国会諸野党は、第4次安倍政権と闘い抜けるか
  問われる「第三極」勢力の前進

 10月総選挙をへて11月の特別国会で、安倍晋三が4度目の首相指名を受け、17日の首相所信表明、各党の代表質問と続いた。自公が「3分の2」を維持し、安倍自民党の改憲発議へ向けた動きが進められる一方、民進党が分裂した後の、国会諸野党の立ち位置が明確となっている。
 希望の党、日本維新は、9条改憲を含む改憲支持、安保法制(戦争法)容認であり、自民・公明「第一極」勢力の補完勢力、エセ野党である。
 野党第一党の立憲民主党、また日本共産党、社民党、自由党は、自衛隊明記の安倍9条改憲反対、戦争法の廃止および集団的自衛権行使容認閣議決定は認めないという点で、おおむね一致している。また、大塚新代表の民進党、前民進衆院議員による「無所属の会」も、これに近い立ち位置にいる。これら諸党は、日米安保や消費税など基本政策で不一致であるが、安倍政権退陣、立憲主義の回復を当面の一致点とした普通に言う意味での野党、「第二極」勢力である。
 立憲民主の枝野幸男代表は、20日の代表質問で、「安保法制を前提とした憲法9条の改悪とは、徹底的に闘う」(総選挙公約)と改めて表明し、その野党性を明確にした。しかし立憲民主党の安全保障政策は、「領域警備法の制定」、「憲法の枠内での周辺事態法強化」を含む「専守防衛を軸とする現実的な安全保障政策」であって、非戦の立場ではない。そして「辺野古移設について再検証し、沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直す」としているが、新基地建設反対とはしていない。安保法制の実質となる日米新ガイドラインへの態度、これも不明である。
 しかし立憲民主の野党性は、政策そのものというよりも、野党共闘が破壊された局面で市民運動の危機感に応え、立ち上がってきたその出自によっている。これにより、総選挙告示直前にできた新党であるにもかかわらず、比例得票2位の躍進となった。国会内ではなく市民に顔を向けた党、という姿勢を今後も堅持できるならば、一定の可能性を持つだろう。
 大塚民進党は、連合指導部と結託して、立憲民主、希望、無所属の再統合を図っている。来年にまた総選挙というのなら、各党間の調整も必要だが、さ来年7月参院選まで国政選挙はほぼ無い。立憲民主の野党性を消し去るための策動である。
 こうした「第二極」勢力は、米朝核対峙に対しても朝鮮を一方的に非難し、アメリカ帝国主義を免罪する点で一致している。米国の先制攻撃によってのみ始まる恐れのある第2次朝鮮戦争に、朝鮮半島と日本の民衆の立場で反対できていないのである。
 安倍は11月5日に来日したトランプと共に、「自由で開かれたインド太平洋戦略」を掲げた。中国「一帯一路」を牽制しつつ、米第7艦隊の担当範囲全体で自衛隊に戦争させるつもりである。戦争が引き起こされれば、「第二極」勢力は「第二インターナショナルの崩壊」の事態となりかねない。
 今年はロシア革命百周年であった。ロシア十月革命の今日的意義は何か。その第一は、議会でブルジョア民主革命を完成させようとした勢力に対して、労働者民衆自身の大衆組織(労農兵ソビエト)が打ち勝ち、すべての権力をソビエトが掌握した点にある。第二には、臨時政府と憲法制定議会の側による戦争継続を打ち破り、ソビエト権力こそが平和を実現した点にある。
 2015年安保闘争は、国会大包囲を実現したが、我々は「ソビエト」を持たなかった。そして、戦争を阻止する力は国会の中にあるのではなく、労働者民衆の中にこそある。労働者民衆自身の「第三極」政治勢力を形成しよう。