辺野古埋立ての賛否問う2・24沖縄県民投票
  圧倒的「反対」票を!

 沖縄県議会が1月29日、辺野古新基地建設の埋立ての是非を問う県民投票について、その条例改正案を可決した。それに前後して、自公政権寄りで県民投票不参加としていた5市長も県民投票の実施に転じ、これによって2月24日に沖縄県民投票が全県で実施されることとなった。
 投票の選択肢は条例改正によって、埋立て「賛成」「反対」の2択から、「どちらともいえない」を加えた3択となった。
 我々は、沖縄県の有権者がこぞって、「反対」へ圧倒的に投票することを呼びかける。「反対」票が、昨年9月沖縄県知事選挙における玉城デニー得票数の約39万票、これに同等か、あるいはそれ以上であれば、辺野古の埋立て工事を認めない県民の意志は、きわめて強力に日本と世界に明示される。
 「普天間が固定化される」、「多様な意見が反映されない」など理由にならない理由を口にして、最近まで5市長(宜野湾市、沖縄市、うるま市、宮古島市、石垣市)が、県民投票を不参加としていた。その実、安倍官邸と自民党本部、宮崎政久衆院議員などが、不参加を指導していた。
 この5市長を参加表明に転じさせた力は、「投票権を、市長や市議会が勝手に奪うな!」と叫ぶ、各地元市民のねばり強い闘いであった。宜野湾市民で、県民投票請求署名の時期から先頭に立ってきた元山仁士郎さん(元琉球シールズ)が、宜野湾市役所前でハンスト(1・15~19)を闘ったことは、その代表例であった。
 5市がボイコットするなら、運動として自主投票を組織するまで、とする意見もあった。しかし最終段階で、県議会全会派によって「3択」化の合意が24日に成された。それでも29日の採決では、自民党の一部が反対した。自民党は、「普天間移設のための辺野古埋立て」に容認・反対、などという選択肢を出して抵抗していた。
 「どちらともいえない」の選択は、2択での白票に近い。判断の対象は今回、極めて具体的で、現在の埋立ての賛否である。県内「移設」やむなしと考える人も、県知事選結果を一顧だにしない埋立て強行、という現在の異常事態は止めたいはずである。意味ある選択は、「反対」のみである。
 全国的・国際的な影響はどうか。「本土」世論は、デニー圧勝で変わりだし、さらにダンプがドドーッと土砂投入という映像で、安倍はやりすぎだ!と変わってきた。県民投票での圧倒的な「反対」票は、全国の世論をさらに変えていく。世界世論は、近年のスコットランドやカタロニアの住民投票、テーマは沖縄と若干異なるがこれらと比肩して、沖縄県民投票を評価するだろう。
 県民投票結果は、4・21衆院沖縄3区補選(オール沖縄・屋良朝博、自公・島尻安伊子)に直結し、さらに7月参院沖縄選挙区(オール沖縄・高良鉄美、自公・安里繁信)に連動する。4月衆院補選での勝利は、参院1人区すべてで野党共闘を加速する。
 県民投票の大成功は、土砂投入阻止・安倍政権打倒の決定的力の一つとなる。(A)


1・30総務省包囲で国地方係争処理委に訴え
  公正・中立な審査を

 1月30日の夜、東京霞ヶ関の総務省前で、「地方自治の砦『国・地方係争処理委員会』に訴える1・30総務省ヒューマンチェーン」が行なわれ、400名を超える労働者・市民が参加した。主催は、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。
 昨年8月31日の沖縄県による辺野古埋立て承認の「撤回」執行に対し、防衛省沖縄防衛局は、「私人」になりすまして行政不服審査制度を違法利用し、国内部の自作自演で、国土交通省に審査請求と承認撤回の執行停止を求めた。10月30日、国土交通省・石井啓一大臣は執行停止を決定した。
 これに対し、沖縄・玉城デニー知事は、国交省の執行停止決定は違法であるとして、総務省管轄の第三者機関である「国・地方係争処理委員会」(富越和厚委員長)に審査を申し入れ、11月30日に受理された。地方自治法で審査期限は90日以内とされており、2月28日までに結論が出される。国地方係争処理委員会が、国交相の決定を違法・不当な国の関与と判断すれば、是正勧告が出されることとなる。安倍政権は、12月14日に土砂投入を開始したが、国地方係争処理委の判定が出るまで、それはやってはならないことであった。
 1・30の行動は、国地方係争処理委に対し、公正・中立な審査を行なえ!と要求する行動であり、また、地方自治権を無視する安倍政権の非を、国地方係争処理委が判定することを求める行動であった。
 行動ではこの日午後に、全国の市民・労働団体3862団体の団体署名による要請書を、国地方係争処理委に提出する予定であった。しかし窓口の総務省が受け取りを拒否。それで抗議の記者会見が午後に、国会内で行なわれた。要請書は、①中立・公正な審査を行なうこと、②承認撤回の執行停止決定を取り消すことの2点を求める。総務省によって提出を不当に妨害された要請書は、31日に配達証明で郵送された。
 夜の総務省前の集会では、まず主催者から野平晋作さん(ピースボート)、藤本泰成さん(戦争をさせない千人委)、小田川義和さん(憲法共同センター)が挨拶。
 野平さんは、「総務省は、公正・中立なので面会・受け取りはできない、などと言っている。国地方係争処理委が拒否したのではなく、総務省が取次ぎを拒否している。強く抗議する!」と報告した。
 この総務省の対応は、旧自治省や戦前の内務省の感覚である。国地方係争処理委は総務省の管轄であっても、総務省の一部局ではない。1999年の地方分権一括法によって、埋立て許可を含む機関委任事務は自治体の法定受託事務となり、また一連の地方自治法改正によって、国と地方自治体は対等となった。これに伴ない、国と自治体の係争を審判する中立機関として国地方係争処理委が設けられたのである。辺野古問題でも翁長知事時代に、「国と沖縄県の真摯な協議」を勧告したことがある。
 集会は続いて、参院「沖縄の風」の伊波洋一さん、総がかり行動実の高田健さん、沖縄一坪反戦地主会関東ブロック、土砂搬出反対全国協首都圏グループ、辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会が発言した。「埋めるな!連」の中村利也さんは、「普天間5年以内運用停止」はどうなった!2・17新宿デモへの参加を訴えた。
 また、「オール沖縄会議」からメッセージが寄せられた。「安倍政権がようやく、軟弱地盤の存在と工事変更許可申請の必要を認めた。埋立ては止まる。全県実施となった2・24県民投票で、しっかりとした声を出していく」とアピールしている。
 7時半、参加者はペンライトを振り、「執行停止取り消し、取り消し」と連呼しながら総務省を包囲し、行動を締め括った。(東京W通信員)