最賃1500円を当たり前に
 参院選さ中、もっと大きな議論を!

 今年の2月、箱根で行われた労運研(労働運動研究討論集会実行委員会)の集会に参加した。集会場の正面に、「8時間働けば暮らせる社会の実現を!」というメインスローガンが掲げられていた。このスローガンは、最近ではいろいろな所で見られるようになった。日本共産党も、「8時間働けばふつうに暮らせる社会に」を大きなスローガンとして掲げている。
 8時間労働制は200年前、アメリカの労働者たちが決死のストライキをたたかったスローガンである。200年たった現在でも、同じスローガンが労働運動の現場で掲げられている。この200年間に科学技術はめまぐるしく発達し、労働生産性もいちじるしく高まった。にもかかわらず、労働者のおかれている状況はほとんど変わっていないということだ。資本主義が続く限り、科学技術が発達しようが、労働生産性が高まろうが、労働者の労働環境・生活環境は変わらない。改めて実感させられている。
 「8時間働けば暮らせる社会の実現を!」の最大のポイントは、8時間働けば暮らせる賃金を、ということだろう。私たちは現在ふつうの生活を営むのには、年収300万円が目安となるだろう。年収300万円は、8時間労働で計算すると、おおよそ時給1500円ということになる。
 労運研のスローガンを実現するのには、最低条件として、時給1500円が払われなければならない。このスローガンは、最低賃金・時給1500円の要求とセットで掲げられなければ説得力がない。いや、最賃・時給1500円が主要に押し出されて、「8時間働けば暮らせる社会の実現を!」が副次的なスローガンとして掲げられるべきだと思う。最賃の引き上げは、いま喫緊の課題である。
 ここしばらく、ユニオン全国ネットなどによる最賃大幅引きき上げキャンペーンなどでは、「今すぐ1000円、めざせ1500円」のスローガンを掲げてきた。しかし、いまだ1000円すら実現できず、諸外国の最賃改善に比べて、日本は立ち遅れてしまっている。1500円はもはや、現在の要求として闘う必要があるだろう。最賃大幅改善には、社会保険料企業負担の減免など中小企業支援策も必要となるだろう。

  あまりにも安すぎる日本の最賃

 いま、日本の最低賃金は全国加重平均で874円、8時間労働で年収に換算すると、だいたい180万円程だ。とても生活できる賃金ではない、労働者は生きるために、過重な残業やアルバイトなどダブルジョブをせざるを得ない。貯金などをする余裕もない。ひとたび、身体をこわせば生計を維持することもできない。多くの労働者がギリギリの生活を余儀なくされている。
 今年も最賃の審議会が開かれ始めている。中央最賃審議会が7月中に「目安」を出し、それに右ならいして各都道府県の地方審議会が各県の最賃額を8月中には決めていく、というのが毎年のパターンである。日本には、全国一律最低賃金の制度は無い。
 審議会は公開が原則といわれているが、大事なところは非公開の密室で進められる。最賃は社会的な課題であり、もっと公の場で議論されなければならない。
 最低賃金の引き上げは、7月21日投票の参院選挙の争点の一つにもなっている。参院選と、中央最賃審議会が目安を出す時期とが重なっている。
 しかし、多くの議論が、内需が伸びないのは労働者の賃金が上がっていないことにある、景気浮揚のためには最低賃金を引き上げる必要がある、といった観点で話されている。もっと働く労働者の目線に立って、労働者がふつうに暮らせる社会を実現するために、最低賃金の引き上げが緊急の課題であるという視点から、最低賃金・時給1500円が語られるべきだ。
 最低賃金引き上げの課題は、労働者がふつうに暮らしていくために欠かすことのできない課題だ。もっと公の場で議論をしていくべき課題である。(ユニオン活動家・三橋一郎)


参院選で年金破綻問題が大浮上
  年金払え!抗議の波

 7月参院選を前に、年金問題が参院選争点として大きく浮上してきた。
 金融庁の審議会が6月3日、95歳まで生きるとしたら年金だけでは生活できず、夫婦で2000万円の貯蓄が必要とする報告書を出した。高齢者の資産形成を促がす意図であった。
 この報告は、年金だけでは生活できないという年金制度破綻を、政府自身が認めるものであるが、こんなことはもう国民の常識となっている。年金破綻に居直り、自助努力を促がす安倍政権の姿勢に改めて批判の声が高まった。
 すると6月11日、参院選を意識して麻生財務相が、「国民に誤解や不安を与えた」として報告書の受け取り拒否を表明。省庁の審議会報告を政権が拒否するという、前代未聞の事態となった。火に油がそそがれ、年金問題が炎上した。
 6月26日、この日昼間に通常国会が閉じた後の午後6時半、国会そばの首相官邸前で、「6・26年金払え!官邸前緊急アクション」が市民団体主導で行なわれ、主催者発表で550名が参加。年金破壊・事実隠蔽の安倍政権に抗議し、参院選で退陣させよう!と声を上げた。主催は、憲法9条を壊すな!実行委員会&市民有志。
 官邸前では、市民連合の広渡清吾さんが「報告を受け取らなくても事実は消えない!こんな政府はすぐ辞めろ!」と訴え、各市民の怒りの発言が続いた。国会議員も駆けつけ、柚木道義さん(衆院無所属)、宮本徹さん(衆院共産)が発言。「生活できる年金払え!」「年金報告かってに隠すな!」「麻生財務相、今すぐ辞任!」「うそつき内閣、今すぐ退陣!」などの、コールが繰り返された。
 これは総がかり行動ではないが、年金破綻を隠す安倍政権への市民の怒りを行動で示す、時宜をとらえた企画であった。これが百倍の規模であったら、参院選を待たずに安倍政権は吹っ飛んでいる。
 なお、前日の6月25日の夜には国会正門前で、「怒りの可視化」がSNSで呼びかけた抗議行動に、若者を中心に500名(主催者発表)が参加。ドラムに合わせて、「年金返せ!」「安倍は辞めろ!」の熱気が高められた。
 また6月16日にも、SNSを通じて、日比谷公園に2000人(主催者発表)が集まり、銀座デモが行なわれた。これも現役世代が多く、「生きてる間に年金払え!」等々と叫んだ。
 年金払わない安倍政権に、参院選でNOを!(東京W通信員)


