6月「19の日」行動
 発議阻止の勝利宣言
   次は参院選勝利で、9条改憲発議不可能へ

 通常国会終了が一週間後の6月19日、毎月の「19の日」行動が国会前で開催され、「改憲発議を今国会で阻止した」との勝利宣言が発せられた。
 戦争法(安保法制)強行成立で始まった「19の日」行動は、今回で45回目、ほぼ4年間にわたる粘り強い闘いは、安倍政権を着実に追い詰めている。次のステージは、大衆闘争の爆発をテコにした参院選勝利。
 行動は、「年金報告書をかくすな!辺野古新基地建設は断念を!安倍改憲NO・参院選勝利!」を掲げて、3500名の労働者・市民が結集し、衆参議員会館前はもとより国会図書館前までを埋め尽くした。冒頭で、三千万署名の提出行動が行われた。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会と、安倍9条改憲NO!全国市民アクション。
 集会は最初に主催者挨拶。長尾ゆりさん(憲法共同センター)が、「5・3憲法集会で有明に6万5千人が結集するなど全国の闘いで、今通常国会での改憲発議はできなくなった。会期末が迫る中、安倍政権は、審議会の年金報告書を都合が悪いとして受け取り拒否し、この年金問題など安倍政権の諸問題が噴出している。参院選で安倍政権に終止符を!」と訴え、行動の基調を示した。
 市民連合の山口二郎法政大学教授も、「参院選では32の1人区で候補者を一本化した。しかし、安倍政権の支持率は下がっていない。若者は今の現状が良いとは思わないが、現状を変えたくないと思っている。我々が立ち上がり、若者の意識を変えていく。決起して闘えば、勝てるという状況がある」と呼びかけた。
 辺野古新基地阻止については、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦さんが報告。「土砂投入から半年、防衛省は順調に工事が進んでいると言っているが、土砂が投入された地域はわずか。工事は闘いによって圧倒的に遅れている。大浦湾側では海底が軟弱地盤、いかなる土木技術をもってしても埋立は不可能だ。しかも玉城知事の許可が必要になる。工事は絶対にできない。今度は本土の皆さんががんばる時」と指摘した。
 そして、「沖縄の風」の糸数慶子参院議員は、「沖縄慰霊の日6月23日がやってくる。安倍首相は沖縄の民意を一顧だにせず、どのような思いで追悼式に来るのか。与那国、石垣、宮古に自衛隊基地を建設し、戦争政策を進める安倍政権にNO!を」と訴えた。
 山田正彦元農水相(TPPを許さない!全国共同行動)、憲法学者の志田陽子さん(安保法制違憲訴訟の会)など連帯アピールが続いた。志田さんは、「安保法制違憲訴訟では、6月13日前橋地裁で、元内閣法制局長官の宮崎礼壹氏、ジャーナリストの半田滋氏、私の3名の証人尋問がやっと実現した。横浜地裁でもそれに続く動きがある。裁判官の良心を呼び覚ますため、市民運動の盛り上がりが不可欠だ」と報告した。
 最後に、総がかり行動実共同代表の高田健さんが、「闘いの成果は、改憲発議を今国会で阻止したこと、また、辺野古NO!を含めた13項目の野党・市民合意を確認しつつ、全1人区で一本化に成功したこと。32の過半が女性候補だ」とまとめつつ、以下を行動提起。
・6・26緊急首相官邸前行動(年金問題) 午後6時半 主催・9条壊すな実行委と市民有志。
・7・3新宿西口街頭宣伝 午後6時半。
・7・19「19の日」行動 国会議員会館前・午後6時半。
 なお、国会野党からは、社民党・福島瑞穂、共産・井上哲士、立憲民主・小川敏夫の各参院議員が挨拶した。
 7月参院選では、大衆闘争の高揚を背景にして、「今度は選挙に行ってみよう」と意識を変えなければ、勝利に導くことは難しい。行動で情勢を動かし、参院選勝利・安倍打倒をかちとろう!(東京O通信員)


