翁長「撤回」断行し、8・11沖縄県民大会

 安倍政権と自民・公明与党は7月28日、8時間労働制破壊の突破口となる「働き方改革」関連法案を参院本会議でも強行採決して、成立させた。これを弾劾しつつ、来年4月からのその順次実施の前に安倍政権を打倒し、真の長時間労働是正・均等待遇の労働政策をかちとっていく必要がある。
 公文書改ざん犯罪や、朝鮮半島緊張緩和での日本外交の孤立という事態にもかかわらず、いぜん安倍政権が存続している。今、延命する安倍政権に立ちはだかっている最大の力は、8月土砂投入を阻止し、辺野古新基地建設を中断させようとする沖縄と「本土」の民衆の闘いである。朝鮮半島南北が主導して年内に出される朝鮮戦争終戦宣言は、米海兵隊の撤退を可視化し、辺野古の闘いへの大きな国際支援となる。
 「オール沖縄」による土砂投入反対8・11県民大会に連帯し、7~8月全国で辺野古新基地建設阻止・安倍打倒の大運動を巻き起こそう。そこが、総裁三選目前の安倍の墓場となる!(編集部)
 
6・12米朝首脳会談の意義活かす沖縄
 前途示す翁長平和宣言

 6月23日「慰霊の日」、沖縄全戦没者追悼式で、翁長知事が平和宣言を述べた。その内容は、朝鮮半島情勢の好転を捉えた大変すばらしいものであった。
 翁長知事は述べる。「昨今、東アジアをめぐる安全保障環境は、大きく変化しており、先日の、米朝首脳会談においても、朝鮮半島の非核化への取り組みや平和体制の構築について共同声明が発表されるなど緊張緩和に向けた動きがはじまっています。」
 「平和を求める大きな流れの中にあっても、20年以上も前に合意した辺野古への移設が普天間飛行場問題の唯一の解決策と言えるのでしょうか。日米両政府は現行計画を見直すべきではないでしょうか。民意を顧みず工事が進められている辺野古新基地建設については、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではありません。」
 「かって沖縄は『万国津梁』の精神の下、アジアの国々との交易や交流を通じ、平和的共存共栄の時代を歩んできた歴史があります。」
 「そして、現在の沖縄は、アジアのダイナミズムを取り込むことによって、再び、アジアの国々を絆ぐことができる素地ができており、日本とアジアの架橋としての役割を担うことが期待されています。」
 この翁長知事の主張は、土砂投入が迫る辺野古新基地建設の愚かさを余すところなく示している。また、米朝関係が緊迫し、日中関係も険悪な時期に掲げられた「緩衝地帯としての沖縄」という考えを、現在の情勢に発展させ、より積極的な沖縄像を、平和・共生のアジア交流拠点としての沖縄将来展望を、力強く打ち出している。
 我々左翼として、翁長知事の主張に対し、独自に付け加えなければならない領域はある。それは、ブルジョア東アジアに対峙し、東アジアの労働者民衆は今こそ団結せよ!である。しかし、朝鮮半島情勢と沖縄反基地とが連関した今現在の課題としては、翁長「平和宣言」に言い尽くされた感がある。これで知事が、埋立承認「撤回」を断行しなかったら不思議だ。
 さて、6月12日の米朝首脳会談は、ともかく両首脳が署名した共同声明を成立させ、朝鮮半島の平和体制構築へ向けて、その第一歩となるものであった。決裂すれば本当に戦争という局面が続いたが、これが大きく退けられたことだけでも意義はある。
 その声明で米朝は、①新しい米朝関係の構築、②朝鮮半島の平和体制の構築、③「板門店宣言」を再確認し、朝鮮半島の非核化に向け努力する、④戦争捕虜・行方不明者の遺骨回収、この4項目を合意した。
 声明では、朝鮮戦争停戦協定を平和協定に代えることなど、今後の具体性に欠けていた。しかし会談後、ただちに朝鮮側が遺骨返還、一部の核実験場破壊を行ない、米国側が、8月の米韓合同演習「巳支フリーダムガーディアン」および向こう3ヵ月の米韓演習の中止を発表した。行動対行動で、段階的に平和体制構築へ向かう動きとなっている。北への経済制裁も、段階的に解除されて当たり前だ。
 平和協定締結へ向け、不可逆的にこの流れが続くよう、世界の平和勢力の圧力と監視が必要だ。まず、年内の朝鮮戦争「終戦宣言」が、南北の主導によって宣せられることを望む。
 日本では、リベラル派を含む日米同盟基軸論者が、米韓演習の中止は日本の抑止力を低下させる、勝手に中止するな、などと騒ぎ出した。今後朝鮮半島で38度線が消えても、日本列島・琉球弧を新たな38度線として、対米一辺倒で生きのびていこうなどという愚かな冷戦構造化石論である。
 これでは米国にも見捨てられる。日本外交の根本的刷新が必要だ。(A)