G20大阪サミット、6・28南港咲素洲会場へ向け抗議デモ
  大阪は戒厳令状態におかれた!

 金融・世界経済について20ヵ国以上の政府や国際機関が会合するG20が、日本ではじめて開催されている。6月28~29日にG20首脳会合が、大阪を戒厳令状態に置いて行なわれた。また5月から11月にかけて、全国8ヵ所で分野別の会合が行なわれつつある。

  大阪行動

 首脳会合が行なわれた大阪市では、それに先立つ6月23日、西区の新町北公園で午後1時から、「サヨナラ安倍!サヨナラトランプ!G20大阪NO!」集会・デモが約200名の参加で行なわれた。主催は、関西の労働組合・市民団体などが参加する「G20大阪NO!アクション・ウィーク実行委員会」。
 集会では、実行委挨拶、参加者のリレートークのほか、このG20サミット反対闘争への海外からの参加者に対する、入国拒否弾圧に抗議する報告がなされた。
 6月21日に来日したイ・キョンジャさん(AWC韓国委員会)さんが、福岡空港で入国拒否され、彼女は直ちに法務大臣への異議申立てを行なったが、22日不当にも却下され、当日韓国へ強制的に送り返された。このことが実行委から報告され、参加者一同この入国拒否弾圧を糾弾した。
 2時間の集会の後、午後3時からのデモ行進を、ナンバまでやり抜いた。
 続いて首脳会合当日の6月28日、地下鉄大阪港駅近くの天保山公園において、午後1時から約200名の参加で反対集会がもたれた。午後3時からデモ行進を開始し、港の最先端まで行って、サミット会場の有る南港咲洲に向って、力強く抗議の声をはり上げた。
 大阪は29日まで、戒厳令状態におかれた。サミット警備を名目に大阪府警1万2千人、全国から応援1万8千人の体制で、阪神高速や一般道路の通行止め、いたる所で検問、大阪市内の学校は27・28日休校を強いられ、市内は機動隊の輸送車が2台態勢で走り回り、街の中に警官があふれ、常に目をひからせた。デモには過剰警備、市民生活には不便と恐怖を与えた。
 まさに、大阪市民は国家権力の監視下におかれた。これは、「戦争する国」の大規模な治安訓練である。我々は、警備に名を借りたこの治安訓練を断固糾弾する。(大阪N通信員)

  東京行動

 東京では6月25日の夕刻、「G20サミット反対6・25新宿デモ」が、新宿アルタ前を起点に行なわれ約100名が参加した。主催は、「トランプ来日-G20反対!実行委員会」。
 アルタ前の集会では、実行委の仲間が、「G20サミットは、世界経済を牛耳る大国の利害調整とかけ引きの場だ。巨大金融資本や多国籍企業が自由に活動できるようにすることが基調であるが、今回は米中貿易戦争の場という様相にもなっている。背景には宇宙軍事覇権争いがある。G20諸国に共通しているのは、権力的支配・権威主義的支配だ。世界の民衆を食い物にする経済会合だ」、「安倍は議長国の首相として、参院選向けのイメージを作ろうとしているが、安倍政権の日米安保強化こそ、東アジア情勢を不安定化させている。天皇代替わり、来年の東京五輪と続く恒常的な戒厳態勢を許さない」と、G20批判の基調を述べた。
 つくば市の仲間が、6月8日に茨城県つくば市で開催されたG20貿易デジタル経済会合に反対しての、その日の地元でのデモ行進などについて報告した。
 アジア共同行動AWCの仲間が、6月21日福岡空港での入国拒否について報告・糾弾した。
 政府決定の「G20大阪サミットにおけるセキュリティの基本方針」によると、「反グローバリズムを掲げる過激な勢力等による会議の妨害や違法行為事案の発生」を問題としており、いわゆるテロ・サイバー攻撃のみをサミット警備の課題としている訳ではない。反20の集会・デモ自体を危険視し、海外からの参加者を入国拒否するというのは人権侵害である。
 アルタ前から午後7時には、新宿デモに出発した。この実行委としては、新橋からの5・25トランプ来日・天皇会談反対デモに続く行動であった。
(東京A通信員)