トランプ砲艦外交に便乗し、「9条改憲」新提案
  安倍の挑発は墓穴へ

 米トランプ政権の「砲艦外交」によって、朝鮮半島情勢が緊張する中、4月末に安倍政権が戦争法の「武器等防護」を発動した。この戦争挑発の暴挙に続いて、安倍は5月3日の憲法記念日に、「9条に自衛隊明記の第3項を追加」、「2020年に施行」とする新見解を表明し、政治的挑発を行なった。
 これらの挑発は、安倍首相の好戦的野望をあらためて示すとともに、彼の焦りをバクロするものでもある。わが日本・沖縄民衆の闘いによって、安倍の野望は粉砕され、改憲勢力は混乱に陥っていくだろう。
 このかん3~4月に米韓合同軍事演習が強行される中、トランプ政権は4月6日、シリアにトマホーク59発のミサイル攻撃を強行した。アサド政権の「化学兵器使用」疑惑を口実にした、国連安保理決議も無い侵略攻撃であった。13日には、アフガニスタンで超大型爆弾を初めて実戦使用した。
 これらは、なんの政治的展望もなく、ただ米国の腕力はまだ強いぞと誇示しただけの凶行であったが、日本の首相はこれを支持する醜態をさらした。
 対朝鮮政策では、トランプ政権は前政権の政策見直しを指示し、これを安倍は、「すべての選択肢がテーブルの上にあるというトランプ大統領の姿勢を評価する」(3・26電話会談)と持ち上げた。
 4月18日、来日したペンス米副大統領が「平和は力によってのみ初めて達成される」、また26日の米下院公聴会では、ハリス太平洋軍司令官が「米国は先制攻撃の様々な選択肢がある」などと発言した。米韓演習さ中の、露骨な先制攻撃の威嚇である。
 この軍事脅迫の他方、4月26日に米国務・国防・情報局3長官が、新たな朝鮮政策について共同声明を出した。この声明では、「外交的措置を追求する」、「交渉について引き続きオープンである」などが前面に出されている。5月1日、トランプは「適切であれば、当然会談する」と米朝首脳会談について初めて語った。
 日本では、冷静な情勢分析を欠いて、空母カールビンソンの北上とともに戦争モードが掻き立てられた。カールビンソンとその艦載機、またB1B爆撃機と、海自イージス艦、空自戦闘機との演習が、相次いで強行されている。
 安倍は、これら東シナ海・日本海での軍事行動について戦争法(自衛隊法95条「武器等防護」)を発動するのではなく、へっぴり腰で、太平洋側での米補給艦防護として発動した。ヘリ空母「いずも」などに発令され、「いずも」は5月1日横須賀を出航して、初めて米艦防護が実施された。しかし、ヘリ空母は防空能力が脆弱であり、また南方へ向かう途中の一時的な実施にすぎない。
 とにかく戦争法実施の既成事実を作りたい、そのために朝鮮情勢を利用する、平和的外交政策はすべて拒否する、という政治である。
 この政治の延長で、安倍の9条改憲案が、5月3日読売朝刊と、「日本会議」主導の改憲集会とで表明された。自民党改憲草案は、9条2項を抹殺し、国防軍規定に変える内容である。しかし安倍の新案は、公明党の「加憲」に近い。国会3分の2を取っても、憲法審査会は9条改憲に正面から向き合わない、このままでは俺の任期中に偉業を成し遂げられない、という安倍の焦燥感が示された。
 森友問題に続き、今村復興相が「まだ東北で良かった」暴言(4・25)で更迭され、安倍の指導力は深手を負った。その改憲新案で、改憲勢力をまとめる力は残っているのか。安倍打倒の境地が近づいてきた。