朝鮮半島情勢、対話局面へ激変
  米朝平和協定へ国際世論を

 朝鮮半島をめぐる情勢が、3月5日の南北会談以降、緊張から対話へ大きく動き出した。4月27日に実施される3回目の南北首脳会談、5月に予定される史上初めての米朝首脳会談、これら対話の動きを我々は歓迎する。
 鄭義溶(チョン・ウィヨン)氏が文在寅(ムン・ジェイン)大統領特使として送られ、ピョンヤンで3・5南北会談が行なわれて6項目が合意された。韓国側発表によると、
 「4月末、板門店の平和の家で、第3次南北首脳会談を開催する」(その後、4月27日と決められた)。
 「北側は、韓半島非核化の意思を明確にし、北韓に対する軍事的な脅威が解消され、北韓の体制の安全が保証されれば、核を保有する理由がないという点を明確にした」。
 「北側は、非核化問題の協議及び米朝関係正常化に向けて、米国と虚心坦懐に対話ができる用意があると表明した」。
 「対話が持続される間、北側は追加核実験や弾道ミサイル試験発射など戦略挑発を再開することはないとのことを明確にした」等である。
 3月8日、鄭義溶・国家保安室長は訪米し、トランプ大統領に金正恩(キム・ジョンウン)委員長の会談希望のメッセージを伝えた。トランプは首脳会談を即断したといわれる。
 「対話のための対話に反対」、「最大限の圧力を」と言ってきた安倍首相は、あわてふためいて翌日、トランプに電話をかけた。記者会見では、「北朝鮮の変化を評価する。高度な圧力をかけ続けてきた成果だろうと思う」と取り繕った。マクマスター大統領補佐官は「南北首脳会談を支持する」と言ったが、安倍はそう言わず、「米朝首脳会談を歓迎する」とも言わない。
 安倍は、「日米はこれまでもこれからも百%共にある点でも大統領と一致した」と述べたが、3月23日にトランプ政権は、安全保障を理由とした関税措置を、同盟国では日本だけに発動した。4月18日予定の安倍訪米も、お先真っ暗だ。
 3月29日、金委員長が電撃訪中し、北京で習近平主席との中朝首脳会談が行なわれた。
新華社通信によると、金正恩委員長は次のように述べた。「金日成主席と金正日総書記の遺訓に従って、半島の非核化の実現に尽力する」。「もし南朝鮮と米国が善意を持って我々の努力に応え、平和の実現へ段階的に歩調を合わせるなら、半島の非核化の問題は解決される」。
 楽観はできない。米朝対話に動いたのは、国務省ではなくCIAであったが、かれらは秘密交渉もやれば侵略準備もやる。トランプは国務長官ティラーソンを切り、CIA長官ポンペオに換えた。マクマスターも切り、ボルトンに変えた。ボルトン元国連大使は、朝鮮先制攻撃を辞さずと公言しており、対イラン強硬派としても知られる。
 米朝首脳会談が建設的一歩を踏みだすよう、平和勢力の国際的圧力が必要だ。安倍のように「百%共に」ならアメリカの付録にすぎず、日本政府の出番はない。日本では、とにかく安倍を退陣させることが先決だ。
 情勢好転は、文政権による朝鮮への平昌五輪参加の呼びかけから始まった。文大統領を生んだのは、韓国民衆の「キャンドル革命」である。朝鮮半島・東アジアの歴史的変動が、「キャンドル革命」から生まれ、拡がりつつあるともいえる。日本もこれに応え、変る必要がある。(W)


対話逆行の米韓合同演習
 「最大限の圧力」けしかける安倍政権を倒せ!

 国連軍司令部は3月20日、米韓合同軍事演習の4月1日からの開始を朝鮮軍に通告した。朝鮮戦争は終わっていない。例年同様規模としており、公式的には縮小・短縮としていない。実動演習「フォール・イーグル」が4月1日から約1ヵ月間、指揮演習「キー・リゾブル」が4月中旬から約2週間実施される。
 この米韓演習は、4月末の南北首脳会談、5月に予定の米朝首脳会談という対話の動きに、まったく逆行するものである。その演習中に不測の事態が起きれば、対話の流れも阻害されかねない。我々日本の平和勢力は、韓国の平和・統一勢力とともに、米韓合同演習の即時中止を求め続ける。
 3月6日の韓国政府の発表では、金正恩委員長は米韓合同演習実施について「理解する」としたが、「朝鮮半島情勢が安定的段階に入れば調整されるものと期待する」と述べているのであって、容認しているわけではない。対話局面に入って、朝鮮は核・ミサイル実験停止を続けている。米韓合同演習も停止されるべきだ。
 また、対話の動きに置き去りにされた日本の安倍政権は、自己の外交的破産を、「北の変化は、日米など圧力の成果」などと言って取り繕いつつ、米韓合同演習などでの「最大限の圧力」をけしかけ続けている。米韓合同演習に伴う日米合同演習、自衛隊の動きは今のところ不明であるが、在日米軍基地が米韓合同演習の拠点とされている。
 昨年に過去最大規模となった米韓合同演習では、空母カールビンソンやB1戦略爆撃機が投入された。今年はこれらの動員はないと見られているが、佐世保基地の強襲揚陸母艦ワスプ、その艦載機としての普天間オスプレイ部隊、岩国基地のステルスF35戦闘爆撃機などが投入される。
 戦争法によって昨年来、米軍が動けばその「武器等警護」として、自衛隊の実戦可能な出動が日本領域外でも強行されている。米韓合同演習に反対しつつ、戦争法廃止の声を高めよう!

