9・29釜講座・NPO釜タイアップ企画―「企業組合あうん」に学ぶ
  地域に根ざして仕事起こしを

 9月29日、大阪市・西成市民館にて第14回釜ヶ崎講座学習会が、「釜ヶ崎講座×釜ヶ崎支援機構タイアップ企画 仕事づくり集中講座『企業組合あうんから学ぶ』」として開催され、釜地域内外から約40名が参加した。
 釜ヶ崎地域では、「特別清掃事業」の予算削減と地域労働者の高齢化、また非正規・不安定収入層の流入という現況にあり、就労事業の確立が不可避となっている。こうした決意でNPO釜ヶ崎支援機構は本年、協同組合・諸事業団体との実務経験交流をふくめた共同の取り組みをすすめている。
 市民団体・釜講座は、これを市民に広く伝えるべく支援機構の協力を得て、2回目の学習の場を設けた。
 今回の話題提供者は、「企業組合あうん」の代表理事・荒川茂子さん。「企業組合あうん」は東京荒川区にあり、山谷地域などでの活動をつうじて2002年に立ち上げられた組織で、現在スタッフは約20名。当時の日雇労働者が中心となって生活のために努力し、また地域諸運動の協力を得て成立・形成されてきた。
 荒川さんは、要旨以下のように語った。
 山谷も近年は分譲マンションが増え、寄せ場の面影はなくなり大きく変化した。低所得層の人ももちろん多い所で、当初はお互いが生活転落を防ごうという気持ちで集まった。立ち上げ当時、山谷・隅田川の活動家、「もやい」などの存在は大きかった。「みんなが社長」が当時の合言葉、出せるかたちを模索しながら出資金を出して、リサイクルショップと「便利屋」事業をこつこつと始めた。
 2007年頃から、色々な訳ありの若者が仕事に加わった。もう、この当時の「若者」も40歳を越したが、この人たちが後継者となり事業パワーの主体となった。そして女性のほうが断然元気だ。立ち上げ10年(07年企業組合取得)で事業規模も安定傾向だが、後継者不足は否めない、等々と。
 また、お話しとともに映像「あうんタイムマシーン」が紹介され、主体事業のほか、山谷夏祭り、東日本大震災被災者支援などの非営利活動・協働活動の姿も映し出された。
 質疑応答は多方面にわたった。とりわけ、「同一労働同一賃金と能力とのギャップという問題は?」の問いに対して、荒川さんは次のように答えた。「時給1250円、いろんなハンディ・条件の人に分け隔てせずに仕事は手配する。トラブルはあるが人を排除せず、協働の空気をたえず醸成していく工夫を怠らないようにしているつもりだ」と。
 今回の学習会での参加者の共通した想いは、「地域実情を重視した、そこから出発する仕事起こし」の必要性にあったと思われる。参加していた釜ヶ崎日雇労組の山中委員長は、「かっての建設日雇いという釜ヶ崎の役割は、非正規・生活困窮者の流入にどう対処していくかという点に移行している。当初、特区構想として出てきた『センター建て替え』問題も、これらの人たち、また暮し続けている労働者にとって、どう使いやすいセンターにしていくのかという課題であり、そういう立場で動いている」と述べ、利権や利益誘導ではない街づくり・仕事づくりの立場を強調した。
 最後に講座の渡邉代表が、このタイアップ学習会の3回目を12月頃に持ち、仕事づくりの実践に結び付けていきたいと述べて、学習会を終えた。(関西I通信員)


緊急声明
  成田空港機能拡大工事着工に反対する声明

 成田国際空港会社は、2500m滑走路を北側に1000m延長するための地盤調査のホーリング工事を開始した。また、夜間空港飛行制限を6時から深夜12時まで延長、深夜の飛行便数制限の撤回のため新たなる防音工事の受付を10月1日より開始することを明らかにした。空港機能拡大の工事着工計画を直ちに中止せよ。
 空港機能拡大計画説明会を住民との協議合意の場と利用し一方的に計画を住民に強制し、四者協の合意を住民との合意と曲解し、今度の着工となった。説明会は説明会であり住民との合意ではない。四者協の合意は住民の合意ではない。住民無視、農地収奪、自然破壊、騒音地獄の発生と住民無視の生存権を脅かす空港機能拡大、工事着工計画を直ちに中止せよ。
 われわれはあらゆる手段をもって抗議行動を展開する。沖縄の辺野古の基地拡張計画、福島の原発汚染水を海に放流するための説明会、三里塚の空港機能拡大のための強行着工。政府と資本の強権政治に対し、自らの生活を守るために連帯して闘うことを表明するものである。

 2018年9月1日
 三里塚空港建設反対大地共有委員会
     代表 加瀬勉