12・12〜14首相官邸前連続座り込み、12・13防衛省抗議行動
  辺野古の海を土砂で埋めるな!

 辺野古の海への土砂投入に反対し、東京では12月12~14日に首相官邸前などで、「止めろ!12・14辺野古土砂投入3日間連続首相官邸前座り込み行動」が闘われた。主催は、沖縄一坪反戦地主会など多くの市民団体による「辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会」(略称・埋めるな!連)で、連日150~500名が参加した。
 また、12月13日の夜には、翌日の土砂投入中止を求めて、防衛省前行動が約350人の結集で闘われた。主催は、総がかり行動実行委と辺野古国会包囲実行委。
 12月12日、首相官邸前では、「埋めるな!連」が午後4時から夜7時半までの座り込みに突入。同時並行して最寄り駅頭では、パブリックビューイング(大型液晶画面で辺野古現地映像などを公共空間に提示)など、宣伝活動が展開された。13日も同様に続けられた。官邸前では、伊波洋一参院議員の連帯挨拶、沖縄平和運動センターの大城悟さんからのメッセージなどがあった。
 13日午後6時半から市ヶ谷の防衛省正門前では、「辺野古の海への土砂投入強行を許さない12・13防衛省抗議行動」が行なわれ、首都圏の労働組合などが結集して、翌日の土砂投入を止めろ!と防衛省に叫んだ。
 防衛省は辺野古工事の施主である沖縄防衛局の上部であるが、土砂投入強行という土木工事・弾圧体制の大がかりな動員は、官邸と国土交通省の主導で行われている。それで12・13防衛省前については、官邸前抗議行動に全体を一本化すべきだという意見もあった。
 結局、防衛省前の総がかり実などによる行動と、首相官邸前の「埋めるな!連」による行動とは、相互にエール交換を行なって同時に実施することとなった。首相官邸前では、総がかり実の仲間が代表挨拶し、「2・19」国会前行動(政府が前沖縄県知事に約束した普天間5年以内運用停止は、その期限が新年2・18)などを呼びかけた。
 防衛省前行動では、官邸前座り込みを続ける青木初子さん(関東一坪)が参加してエール交換発言。「改憲阻止でも何の闘いでも、今は辺野古がその最前線の闘いです。沖縄はこれまでも弾圧されてきた。いつまでも違法な弾圧は許さない。日本各地から声を上げよう!」と呼びかけた。
 また、沖縄の県内移設反対県民会議からは、山城博治・安次富浩・高里鈴代さんら連名のメッセージが寄せられ、「政府は12月14日の土砂投入を宣言し、違法に琉球セメント桟橋から搬出している。安倍政権を倒し民主主義を取り戻そう!」と呼びかけた。
 主催者挨拶は内田雅敏さん(戦争をさせない千人委員会)。土砂全国協首都圏グループの毛利孝雄さんが、土砂全国協の12・12抗議声明を伝えた。総がかり実共同代表の高田健さんは、「2月には県民投票が行われ、再度建設反対の民意が示される。北東アジアの平和のためにも土砂投入を許さない」と発言。国会野党からは、共産・小池晃、社民・福島瑞穂、立憲民主・近藤昭一さんが連帯発言した。
 辺野古土砂搬出反対全国協の12日の声明では、「本土からの土砂搬出で、再び三度沖縄を蹂躙することにストップを!」と声明しつつ、搬出全6県の7団体が、12月沖縄県議会に「沖縄県土砂条例」の強化を求める陳情を出したことが報告されている。この条例(公有水面埋立事業における埋立用材に係る外来生物の侵入防止に関する条例)に、「命令」、「罰則」等を設ける改正である。(工事計画によると、現在土砂投入強行の辺野古側は、すべて沖縄県内の土砂。大浦湾側を埋立てメインとする全体では、75%が西日本からの搬出)。