米韓合同軍事演習反対3・18緊急行動

 3月18日、東京の在日アメリカ大使館に対して、「米韓合同軍事演習反対3・18緊急行動」が行なわれ約80名が参加した。主催は、戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委などによる同緊急行動実行委。
 休日の虎ノ門・溜池界隈は、昼過ぎでも人通りはまばらだ。その中でも、アメリカ大使館に通じる虎ノ門JTビル前には、反戦実のノボリや各団体の旗・横断幕が立ち始め、人目を引いてくる。
 集まった人々は2時過ぎ、抗議文を持ってアメ大に向かうために、JTビルから歩道を進もうとした。しかし、たちまち警官隊が阻止線を張って、不当にも歩道の進行を妨害。仲間たちはしばし、警官隊に抗議のシュプレを上げ、阻止線を解くよう求め続ける。
 重要な点は、歩道進行を阻止する法的根拠がなんら無いにも関わらず、警視庁がこうした、アメリカ大使館に人々を近づかせない警備を続けていることだ。「9・11」以降、とくにアフガン侵攻開始の以降、こうした不法不当なアメ大警備が続いている。
 やむなく阻止線に対峙したまま、行動参加者は集会を開始。最初に、主催の緊急行動実行委から尾澤さんが発言、「米韓合同軍事演習は、南北対話、米朝対話の動きにまったく逆行する。対話局面ならばこそ、軍事演習の中止を!」とアメリカ政府に要求し、また「この国の市民の声を聞かずに、大使館の役割を果たせるのか!」と指摘した。
 反戦実の松平さんは、「この緊急行動は、平昌五輪終了後の緊張にそなえて設定してきたものだが、文政権の強い意志によって対話局面が開かれた。しかしアメリカでは巻き返し勢力の動きもあり、安心はできない。また安倍政権は、日本をふくめた核戦場化の危険もあるのに、「最大限の圧力」、対話否定を言うのみだった。こんな軽率・無能な政権はいらない。ひき続き戦争勢力との闘いを強め、新しい東アジアへの道を広げよう」と訴えた。
 各団体からは在日韓国統一連合の宋世一さん、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの大仲さん、組対法共同行動の安藤さん、韓国良心囚を支援する会全国会議の石井さん、アジア共同行動AWC、直接行動DAなどが発言した。
 韓統連の宋世一さんは発言の中で、対話局面を開いた3要素として、①文在寅大統領の平和実現へのねばり強い意思、②北側による対南・対米での柔軟な政策、③南北海外同胞また全世界の平和勢力の闘いを挙げ、また、この緊急行動をはじめとする日本の反戦平和勢力とのいっそうの連帯を表明した。
 大仲さんは、昨年来沖縄では大きな問題となっている「沖縄の核」の問題、沖縄に再び核が持ち込まれているのではないかという重大疑惑を語りつつ、那覇地裁での2つの不当判決(辺野古工事差し止め裁判での3・13門前払い判決、山城さんら刑事裁判での3・14有罪判決)を報告し批判した。
 集会は最後に、抗議文「米韓合同軍事演習の中止と朝米平和協定の締結を求める」(宛先はドナルド・J・トランプ米国大統領、ウィリアム・E・ハガティ駐日米国大使)が読み上げられ、熱い拍手で確認された。
 また、この緊急行動への韓国からの連帯メッセージが、「平和と統一を開く人々」、「戦争反対平和実現国民行動」、「AWC韓国委員会」からそれぞれ寄せられた。
 当面の情勢は対話局面に入ったが、行動を起こし、各国政府と世論に働きかけなければ、それも不安定となる。紆余曲折が予想される中、アメリカの先制攻撃阻止、朝鮮半島・東アジアの民衆連帯、これらを明確にした闘いをいっそう拡大していく必要がある。(東京W通信員)

