10月総選挙、自公与党が「3分の2」維持
  「安倍9条改憲」決戦情勢へ

 安倍首相が、謀略的に強行した衆院解散と10・23総選挙、その結果は自民と公明の与党が313議席を得、衆院定数465の3分の2を維持する結果となった。希望の党と日本維新を合わせると、改憲勢力が衆院8割を超えた。
 これにより、「安倍9条改憲」など憲法改悪案の発議(両院3分の2以上での憲法改正案の可決)を阻止すること、しかし発議が強行された場合には、改憲国民投票によって改憲案を葬り去り、歴史的な勝利をおさめること、これが当面の最大の現実的課題となった。
 今後、改憲勢力の間で改憲案が順調にまとまる保証は少しもないが、仮にまとまったとすればどうなるか。最速の想定としては、来年通常国会で18年度予算案が通った後の終盤、ここでの発議強行(この場合、国民投票単独実施)が想定される。あるいは、来年9月に安倍が自民党総裁3選を手にするとすれば、その後に発議強行、この場合には2019年7月参院選挙での国民投票同時実施が想定される。なお19年3月末日は天皇代替わりの日であり、4月は統一地方選となる。
 我々改憲阻止勢力のがわに、発議阻止に力点を置くのか、国民投票勝利の準備を強調するのか、という色合いの相違が見られるが、これは大した違いではない。発議阻止に全力をあげる力が、国民投票に持ち込まれた場合でも、その勝利の土台となる。当面三千万署名などを進めつつ、仮に発議不可避となったならば、国民投票勝利のための汎国民的な共同戦線をあらたに立ち上げることとなるだろう。
 向こう1~2年が、安倍政権との最終決戦となる。9条改憲の阻止は、安倍政権の倒壊を意味し、さらに安保法制(戦争法)の廃止に直結していく。この決戦に勝利しよう!
さて、今回総選挙による衆院での改憲勢力の増大は、国会外の実際の力関係から大きくかい離している。
 自公政権の勝利は、希望の党が仕掛けられ、衆院民進党が分裂したことによって、野党・市民共闘を全国的には実現できなかったことが大きく原因した。
 立憲民主党・共産・社民・無所属などによる野党共闘が、政策協定によって、あるいは事実上成立して選挙戦を戦った小選挙区では、各地で優勢あるいは大健闘となっている。6選挙区ある新潟では、5選挙区で野党共闘を実現し、3選挙区で勝利している。北海道全12区でも5選挙区で勝利し、比例票でも立憲民主は自民とほぼ互角となっている。
 野党得票を単純に合計すると、226選挙区中63選挙区で勝敗が入れ替る。民進候補が希望に乗り換えず、共産と一本化していれば、36選挙区で一位当選となっていた。共闘効果を考えると、それ以上となる。自公3分の2は確実に崩れていた。
 しかしまた、安倍の党利党略解散も原因して、国政選挙の低投票率が続いている。自民に比例1800万ほどの固定票があれば、自公で過半数を占めることができ、残りを野党間で取り合うという基本構図が続いているのである。野党の取り合いでは今回は、立憲民主に多く、共産、社民に少なくなった。
 安倍政権の評判は、いぜん低調である。しかし社会が底流的に動き出し、この基本構図が変わらなければ、執権者は居座り続ける。社会を変えていく労働者民衆じしんの政治勢力化、これを9条改憲阻止の中からも、不断に追求する必要がある。