〔パンフ紹介〕

  『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち
     ―北東アジアの平和と繁栄のために』

      著・大畑龍次  発行・完全護憲の会


 私たちに何ができるのか

 7月に発行されたばかりの、この百ページ足らずの小冊子に、時節にかなった分析と内容が詰められている。
 著者の大畑龍次さんは、ご夫妻ともども日韓民衆連帯運動で先頭に立ってきた方で、韓国サンケン労組の日本遠征闘争支援でも、大きな役割を果たしておられる。
 本年に入り、南北首脳会談、米朝首脳会談と、朝鮮半島・北東アジア情勢にとって、画期的な情勢が到来した。このパンフは、これを理解するのに分かりやすく、時系列的に諸事象が解説されている。
 構成は、「朝鮮半島問題とは何か」から「安倍政権の対朝鮮政策を問う」までの9項目であるが、各項目で、ていねいに歴史的経緯を追って解説されている。日韓・日朝関係に詳しい方にも読み応えがあり、初歩的に学習という方にも分かりやすい。
 しかし、この書の最大の優れた点は、最終章として「終わりに 私たちに何ができるのか」との一項目を設け、具体的な行動指針を提案しているところにある。三つ提案されている。「国交交渉の再開を」、「なぜ『朝鮮反戦運動』は起こらないのか」、「民族排外主義の克服」の三点である。日本でベトナム反戦、イラク反戦は起きたが、朝鮮反戦はなぜ起きないのか? 重要な問いかけである。
 最後に、板門店宣言はもちろん、今後の日朝交渉再開のベースとなるであろう「日朝ストックホルム合意」も含め、ここ半世紀の重要な共同声明が、多数収録されているのもありがたい。(Ku)