通常国会開会―「辺野古」を最大争点とせよ
 安倍打倒の環は埋立阻止

 1月28日に通常国会が始まった。当面の政治情勢を動かす環は、どこにあるのか。
 安倍政権は昨年、12・14辺野古土砂投入という沖縄への暴政に踏み切った。この暴政に対する、国民多数の批判・懸念は持続している。安倍政権によって日本の民主主義はおかしくなった、これは我々の問題であると。当面の情勢を動かす環は、この辺野古問題をいっそう全国政治問題化することによって、安倍政権打倒の世論と大衆闘争を拡大することにある。
 しかし、反安倍の政治勢力全体では、必ずしもこういう認識にはなっていない。
 開会日の28日に、国会野党の5党1会派(立憲民主、国民民主、社会保障を立て直す国民会議=旧民主・野田グループ、共産、自由、社民)の党首会談が行なわれた。その党首会談での合意は、「今夏参院選に際し、32の1人区全てで候補者一本化のための調整を図る」をメインとするが、他は、統計不正問題で「全容解明」とするだけで、全く抽象的である。「安倍政権打倒をめざす」と言うが、その中味がない。辺野古のへの字も無い。国会野党には、政策問題を詰める今後の野党書記長協議で、辺野古土砂投入阻止の合意が図られることを求めたい。
 統計不正・偽装の問題は、重大問題である。失業保険が延べ2千万人に少なく支給されており、また統計を修正すると、政府答弁より1%近くも実質賃金低下がひどくなる。立民の枝野代表は、不正統計によって作られた今年度予算案の審議には応じられないとしているが、森友事件のように、首相答弁が公文書改ざんの原因となったというような、攻めの決定打を欠いている。
 今国会は、辺野古を言わずして何を言うのか、という国会である。主要対決法案が無く、野党に予算案の衆院通過を阻止する力も無いからである。
 安倍政権は1月下旬になって、軟弱地盤の存在と工事変更申請の必要を認めた。3年前から分かっていた事実を隠し続けてきた。軟弱地盤は、沖縄県による埋立承認撤回のおもな理由の一つである。撤回の執行停止を石井国交相は取り消せ! 取り消して工事を一旦中止し、沖縄県と国の協議を再開せよ! これが今国会での、野党共通要求となるべきだ。
 急進的な人々には、5月1日新天皇即位などに対決する反天皇制闘争の重要性を強調する向きもある。しかし天皇制廃止の闘いは、長期の闘いであり、当面は粘り強い思想戦・組織戦である。今回の天皇代替わりで、反憲法的な即位式や大嘗祭を中止させ、天皇制継続の動揺を引き出すというような、具体的獲得目標を立てられる段階にはないのである。これに比べ、辺野古の闘いは、まさに具体的な決戦なのである。
 むしろ、辺野古の闘いと結びついて、日韓民衆連帯・朝鮮半島統一支持の闘いが重要となる。昨年の徴用工問題・韓国大法院判決などに安倍政権が逆上し、日韓関係が悪化する中、「3・1独立運動」百周年を迎える。問題の根本は、東西冷戦の産物・日韓条約がいまだに維持され、日本が朝鮮植民地支配を清算しないままになっていることにある。
 新しい東アジア。辺野古新基地を阻止し、それを切り拓こう。