7・2東京都議会選挙、結果と展望
  問われる安倍批判の受け皿

   安倍政権の崩壊開始

 7月2日投開票の東京都議会選挙で、自民党は歴史的大敗を喫し、安倍政権は、崩壊に向かってころげ始めた。今こそ安倍政権打倒の時。
 自民党は、都議会現有議席57から過去最低だった38議席すら下回る23議席に激減し、他方、小池百合子都知事が率いる「都民ファーストの会」が55議席を獲得して、都議会第一党となった。公明党(現有22議席から23議席)など小池支持勢力と合わせると、定数127のうち79議席を確保、過半数を制した。小池知事は、「都民ファースト対古い自民党東京都連」の構図を演出し、都議会過半数を獲得したのである。
 自民党は、勝敗に大きく影響してきた1~2人区で都民ファースト(以下、都民ファ)に敗北、これまで複数当選であった3~5人区で都民ファ、共産に、一部では民進候補にも議席を奪われている。
 日本共産党は、現有17から2増の19議席となり、民進は(都民ファへの脱走の後の)7議席から5議席へ、生活者ネットワークも2減の1議席に後退した。
 投票率は51・28%を記録し、ここ20年間6回の都議選では09年の54・49%に次ぐ高さとなり、自民惨敗に大きく影響した。
 この都議選の結果、政治情勢が大きく動き始めている。
 その第一は、安倍自民党の歴史的大敗によって、首都から安倍政権の崩壊が始まったことだ。
 安倍政権は03年秘密保護法、15年に戦争法、そして今年6月に共謀罪法を労働者市民の反対を圧殺して強行成立させた。さらに、暴力で弾圧して辺野古新基地建設を強行し、森友・加計疑惑では政治を私物化した。またさらに、自身の任期を意識しての9条改憲案を唐突に出してきた。強権的・差別的な安倍政権の傲慢きわまりない暴走に、保守系を含む多くの市民が疑念を抱き、その怒りが自民惨敗に結果した。
 加計疑惑で実施された7月24・25日の衆参閉会中審査でも、ますます疑念が深まり、8月の内閣改造によっても支持率回復は困難だ。その内閣支持率は、毎日新聞調査では26%と劇的に低落し、共同通信調査では支持率36%だが不支持53%と出た。

   小池都政との対決を

 第二は、都民ファをはじめ小池支持勢力の躍進によって、築地市場の豊洲移転、「東京大改革」と称する民営化・新自由主義政策が強行されようとしていることだ。
 小池知事は都議選公示直前の6月20日に、これまでの移転慎重の言説を転換し、「築地・豊洲両市場の活用」なる方針を提示した。選挙対応の措置である。豊洲市場は、高濃度の汚染が確認され、そのうえ大地震やそれに伴う液状化で汚染物質の噴出・揮発が想定され、食の安全確保は不可能に近い。
 しかし知事方針は、公設中央卸売市場は豊洲に移転というのを基本とし、更地にした築地は東京オリンピックの後、築地ブランドを活かした何らかの施設に、というものである。これが「築地も活用」なのか、築地市場の消滅ではないか。
 さらに小池知事は、都営交通の民営化を突破口に、公立保育園、上下水道など都政のすべてで民営化・外注化を進める新自由主義都政を推進せんと目論んでいる。それは、都の労働組合を解体し、非正規労働者をはじめ全労働者の権利と生活の破壊を意味する。築地跡地を売却しない、という小池の言説も当てにならない。豊洲移転反対、労働運動破壊の小池都政NO!、安倍打倒の闘いを強めなければならない。
 