6・7〜8朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動
  米朝正常化へ攻勢を

 6月7日東京で、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!日比谷野音集会」および銀座デモが行われ、日本と韓国・朝鮮の市民約1千名が参加した。また6月8日には、星陵会館で市民シンポジウムが開催された。主催は、「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」市民連帯行動実行委員会で、これは総がかり行動実の主要3団体や、3・1朝鮮独立運動百周年キャンペーンなどによるもの。
 その行動の趣旨として、「東北アジアに非核・平和の確立を!」「安倍政権は平和の流れを邪魔するな!」「日本政府は核兵器禁止条約を支持し、批准を!」「加害の歴史を直視し、過去の清算を!」「日本軍『慰安婦』課題、徴用工課題の解決!」「日朝国交正常化を!」「在日韓国・朝鮮人の人権の確立!」「朝鮮高校の授業料無償化の実現を!」「日本国憲法飢9条の破壊反対!」「日韓・日朝市民の連帯と共生!」を掲げる。
 7日の野音集会では、総がかりの高田健さんが主催者挨拶、韓国からはキム・ヨンホさん(東北アジア平和センター理事長)、オム・ミギョンさん(民主労総副委員長)が挨拶した。
 安倍政権が反韓国感情をあおる中、日韓・日朝テーマで野音を埋められるかどうか問われたが、結果は、日本側の運動の現状が問われるものとなった。平和フォーラムや諸団体の参加も低調であったが、日共系の憲法共同センターへの割り席が、がら空きというのはいかがなものか。
 翌日8日のシンポでは、韓国・朝鮮側からはキム・ギョンミンさん(韓国YMCA)、イ・プヨンさん(市民平和フォーラム)、リ・ビョンフィさん(朝鮮大学校)、そして韓国進歩連帯のハン・チュンモクさん、参与連帯のシン・ミジさんが発言。
 進歩連帯のハン・チュンモクさんは、米国はハノイでの2回目の米朝首脳会談で、またその後も、ビッグディールを主張して一方的に北の完全核廃棄を要求している。この米国の態度を、国際世論で改めさせることが問われている。米国が責任ある決断をし、3回目の首脳会談が行なわれなければならない。朝鮮半島の平和実現は、日本と東アジアの平和にとって根本的な問題であり、日本の民主主義を促がすうえでも重要だと報告した。
 朝鮮大学のリ・ビョンフィさんは、段階的同時行動的に、米国の脅威除去と朝鮮の非核化を進めるという政策で周辺国は一致しているが、日本の安倍政権だけが反対し、米国に同調している。安倍政権は米国以上に対朝鮮制裁の継続を主張し、我々在日朝鮮人への諸権利を不当に制限し続けている。朝日国交正常化を開くためには、まずこれを正すことが必要だと報告した。
 日本側からは、湯浅一郎さん(ピースデポ)、和田春樹さん(日朝国交正常化連絡会)などが発言した。
 なお、和田春樹さんら日朝国交正常化連絡会構成団体の各氏は、6月7日「いまこそ日朝国交正常化を、ただちに無条件で」と題する共同声明を発表した。この宣言は、まず無条件で大使館の相互開設を先行させ、その後に拉致・ミサイルなど諸懸案の交渉を開始せよ、とするもの。拉致問題等の解決を先行し(口実とし)、その後に正常化としてきた安倍政権の対朝鮮外交は完全に破綻している。声明は、この現状に一石を投じるものである。(東京W通信員)


大盛況の5・5松戸憲法集会
 前川喜平が語る

 「2019年松戸憲法記念日の集い」が、会場の都合で例年の5月3日ではなく、5月5日に行なわれた。主催は、同集い実行委員会。
 通年と異なる日に開催されたためか、会場の松戸市民会館にはホールをあふれるほどの人々が集まり、通路はおろかロビーもいっぱいとなり、ゆうに1500名を超える参加であった。例年は、東京の5・3集会と重なるため、松戸・東葛地域からの参加は分散していたが、それでも松戸集会はかなり集まっていた。それが、たまたま日を変えたら、信じられないほどの結集となった。
 今年の松戸集会の基調講演は、元文部科学省事務次官の前川喜平さんであった。
 オープニングは、シンガーソングライターの井上ともやすさんで、吉田拓郎風のその歌は好評であった。
 開会挨拶は、実行委員長の近藤宙哉さんで、「改憲を何としても阻止しようではありませんか」、「日本が軍事強国化への道をひた走っていることに反対しましょう」、「世界各地に戦火が絶えないことに声をあげましょう」と3点にわたって提起し、集会参加者から大きな賛同を得た。
 そして講演。前川さんは、軽妙な語り口に加えて冗談も交え、視聴する人々を引き付けるすべを備えているようであった。まず、安倍政権が2015年に強引に国会を通した、集団的自衛権の行使を可能とする戦争法について話を切り出した。前川さんご自身も、事務次官になる前年の9月18日、仕事を終え国会前に駆けつけ、シールズの後ろで声を上げたとの経験も語られた。
 前川さんは、教育行政のトップにいたことにかかわり、安倍政権と右翼集団・日本会議がめざそうとしている歴史の改ざん、歴史修正主義について言及した。東京都の七生養護学校問題から加計問題まで、事例を上げながら語った。元従軍「慰安婦」問題、南京虐殺事件、沖縄戦での日本軍による住民虐殺などをめぐる問題も取り上げ、また教科書検定問題では、安倍政権への文部官僚の忖度を、ご自身の官僚時代における忸怩たる思いとして語った。
 前川さんは、2012年自民党改憲案では、憲法26条(教育を受ける権利・受けさせる義務)に第3項の追加となっていることにも言及し、平和教育の重要性を強調した。前川さんの講演には、超満員の聴衆から万雷の拍手が送られた。
 なお集会後には、有志の主催で、恒例の市内デモが約100名で行なわれた。(千葉K通信員)