辺野古土砂投入阻止・改憲発議阻止の早期決戦態勢を
  自民党改憲案国会提出断固阻止

 安倍政権は、9・30沖縄県知事選での玉城デニー大勝利によって大打撃を受けながらも、両院自公多数を頼みに、憲法改悪と辺野古新基地建設の両面において、いっそう強権的な政治を続けている。
 これを許しているのは、「本土」での労働者人民の闘いの弱さである。「本土」での闘いを立て直し、9条改憲阻止と辺野古土砂投入阻止の両面において、早期に安倍退陣の決戦局面を作り上げていくことが必要だ。
 対国会大衆闘争をはじめとする「本土」の大衆運動が弱いままでは、諸勢力の政治闘争はブルジョア選挙・議会制度において収束され、決着づけられていくこととなる。安倍と闘う側が、来夏の参院選挙で決着させればよいという構えでは、参院選以前に、辺野古の海の一部が完全に破壊され、また、9条改憲の発議・国民投票も強行実施されることになりかねない。だから今、臨時国会延長をみすえ、年末・年始を越えた決戦態勢を作る気構えが問われている。
 安倍首相は、憲法第99条の憲法尊重義務に違反して、自衛隊幹部集会で事実上9条改憲を主張する演説を行ない、また10月24日の臨時国会所信表明演説では、まだ提出もされていない改憲案の審議を、国会議員にけしかけている。
 また安倍は、自民党改憲推進本部の役員、両院憲法審査会の自民党幹事を安倍一味のメンバーに入れ替え、また自民党総務会でも、安倍9条改憲案に批判的な石破派を排除して、安倍側近の加藤勝信前厚労相を会長に据えた。総務会で決めなければ、国会に提出できる自民党案とはならない。
 常識的に考えると、改憲案の国会提出・発議はできない。与党公明党は依然慎重であり、また、改憲国民投票の実施自体については野党第一党の合意が得られるという環境、これもまったく存在しない。しかし、公明党は、来秋の消費増税での軽減税率導入を餌に揺さぶられつつある。そして、総裁3期で先のない安倍は、東アジア情勢への影響、今後の連立関係、改憲国民投票で否決された場合の始末、これらは何も考慮せず、ただ自己の極右的名誉心のみで進むという常識の通じない人間になっている。
 補正予算案がまもなく成立し、憲法審査会が再開されると、審査会「提示」から国会提出へ、事態は一気に動き出す危険がある。継続審議の改憲国民投票法改定案の成立が前提となるはずであるが、成立しないと改憲案提出ができないというわけではない。なお改定案については、有効投票率の規定が無いなど根本欠陥はそのままであり、廃案しかない。
 自民党9条改憲案は、「自衛隊」を書き込むだけではなく、「自衛権」も明記する。この「自衛権」は、7・1閣議決定と安保法制によって可能となった集団的自衛権行使・海外武力行使を意味する。改憲案提出を許さず、提出すれば全国民的決起で政権危機に転じさせる、こうした闘う側の構えが問われている。
 一方、対沖縄では、10・21那覇市長選でも「オール沖縄」が圧勝し、安倍政権側が劣勢にある。追いつめられた安倍政権は拙速にも、10・17行政不服審査請求、10・30国交相「効力停止」決定と、茶番の対抗措置をとってきた。
 今回の行政不服審査の利用は、15年の時と比べても、乱用のレベルではなく違法行為である。改正行政不服審査法の16年施行によって、その第7条2で「国や地方自治体に対する処分には適用しない」と明記されたからである。
 防衛局は11・1工事再開強行、フロート再設置から始めたが、埋立工事に何の展望があるわけでもない。今後不可避の設計変更申請、これらの許可権は玉城知事に握られている。しかしそれでも国は、辺野古側の海を無意味に破壊することはできる。土砂投入の年内開始などは絶対に阻止する。
 朝鮮半島に続き、沖縄からも、平和・共生の新しい東アジアの風が吹いてきた。安倍政権という偏狭な壁を崩し、日本列島にも新しい空気を入れることが我々の課題である。