   国政では安倍別働隊

 小池「都民ファ」が、現在の野党共闘を分断・かく乱し、東京から野党再編をねらうことが有りえる。国政選挙進出を図れば、明確にそうなる。これが第3の点だ。小池は国政では安倍首相と同様、憲法改悪の日本会議に連なる。
 都議選1人区の出口調査によると、都民ファが支持層の大半を固めた上に、自民支持層の票を多数取り込んでいる。格差拡大・貧困の新自由主義社会では生きていけない青年・学生・非正規労働者をはじめ多くの人々が、変化を求めて都民ファに投票した。投票率拡大は、このことを表現している。したがって今後の知事による新自由主義政策遂行は貧困・格差を拡大し、いずれこれらの人々との矛盾を深める。小池支持派の動向を注視する一方、小池知事を追いつめ正体をバクロする闘いが求められる。
 さらに、都民ファ躍進の背景には、左翼的・民主的勢力、また革命的左翼の立ち遅れがある。これら左派は戦線を立て直して、労働者市民の生活を守り、住民自治を基礎にした共生・協同社会のビジョンと道筋を示すなど、左派再生の努力が求められている。
 なお、都民ファの他に、安倍批判の受け皿となりえたのが日共と言われるが、得票率で見ると、前回13・6%を今回13・8%に微増させたにすぎない。近年の高めの得票率を維持することはできているが、日共も無党派票は都民ファに持っていかれている。
 18歳から20代の若者が自民支持や排外主義にからめてられている傾向は、深刻な現実だ。希望ある未来を提起し、青年層を引きつける新しい政治勢力が問われている。

   「第三極」の前進を

 いよいよ、暴走してきた安倍政権が失速し、打倒されるべき時がきた。そのためには、自公維(一極)に対する野党共闘(二極)が必要なだけでなく、労働者・市民自身による左翼的・民主的な政治勢力(三極)の前進が問われている。この「第三極」政治勢力の推進軸となるのが、革命的左翼勢力の団結・統合である。
 未来社会のビジョンと道筋を追求しつつ、小異を残して大同につき、日本革命・世界革命の大道を進もう。今こそ好機、時を逃してはならない。(首都圏委員O)


成田空港拡張は人権破壊
  第3滑走路・夜間制限緩和に反対し、7・2東峰現地行動

 7月2日、三里塚空港に反対する連絡会は、旧東峰共同出荷場跡で「三里塚・東峰現地行動」を行ない、45人が参加した。
 国交省―成田国際空港会社は、アジア国際空港競争からの劣勢状況をばん回するために、千葉県、空港周辺市町による四者協議会(2016年9月)で、過密運航による安全軽視・空港公害の拡大を前提とした以下の案を提示した。
 それは①第三滑走路建設計画案(空港南東の芝山町に建設する)、②B滑走路拡張(北側に1000m延伸し、3500mに延長)、③成田空港の深夜・早朝の飛行制限時間について、現在の午後11時~午前6時から、午前1~5時に三時間短縮する、である。
 すでに、空港用地内・周辺の住民から多くの反対・疑問の声が出ているにもかかわらず無視し、協議会は案を「了承」してしまった。成田国際空港会社の夏目誠社長は、「期限は区切らず丁寧に説明する。住民と双方向の対話をして理解を得たい」などと述べ、アリバイ的な住民説明会を各地で開催していくことになった。
 各地の説明会では、夜間飛行制限時間緩和に対して、「4時間しか眠れない」「安静な夜を奪うな」「人権破壊だ」などの猛烈な抗議が出た。空港会社は、17年6月12日の四者協議会で、住民の抗議を回避するために見直し案(①20年までにA滑走路の発着時間を午前6時~翌午前0時に変更、②第三滑走路供用開始後、午前5時~午前0時半)を提示してきた。
 最終的には現行より2時間半延長となり、あくまでも飛行発着回数の増加を前提とした夜間飛行時間制限緩和攻撃という性格は変わらない。推進派は、空港会社と一体となって、カネ儲けとバラマキの地域振興の充実と称して対策金の増額をねらった住民分断を強めている。空港周辺の住民は、空港会社をはじめ四者協議会の談合に対する不信と怒りを強めている。
 加瀬勉さん(多古町、反対同盟大地共有委員会Ⅱ代表)は、多古町牛尾地区説明会で、なんら反省しない国、空港会社に対して厳しく弾劾した。
 空港会社の利益優先のための強引な手法は、5月31日未明の千葉地裁八日市場支部による、三里塚芝山連合空港反対同盟(柳川秀夫代表世話人)の横堀現闘本部(第二ターミナル東側の誘導路内)を撤去する強制執行へと結びついている。横堀現闘本部撤去糾弾!用地内で闘い続ける農民と連帯し、新たな第三滑走路建設、飛行時間の拡大に反対していこう。

