東海第二,、20年延長は無謀
  廃炉求めて8・18東海村一日行動

 来年に運転期間40年を迎える東海第二原発、この運転延長にふみきる構えの日本原子力発電は、期限の今年11月までに、原子力規制委員会に申請する準備を進めている。東海第二は、30km圏内に国内最多の96万人が居住する原子力発電所だ。
この緊迫する情勢を迎え8月18日、東海第二原発の再稼動・延長阻止・廃炉を求める「六ヶ所ピースサイクルin東海村行動」が闘われた。行動には、首都圏から30名近くの労働者・市民が結集、地元の市民と連帯した闘いが貫徹された。
安倍第3次改造内閣は8月に入って、「エネルギー基本計画」の見直しとして、原発の再稼動を進め、新設・建て替えもめざす方針を発表した。原発はこれまでに、九州電力の川内1・2号機をはじめ5基が再稼動されている。そして原子力規制委によって、対策工事をして新規制基準に適合すると判断されたのは、関西電力の高浜1・2号機など4原発7基となっている。
安倍政権の再稼動推進の姿勢を背景に、日本原電は無謀にも、東海第二の延長に踏み切る構えを続けている。東海第二の再稼動には、2千億円超の安全対策費が必要になる。東京電力は、資金繰りに行き詰まった日本原電に経営支援を検討し、来年1月にも支援を決める方向という。福島事故を起こした東電が、さらに犯罪を重ねるものである。日本原電は、東海第二が廃炉に追い込まれれば経営危機に陥るとして、企業の保身のために老朽原発延長を画策しているわけである。しかし東海第二の再稼動は、大惨事を引き起こしかねない。

  再稼動容認の山田村長

 8・18行動は、東海村役場訪問から開始された。ここでは、山田修村長の原発政策に関するスタンスが問われた。
 交渉で、行政側は「村長はニュートラル」と発言、その理由として、住民の意思確認ができていないことや、広域避難計画作成ができていないことなど3点を上げた。今年3月10日、日本原電は、高速実験炉「常陽」の再開をめざして、原子力規制委の新規制基準適合性確認のため、原子炉設置変更許可及び保安規定変更認可の申請を行なっている。この事実を前に行政は、「原子力規制委が所掌するものであり、コメントする立場にない」と答えた。そして東海第二の延長申請については、「意向表明なりがあったとは聞いていない」と答えた。
 これらは、村民の安全を最優先とする行政とは思えない、国や会社側の立場に立った発言だ。しかも、「原子力安全協定5条」は、日本原電が施設・設備を新増設しようとする時は、地元自治体の事前了解が必要と定めている。再稼動・延長では新増設工事が行なわれ、当然「協定」規定に基づく東海村の関与が可能だ。3月31日の延長公表後も放置し続け、日本原電任せにする根拠はない。
 極め付けは、8月茨城県知事選で東海第二の再稼動無条件反対を表明する現職・橋本氏の推薦に際して、山田村長は「今までのように応援できなくなった」と発言し、馬脚を現した。山田村長は、実質的に再稼動容認派だ。
 
  会社は原発劣化を隠蔽

 日本原電は、東海第二の圧力容器の脆化はない、「3・11危機一髪」もなかったと事実をねじ曲げている。この会社側との闘いが、午後から行なわれた。
 脆化について日本原電は、ほぼ39年を迎えても「圧力容器の脆化は進んでいない」と、1月サンプル調査結果を発表した。しかし、崩壊する限界に到るどこまで脆化が進んでいるのかを示すことなく、「ホームページに公表している」の一点張りだった。HPには、数字を記載した表が掲載され、専門家しか脆化の状況が分からない仕組みだ。しかも調査は、圧力容器全体を細かく調べた結果ではなく、あくまでサンプル調査だ。何時、ガラスのように崩壊するか分からないのである。
 「3・11」時、東海第二は5・4mの津波を受け、冷却用の非常用ディーゼル発電機1台が使用不能となり、2台は水没したが水深が低く無事だった。あと0・7m津波が高ければ、福島第一同様の大惨事は免れなかった。2台は無事だったと言っても、3台あっての平常運転なのである。
 しかし日本原電は、県の想定潮位5・72mを理由に、6・1mの防護壁で守れた、その工事の未完成が事態を引き起こしたと強弁している。こうして、原発の新設は否定しているものの、あくまで再稼動・20年延長を正当化している。
 この東海村一日行動は、近隣住民との交流会の後、六ヶ所に向かうピースサイクル隊を送り出して、闘いを終了した。
 続いて東海村では8月26日に、東海第二包囲行動が大きく取り組まれ、また8月27日には福岡市で、九電・玄海原発の再稼動に反対する行動が超党派のオール九州で取り組まれ、2500人が九電本社にデモ行進をかけた(主催は、原発いらない!九州実行委)。
 東海第二をはじめ、全国の原発再稼動を阻止し、安倍政権を叩きつぶそう。(東京O通信員)


