連合の安倍加担が破綻
  8時間制破壊・労基法改悪案の粉砕へ攻勢を

 8時間労働制破壊の突破口となる「高度プロフェッショナル制度」導入、裁量労働制拡大、残業労働時間規制などを中味とする、政府提出の労働基準法改定案が今秋臨時国会で山場となる。
 この状況下、連合が「高度プロ制」などを容認して、7月19日に「政労使合意」を結ぼうとしていた策動が、連合内外の労働者の抗議によって粉砕され、連合・神津指導部は結局、27日の中央執行委員会で政府案反対を再確認せざるをえなくなった。連合の修正合意は、104日休日を入れて容認とするもので、週休二日制の確認に過ぎない。
 7月12日の全国ユニオンによる修正合意反対声明から、傘下に批判の声が広がった。それでも逢見事務局長は17日に民進党と擦り合わせを行ない、強行せんとしたが、19日に、お茶の水の連合会館前で労働者・市民が「勝手に代表するな!」と抗議行動を行なった。このあたりから流れが変わっていった。
 この過程は、政労使合意の「修正案」で闘いが台無しにされることを阻止するとともに、ひろく各界に、連合は労働者を代表する資格があるのかという批判を決定的なものにした。そして政局的意味としては、沈みゆく安倍政権に連合と民進党が助け舟を出すという構図が破綻し、安倍政権の危機を促進することとなったのである。
 「修正」はいっさい必要ない。最低線は、既提出である野党4党の労基法改正案である。今秋臨時国会で安倍政権と労基法改悪案を粉砕しよう。(A)


米日の朝鮮攻撃絶対阻止
  在日米軍基地は、国内戦場化のリスク

 朝鮮民主主義人民共和国が7月28日、同月4日の発射を向上させて、米本土に到達可能な大陸間弾道ミサイルICBMの打ち上げに成功し、朝米間の緊張が高まっている。ここで日本政府が本来とるべき態度は、米側べったりとなって緊張をあおることではない。日本の平和外交としては、朝鮮先制攻撃拠点としての在日米軍基地の使用を容認せず、米朝妥結の仲介をとることである。
 アメリカにとって、とくにトランプ政権にとって、米本土防衛が最重要課題であり、そのためなら地域限定核戦争すら容認している。米ソが中距離核配備で対峙した1980年代も、そうであった。韓国や日本という同盟国防衛は二義的であり、THAADやパトリオットによるミサイル防衛は、在外米軍基地を守るためのものである。
 朝鮮のいわゆる自衛的核抑止戦略は、韓国・日本を射程とする短中距離ミサイルを実戦配備し、さらに米本土が射程に入るICBMの実戦配備を実現することによって、アメリカに朝鮮攻撃を断念させ、朝米国交を樹立させることである。朝鮮のこの戦略は、効を奏しつつあるとも言えるが、トランプ政権が無謀な判断を行なえば、一挙に崩壊する危険性ももっている。
 戦争は絶対にあってはならない。朝鮮の核・ミサイル開発に関するこのかんの国連安保理決議は、朝鮮戦争以来の米朝関係に公正に対処しておらず、この安保理決議を口実とした戦争はあってはならない。
 安保理常任理事国の中国とロシアは7月4日、朝鮮の核・ミサイル開発の中止と米韓合同軍事演習の中止の同時実施などを求める共同声明を出した。また中国の王外相はこのかん、朝鮮停戦協定の平和協定への転化の必要についても触れている。トランプ政権は、中国に朝鮮経済制裁強化をつよく求めている。しかし中国政府に求められるのは、そうした常任理事国としての立場からの行動ではなく、朝鮮停戦協定当事者としての積極的行動ではないのか。
 今は対話など論外、制裁強化のみなどと言っているのは、日本の安倍政権だけである。韓国の文在寅政権は対米関係を考慮しつつも、決定的な重要事としての南北対話の再開、2000年南北合意の復活のために努力しつつある。
 近年の日本の安全保障環境の大きな変化の一つは、朝鮮と中国のミサイル能力の向上によって、東アジアで大規模な戦争が起きれば、日本・沖縄の米軍基地にミサイルが飛んでくる、日本領域が戦場化するという変化である。つまり在日米軍基地は、「抑止力」ですらなく、もはや戦場化を誘引するリスクでしかなくなった。日本の各界がこれを認識し、日米安保そのものを問い直すことが求められる。
 いわゆる平和安全法制(戦争法)は、このリスクをまったく解消せず、逆に増大させ、さらには自衛隊基地や原発などもリスク化する。戦争法は、朝鮮や中国にとっては、アメリカと戦争になれば日本も参戦してくるというものである。これまでの兵站支援だけではなく、日本軍も攻めてくるのなら、日本に対しても反撃せざるをえない。
 戦争法を廃止することは、もはや左右をこえた常識と言わねばならない。
 7月7日、国連総会で核兵器禁止条約が、国連加盟国3分の2の122ヵ国の参加で採択された。核兵器とその使用威嚇(抑止力)が、ついに非合法化されたのである。日本の原爆被爆者運動・平和運動はこの条約を推進したが、安倍政権が「核の傘」の妨げになるなどとして参加を拒否したことは、国辱ものである。
 この条約が発効すれば、参加国すべてで核の持ち込み等が非合法化され、アメリカなどの核戦略は厳しい制約を受ける。
 未参加の朝鮮との関係で言えば、どうか。日共が、「国際社会がこの条約を力にして、北朝鮮に核開発の放棄を迫ることが重要」などとしているのは、誤った条約の使い方である。条約は、核保有国にも、第4条2で参加の道を開いている。どのような条件が満たされれば、朝鮮もこの条約に参加できるのか。朝鮮政府には、朝鮮半島非核化の金日成遺訓を守るならば、その検討をぜひ求めたい。(W)