 連絡会は、2日午前中、横堀鉄塔の中段に設置されている「抗議する農民」(沖縄の彫刻家・金城実さんの作品)を降ろす作業を行なった。今後、像を補修していく予定だ。さらに横堀研修センターの清掃・整備作業などを行なった。
 集会は、最初に山崎宏さん(横堀地区)が現地報告。「四者協議会で2020年に向けて一時間短縮すると再提案してきた。しかし一方的であり、先々裏切られるだろうと不信感で一杯だ」。「『成田第3滑走路実現を目指す会』は、アジアとの国際空港競争に勝ち抜くために必要だとしているが、空港拡大は、単に経済的な面以外に安倍政権が推進している戦争政策と一体でもある。空港の軍事利用に反対していこう」と訴えた。
 石井紀子さん(成田市川上・農業)は、「川上の住民はとんでもないと怒っている。空港反対運動に参加してこなかった人々も抗議し、説明会はぐちゃぐちゃになった。住民は了承しない。もうひと踏ん張りしていこう」とアピールした。
 平野靖識さん(三里塚らっきょう工場)は、東峰地区の説明会のやりとりなどを報告。「円卓会議で『抑制的な運用につとめる』と合意し、7時間の飛行禁止を行なうこととなった。こんな約束も投げ捨てようとしている。」「天神峰地区の市東孝雄さん(北原派)の畑を取り上げる不当な判決が昨年、最高裁で出たが、現在、土地取り上げの執行をさせないための裁判が千葉地裁で行なわれている。円卓会議では、用地問題の解決で強制的手段はとらないと合意している。」「ともに三里塚を闘った沖縄の宮城せつこさんが亡くなり、遺族の意向により三里塚の地に散骨した」と報告した。
 大森武徳さん(らっきょう工場)は、5・31横堀現闘本部破壊の抗議行動を報告。
 横堀団結小屋維持会は、午前中の作業を報告し、拠点防衛の重要性を強調した。また、映画『三里塚のイカロス』(代島治彦監督)の9月上映開始を報告した。
 渡邉光春さん(関西三里塚闘争に連帯する会)は、4・9関西空港反対集会、3・25反空港全国連絡会の全国交流会(静岡)を報告。
 集会後、開拓道路に向けてデモ行進を行なった。(連絡会の共同報道文を編集部責任で要約)

 3月25~26日、静岡市内で反空港全国連絡会交流集会が開かれた。25日には、「空港いらない静岡県民の会」総会が行なわれ、全国から40名が参加した。
 交流集会では、各地からの報告が行なわれた。「八重山・白保の海を守る会」は、石垣島新空港の問題を報告。13年3月に開港したが、すでに2ヵ所の陥没が発生、さらなる陥没や土壌流失がすすむ危険性が報告された。
 関西新空港については、「泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会」が、「外国からの訪問増により離発着回数は16万回を超えたが、空港のかかえる問題は変わることはない」と報告。
 静岡空港では需要低迷と運営権売却策動、成田空港の第3滑走路問題、羽田空港の騒音問題などが報告された。
 また4月9日には、大阪府泉南市で関西新空港反対!泉州現地集会(主催・泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会)が取り組まれ、45名が参加、岡田浦より樽井までデモ行進を行なった。(編集部)