韓国サンケン労組のその後と韓国の今
    金ウニョンさんを囲んで10・21集会

 
争議勝利ふまえ連帯推進へ

 10月21日の夕、東京・文京区民センターにて、「韓国サンケン労組のその後と韓国の今――金ウニョンさんを囲んで」10・21集会が開かれた。主催は、中岡基明さん(全労協事務局長)や尾沢孝司さん(元・韓国サンケン労組を支援する会事務局)などを呼びかけ人とする10・21集会実行委員会。
 この日は、明日が総選挙の投票日という思わぬタイミングとなり、台風も接近中という中であったが、昨秋から今春にかけての日本本社闘争に関わった人々をはじめ、約150名の労働者・市民が会場を埋めた。
 まず、「6・30民主労総社会的ゼネスト」や「9・7星州サード配備阻止闘争」など、韓国労働者民衆の最近の闘いを伝えるビデオ上映が行なわれ、尾沢邦子さん(ノレの会)の司会で集会が始まった。
 最初に、中岡基明さんが呼びかけ人挨拶、「日本と韓国の労働者がともに闘えば成果を出せる、それを実証したのが、この韓国サンケン闘争だったと思います。これを再確認しつつ、さらに日韓の労働者民衆の連帯をすすめよう」と集会趣旨が述べられた。
 そして韓国からのゲスト、韓国・全国金属労組慶南支部・韓国サンケン分会の2名、キム・ウニョンさん(指導委員)とオ・ヘンジさん(分会長)がステージに立って紹介され、各々挨拶を行なった。
ウニョンさんは本社遠征闘争中は、決意の剃髪であったが、現在はショートヘア。原職復帰を勝ちとった6・2労使合意から、早くも5ヵ月近くが経っている。
 続いて、キム・ウニョンさんによる「労働者の目で社会を!韓日労働者の国際連帯」という題目での、講演が始まった。ウニョンさんは、確固とした労働組合リーダーであり、演舞ユルトンも上手い人だが、政治的見識にもすぐれた人のようである。何でもできるすごい人という印象だが、お茶目な面もあるらしい。彼女は講演で、4点について語った。
 ①韓国サンケン闘争の勝利とその後について。整理解雇撤回は困難といわれる中で、日本遠征闘争を決断し、その229日目で勝利できた。韓日の労働者・民衆の連帯の勝利だった。新たな国際労働者連帯運動に銘記すべき地平を拓くことができた。
 勝利後の今は、韓国工場は生産稼動し、復帰した組合員が働いている。会社は労組無視戦略であるが、労組は新執行部体制(オ・ヘンジ分会長)を作っている。また、私たちが社前行動で本社の労働者に警告していたことだが、サンケン本社でリストラが始まっている。もし本社労組が求めるのなら、私たちは支援できるのだが。
 ②労働者の目で見た文在寅(ムン・ジェイン)政権の1年について。キャンドル抗争で文在寅は当選を得た。このかん文在寅政権は、庶民向けアクション(5・18光州民衆抗争記念式典への出席、その徹底真相究明を指示、セウォル号遺族との面談と公式謝罪など)、労働者向けアクション(就任後の初仕事としての仁川空港訪問、公共部門非正規職の正社員化など)を行なってきた。
 最低賃金の大幅引き上げ(16・4%増)を表明した。最低時給7530ウォン(約730円)を来年実施。しかし、労働側要求の時給1万ウォンに対しては、2020年まで待てとしている。また、就業規則と人事についての使用者側に有利な2大指針を破棄した。
 たしかに、文在寅政権は労働者のための政策をとっていると言えるが、期待はずれの大統領とも言える。THAAD(高高度ミサイル迎撃システム)追加配備の強行で、支持率は低下している。この配備で中国から経済報復され、対中関係が悪化している。
 ③一触即発の朝鮮半島・東北アジア情勢について。文在寅政権は、通常兵器導入と米国の核の傘政策の強化を進めている。韓国は落ち着いているが、安倍政権が「国難」と言って国会を解散してしまったのは驚きだ。
 米朝核対決には始まりと、終着駅がある。北朝鮮の李容浩外相は、9月23日の国連演説で、「米国は朝鮮戦争中の1950年代に原爆を使うと脅し、戦後は朝鮮半島に核兵器を持ち込んだ国」と指摘し、北朝鮮の「核抑止力の保有は正々堂々たる自衛措置、米国に強制された不可避の選択」と述べた。そしてAP通信は、「米国の核による威嚇は北朝鮮に核兵器を開発・保有する口実を提供。そうした基本的な問題が解決しない限り北朝鮮は核兵器を放棄しないだろう」と評論した。
 ④韓日労働者・民衆勢力の役割について。韓国では、朴弾劾キャンドルであったものを、戦争反対・平和協定要求の平和キャンドル運動に発展させる。日本の護憲・アベ糾弾に連帯。東北アジアの平和のために、韓日民衆共同行動を進めよう。
 要旨以上のお話しに、熱い拍手が寄せられた。カンパ要請と小休止の後、サンケン分会のお二人が並んで、会場と質疑討論。組合の現状についての討論の中では、10月15日に「民衆党」が旗上げされ、韓国サンケン労組も参加していることが報告された。
 会場からの連帯挨拶では、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの外間さん、破防法・組対法に反対する共同行動の安藤さん、日韓民衆連帯全国ネットワークの土松さんが発言した。

