5・3憲法集会、東京・有明に6万5千人
 許すな!安倍改憲発議

 5月3日の日本国憲法施行72年の記念日、東京では江東区湾岸の有明防災公園にて、「平和といのちと人権を!許すな!安倍改憲発議 5・3憲法集会」が開催され、主催者発表で6万5千人が参加した。主催は5・3憲法集会実行委員会で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と安倍9条改憲NO!全国市民アクションが共催。
 メイン集会は午後1時、神田香織さん(講談師)の司会で開始、最初に主催者挨拶を高田健さんが行なった。
 高田さんは、「安倍首相はちょうど2年前、自衛隊明記の9条改憲案を提案し、2020年改憲施行をうたった。しかし彼の目論みは、遅れに遅れている。今国会は、後1ヵ月半しかない。安倍首相には、今国会で改憲発議を強行するか、参院選後に狙うかの2つの選択肢しかない。しかし私たちは今国会で発議を阻止し、参院選で3分の2を崩して勝利する。そのためには、参院選挙1人区の全てで、野党・市民共闘の候補者を一本化しなければならない。しかし、それだけではダメだ。私たちの運動で、安倍退陣の高まりを実現せねばならない!」と、現情勢の基調と課題を訴えた。
 メインスピーカーとして、湯川れい子さん(音楽評論家)、元山仁士郎さん(「辺野古」県民投票の会代表)、高山佳奈子さん(京大教授)、永田浩三さん(ジャーナリスト)が発言した。
 元山さんは、辺野古埋立て「反対」72%・43万4273票の圧倒的民意を示した2・24沖縄県民投票の結果を報告しつつ、「しかし直後の全国知事アンケートでは、結果を尊重せよの回答が岩手と静岡のみ。沖縄との、このギャップは何なのか。なぜ、沖縄の民意が顧みられないのか。日本の人々は何をしたいのか。また沖縄は、平和憲法があったからこそ、日本になったととも言える。憲法が変えられようとしている時に、あなたは何をしたのか、それらを子どもたちに言えるように、行動しよう!」と痛切に訴えた。
 政党からの挨拶では、立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木代表、日本共産党の志位委員長、社民党の又市党首、参院「沖縄の風」の伊波議員が発言し、社会保障を立て直す国民会議がメッセージを寄せた。
 伊波洋一参院議員は、「先日、沖縄平和市民連絡会の総会に参加しました」と切り出し、平和市民連絡会からの、「沖縄は頑張っているので、全国の皆さんも頑張ってください!」との本集会へのメッセージを伝えた。また、立民の枝野代表は、「あの政権を倒す先頭に立つことを約束する!」と決意表明した。しかし、どう倒すのか中味は漠然としていた。
 ここで、予定に無かった玉城デニー沖縄県知事からのメッセージ、これが披露された。デニー知事は、「憲法施行72年ですが、沖縄への適用は47年目となります。沖縄は、アジアの架け橋となった万国津梁の時代、また悲惨な地上戦を強いられた沖縄戦の体験、これらの経験を踏まえ、やさしい世界をめざす沖縄らしい県政を進めます」と伝えた。
 続いて、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合から、広渡清吾さん(東大名誉教授)が発言。広渡さんは、「市民連合は、2015年安保法制反対運動の中から生まれた。戦争法を廃止するには、国会多数派を形成せねばならない。来る参院選でも、市民と立憲野党との連係が、安倍政権に代わる選択肢として広く見えるようにしていく。しかし、足し算だけではダメだ。情勢を動かす運動が必要だ」と述べた。
 各課題でリレートークが行なわれ、朝鮮高校無償化では東京朝鮮中高級学校生徒の皆さん、貧困格差では本多由紀さん(東大教授)、フクシマからは武藤類子さん(福島原発告訴団団長)、外国人労働者については鳥井一平さん(移住者と連帯する全国ネット代表理事)が発言した。
 閉会挨拶と行動提起が、福山真劫さん(5・3憲法集会実行委)から行なわれた。5月25日の「示そう辺野古NO!の民意を」全国総行動(東京では国会包囲行動)、6月7日の「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動」(日比谷野音、午後6時半)、これらへの参加が訴えられた。
 2時間の大集会は、改憲発議阻止・憲法闘争勝利を誓い合って終了し、参加者は2手に別れてパレードに出発した。(東京W通信員)


