韓国・中労委が、不当解雇と4・28判定
  進歩政党ノ・フェチャン議員らも、3・8サンケン本社要請、3・9院内集会

 本紙前号に、韓国サンケン解雇撤回争議での「3・26サンケン電気本社抗議デモ」が報道されているが、これを補足して3・8~9の韓国国会議員ノ・フェチャンさんらの訪日行動について、また4月28日に韓国の中央労働委員会が、不当解雇とする判定を出したことについて述べる。
 3月8日、正義党(今や唯一の、韓国国会に議席を持つ進歩政党)の院内代表であるノ・フェチャン議員と、民主労総・全国金属労組の幹部が来日し、埼玉県新座市のサンケン本社で整理解雇撤回の要請行動などを行なった。
 この日は、サンケン労組遠征団と「支援する会」が特別に夕方退社時にも行動を設け、これに合わせる形で、ノ・フェチャン議員が羽田から韓国大使館の車で駆け付けた。議員公務としてサンケン本社に面会を通告してあったが、本社側は非礼にも面会を拒絶してきた。ノ・フェチャン議員は、この事態を予測し、用意していた抗議書簡を本社側に直接手渡した。
翌日9日、ノ・フェチャン議員は、社民党、民進党、JCM(金属労協)と会談し、韓国サンケン労組支援の確約を取り付けた。夜には、参院議員会館で院内集会が開かれ、「キャンドルの闘いと今後の韓国の行方」という演題で講演を行なった。この集会は、韓国サンケン労組を支援する会に参加する全労協系組合、日韓民衆連帯運動、社民党関係者など数十名が参加し、韓国民衆運動に連帯する熱気にあふれていた。
ノ・フェチャン議員は講演で、次のように語った。キャンドル市民革命では、韓国民衆は公正な社会、労働が尊重される社会を熱望した。野党は分裂するのではなく、また既得権を振りかざしてはならない。韓国民主労総が重要な役割を担っている。3月10日に憲法裁判所がパク・クネ弾劾の表決を必ず行なうだろう(事実、全員一致で弾劾を支持し、パク・クネは大統領職を失職した)が、これ以降が大切であり、民衆は社会を変えるために闘いを続けていかねばならない。また、パク・クネの拙速な日韓「慰安婦」問題合意、安倍政権による少女像への対応、これらは不当なものである。そしてTHAADミサイル配備は、朝鮮半島の平和を破壊するものだ。
この講演の後、韓国金属労組のファン・ウチャン副委員長、ホン・ジウク慶南支部長、韓国サンケン労組遠征団の紹介と決意表明が行なわれて、3・9院内集会は終った。
さて、3・26本社デモ(約200人)後の動きとしては、4月11日に韓国・中労委が、26日までを期限とする「和解案」を提示していた。これは、昨年12月27日に慶南地方労働委員会が不当解雇と判定し、会社側がこれを不服として再審を中労委に求めていたからである。
しかし会社側はその間も、解決のための誠意をまったく見せず、韓国サンケンの売却とか希望退職とかの矛盾した言辞に終始していた。
結果、4月28日韓国・中労委は、整理解雇を不当解雇と判定した。中労委が韓国サンケン労使双方に送った判定通知文では、「初審維持」と記されている。
昨年10月来、遠征団と日本側支援によって本社闘争が続けられている。4・28判定をかちとり、韓国サンケン闘争は勝利へ向かって前進している。(Ku)


5・1日比谷メーデー
  日韓労働者が連帯し

 5月1日、東京では第88回「日比谷メーデー」が、全労協などによるメーデー実行委員会によって開催され、日比谷野外音楽堂の内外に約7000人の労働者・市民が結集した。
 このメーデー行動は、統一スローガンとして「労働法制の改悪反対!一日8時間労働制の破壊を許さない!」、「福島を忘れない!原発の再稼動糾弾!辺野古新基地建設阻止!」、「戦争法廃止!許すな共謀罪!憲法改悪を許さない!」の3本を掲げる闘うメーデーである。
 午前10時前、平賀雄次郎さん(中小民間労組懇談会)が開会宣言を行ない、主催者挨拶
を鎌田博一さん(国労東京地本)が行なった。安倍政権のまやかしの「働き方改革」を批判し、また共謀罪など戦争国家体制づくり、原発押し付け・沖縄への基地の押し付けなどに断固反対する基調が述べられた。
 同日、代々木公園で開催中の「中央メーデー」実行委からの連帯挨拶が、館野豊さん(全労連書記長)からなされた。(他方、日比谷メーデー実行委からは中岡基明全労協事務局長が、代々木公園で連帯挨拶をした)。
 韓国民主労総からのメッセージが披露された。パク・クネを退陣へ追い込んだ韓国労働者のこのかんの闘いが報告されるとともに、韓国サンケン闘争勝利などへ向け、韓日労働者のさらなる連帯が呼びかけられた。
 続いて、韓国サンケン労組遠征団の3名が登壇し、キム・ウニョンさんが日本本社との闘いを報告、またユルトンを披露して、大きな連帯の拍手に包まれた。
 各課題からは、非正規雇用について成田由佳理さん(練馬区図書館専門員労組)、外国人労働者について山崎亜樹さん(全統一)、反戦平和について土井登美江さん(5・3憲法集会実行委)がアピールした。争議組合からは、東京東部労組メトロコマース支部の後呂良子さんが、東京地裁の3月不当判決を許さず、非正規差別撤廃まで闘うことを訴えた。
メーデーアピールの採択、金澤全労協議長の音頭で「団結がんばろう」を行なった後、2コースでメーデー行進を行なった。
直面する課題、「働き方改革」関連法案は現在、労政審で審議中である。過労死ライン月80時間を超える長時間労働の容認、「高度プロ制」導入で8時間規制破壊、などを中味とする法案が目論まれている。秋の臨時国会時が、闘いの山場となる。(東京W通信員)


