・日立・ひたちなか・常陸太田市)との間で昨年締結された新安全協定の実施スタートが宣言され、「一市村でも同意が無ければその先に進まない」ことが確認された。しかし、国や原電が、6市村の首長の交替や切り崩しを謀ってくることは充分予想される。
 6市村の対応をめぐって緊迫した情勢に入り、周辺と首都圏での闘いの高揚が求められる。
 もう一つの闘いが、現地から提起された。
東海第二の事故にかかわる避難計画の策定にあたっては、近郊自治体での避難者の受け入れが求められ、自治体の多くは、住民に知らせずに受け入れ体制を決定通知している。しかし、多くは、長期の滞在には不向きな劣悪な環境の避難所である。各自治体の受け入れ体制を調査し、国際基準に沿った避難所の設置を求めて粘り強く闘うことが求められる。また一人残らず安全に避難させる避難計画の実現をせまる闘いも重要だ。
 しかし、東海第二原発の過酷事故で、完璧な避難計画などありえない。避難計画の不備をただす闘いは、各自治体を大衆闘争で攻め続け、延長20年の期限を徹底的に短縮させ、廃炉に追い込むための戦術である。
 一日行動は、周辺地元住民との連帯を確認して終了した。

  6市村・首都圏つないで

 東海第二が過酷事故を起こせば、首都圏にも及ぶ大惨事は免れない。東海第二は首都圏の原発であり、それを止める必要と責任が首都圏住民にあるという自覚を、首都圏に一層ひろげる必要がある。
 首都圏では、多くの市民団体が参加する「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」によって、都内の日本原電本社(住友不動産秋葉原北ビル内)を攻める行動が毎月続けられている。同主催によって8月3日には、「とめよう!首都圏原発東海第二8・3新宿・夜デモ」が新宿アルタ前から行なわれ、約250名が参加した。
 周辺6市村住民と首都圏各地域の闘いを結合し、多様な闘いで再稼動阻止・廃炉に追い込もう。(東京O通信員)

  
9・19判決の東電刑事裁判
  有罪判決は当然

 いよいよ9月19日、東京地裁で、東電刑事裁判の判決が出される。
 9月8日には、「真実は隠せない~有罪判決を求める東電刑事裁判判決直前9・8大集会」が都内で開かれる。午後2時・文京区民センター3A会議室。主催は福島原発事故刑事訴訟支援団。
 この集会で、最近完成の、裁判の争点を明らかにした短編映画『東電刑事裁判~動かぬ証拠と原発事故』(河合弘之監督)が上映される。
 判決言い渡しは、9月19日・午後1時過ぎ、東京地裁104号法廷である。午前11時から地裁前集会が行なわれる。
 このかんの公判で、武藤元副社長ら東電元幹部3名の被告人が、津波対策を先送りしたことによって、本来防げた福島原発事故を防げなかったこと、また事故により双葉病院入院患者44名を死に至らしめたこと等が明らかになっている。当然ながら、東京地裁(永渕健一裁判長)は、業務上過失致死傷罪の有罪判決を下すべきである。(編集部)


8月「19の日」行動、国会前に1600名
  韓国敵視は戦争への道

 参院選挙から1ヵ月、政権延命を図る安倍政権が韓国敵対政策に突き進む中の8月19日、47回目の「19の日」行動が国会衆参議員会館前で闘われ、1600名が結集した。
 行動では、「韓国敵視を煽るな!自衛隊はイランに行くな!安倍9条改憲NO!辺野古新基地建設は断念を!」が掲げられた。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、安倍改憲NO!全国市民アクション。
 まず、総がかり行動実行委の高田健共同代表が主催者挨拶。今参院選の総括として、「参院選挙は明らかに勝利だ。自公・維新の改憲勢力は3分の2を割った。割らせたのは野党・市民の共同と市民運動の力だ」とし、「まもなく衆院選を闘う。参院選では、秋田・新潟・沖縄などで勝利したが、衆院選では289の選挙区で奮闘して政治を変える」と表明した。
 また、韓国への敵対政策を仕掛け、民族排外主義をあおる安倍政権を批判して、和田春樹東大名誉教授が発言。「安倍政権は、東アジアが平和の時代に進もうとしている中、徴用工問題への対抗措置として韓国への輸出規制を行なうなど制裁を加え、文政権との矛盾を拡大している。また拉致問題については、朝鮮を締め上げる方策を示した。韓国を敵に回して何をしようとしているのか。韓国敵視は戦争への道だ」とするどく指摘した。
 さらに徴用工問題について、改憲問題法律家6団体連絡会の大森典子弁護士も、「徴用工大法院判決の後、安倍政権は判決を激しく非難し、被告企業と示し合わせて敵対した。しかし本質は、朝鮮を植民地支配していた時代に、若い働き手を日本に連れて来て奴隷労働をさせた、このことに対して責任を明らかにし、賠償する問題だ」と指摘して、安倍政権と企業は誠実に対応すべきだと訴えた。
 イラン沖有志連合参加問題については、中東情勢に詳しい戦場ジャーナリストの志葉玲さんが、「安倍は、ホムルズ海峡などの安全確保を建て前とする米国主導の有志連合に、参加しようとしている。有志連合はイラン包囲網だ。イランと日本の関係は良好、これを裏切ってどうする。イラクやシリアも敵にすることになる」と述べ、有志連合への参加反対を訴えた。
 国会野党からは、立憲民主の佐々木隆博衆院議員、日本共産党の山下芳生参院議員が挨拶した。佐々木議員は、「安倍首相は8・15戦没者追悼式で、戦争への反省さえ示さなかった。この姿勢が、近隣諸国とのギスギスした関係をつくっている。党は安倍政権に対峙してがんばる」と決意を述べた。
 最後に、北村さん(戦争をさせない千人委)が、「参院選で国民の審判は下ったが、安倍首相は改憲審議を進め、任期中の憲法改正を実現すると発言している。連帯をひろげ、改憲発議を阻止しよう」と訴えつつ、以下を行動提起した。
・8月31日、講演集会「韓国は敵なのか」、午後2時・韓国YMCA。
・9月16日、「さようなら原発全国集会」、午後1時半・代々木公園。
・9月17日、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!日朝国交正常化交渉の再開を!」市民集会、午後6時半・文京区民センター。
・ 9月19日、戦争法強行成立から丸4年、「19の日」行動、午後6時半・議員会館前。
 今秋臨時国会へ向け、安倍政権打倒の大衆闘争を!(東京O通信員)