4・30退位5・1即位、憲法違反の天皇代替わり儀式始まる
 終わりにしよう!天皇制

 4月30日の「退位礼正殿の儀」、5月1日の「剣璽等承継の儀」「即位後朝見の儀」をはじめとして、天皇明仁(あきひと)から、新天皇徳仁(なるひと)への一連の代替わり儀式が始まった。
 これらの儀式の多くは国事行為として強行され、象徴天皇制を規定する日本国憲法にすら逸脱するものである。憲法第7条は、天皇の国事行為10項目を規定し、その内に「儀式を行ふこと」とある。しかし国家神道を保存し、天皇を国民の上に置き、主権在民を脅かすような儀式は違憲である。
 安倍政権は1日午前の臨時閣議で、天孫降臨神話による「三種の神器」の引継ぎ儀式を国事行為とすることを決定し、第20条など政教分離原則を蹂躙した。そして新天皇は、首相・閣僚・自治体首長などを臣下として「朝見」した。
 また安倍首相は先月、新元号を閣議決定する前に、天皇と皇太子に「令和」案を奏上した。これは、極右が求める「天皇による改元」という事態に現状を近づけるものだ。
 死去ではなく退位による天皇代替わりは、旧憲法・現憲法下を通じて初めてであった。これは、今回限りの皇室典範特例法によって行なわれた。その特例法の制定過程は、安倍政権与党と天皇・皇族との取り引きとして拙速に進められ、天皇制の廃止・存続を含めた国民的論議を封殺したものであった。
 こうした主権在民を侵食し、国家神道を復活させる天皇儀式が、10月の即位礼・11月の大嘗祭まで延々と続くこととなる。

  「おわてんねっと」

 このかん天皇代替わりを批判する大衆運動は、東京では、「終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク」(略称おわてんねっと、3月現在110団体賛同)を中心として展開された。
 おわてんねっと主催のものとしては、4月28日に沖縄デー集会が文京区民センターで開かれ、反天皇制運動連絡会の天野恵一さんが「アキヒト天皇と沖縄」を講演。
 沖縄は、国体護持のための捨て石として沖縄戦を強いられ、その後は天皇メッセージによって米軍支配に売り渡された。現在、南西諸島で対中国の自衛隊ミサイル基地化が強行されつつあるが、これは沖縄の再戦場化を前提とする。戦争に備えて沖縄県民を国民統合するために、明仁天皇は与那国を訪問したのである。何が平和主義者なのか。
 4月29日には自衛隊監視テント村と共催で、反「昭和の日」立川デモ。
 上記企画にも、象徴天皇制の別働隊・天皇主義右翼の妨害が付きまとったが、4月30日の「退位で終ろう天皇制!新宿大アピール」で、その妨害は頂点に達した。新宿アルタ前の宣伝集会は百人ほどで4時半から開始されたが、当初から前・後を右翼のヘイトスピーチ隊に挟まれ、3~4台の右翼街宣車も暴騒音で徘徊。警察はバリケードを組んで、仲間たちを囲んでしまった。周囲は、やってくる参加者に加え、警官、右翼、マスコミ関係者、群集が入り乱れる混乱状態となった。警察のバリケードは、衝突防止というより、市民からの宣伝行動の隔離であった。
 それでも新宿大アピール行動は、「身分差別・性差別の象徴=天皇制はいらない」の大横断幕を掲げるなどして宣伝を貫徹。午後5時に始まった「退位礼正殿の儀」が、新宿アルタの大画面に映示されると、これに抗議のシュプレヒコールを繰り返した。
 警察は、右翼による「反天連は日本から出て行け!」等々の、ヘイトスピーチを放置した。(東京の右翼は、天皇制を批判する人々の代名詞として、「ハンテンレン」という文言を憎しみをもって連発している)。右翼の挑発に乗らず、つまり警察や施設管理権者に規制の口実を与えることなく、言論・表現の自由の権利行使を守ることが重要だ。
 5月1日は、「新天皇いらない銀座デモ」が午後5時に、JR新橋駅前のニュー新橋ビル前から行なわれ、約300名が参加した。デモ起点の集会は、同ビル地下の会議室・廊下を埋め尽くして行なわれ、女性と天皇制研究会、直接行動DA、反オリンピック連絡会の鵜飼哲さん、評論家の太田昌国さん等々が発言した。
 直接行動の青年は、次のように鋭く指摘した。「明仁天皇は、2月24日の在位30年式典で、『平成の30年間、日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちました』と述べた。しかし、この時期に周辺事態法、有事立法、アフガン戦争とイラク戦争への自衛隊派兵、安保法制強行が行なわれた。日本の国内で戦火がなければ、平和ということなのか。天皇の発言は、日本の人殺し加担を、人々に見えなくさせる役割を果たしている」。
 太田昌国さんは、「4月27日の大阪の集会(天皇代替わりに異議あり!関西集会)に行って来た。参加者200人で、聞くと前回代替り時の10分の1という。たしかに天皇への親近感は増やされているのだろう。統合されていないものを、統合しようとするのが天皇制。しかし連帯、平等、相互扶助などを価値観とする運動も持続している。私たちの未来を信じたい」と述べた。
 集会後、「終わりにしよう天皇制!」の横断幕を先頭に、右翼の散発的な妨害を退けながら、デモ行進が行なわれた。
 