東海第二に8・26包囲行動
  8・27茨城県知事選は、再稼働反対の民意反映

 8月26日、茨城県東海村で「東海第二原発包囲行動」が、関東各地から1100名の結集で行なわれた。主催は、茨城県内の人々による「原発いらない茨城アクション」。
 運転開始から四十年を迎える老朽原発を、さらに二十年運転延長するという申請が、日本原電(電力9社の出資にもとづき作られた会社)から出され、再稼動がもくろまれている。これを阻止する行動だ。
 まず集会が東海村阿漕ヶ浦公園でもたれ、茨城アクション、福島の女たち、地元住民代表、前東海村村長の村上達也さん、ゲストスピーカーの鎌田慧さんからの発言を受けた。そして参加者は、1・5キロ離れた東海第二原発前の路上まで移動して、ヒューマンチェーンを行なった。
 原発前路上には、翌日投開票が行なわれる茨城県知事選で、東海第二原発の再稼動反対・廃炉を訴える市民派候補の鶴田真子美さんも、宣伝カーで駆けけた。
 翌日8月27日の茨城県知事選の結果は、鶴田真子美候補が多くの期待にもかかわらず、12万2013票という結果に終わり、自民・公明の新人候補に敗北した。
 敗因は幾つか考えられる。選挙は、鶴田さん、現職、自公候補の三つどもえの戦いであったが、現職候補が多選批判に対し、告示直前に突然再稼動反対を表明し、原発反対の票を二分させてしまったことがある。朝日新聞の出口調査では、東海第二原発の再稼動に、65%が反対を表明していた。また、鶴田さんと現職の合計得票数は、自公候補の得票数を5万票以上上回っている。選挙には負けたが、県民の民意が再稼動反対にあることは確かである。
 茨城県は、東京近郊では名だたる保守王国とも言われている。しかしながら、福島第一の隣りに位置して被曝被害もこうむっており、大多数の県民は、東海第二の再稼動に反対している。茨城県民・東海村住民と共に、東海第二の再稼動を阻止しよう。(A)


8・19「19の日」行動、国会前に2400人
  延命を許さず安倍打倒を

 8月19日の夕刻、都議選を契機に崩壊の危険水域に入った安倍政権の打倒、改憲阻止を掲げた「19の日」行動が、衆参議員会館前で開催された。激しい雷雨をものともせず2400名が結集。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会。
 朝鮮民主主義人民共和国の弾道ミサイル発射訓練にともなって8月10日、小野寺五典防衛相は、衆院安全保障委員会で「存立危機事態の認定もありえる」として、集団的自衛権を行使する姿勢を示した。安倍政権は、ありもしない共和国の脅威を煽り立てて政権の延命をはかり、アメリカと一緒に戦争する国づくりを急いでいる。共和国は、米国との平和協定締結を求めているのであり、戦争を起こすメリットは一つも無い。戦争を仕掛けているのは米日両政権である。
 また安倍は、「スケジュールありきではない」などと言いつつ、すきあらば9条改憲をねらっている。朝鮮情勢で排外主義を煽り立てて民衆を取り込み、なんとしても改憲に持ち込もうと画策している。
 集会は、小田川義和さん(憲法共同センター)が、「共和国の脅威を宣伝して、戦争法の発動が目論まれている。小野寺防衛相が、集団的自衛権発動を示唆しつつ、一方で『辺野古移設が唯一の解決策』『早期の建設完了』と発言したのは許せない。安倍政権を打倒しよう!」と主催者挨拶を行なった。
 政党挨拶は、民進党・菅直人衆院議員、日本共産党・田村智子副委員長。
 連帯挨拶では、日本労働弁護団の棗一郎幹事長が、「高度プロフェッショナル制度」を盛り込んだ労働基準法改正案と、残業規制など「働き方改革」関連法案とを政府が一括法案として秋の臨時国会に提出せんとしていることに関連して、発言した。「同一労働同一賃金を掲げる格差是正の政府法案は、格差を是正する内容が一つも無い。格差は広がる一方だ。また最賃時給1500円をめざし、今すぐどこでも1000円以上にすべきだ。残業時間の罰則付き上限規制導入も、その実質は残業の常態化を許し、過労死ラインを超えて働かせるものだ」と批判した。
 福山真劫・総がかり行動実共同代表が、「安倍政権の支持率は30%台。内閣改造など小手先で国民の怒りは押さえられない。安倍は9条改憲をねらっているが、選挙をやれば安倍は必ず負ける。労働者と市民が団結して闘えば必ず勝てる」と述べつつ、
9月8日キックオフ集会(午後6時半・中野ゼロホール)
9月18日さようなら原発・さよなら戦争集会(正午半・代々木公園)
9月19日「19の日」行動(午後6時半・国会正門前)
10月沖縄集会・日比谷野音予定などへの結集を訴えた。
 次いで、安全保障関連法に反対する学者の会・西谷修さん(立教大)が発言、「ミサイルは単なる脅しだが、これを利用してトランプ政権はロシアゲート、安倍政権は森友・加計問題から国民の関心をそらそうとしている。敵を作り、相手をたたく、これは差別と偏見以外の何物でもない」と暴露した。
 最後に、安保法制違憲訴訟の会・杉浦ひとみさんが挨拶、「全国20都道府県で裁判を起こし、原告は6676人。門前払いかと思ったが、すでに何回も開かれ、裁判官も原告の話しを聞こうとしている」と報告し、傍聴を呼びかけた。
 8月の「19の日」行動は、豪雨をはね返すシュプレヒコールで終了した。戦争を煽って延命を策す安倍政権を、即時打倒しよう。(東京O通信員)


労働法制改悪阻止8・19国会前行動
    労弁呼びかけに全国から2千人

 また、総がかり「19の日」の前に、「労働法制改悪阻止8・19国会議員会館前行動」が行なわれ、約2000名が参加した。
 この行動は、日本労働弁護団が主催であるが、国会前行動の主催は労弁60年の歴史で初めてという。今秋臨時国会での、8時間制破壊などの労働基準法改悪案を阻止するために、労弁がつなぎ目になって、大きな労働者・市民の共同を作ろうという決意の現われである。
主催者から棗一郎さんが挨拶、高度プロ制導入・裁量労働拡大と残業規制とを、政府が一括法案とすることに反対しようと訴えた。
 集会では各野党のほか、ブラック企業対策弁護団、返せ★生活時間プロジェクト、雇用破壊反対共同アクション、総がかり行動実、全日建連帯、全労金、みえユニオンなどが発言した。東海ユニオンネットが多数、バスで参加していた。(編集部)