 13日昼間には、玉城デニー知事が上京し、土砂投入中止を求めて菅官房長官・岩屋防衛相と首相官邸で面会した。前日12日、沖縄県は沖縄防衛局に対して、辺野古工事の即時中止を求める行政指導を行なっている。その行政指導の内容は、県の承認撤回に対する行政不服審査法の濫用・国交省の執行停止は違法であり、防衛局は工事を行なう権限を喪失していると指摘し、また執行停止決定が違法でないとした場合でも、「事前協議なし」、「K9護岸の桟橋としての使用」、「埋立て土砂の有害物質性状検査結果の提示なし」などが、公有水面埋立法と埋立承認留意事項に違反すると指摘するものである。(琉球セメントに対しても、桟橋許可取り消しなどの、より強い行政指導を沖縄県には期待したい)。
 政府・防衛局は、この知事の要請、12・12行政指導を一顧だにすることなく、12月14日午前11時頃、辺野古側N3護岸からダンプで土砂投入強行を開始した。
 その頃、現地ではシュワブ・ゲート前で500人以上が抗議、その後、辺野古の浜で1千名以上が抗議集会を行なった。オール沖縄会議の稲嶺進前名護市長は、「沖縄に屈辱の日が新たに加わってしまった。しかし、まだ後戻りできない状況ではない。涙を引きずらず、これ以上工事を進めさせないようガンバロウ!」と訴えた。
 14日東京では、「埋めるな!連」が朝9時から官邸前座り込み。反原発の諸行動その他も入り乱れながら、終日国会・官邸前周辺で抗議の声が上げられた。午後6時半からは議員会館前で、「埋めるな!連」による抗議集会に約500人。パブリックビューが夕闇を照らす中、大仲さん(関東一坪)が「闘いは、正にこれからだ!」と鼓舞激励した。
 そして12・14デニー知事メッセージが、議員会館前でも読み上げられた。この日、デニー知事は辺野古の行動参加者へ向け、次のメッセージを発している。
「国は、一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民をあきらめさせようと躍起になっていますが、このような行為は、逆に沖縄県民の強い反発を招き、工事を強行すればするほど、県民の怒りはますます燃え上がるということを認識すべきであります。」
「現時点ではまだ、埋立て工事の一部がなされているにすぎず、また、工事の権限のない者によって違法に投入された土砂は、当然に現状回復されなければなりません。」
「また、今回、土砂投入を強行するとしても、今後、軟弱地盤等への対応が必要であり、辺野古新基地建設の完成は見通せないものであります。」
「私は、多くの県民の負託を受けた知事として、(中略)県内また県外において行動する皆様、また、この問題の重さを受け止めている米国市民の皆様とともに、民主主義の力を信じ、毅然として行動する決意であります。グスーヨー、マキティーナイビランドー(皆さん、負けてはなりませんよ)」
 東京での3日間連続行動は、このデニー知事の呼びかけを確認しつつ、くやしさと共に新たな闘いの決意をもって終了した。
 安倍政権は、入管法改定を強行採決して臨時国会を閉めた上で、土砂投入を強行し、政治的傷を深めている。9・30沖縄知事選後、「本土」世論にも変化が生じてきたが、12月15日の朝日世論調査では、「土砂投入を進めること」に反対60%と明確な数字が出た。
 安倍政権は追いつめられていた。辺野古で何もせずに年を越せば、2月県民投票が米国にも影響し、「辺野古が唯一」が根底から覆える事態、すなわち政権危機も予想された。それで、おもに米国向けに工事進展をアピールするため、しゃにむに土砂投入に突進した。 しかし、浅瀬側のほんの一部を土砂で埋めた引き換えに、安倍政権は民主主義蹂りん政権として、内外の批判に包囲されることとなった。
 課題は、辺野古工事強行反対が「本土」でも多数派となったこと、これを目に見える形で表出させることだ。東京の3日間行動は、人数としては極めて低調であった。マクロン政権から譲歩をかちとったフランスの「黄色いベスト」運動のように、大衆闘争をはじめとした闘いをどう実現していくのか、これが課題である。(W通信員)