  前回と比べると

 さて、今回の天皇代替わりは、10連休演出の中で最初からお祝いモードの、あいまいな国民統合として始まった。30年前は、自粛強要・服喪強制の暗い雰囲気で始められ、改元による時代感覚の操作、代替わり儀式・天皇祭祀の政治的効果などが、初めての実感として我々にも認識され、危機感をもった反天皇制運動が一定の広がりをもって展開された。
 太田昌国さんの発言にもあったが、当時の集会・デモはどの程度であったのか。
 1989年2月24日の大喪礼反対行動は、東京1700人、大阪5500人、京都3000人であった。
 1990年11月12日の即位礼反対行動は、東京2500人、大阪3000人。11月22日の大嘗祭反対行動は、東京800人、大阪1000人であった。
 関西の参加数が優勢であるのは、部落解放同盟系がまだ比較的活発に行動していたから、と考えられる。当時も今も、社民系はもちろん、日本共産党も、言論以外は動いていない。日共は2004年の綱領改定で、「君主制」廃止を削除し、それは将来の国民合意の問題としてしまった。
 左翼の新しい再建が、天皇代替わりとの闘いの中でも、問われている。(編集部W)


4・19国会前、憲法審査会を始動させるな!
 許すな萩生田ワイルド発言

 通常国会会期末(6月中旬)を視野に入れつつ、国会前で4月19日、毎月の「19の日」行動が、「辺野古新基地建設は断念を!政府は沖縄の民意に従え!安倍9条改憲NO!憲法審査会を始動させるな!国会議員会館前行動」として行なわれた。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、安倍9条改憲NO!全国市民アクション。
 国会内外の闘いで、安倍首相らの改憲スケジュールは大幅に遅れている。追い詰められた安倍自民党が、今夏参院選で両院3分の2が崩れる前に、改憲発議を非常識に強行する危険性がある。
 萩生田光一自民党幹事長代行が4月18日、ネット番組で、天皇代替わりで「新しい時代になったら、ワイルドな憲法審査を自民党は進めていかないといけない」と述べ、野党合意が無くても強行突破する意図を示した。改憲勢力の焦りの表れである。また同時に萩生田は、「消費増税をやめるとなれば、国民の信を問うことになる」と、衆参同時選挙を示唆する謀略発言も行なっている。
 4・19行動はまず、野党国会議員の発言で開始。立憲民主党・池田真紀衆院議員は、「萩生田幹事長代行は、ワイルド発言をして強引に改憲しようとしている。沖縄では、昨秋県知事選で玉城デニー氏が勝利、4月の県民投票でも辺野古反対の民意を示した。しかし政府は、沖縄の民意を無視して土砂投入を続け、ジュゴンを殺した。新基地を阻止し、改憲を阻止しよう」と訴えた。他に共産、無所属から発言があった。
 続いて、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委の木村辰彦さんがアピール、「大浦湾側水深70~90mの海底は、マヨネーズ並みの軟弱地盤で埋立ては不可能。防衛省は強引に工事を進め、県民をあきらめさせようとしている。まだ6%しか埋め立てられてはいない。大半を埋める土砂の入手も難しい。沖縄と全国の力を一つにすれば必ず勝てる。沖縄は民意を示した、今度は皆さんだ!」と、「本土」の闘いの重要性を訴えた。