   3・6総がかり集会

 なお、総ががり行動系も一定の取り組みを行なった。3月6日に東京神田の日本教育会館で、「戦争させない 東アジアに非核・平和を!3・6集会」が開かれ約400名が参加。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委で、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委が協賛した。
 和田春樹さん(東大名誉教授)、前田哲男さん(軍事評論家)、沖縄からは高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会)が講演。和田さんは、予想される米朝戦争のかたちは、第二次朝鮮戦争と言うよりも、米日朝の「日本海戦争」となると警鐘をならし、しかし、「日本には、日本にしかない対話のチャンネルがある。日朝国交正常化である」と講演を結んだ。
 また3月31日には京都で、「東アジアの平和を!3・31京都集会」およびデモ行進が、米韓合同軍事演習を中止せよ!自衛隊は参加するな!を掲げて行なわれる。主催は同集会実行委で、韓統連大阪の金昌五さんが講演する。(編集部)


戦争・治安・改憲NO!3・12霞ヶ関デモ

 3月12日の東京では、安倍政権と中央官庁に対して、「戦争・治安・改憲NO!3・12霞ヶ関デモ」が行なわれ約百名が参加した。
 主催は、戦争・治安・改憲NO!総行動実行委(破防法・組対法に反対する共同行動、戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実など9団体)で、「9条改憲阻止!朝鮮半島で戦争はさせない!戦争煽動の中での改憲を許すな!」などをメインに掲げて、各省庁への抗議デモを展開した。この主催での「霞ヶ関デモ」は、昨年3・13、9・25に続き3回目。
 デモ起点の日比谷公園霞門前で、午後6時から簡単な集会。総行動実行委からの主催挨拶に続き、3・18アメリカ大使館緊急行動実行委、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックなどが発言した。
 主催者挨拶では、「3月5日の南北会談によって、4月末の南北首脳会談が合意され、また米朝首脳会談も見通されることとなりました。情勢が劇的に好転しました。私たちは、この変化を歓迎します。圧力一辺倒の安倍政権は、まさに孤立しています。安倍政権を打倒しよう!」と訴えられた。アメ大緊急行動実行委の尾澤さんは、「対話に向かっているなら、なおさら米韓合同軍事演習の中止を!」と訴えた。参加者はシュプレヒコールをあげて、6時半にデモ開始。
 デモ前の日中、安倍首相と麻生財務相が、森友問題での公文書改ざんの事実を認めた。すべてを財務省役人のせいにしたうえでの謝罪であったが、まさに3・12は安倍政権倒壊への転換点であった。霞ヶ関デモでの財務省に対する抗議内容としては、「大軍拡予算反対!」などが設定されていたが、安倍政権によるこの歴史的犯罪を糾弾する行動ともなったことは言うまでもない。
 朝鮮情勢の局面変化、国内政局の激震という変動のなかでも、労働者民衆の自立した闘いの必要を変ることなく押し出すことが必要だ。そうした霞ヶ関デモであった。(東京A通信員)


とめよう戦争への道3・24関西の集い
  名護市長選挙敗因の報告も

 3月24日午後1時半より、大阪市のエルシアターで「3・24とめよう!戦争への道・2018関西のつどい」が開かれ、約800名が参加した。主催は、大阪平和人権センター、しないさせない戦争協力関西ネットワーク、戦争をさせない1000人委員会・大阪の3団体。(この集会は大阪でイラク開戦以降、毎年開催されており、開戦15年の今年は、憲法9条改悪阻止、戦争法廃止、普天間基地即時撤去、絶対反対!辺野古・高江新基地などを掲げる)。
 集会では、元内閣官房副長官補の柳澤協二さんが講演、「自衛隊がイラクに派遣されたが、対テロ戦争は武力で勝てないこと、派遣された自衛隊は一発も撃たなかったことが教訓として残った。閣議決定で集団的自衛権行使ができるとした安倍内閣は、専守防衛を大きく逸脱するものだ」と批判した。
 次いで、沖縄からヘリ基地反対協議会共同代表の安次富浩さんが講演、「2・4名護市長選挙の敗因は、大きな油断、相手候補なら勝てるという過信が生じたこと、政府・自民党・警察などの総がかり選挙に太刀打ちできなかったこと、公明党対策の失敗、若者対策の不十分、などなどが挙げられる。」「現場での抵抗運動は厳しさを増しつつも健在であり、9月の名護市議会選挙では野党多数派を確立すること、そして11月県知事選挙の勝利へと前進していく」と報告した。
 続いて、衆院議員の森山浩行さん(立憲民主党・大阪府連代表)、元衆院議員の服部良一さん(社民党・大阪府連代表)から連帯挨拶があり、アピールでは、在日韓国民主統一連合・大阪本部事務局長の崔誠一(チェ・ソンイル)さんが、「南北対話、朝米会談への期待」を述べた。ストップ・ザ・もんじゅ事務局代表の池島扶紀子さんが、「原発に頼らない社会を」と訴えた。
 主催者からのまとめが提起され、午後4時過ぎから参加者は、西梅田までデモ行進を行なった。(関西Si通信員)