辺野古新基地建設反対12・6首都圏集会
 埋め立て反対で野党一致

 辺野古土砂投入の強行が迫る12月6日、東京では「沖縄の民意を踏みにじるな!辺野古新基地建設を許さない12・6首都圏集会」が開かれ、日本教育会館一橋ホールに約600名の労働者市民が結集した。主催は、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委」、「止めよう!辺野古埋立て国会包囲実行委」、沖縄の「基地の県内移設に反対する県民会議」の三者。

  12・3〜6琉球セメント桟橋前

 安倍政権は、沖縄・玉城知事の埋立承認撤回に対して、違法な行政不服審査法利用・効力停止決定を行ない、11月1日に工事再開を強行。さらに、岩屋毅防衛相・沖縄防衛局は12月3日に、12月14日からの土砂投入開始を沖縄県に通告した。そして、台風被害で使用できなくなった本部塩川港ではなく、その日から、名護市安和の琉球セメントの私設桟橋を使って、埋立て土砂を積み込み搬出するという暴挙に出てきた。  
 桟橋は、琉球セメントがセメント出荷のために県から許可を得たもので、埋め立て用土砂の搬出は、目的外使用の違法行為となる。桟橋設置の工事完了に伴なう県の立入り検査も終了してはいない。3日早朝から琉球セメント桟橋前で、ダンプ進入を阻止する市民の抗議行動が連日始まった。手続き未了を理由とする県の行政指導がその日午後入り、土砂運搬船への積み込みは一時的に止まったが、防衛局は工事完了届等を提出したなどとして5日には再開。6日には土砂を積んだ4隻の運搬船が、カヌー隊の阻止行動に阻まれながら、辺野古へと向かった。少なくとも内1隻の土砂は、届出の無い土砂置場から積み込まれており、赤土防止条例違反である。

  12・6東京

 この只中の首都圏集会。山城博治さんが、「安倍内閣の様々な謀略、前のめりの戦争政策に怒りを持ちながら、安倍の暴走を許さず大結集で安倍政権を倒す」と発言したように、正念場の闘いが始まった。
 集会は、「沖縄の闘いは、人間の尊厳と自治の尊厳を守る闘いであり、今集会は、それを闘い取る集会だ」との野平晋作さん(国会包囲実行委)の主催者挨拶で開始。
 国会野党5党2会派から、連帯アピールが行なわれた。立憲民主党・本田平直、日本共産党・赤嶺政賢、自由党・日吉雄田、無所属の会・柚木道義らの衆院議員、また社民党・福島瑞穂、国民民主党・藤田幸久、沖縄の風・伊波洋一らの参院議員が発言。
 5野党1会派は11月28日の市民連合シンポ集会で、幹事長が一同に揃い、7月参院選での「1人区一本化」での合意を表明した。12・6集会では、これに参院会派「沖縄の風」を加え、5野党2会派が辺野古埋立て強行反対で足並みを揃えたことになる。
 立民の本田衆院議員は、「党は、沖縄県知事選を前にして辺野古新基地建設を許さないと決めた。最後まで闘うことを約束する」と発言した。
 伊波参院議員は、「琉球セメントの桟橋周辺のフェンスには、カミソリが付けられている。かって高江で行なわれたことが、我々の身近で行なわれるようになった」と、権力の悪らつな弾圧体制を暴露。「安倍政権では、嘘が誠のように変えられ、審議せず、きちんと答えず、結論ありきで強引に法案を成立させている。民主主義の破壊を許さない」と発言。
 山城博治さん(県内移設反対県民会議共同代表)は、「国交省の役人が沖縄防衛局の次長におさまり、国交省主導で基地建設がやられている」と指摘しつつ、三つの闘いを提起した。その一つは「名護市安和の琉球セメントの工場を閉鎖させ、一日も早く搬出を止める。二つめは、北上田毅さんは技術者として様々な分析をし、情報を送り続けている。北上田さんを支えるような技術者がほしい。力を貸してほしい。」「三つめは、安倍政権を打倒することだ。これ以上資本家のための政治をやり続けさせてはいけない。今やらなくていつ倒す!」と訴え、大きな拍手となった。
 市民団体からは、毛利孝雄さん(辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会・首都圏グループ)が挨拶、「辺野古埋立ての土砂の8割近くが、本土から運ばれる。これを多くの人々に知らせ、闘いを拡大する。西日本は温帯、沖縄は亜熱帯。外来種を沖縄に持ち込む危険性など、埋立ては犯罪だ!」と訴えた。
 最後に、藤本泰成さん(総がかり行動実)が、「普天間基地は、米軍に奪い取られたものだ。辺野古新基地建設を許すことは、それを承認することになる。我々は沖縄と連帯して闘う、世界では我々に共感する人々が増えている」と発言しつつ、以下を行動提起した。
・ 12・13土砂投入を許さない防衛省抗議行動
・ 2019年2月24日 沖縄県民投票に圧倒的勝利を。
 なお集会では、白藤博行専修大教授が、「埋立承認撤回に対する国の反法治主義的な対応は許せない」の演題で講演し、沖縄県の承認撤回の正当性を法的に明らかにして、国の違法性を行政法研究者の立場から暴露した。
 政府は、土砂投入を強行して沖縄の人々を脅かし、県民投票、衆院補選に影響させようとしている。が、それは逆効果となる。土砂投入は、「本土」世論、米国世論への心理戦でもある。基地建設に展望はない。新年はそれが一層明らかとなる。(東京O通信員)