10月総選挙を安倍自公政権の墓場へ
 与党補完勢力の小池「希望の党」、日本維新を断罪せよ!

 9月中旬以降、安倍首相による憲法違反の謀略的な衆議院解散の強行(9・28臨時国会冒頭)、小池百合子東京都知事が「豹変」してその代表に就く形での「希望の党」なるものの急造(9・25)、それへの民進党・前原執行部による突然の「合流」方針の決定(9・28)、これに抵抗する枝野幸男前幹事長ら民進党リベラル派による「立憲民主党」の結成(10・3)と、目まぐるしく議会政治が変動した。
 10月22日投開票の総選挙、その根底にあるのは、戦争法発動と9条改憲によって、日本を「戦争する国」に仕立て上げようとする日・米ブルジョア支配階級と、戦争法廃止・改憲阻止の日本での闘いをはじめとして、非戦・平等・民族自主の民衆的東アジアを実現しようとする日本・東アジア労働者階級人民との、現在進行形の激烈な階級闘争である。
 この日本・東アジアにおける階級闘争の前進・勝利のために、少しでも有利な条件をかちとることが、来る総選挙での我々の課題である。米・日の朝鮮武力攻撃絶対阻止などの大衆運動を堅持・拡大しつつ、安倍政権・9条改憲・戦争法、これらに明確に反対する「野党・市民」共同候補および比例諸野党に投票せよ。
 自民・公明与党の打倒を第一とし、与党補完勢力である希望の党、日本維新を断罪せよ。
 沖縄全4区では、「オール沖縄」推薦4候補の圧勝をかちとれ。

  「安倍9条改憲」完全打倒

 総選挙で実現すべき第一の課題は、「安倍9条改憲」の完全打倒である。
 安倍が5・3に提案した、9条1項・2項を残して自衛隊明記を加えるという「安倍9条改憲」案は、すでに半ば壊れかかっている。しかし、総選挙で自民党が議席減を小幅にとどめれば、希望の党、日本維新を巻き込んで、「安倍9条改憲」案が復活してくる危険もある。
 安倍が今回、解散・総選挙に踏み切ったのは、森友・加計問題などで政権が追いつめられる中で「安倍9条改憲」の発議こだわるよりも、「朝鮮の脅威」をあおりながら、自民の大負けを回避し、野党を分断しつつ自公政権の延命を図ることのほうを優先させたからと見られている。しかし今回の総選挙で、自公、維新に、改憲・戦争法容認の希望の新議席を加えて、衆院3分の2以上を再現されてしまうと、9条改憲案が練り直されて早晩出されてくることは避けがたい。
 「安倍9条改憲」は元来、おのれの任期中になんとしも9条に手を付けたいという安倍の個人的野望と、日本会議の伊藤哲夫、小坂実ら極右分子との合作にすぎないものであった。自民党改憲推進本部は、2項抹殺の2012年改憲草案にこだわる党内の異論を抑えつつ、安倍の案で行くとした。しかし与党公明党に乗る気がなく、また、その謀略的性格(野党分断をねらってまず自衛隊加憲で行き、次に2項抹殺をめざす)が国民から広く見抜かれ、胡散臭いものになっている。
 この安倍首相案は、自衛隊合憲化の一般論ではなく、2015年強行成立の戦争法で海外武力行使が可能となった自衛隊を、憲法に追認させるものであるという批判が広範なものになった。元々自衛隊加憲論の民進党・前原誠司も、「違憲の疑いがある安保関連法を上書きするような、自衛隊明記は認められない」と断言したように、「専守防衛」自衛隊なら合憲とする人々を安倍改憲に同調させるという策動は失敗しつつあった。
総選挙で「安倍9条改憲」は一旦リセットとなる。しかし改憲勢力にとって総選挙は、それを練り直し、9条改憲を立て直すスタート台となっている。
 安倍は解散の筆頭の理由として、消費税増税の使い方の変更(財政再建策から子育て世代支援策へ)について国民の信を問うなどと、とって付けた理由をでっちあげた。改憲はどうなっているのかと言うと、総選挙公約で「自衛隊明記、教育無償化、緊急事態対応、参院合区解消」の4項目を掲げ、「初めての憲法改正をめざす」とした。「安倍9条改憲」案は抽象的となったが、捨てられてもいない。14年総選挙では、安倍は消費税増税延期の信を問うなどと言って解散し、結局やったことは戦争法の強行であった。
 自公与党を過半数割れに追い込み、「安倍9条改憲」と安倍政権そのものを終らせなければならない。