5・1釜ヶ崎メーデー
  非正規は階級的団結へ

 5月1日、大阪・釜ヶ崎では「第48回釜ヶ崎メーデー」が行われた。
 西成総合センターの中央には、今年もメーデーの横断幕がかかげられ、のぼり旗が林立する。労働歌が流れ、多くの釜ヶ崎労働者が注目する中、集会が行なわれ、その後180名の隊列で地域内デモ行進を貫徹した。
 また今年も、大阪の「連合メーデー」に清掃の仕事として、約100名の釜ヶ崎労働者が参加することができた。
 現在、日本の労働運動は重大な局面を迎えている。総理府の調査でも、非正規が40%に達し、また厚労省調査では、労働組合組織率が17・3%でしかない。
 また基幹労連の組合員調査では、自民支持23%が民進支持18%を大きく上回った。本工主義で非正規を切り捨ててきた既存の労働運動では、増大する非正規労働者を組織できない。これでは、現在の安倍政権による「働き方改革」の攻撃と対決できない。
 この現状をみすえ、正規・非正規を貫いた階級的団結をめざして、「釜メーデー」を闘うことができた。
 重要な闘いが続く。護岸工事を始めた辺野古新基地、高浜原発の再稼動、そして共謀罪との闘い。釜ヶ崎の第一級の課題としては、野宿労働者自立支援法の再延長を闘いとることである。「安心して働き生活できる社会」を目指して、団結し闘おう。(釜ヶ崎S)


4・5院内集会
  自立支援法の10年延長を!

 去る4月5日、東京の参議院会館講堂で、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法の延長を求める院内集会」が開かれた。主催は、NPO法人ホームレス支援全国ネットワーク。同ネットワークは、8月6日に期限を迎えるホームレス自立支援法(野宿労働者自立支援法)の再延長を求めて、このかん署名活動を行ない、同法が議員立法のため、各政党への働きかけを行なってきた。
 集会には大阪・釜ヶ崎より71名、新宿より30名、横浜・寿より20名余の当事者がかけつけ、全体で289名の参加があり、熱気のある集会となった。
 集会の要望事項は、①特別措置法を以降十年間延長する。②法律の延長に関しては、前回同様全会派一致の対応を求める。③特別措置法の主旨に従い、現在の「生活困窮者自立支援制度」においてホームレス支援が十分になされるための施策を実施する、の3点であった。
 集会では、支援ネット代表の奥田知志理事長が、「同法がなくなれば、施策が大はばに消失し、時代が変わってしまう。生活困窮者自立支援法との両輪で、さらにホームレス支援を行なっていけるよう協力をお願いする」と挨拶を行なった。
 続いて、垣田裕介・大分大学准教授が「なぜこれからも支援法が必要か」との基調報告を行ない、また水内俊雄・大阪市立大学教授が、「生活困窮者自立支援法施行下のホームレス自立支援法事業の実績と効果」について報告した。
 同日の朝刊で、ホームレスの平均年齢が初めて60歳を越え、路上生活十年以上が過去最高になるという厚生労働省調査(昨年10月実施)結果が報道されているが、ホームレス自立支援法がなくなれば実態調査が行なわれなくなり、国の方針に基づいた対策が不十分になる可能性を指摘し、理念法としての同法の延長が提起されている。
 集会には、長本・厚労省社会援護局生活困窮者自立支援室長も出席し、「同法が回してきた役割を認め、議員立法で提案され必要とされれば政策を埋めていく」と発言した。
 自民、公明、民進、共産の各党の議員から発言があり、同法の延長について賛意が述べられた。
全国的な支援法延長を求める署名運動の取り組みと、当事者の圧倒的な参加の上に、院内集会は成功裏に終った。支援ネットはその後も、院内活動に取り組みを続けている。(関西S通信員)