 総がかり行動実行委の高田健共同代表が主催者アピール、「一昨年5月3日、安倍は新しい改憲案を出し、20年施行をねらった。しかし安倍の目論見は遅れに遅れている。ワイルドに改憲論議を進めようとの、萩生田の目論見を絶対に許さない。今国会で改憲発議を阻止し、安倍改憲を完全に葬り去る!」と宣言した。
 連帯挨拶では、中野晃一さん(安保法制廃止と立憲主義回復を求める市民連合、上智大学教授)が発言、「安倍首相は、改憲して世の中の空気を変えたいと思っている。自衛隊を憲法に位置付ければ空気が変り、自衛隊に多くの人々を入隊させられると考えている。」と指摘した。また法律家6団体連絡会の大江京子弁護士は、「首相など権力を持つ者は、憲法を守る義務がある。安倍首相が改憲をねらうのは違憲である。憲法審査会の開催に断固反対する」と訴えた。
 最後に、戦争をさせない千人委の北村さんから、
 ・5・3憲法集会、有明防災公園
 ・5・19「19の日」行動、午後2時・国会議員会館前
 ・5・25国会包囲行動、午後2時・国会周辺
 ・ 6・7~8朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動。6・7日比谷野音集会デモ、午後6時半。6・8国際シンポ、午後1時半、星陵会館(申し込み制)
 ・ 6・19「19の日」行動、午後6時半・国会議員会館前
などの行動提起を受けて終了した。
 その後、4月21日の沖縄3区、大阪12区での衆院補選。いずれも自民党候補が敗北し、安倍政権は追い詰められている。決定的瞬間には国会前を労働者市民で埋め尽くし、安倍政権を打倒しよう。(東京O通信員)


4・7関西新空港反対現地行動
 
伊丹にはオスプレイが

 4月7日、大阪府の泉南市・岡田浦で、「関西新空港反対!泉州現地集会」が行なわれ、50名が参加した。主催は、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会。
 関西新空港は、昨年4月より関空・伊丹・神戸の関西3空港が関西エアポートによる運営で行なわれており、インバウンド(訪日外国人客)増により大幅な増益と宣伝されている。しかし、インバウンド増による活況は延長線上に今後も進んでいくという保証はなく、何よりも昨年9月の台風による浸水と連絡橋破損による運休と、いろいろな弱さを露呈している。
 集会は、住民連絡会事務局長が「基調報告」を提案し、釜ヶ崎日雇労働組合、関西三里塚闘争に連帯する会、東大阪連帯する会、関西共同行動、反天の会などが連帯のあいさつをを行なった。
 関西では4月2日に、伊丹空港に米軍オスプレイが緊急着陸しており、空港の軍事利用が顕わになっている。
 集会参加者は反空港を訴え、集会後、樽井までデモ行進を行なった。(関西S通信員)