  11・10~13韓国訪問団
 
 最後に、元・韓国サンケン労組を支援する会の尾沢さんが行動提起。
 11月10日~13日に韓国訪問団を出し、ソウルの労働者大会参加、馬山の韓国サンケン労組訪問などを行なう。また、朝鮮半島情勢を激化させるトランプ・安倍の戦争会談に反対し、11・5トランプ来日抗議の共同デモを成功させよう等が提起された。
 日本と韓国の労働者・民衆が連帯して、戦争を阻止し、平和と正義を勝ちとろうという熱意あふれる集会であった。(東京W通信員)


10・8~9第29回コミュニティ・ユニオン全国交流集会
 
ストを構えた闘いも復活

 10月8日、9日の両日、福岡市で第29回コミュニティ・ユニオン全国交流集会が開催された。全国から430名を越える仲間が結集し、たたかいの報告と交流を行なった。
 8日午後から、全体集会がもたれた。会場の都久志会館ホールは、全国から集まった仲間で埋められた。コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの共同代表である木越さんの代表あいさつに続いて、連合非正規労働センターの山本和代さんが来賓あいさつに立った。山本さんは、安倍政権の「高プロ」制度など「働き方改革」については連合としても共にたたかう、と決意表明をした。自治労本部からは、亀崎さんが連帯のあいさつをした。
 集会は続いて、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークの第29回総会に移った。事務局長の岡本さんから、2017年度の活動報告と18年度の活動方針が提起された。
 活動報告では、安倍政権による「働き方改革」を粉砕するたたかい、最賃1500円、いますぐ1000円運動の展開、など全国ネットワークがこの間続けてきたたたかいが報告された。この間、各地域ごとのネットワークの活動が、活発に行なわれてきた。北海道、東北、首都圏、東海、関西、兵庫、中四国、九州の各地に地方ネットワークが組織され、それぞれが連携して共同したたたかいが、各地方で展開されてきた。地方的な連携、共同行動は、まだ小さい地域のコミュニティ・ユニオンの活動を支え合うのには重要な活動になっている。
 18年度の活動方針としては、ひき続き労働法制改悪反対、最賃引き上げのたたかいを全国的に共同してすすめることを確認した。18年度の予算や役員体制を全員の拍手によって承認した。18年度の全国ネットワークのたたかう体制が確立された。
 特別報告が東京管理職ユニオン、よこはまシティユニオン、自治労全国一般福岡、ユニオンみえから行なわれた。ユニオンみえからは、8月に企業組合の三交タクシーの労組が200名、ユニオンみえに加盟し、たたかいを始めていることが報告された。組合活動の基本であるストライキを構えたたたかいが、少しづつ各地域で復活してきているのが感じられた。
 集会は次にパネルディスカッションに進んだ。福岡でユニオンとともに活動している安元弁護士、全国ネット顧問の中野弁護士、全国ネット事務局長の岡本さんがパネラーとなって、福岡大学の勝山先生の司会で討論が行なわれた。中野麻美弁護士は、暴走する安倍政権の安保法制、労働法改悪の動きに対して黙っていられる限界を越えてしまった、明日から東京をはじめとして街頭に立って演説会を行ない、人々に行動に起ち上がるように訴える活動を始める、と強い決意を語った。行動する弁護士として、中野さんの活動を注目し、応援していきたいと思った。
 夜は近くのホテルに移動して、立食パーティで交流した。福岡の仲間による「バリカタ絆」「諦めんたい」の寸劇などで雰囲気がなごんだところで、恒例の各ユニオンの紹介が行なわれた。地域ブロック毎に各ユニオンが舞台上にあがって挨拶した。なつかしい顔が一年振りに登場して互いの活動をたたえあった。
 2日目は朝から、11の分科会に分かれて、より突っ込んだ議論を重ねた。各分科会とも活発な意見が出て、時間が足りない状況だった。
 最後に再び都久志ホールに集合して、全体会議を行なった。暴走する安倍政権と対決し、未組織労働者の駆け込み寺としての役割も果たし、コミュニティ・ユニオンの運動をさらに拡大することを誓い合って、今年の全国交流集会を終えた。来年は盛岡市で開催される。(ユニオン活動家S)