5・26辺野古国会包囲行動に1万人
  美ら海を土砂で埋めるな

 5月26日午後の国会周辺で、「美ら海壊すな 土砂で埋めるな 5・26国会包囲行動」が行なわれ、約1万人が参加した。
 この国会包囲行動は、日本政府による沖縄・辺野古での米軍新基地建設に反対し、とくに今夏6~7月にも予定地浅瀬側で土砂投入が不法に強行されんとしている緊迫した情勢をふまえ、土砂投入阻止に焦点をあてた行動であった。主催は、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委、また、沖縄の「基地の県内移設に反対する県民会議」の三者。
 集会は午後2時、国会周囲4エリアでそれぞれ開始されたが、正門前エリアでは「みんなの力で、ちゅら海守ろう」などのコールの後、主催者から野平晋作さん(辺野古国会包囲実行委)が発言して始まった。
 野平さんは、「皆さん、『軟弱地盤』『活断層』の文言を拡散してください! 沖縄防衛局は昨春、予定地大浦湾側に活断層の疑いありの報告書を受けていたが、安倍政権は昨年11月の答弁書でも『活断層は承知していない』として、これを隠し、無視して工事強行を続けてきた。また、ケーソン工事予定地は軟弱地盤で、ケーソン工法ができないことも判明している。政府・防衛局は、設計変更を沖縄県知事に申請しなければならない。それが認可されなければ、辺野古埋立て工事はできない。つまり翁長さんが知事であるかぎり、工事は進められない。しかし工事が頓挫しても、土砂が投入されると、海は取り返しのつかない形で壊されてしまう。なんとしても土砂投入を阻止しよう!」と訴えた。
 また、もう一人の主催挨拶の福山真劫さん(総がかり行動実)は、「安倍政権はウソが次々に明らかとなり、アベ打倒まであと一歩となっている。しかし、なかなか倒れないのは本土の我々の闘いが弱いからだ」と指摘した。
 安倍政権が退陣すれば、土砂投入は止められるのか。自民党内の政権たらい回しではなく、広範な大衆の闘いに押される形勢で安倍退陣となれば、辺野古工事も一旦中断となる可能性は高い。土砂投入の以前に、それを実現せねばならない。
 続いて、沖縄から山本隆司さん(オール沖縄会議事務局長)が発言。「わたしは長年、普天間で小学校教員をしてきた。昨年の普天間第二小学校へのヘリ窓枠落下事故では、米軍は6日後には訓練再開を強行した。安保・地位協定の許す範囲でしか、日本国憲法は適用されていない。辺野古工事では、米国自身の基準である基地周囲・高さ制限55mが無視されている。これらは『沖縄問題』ではなく、日本の主権・人権の問題です!」と述べ、「本土」国民に訴えかけた。
 国会野党からは、立憲民主・近藤昭一衆院議員、共産・小池晃、社民・福島瑞穂、沖縄の風・伊波洋一の各参院議員が発言した。小池さんは、「安倍倒せば、辺野古、改憲、両方止まる!」と訴えた。
 伊波さん(参院外交防衛委員会)は、「埋立て承認留意事項の『藻場の保存』についても、政府は無視している。ジュゴンの藻場は78ha破壊される」と指摘した。
 安次富浩さん(ヘリ基地反対協議会)も、沖縄市民運動の立場から発言。「高さ制限の問題は、海上案から沿岸V字案に変更になった時点で発生したもので、日本政府が14年もほったらかしにしてきた問題だ。」「米国でのジュゴン裁判は、地裁に差し戻されて7月結審。米国内法でも、辺野古工事の違法性が示されるだろう。」「本土の皆さんに苦言を呈したい。先日の岩国基地航空祭に、なぜ21万人も集まるのか。国会包囲に21万人集めようではありませんか。まずは、安倍を倒すことです。それが沖縄連帯です!」と訴えた。
 各市民団体から多くの発言が続いた。首都圏では4月5日、米空軍オスプレイCV22が横田基地に飛来し、今夏に正式配備が強行されようとしている。辺野古NO!とともにオスプレイNO!の声が多く出された。
 高田健さんは、6月5日の日比谷野音オスプレイ反対集会に、韓国からキャンドル8千本が届けられることを報告した。横田基地周辺の人々は、福生公園での6・16反基地集会、7・1木更津集会などを訴えた。
 辺野古土砂搬出反対全国協に参加する首都圏の仲間は、「辺野古の海を土砂で埋めるな!首都圏連絡会」の4月発足を報告し、この広範な共同行動の第一弾として、「とめるぞ!土砂投入6・9集会」(文京区民センター・午後6時半)への参加を訴えた。
 すべての発言が終った午後3時半、参加者は一斉に国会正門前をデモで繋いで、「土砂投入阻止!」の気勢をしばし上げ続けた。
 さて、5・26国会包囲は、土砂投入阻止という重大局面での行動であったが、これまでの辺野古国会包囲に比べて参加人数が半分程度にとどまっている。これでは、安倍政権を倒して土砂投入も止めるという攻勢、「本土」側に問われている攻勢を実現したことにはならない。おおいに総括が必要だ。
 また集会では、進展する朝鮮半島情勢と関連づけて、在日米軍の縮小・撤退、とくに普天間オスプレイ部隊をはじめとする米海兵隊の沖縄・日本からの撤退、これを正面から求める発言が無かった。これでは、行動に精彩を欠いてしまう。この点も総括が必要だ。(東京W通信員)