辺野古土砂投入阻止!全国で行動開始
 官邸・防衛省へ大行動を

 6月9日、「辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会」の主催で、「とめるぞ!土砂投入6・9集会」が文京区民センターで開かれた。この土砂首都圏連絡会は、安倍たおせ!反戦実を含め多くの諸団体によって、4月に発足したもの。
 この集会は、会場をあふれる3百人以上の結集で盛り上がり、首都圏での今夏「土砂投入阻止」の闘いの火ぶたが切られた。首都圏の人間にとって、沖縄に行ってゲート前座り込みなどに参加することだけが全てではない。安倍政権、防衛省の足元でかれらに迫り、打倒して、土砂投入を止めるのだ。
 集会では、毎月の新宿アルタ前行動などを担ってきた「辺野古への基地建設を許さない実行委」をはじめ、辺野古土砂搬出反対全国協の首都圏グループ、受注企業の大成建設・五洋建設・戸田建設に抗議してきた「ストップ!辺野古埋立てキャンペーン」、宮古島自衛隊ミサイル部隊配備反対運動、日韓民衆連帯全国ネット、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックなどが発言した。
 圧巻は、山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)の沖縄報告であった。山城さんは、「翁長知事に、勇気をもって埋立承認を「撤回」してもらうことが問われている。翁長知事が県民の先頭に立って闘えば、県民は知事を支えて安倍政権と対峙する。そうしなければ、11月知事選は敗北する。翁長さんには命を張って闘ってもらい、我々は、8月に全国で大きな行動を起こそう!」と要旨、激烈に訴えた。
 翁長知事は6月19日の沖縄県議会でも、「看過できない事態となれば、撤回を必ず行なう」と表明した。また、現在署名運動が進められている県民投票請求については「意義がある」としつつ、しかし「撤回」実行は、「県民投票の時期やその結果に縛られない」と明確にした。
 防衛省沖縄防衛局は、沖縄県赤土防止条例の手続きとして、8月17日に土砂投入を開始すると県に通告した。しかし許可条件に数々の違反があり、違法工事を上乗せする土砂投入はできない。希少サンゴの移植問題だけでも、土砂投入はできない。護岸は浅瀬側で囲いを作りつつあるが、高さが設計半分以下の拙速工事である。護岸伸長も土砂投入も、知事選への政治的効果を狙ったものである。このような「政治的」工事は、大浦湾側の超軟弱地盤・活断層による設計変更の必要を指摘するまでもなく、必ず破綻する。それでもかまわず、浅瀬側の宝の海を殺すというのは信じられないほどの愚行である。
 6月24日、土砂首都圏連絡会の統一行動として、3百名近くが結集して、新宿情宣・デモ行進が展開された。
 7月7日は、8月県民大会へ向けて、シュワプ・ゲート前の県民集会が盛り上がる。ゲート前・海上での現地行動、翁長知事による7月中の「撤回」断行、そして全国での土砂投入阻止大行動、これらが相乗効果をもって情勢を一気に拓いていく。
 東京では、8・11県民大会の前に、防衛省前などでの連日行動が計画されている。
また、翁長知事が「撤回」を断行すれば、それを熱烈支持し、翌日の夕に首相官邸前行動が行なわれる。

6・23沖縄シンポジウム
 「明治150年」に問う沖縄と天皇制

 この土砂投入阻止決戦への流れの中、6月23日・沖縄「慰霊の日」に、東京では恒例の沖縄シンポジウムが専修大神田校舎で開かれた。主催は、沖縄文化講座呼びかけ実行委で、情況出版が後援。250名ほどで大教室は満員、講義の一環として専大の学生さんも参加した。
 この今年で6回めの沖縄シンポは、「『明治150年』に問う―沖縄と天皇制」をテーマとし、菅孝行さん(評論家・劇作家)と仲里効さん(映像批評)が問題提起した。
 菅さんは、一昨年の天皇8・8メッセージを念頭に、天皇制批判の全体像を提起した。菅さんは、「天皇制とは、飽くなき近代化を推進するために考案された、国家神道を権威の根拠とする日本近代の国民国家の統治形態である。その点において、維新期の憲法なき実効支配も、欽定憲法下の国家も、象徴天皇制国家も共軛である」と論断した。
 仲里さんは、今年3月の与那国訪問をはじめ現天皇の度重なる訪沖を念頭に、天皇制による沖縄への国民統合策を批判した。その統合困難さは、天皇とその国家を解体する沖縄の可能性にも転化しうる、と。
 上京中の松島康勝さんが、琉球人遺骨返還問題を特別報告。松島さんは、琉球民族独立学会で知られるが、シンポでは京大に対する遺骨返還訴訟へのカンパを訴えた。
 ヘリ基地反対協・安次富浩さんのメッセージは、ヤマト側の「押し付けがましい沖縄支援」にも触れるなど、このシンポ向けの率直なものであった。
 専大生など若い世代に、自分で考える契機を与えたシンポであった。(東京W通信員)