  阻止しよう!戦争法翼賛化

 総選挙で前進させなければならない第二の課題は、戦争法(安保関連法)の廃止である。
 しかし戦争法の廃止のためには、安倍政権を倒すだけではなく、戦争法廃止勢力が衆院過半数を占める必要がある。
 「希望の党」の急造は、直接には野党共闘の撹乱・破壊のためであるが、戦争法を守るために日米支配層がでっち上げたと見ることもできる。希望の党は、その綱領で「現実的な外交・安全保障政策を展開」とし、その政策では「現下の厳しい国際情勢に鑑み、現在の安保法制については適切に運用する」としている。
 民進党・前原はもともと、日米協定との整合性を理由とした戦争法部分改定論であったが、8月民進党代表選の過程で、「日米新ガイドラインとの調整は可能だ」として戦争法廃止論に転じた。このあたりで「希望の党」作りが動き出した。前原は結局、戦争法や改憲での自党の政策を放り出し、希望の党との合流という大失態をやってしまった。内容抜きの政権交代第一主義者の陥穽である。
 日米支配層は、安倍政権が倒れても、自民・公明・維新・希望で戦争法は守れると算段している。我々戦争法廃止勢力は、戦略を立て直す必要がある。

  朝鮮武力攻撃は絶対阻止

 そして第三に、総選挙の過程をとおして拡大しなければならない課題は、米・日の朝鮮武力攻撃絶対阻止、日本と朝鮮半島の民衆連帯を強化する闘いである。
 朝鮮半島危機は、総選挙でも、戦争法と9条改憲を正当化するための主要なテコとなっている。その実、安倍政権の対米一辺倒、戦争法による米軍支援が、半島危機を増幅させているのである。
 現状では、国会野党のすべてが、国連安保理決議を根拠として朝鮮民主主義人民共和を非難し、朝鮮への制裁を支持する衆参決議に繰り返し賛成している。野党の中でも社民党や日本共産党には、安倍政権の「制裁」一辺倒を批判し、米朝間の対話を求め、対朝鮮での日本の自主外交を求める声もあるにはある。しかし総選挙の争点にはなっておらず、朝鮮戦争反対の大運動を起こすこともできていない。アメリカが攻撃したら核戦争になる危険があるにもかかわらず、我々を含めてこの体たらくである。
 とくに日共は、「現在の危機が引き起こされた根本は、北朝鮮が、累次の安保理決議に違反して、核・ミサイル開発を進めてきたことにある」(8・12志位委員長)とし、つまり朝鮮のほうが悪いと断言し、アメリカ帝国主義を免罪している。
 しかし、朝鮮の自衛権を認めない一連の安保理決議は、不当であるといわねばならない。もちろん、核兵器による自衛権行使はほめられたものではない。しかし、すべての安保理常任理事国と若干の国々が、核兵器で自衛権あるいは覇権を行使しつづけているのに、長期に侵略の脅威にさらされてきた朝鮮だけを処罰するというのは、まったく公平・公正ではない。武装解除を前提としない、対等な米朝・日朝交渉が問われている。
 米トランプ大統領の11月来日は、米朝対話に逆行し、第2次朝鮮戦争の危険を高めるものになろうとしている。安倍政権の朝鮮政策を糾弾するとともに、朝鮮武力攻撃絶対反対の声で、トランプを迎え撃たねばならない。またトランプは朝鮮政策のみならず、その将軍と投機家の政権、差別排外主義、地球環境への敵対などで、世界人民から抗議されている。日本の国民が選挙に夢中になって、トランプ来日に大きな抗議デモも打てないようなら、世界の笑いものになってしまう。
 11月5日には、安倍たおせ!反戦実行委などによって、東京でのトランプ来日抗議行動が行われる。朝鮮攻撃のためのトランプ・安倍首脳会談を糾弾し、朝鮮半島と日本の民衆連帯をすすめよう。
 総選挙の激動の只中から、日本・東アジア民衆の新しい政治潮流を台頭させようではないか。(了)