土砂投入前の「撤回」断行を!

 沖縄では、4・23~28「ゲート前連続500人集中行動」が成功裡に終了した後、翌日4・29に沖縄市で「辺野古・大浦湾への6月土砂投入までに『撤回』を!講演会」が、沖縄平和市民連絡会の主催で行なわれた。また5月15日(沖縄の日本復帰・安保体制編入の日)には、平和市民連絡会によって、翁長知事に対し「辺野古新基地建設阻止のための埋立承認の『撤回』を求める要請」が行なわれた。
 4・29の講演会では、本田博利さん(元愛媛大教授、行政法・地方自治法)が「2つのタイプの『撤回』―取り消し撤回こそ先決」とのテーマで講演した。また、田村順玄さん(岩国市議)が、岩国基地の沖合い展開について教訓を語り、また市民連絡会からは、土木技師の北上田毅さんが、防衛局の数々の違反行為について語った。
 本田さんは、「撤回」には2つの手法、一つは、留意事項違反などの「違法」に対する承認の「撤回」=取り消し撤回、もう一つは、「適法」な承認を、県民投票結果などに基づく公益上の理由によって「撤回」すること=公益撤回があることを解説し、そして「海殺しが進む今、なすべきことは取り消し撤回」だと強調した。
 5・15の、今年二回めの市民連絡会による「撤回」要請文は、以下のように述べる。「『土砂の投入』は辺野古新基地反対の県民意思に鉄槌を打ち込む暴挙であると同時に、翁長県政を崩壊させる最大の『手段』として準備されていることは間違いありません。」「しかし、逆にここで翁長県政が渾身の力を振り絞り『撤回』を行えば、たとえその効力が裁判所で一時的なものとされようとも、その知事の権限行使は県民を鼓舞し団結させ、翁長知事再選へと突き進む力を与えることでしょう。そして、沖縄県民の『基地反対』の決意は全国、全世界に伝播し、『辺野古新基地阻止』の闘いが大きく前進することは論をまちません」。
 沖縄でも「本土」でも辺野古NO!の人々は、土砂投入の前の「撤回」断行を求めている。
 5月23日沖縄では、辺野古埋立ての賛否を問う「県民投票」の実施を求める署名運動が開始された。この県民投票運動は、琉球シールズの元山仁士郎さんや新垣勉弁護士らが主導してきたものであるが、当初、県民投票の目的の一つを「『撤回』を行い易くする政治的・法的環境を整えること」としていた。そのため、県民投票の結果が出た後の「撤回」では遅すぎるなど時期の問題、その他のリスクについて、ここ一年以上にわたり地元紙上で論争が続いてきた。
 県民投票結果を根拠とした「撤回」ではなく、工事の違法性を根拠とした「撤回」が今求められていることは、土砂投入が迫っている現況から言っても明らかである。新垣氏は一年前、「状況次第では、県民投票前に『撤回』を決断しなければならない状況も起き得る」と述べたことがあるが、今がまさにそうである。
 こうして県民投票運動は、「撤回」時期、投票実施時期を特定しない形で開始されることとなった。これを前提に、県民投票条例制定の採決を行なう県政各与党も、県民投票運動支援を表明した。
 県民投票運動が、辺野古NO!の県民意思を再強化し、知事の「撤回」即時断行を後押しするものとなることを期待したい。(W)