米朝首脳会談を成功させ、休戦協定を平和協定へ
 終戦宣言を機に平和攻勢を

 米朝首脳会談は、このかんトランプ大統領の5・24中止声明という揺さぶりがあったものの、6月1日の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長のホワイトハウス訪問によって、予定どおり6月12日にシンガポールで行なわれ、何らかの合意がなされる見通しとなった。
 史上初めての米朝首脳会談について、平和と進歩を求める人々が最も注目し、期待すべきことは何か。
 文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員会委員長による4・27「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」は、次のように宣言している。
 「南と北は休戦協定締結65年になる今年に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のために南・北・米3者または南・北・米・中4者会談の開催を積極的に推進していく。」
 米朝首脳会談の最大の成否は、「板門店宣言」が示すこの恒久的平和体制構築のための工程表に、トランプ大統領と米政権が実際に同意し、応じることができるかどうかという点にかかっている。
 トランプは、朝鮮戦争を終らせることには同意すると言いつつも、今のところ、休戦協定の平和協定への転換については何も語っていない。南北が朝鮮戦争終戦宣言を年内に出すことへのトランプの明確な支持表明、そして、平和協定の締結交渉開始へ向けて、具体的一歩を踏み出す会談となること、これらが期待されるのである。
 こうした意味で米朝首脳会談が成功するならば、それは「朝鮮半島の非核化」を促がすだけでなく、軍事境界線で対峙してきた朝鮮半島と東アジアの冷戦構造に終止符を打ち、新しい東アジアが始まる歴史的転換点となりうる。
 まさに米韓同盟、日米同盟が問い直されている。韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官は最近、「長期的には韓米同盟から何らかの形態の多国間安保協力機構へ転換することが、個人的希望だ」としつつ、「短中期的には韓米同盟に依存するのは不可避だが、在韓米軍の任務・役割・規模は変るだろう」と述べた(5月17日付け米紙「アトランティック」)。
 このように対米同盟を政権側から問い直す動きが、日本の安倍政権では無いが、世論的には不可避となる。マティス米国防長官が、「米朝首脳会談で、在韓米軍は議題とならない」と言っているのも、韓国・日本の世論に予防線を張るものである。
 米海兵隊が日本・沖縄に世界で唯一在外配備されているのは、朝鮮戦争の継続が理由であった。米海兵隊のための辺野古新基地建設などは、まっ先に中止し、見直されなければならない。
 日本では、「北の非核化」がどこまで合意されるかが、米朝会談の最大事だと宣伝されている。しかし、北の核武装も核放棄も、恒久的平和体制を作れるかどうかの結果であるにすぎない。工程表が進めば、段階的に非核化は進んでいく。
 「板門店宣言」は、朝鮮半島の戦火をなんとしても阻止し、統一を実現していこうという朝鮮半島全民衆の意思によって生まれた。朝鮮戦争の終戦宣言を軍事基地撤去の大攻勢のチャンスとしていこう。