不当逮捕54年、狭山事件再審を求める5・23集会
  有罪「三大物証」は全崩壊

 逮捕から54年、「有罪の三大物証」ねつ造が満天下に示され、狭山事件確定判決・寺尾判決(1974年10月31日)の根拠がすべて崩壊した。
 5月23日、「不当逮捕54年!いまこそ事実調べ・再審開始を!5・23狭山事件の再審を求める市民集会」が、東京・日比谷野外音楽堂で開催され、2600名が結集した。主催は、狭山事件の再審を求める市民集会実行委。
 石川さんはすでに78歳、一刻の猶予も許されない闘いだ。
 弁護団は今年3月、流王英樹土地家屋調査士による調査報告書を提出。それは①鞄発見現場と、自白で鞄を捨てたという場所が喰い違っていること、②鞄発見が、自白にもとづく「秘密の暴露」ではないことを明らかにした。
 この報告書は、10年・20年に証拠開示されたものの検証によって、鞄発見地点と自白上の鞄処分地点が東西で32・4m、南北で16・4m離れていること、しかも鞄発見場所は幅1・3mの久保川だが、自白は「山と畑の間の低いところ」と全く別の場所であること等を示している。開示された新証拠の検証によって、鞄の発見が虚偽であることが証明された。
 すでに発見万年筆は、16年8月提出の下山鑑定によって、被害者の物ではない偽物であること、また腕時計も、12年9月提出の新証拠で、被害者の物でないことが時計修理士の鑑定で明らかになっている。「鞄」「万年筆」「時計」という三大物証は、すべて崩れた。
 さて集会は、組坂繁之・部落解放同盟中央本部委員長の開会挨拶で始まり、「逮捕されてから半世紀、次から次へと無実を示す証拠が出てきた。石川さんが元気なうちに何としても冤罪を晴らす」と決意が表明された。
 石川一雄・早智子さんが登壇。一雄さんは、「読み書きができるようになって、初めて曽我物語を読み、不屈の精神を学んだ。屈せずに闘えるのは、獄中で曽我兄弟を読んだからだ。今年中に決着をつける」とし、
 下山の鑑定もとに高裁へ 再審開始の雷鳴響く
 と詠んだ。
 中北龍太郎・狭山弁護団事務局長は、「第3次再審請求では、187点の証拠開示をさせ、191点の新証拠を提出した。検察は、下山鑑定への反論を何とかして出そうとしているが、いまだ出せない。夏頃には出すかもしれないが、出れば必ず叩きつぶす」と表明した。
 西島藤彦・解放同盟中央本部書記長は、「全国津々浦々で、新証拠をしっかり学習し、世論に訴え、無罪を勝ちとる」とする基調を提案した。
 連帯アピールでは冤罪事件被害者からは、袴田事件の袴田巌さんの姉・秀子さんが、「巌は、1日2時間半、走ったりして元気だ。(無罪を確定させる)裁判はまだまだ続く」と報告。足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さんが発言した。また、作家の雨宮処凛さんが、「共謀罪が成立すると、冤罪が拡大する」と警鐘を鳴らした。
 集会後、銀座方面へのデモ行進に出発した。地域・職場で石川無実をあらためて訴えよう。再審開始を今年こそ実現しよう。(東京O通信員)


福島原発告訴団・支援団の闘いに押されて
  東電刑事公判6・30開始

 東京地裁は5月24日に突然、福島原発事故の刑事責任を問う東京電力旧経営陣3名の初公判を、6月30日・午前10時に開廷すると決定した。
 これは、福島原発告訴団、福島原発刑事訴訟支援団などのこのかんの闘いが、司法当局と東電・国・「原子力ムラ」、これらを追い込んだ結果である。
 2015年7月、東京検察審査会が強制起訴を議決し、16年2月29日に指定弁護士が、東電の勝俣恒久元会長、武藤栄・武黒一郎副社長ら3名を起訴してから、すでにあまりにも時が過ぎている。東電・国・「原子力ムラ」が、公判前整理手続きなどを口実に、こぞって公判開始の引き延ばしを計って来たからである。
 東京地裁・永渕健一裁判長は、ようやく今年3月29日、公判前整理手続きの第1回協議を開催した。検察官役の指定弁護士は、約4千点の証拠を早くから東電側弁護士に開示しており、整理手続きは争点整理であって長期に渡るはずがない。
 このかん福島原発事故被害者や訴訟支援者は、整理手続き協議が行なわれる3・29、4・28、5・18と東京地裁前要請行動を百数十名規模で続け、一日も早い公判開始を訴えてきた。
 5月18日の行動では、福島原発告訴団の海渡弁護士が、「刑事責任で新事実が明らかになった。東電は、政府地震調査研究推進本部の見解を取り上げざるを得ないと判断し、津波対策の予算を決めた。それでもカネがかかるとして止めている。これが分かってきた」と、起訴後の新事実を明らかにした。3回目協議のこの日は、次回協議が6月6日とされたが、初公判の日程は決定できなかった。しかし24日、要請行動と世論に押されてやっと日程が出たのである。
 この裁判で、東電の刑事責任(業務上過失致死傷など)を明らかにすることは、福島原発事故被害者の支援の上でも、また各地の原発再稼動を抑止する上でも極めて重要だ。
 関西電力高浜4号機の5・17再稼動を糾弾する。高浜3号機、九電玄海原発、関電大飯原発の再稼動を阻止しよう!(東京O通信員)