翁長知事の遺志を継ぎ、9・30沖縄県知事選の勝利へ
  辺野古「撤回」決行で、安倍倒壊始まる

 8月31日、沖縄県は埋立承認「撤回」を執行し、辺野古の工事は止まった。
 謝花喜一郎知事代行は、沖縄防衛局への「撤回」通知書で、①事業者の義務違反(環境対策など埋立承認留意事項の違反等)、②承認時に明らかでなかった諸事実(軟弱地盤など)の判明、という行政として道理ある根拠を挙げた。
 日本政府は、沖縄県の度々の事前協議要請を無視して、工事を強行してきたことの非を認め、さらに普天間基地「県内移設」に反対する沖縄の民意を無視して、20年以上前の対米合意を墨守してきたことの失策を認めなければならない。安倍政権は、沖縄県の「撤回」に対して法的対抗措置を取ることなく、SACO合意見直しの着手と、辺野古原状回復措置の開始とを、ただちに閣議決定すべきである。
 が、道理をわきまえない安倍政権は、「撤回」の一時効力停止や「撤回」取り消しの提訴によって対抗し、何としても工事再開を強行せんとしている。(過去2回、防衛局が「国民」に成りすまして国交大臣に救済を求めるという、行政不服審査法を乱用した対抗措置が取られた。今回は改正同法の16年施行で、これはできないといわれるが、安倍ならこのやり方もやりかねない。)
 この安倍政権の悪あがきに、最終的な断を下すのが、9月30日投票の沖縄県知事選挙である。我々は、玉城デニー予定候補への沖縄県民の圧倒的投票と、全国的支援とを全力で訴える。
 さて、翁長雄志知事による7月27日「撤回」表明の以降、8月8日翁長知事が病状悪化で急逝したことによって、翁長知事の「辺野古」阻止の遺志をどのように継承し、安倍政権との決戦を勝ち抜くのか。これが、9月13日告示・30日投票と知事選日程が繰り上がる中で、大きな課題となった。
 この課題に答えたのが、那覇市での「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地建設断念を求める8・11県民大会」であった。7万人が奥武山陸上競技場を埋め尽くし、翁長遺志継承・「撤回」貫徹の大号砲となった。台風接近の雨天でなければ、教科書「沖縄戦」改ざん問題での11万人(07年)を超えたとおもわれる。
 この沖縄県民大会の大成功によって、8月17日開始通告の土砂投入は阻止された。そして、知事選とその前9月9日投票の名護市議選を踏まえて、8月31日ついに「撤回」は貫徹された。
 県知事選候補は、県政与党を中心とした選考によって、玉城デニー衆院議員(名護市を含む沖縄3区選出)に決まった。国政では自由党であった彼は、保守・革新対決ではなく、沖縄アイデンティティで支持を広げ、日本政府派の佐喜真予定候補(普天間市長)を打ち負かすには適任である。
 彼は8月29日の出馬会見で、「しっかりと翁長知事の遺志を引き継ぎ、辺野古新基地建設阻止を貫徹する立場であることをここに表明」すると明確にした。彼に決まる選考過程には、いろいろな意見があっても、今は、玉城デニーを勝たせることが先決である。
 安倍政権は、9月自民党総裁選で安倍の3選が決まっても、以上の沖縄知事選での玉城勝利によって、たちまち倒壊を開始していく。翁長再評価の声は「本土」でも小さくはなく、最近の全国世論調査でも、辺野古「移設」不支持は44%にのぼり、支持を上回った。

  改憲法提出策で墓穴掘る

 また、安倍が一か八かの勝負を掛けているところの、安倍9条改憲案の「次の国会」提出・通常国会で発議強行というバクチ政治も、政権倒壊の引き金となる。
 7月参院選・来春統一地方選で、自民党は公明党の選挙協力が不可欠である。にもかかわらず、憲法審査会を通さず、自民党などの国会議員の数だけで、改憲案を国会に提出するならば、自公関係は大きく動揺する。安倍は公明に、与党を続けたいのなら、俺について来いと脅迫しているのか。
 安倍のこの策動を軽視してはならない。しかしこの策動は、延命しすぎた安倍政権が、もはや改憲実行の旗を掲げるしか求心力を維持できないこと、この裏返しでもある。
 沖縄知事選勝利・改憲発議阻止の大闘争で、安倍政権を打倒する秋が来た!