韓国サンケン、6・2労使合意
  原職復帰で勝利!

 6月2日、韓国では、民主労総全国金属・韓国サンケン支会と、韓国サンケン株式会社との間で労使合意が達成され、昨年来、日本遠征団を派遣して闘われていた韓国サンケン闘争が勝利をもって集結した。その合意書によると、「会社は、今年の中央労働委員会判定に遺憾の意を表し、ここに生産部署の廃止を撤回し、整理解雇者16人全員の生産職への復職を行い」と記されている。
 解雇撤回・原職復帰は、スミダ電機などこれまでの韓国進出日本企業での闘いでも実現されたことがなく、今回の合意は画期的な成果である。そして韓国・日本の労働者民衆が、連帯して闘ったことの確かな成果である。(編集部)


文在寅新政権と韓国政治
  求められる広範な進歩政党建設
                                 大畑龍次

 韓国では5月9日、第19代大統領選挙が行われ、「ともに民主党」の前代表・文在寅(ムン・ジェイン)候補が大統領に当選した。得票率は41.08%、2位に「自由韓国党」の洪準杓(同24.03%)、3位に「国民の党」の安哲秀(21.41%)となった。ちなみに、投票率は77・2%だった。大統領不在のなかで行われたため、引継ぎ期間をおかずに翌日10日に新政権をスタートさせた。首相に全羅南道知事の李洛淵(64)、国家情報院長に徐薫(62)をそれぞれ指名した。韓国では慶尚道と全羅道との地域対立があり、大統領が慶尚道出身なことから、首相に全羅道の人物を起用したバランス人事。また、国情院長に指名された徐薫は、2度の南北首脳会談を担った朝鮮専門家。なお、首相は国会での聴聞会を経て承認され、内閣の人事は首相によって行われる。日米中ロの首脳との電話会談で外交もスタートさせ、「条件が整えば平壌に行く」とも明らかにした。秘書官との散歩、職員食堂での食事、秘書官棟での執務、大統領の動静公開など「開かれた大統領」の姿を見せた。最近の調査では、新政権への期待度は前政権を上回る87%に上っている。
 文在寅は弁護士出身の64歳。学生時代には民主化運動にも参加し、地元の釜山で人権派弁護士として活躍した。同僚弁護士に盧武鉉元大統領がいたことから、廬武鉉政権では大政権のナンバー2の統領秘書室長を務め、2度目の南北首脳会談にも関与した。前回大統領選挙にも出て朴槿恵氏と最後まで争った。こうした経験と知名度が支持を拡大したと思われる。今回の選挙では「積幣清算(旧体制の弊害の清算)」を掲げ、朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への融和的な姿勢、公務員増による雇用創出などを訴えた。南北問題では、中断している開城公団の再開などとともに「経済統一」を目指すことを明らかにした。
 文在寅当選の勝因はどこにあったのか。第一に、昨年10月からのキャンドル革命の受け皿となったことだ。キャンドル集会は20回にわたって行われ、延べ1700万人が参加したという。この闘いは、87年の民主化ならびに労働者大闘争に匹敵する闘いであり、この大闘争が野党第一党の「ともに民主党」の支持率を押し上げ、同党候補の文在寅の当選となった。キャンドル革命によって生まれた大統領である。勝因の第二は、独走する文在寅に対抗する保守・中道の候補一本化が進まなかったことが挙げられる。与党「セヌリ党」は反朴・非主流派が「正しい政党」を立ち上げて離党。主流派も「自由韓国党」と党名変更してイメージ刷新を図った。保守統一の有力候補だった潘基文前国連事務総長などの不出馬宣言などで与党分裂のまま選挙戦に突入し、最後まで候補一本化できなかった。さらに、中道の安哲秀との一本化も実現せず、安哲秀は政策ブレを露呈して失速してしまった。
 
   課題山積の新政権
 
 与党から野党への政権交代であり、キャンドル革命によって生まれたことから、大きな政策的な転換が行われると思われるが、前途多難も予想される。内政問題では、腐敗した権力構造の改革、低成長に突入した経済の活性化、財閥主導の経済政策の見直しと経済民主化、格差是正などが挙げられる。外交問題でも、南北対立、周辺4大国といわれる日米中ロ間の対立・葛藤のなか、新政権の独自性がどれだけ出せるのかが問われる。国会勢力としては「ともに民主党」(議席数119)が第一党だが、「国民の党」(同40)と「正義党」(同6)の協力なしには議員総数300の過半数に達しない。今後の政策遂行には他党との連立あるいは協力を取り付けることが必須だ。
 こうした国会内の協力にもましてキャンドル革命で示された民衆運動の後押しなしには、新政権の政策遂行は難しいだろう。進歩勢力では「正義党」の沈相?が大統領選挙に臨み、「正しい政党」の劉承?に次いで5位となった。その得票率は6.17%だった。朴槿恵政権下で強制解散となった旧「統合進歩党」勢力は、キャンドル革命を支え、文在寅政権の誕生に貢献したことは間違いない。文在寅新政権がその政策を実現していくためには、こうした進歩勢力などによる街頭民主主義の下支えが欠かせない。キャンドル革命の過程でも、旧野党陣営は当初から退陣を主張していたわけではなく、妥協的な道を選択していた。それを弾劾政局へと導いたのはキャンドル革命の力だった。したがって、新政権がキャンドル革命をさらに前進させるためには進歩勢力の牽制・後押しが必要である。朴槿恵政権による「統合進歩党」強制解散もまた「積幣」のひとつとして見直されなくてはならない。いや、「正義党」など既存の政党や党派をも統合した、より広範な進歩政党の建設が求められている。とりわけ新政権が進めようとしている南北の協力・共生を目指す諸政策は、日米の朝鮮敵視政策との闘いであり、国民的な支持がなければ実現は困難だろう。スタートまもない新政権の前には課題が山積している。キャンドル革命が産んだ政権だけに、民衆的な支持が今後も続かなくてはならず、キャンドル革命の新たな段階に向かわなくてはならない。
               
               
5・28第24回統一マダン東京
  休戦協定を平和協定に

 今年で24回目となる「統一マダン東京」が5月28日、日暮里駅前イベント広場で開かれた。今回は、韓国「キャンドル革命」の成果の一過程として誕生した文在寅大統領の就任によって、朝鮮半島南北の統一への気運が高まることへの期待感から、例年にも増して多くの人々が参加・賛同している。
 今回は、オープニングの司会を韓青同と朝青同のそれぞれが立て、また沖縄、アイヌ、部落解放同盟など民族的あるいは社会的マイノリティの演舞や歌を前面に出すなど、在日朝鮮・韓国人だけの祭りからより一歩連帯の輪が広がる構成となっていた。
 ここまでなら祭りに終始するところだが、すでに220日を超えて日本本社闘争を続ける韓国サンケン労組の派遣団が登壇した。派遣団は「ノレの会」とともに、韓国労働歌謡と演舞ユルトンを披露し、日韓労働者民衆連帯によるサンケン闘争勝利を訴えることができた。
 最後は、メインゲストの朴保さんが、アリランやイムジン河などを熱唱、駅前のオープンスペースに響きわたり、朝鮮半島南北統一の気運で大変な盛り上がりをみせた。
 日韓・日朝労働者民衆連帯の力で、朝鮮戦争停戦協定の平和協定への転化、北東アジアの平和実現をかちとろう。米日の戦争挑発を阻止しよう。平和統一実現への支持をひろげよう。(東京Ku通信員)