辺野古の海の埋立て工事強行を許さない4・19大集会
  山城さん迎え、決意新たに

 安倍政権が、沖縄・辺野古の埋立区域を囲む護岸工事の強行をねらう緊迫した情勢下、この目論見を打破すべく、東京では「辺野古の海の埋立て工事強行を許さない!4・19大集会」が4月19日開催された。会場の日比谷野外音楽堂の内外に約3500名がつめかけ、集会・デモが貫徹された。
 主催は、基地の県内移設に反対する県民会議、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委の三者。
 この今月の「19の日」行動は、政権運営に陰りを露呈してきた安倍政権を、いよいよ追いつめる闘いとなった。辺野古埋立て工事阻止をメインに、共謀罪廃案・戦争法廃止を掲げる行動であった。
 集会は、野平晋作さん(辺野古国会包囲実行委)の主催者挨拶で始まった。「沖縄で二十歳の女性が、元海兵隊の米軍属によって性暴力を受け、殺害されてから4月28日で一年だ。それでも安倍政権は、辺野古新基地建設を強行するなど敵対している。我々は、このような犯罪行為を許さない。『近日中に護岸工事を開始する』と安倍政権は表明しているが、民意を無視した政治を我々が認めず、闘い続けることを安倍政権は恐れている。決して屈しない」と宣言した。
 続いて、3月18日に5ヵ月の拘留から保釈を勝ちとった山城博治さんが登壇、われるような拍手が沸き起こった。
山城さんは、県内移設反対県民会議からの訴えとして発言、「明日4月20日から埋立て工事が強行されようとしている。その中で今日の連帯行動が組まれている。我々に対する拘束・拘留の不当弾圧は、戦争を起こそうとする安倍政権による多くの民衆への弾圧だ。そして共謀罪の先取りだ。屈することなく闘わねば、大弾圧が来る。安倍の暴走政治を許さない。戦前の社会に戻してはならない。明日から闘いの日々になる。沖縄に力を貸してほしい」と訴えた。会場は発言の一つひとつに拍手を送り、沖縄への連帯を誓った。(なお、高江・辺野古の不当弾圧で長期拘留が続いていた山城さんら3名の内、残る添田氏は4月21日にようやく保釈された)。
 国会野党からは、民進党・近藤昭一、自由党・玉城デニーの両衆院議員、日本共産党・小池晃、社民党・福島瑞穂の両参院議員に続いて、「沖縄の風」糸数慶子参院議員が挨拶。
糸数議員は、「自民党古屋圭司選対委員長は、うるま市長選で野党系候補を詐欺呼ばわりした。しかし、新基地建設反対を言いながら当選すると、賛成に回ったのは沖縄の自民党だ。先の戦争で女性や子ども、老人たちがどんな目にあったのか。戦争で沖縄を犠牲にする安倍政権の政治は許さない」と、自民党の犯罪性をバクロした。
 各団体発言ではまず、警視庁機動隊の沖縄への派遣中止を求める住民監査請求実行委が発言、「高江にヘリパッドを造るために、警視庁など500人以上の機動隊を送ってきた。我々は監査請求を行なったが、すべて却下された。しかし機動隊の沖縄派遣は違法だ、警察は自治体警察だ」と訴えた。また、昨年12月に東京都監査委員会決定を不服として都知事を提訴した件をもとに、「東京では訴訟を起こした。6・21東京地裁第2回口頭弁論へ結集を」と呼びかけた。
 辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の毛利孝雄さんは、「辺野古基地が完成すれば10mの高さになる。そのため、広島や鹿児島の大隅など西日本各地から搬入予定の土砂で埋め立てようとしている。ケーソンは、三重県のJFEエンジニアリングで製造される。しかし戦争のために使う土砂はない。工事は、大成建設・五洋建設など大手ゼネコンが請負う。埋立て阻止での、『本土』の責任は重大だ」と訴えた。
 共謀罪NO!実行委員会の中森圭子さんは、「共謀罪は今日から実質審議が始まった。安倍は強行採決をねらっている。政府は共謀罪をテロ対策だと言っているが、それはちがう。警察捜査が拡大され、監視社会が作られる。山城さんの取り調べで、誰と誰が何をしたのかを聞いている。権力の力を見せつけ、国民を萎縮させるのがねらいだ」と訴えた。
 最後に、総がかり実行委の高田健さんが行動提起。沖縄への基地の押しつけ撤回を求める全国統一署名は4・25で最終集約。5・3憲法集会は江東区・有明防災公園。
 そして6・10には、辺野古埋立て阻止・共謀罪廃案をかかげて国会大包囲行動、午後2時~3時半に国会周辺への結集を呼びかけた。
 参加者は「辺野古新基地NO!」のボードを一斉に掲げた後、銀座方面へのデモ行進を貫徹した。
 折りしも、トランプ米政権は朝鮮民主主義人民共和国を武力攻撃する姿勢を示し、情勢が緊迫している。安倍はこの尻馬に乗って緊張をあおり、非常時モードを煙幕として、辺野古埋立て工事や共謀罪新設を強行せんとしている。日米両政権のもくろみを打ち砕かねばならない。闘いは重大局面だ、共に闘わん。(東京O通信員)


4・22東京、<4・28>シンポジウム
  沖縄は主権を行使する

 4月22日、近年恒例の〈4・28〉シンポジウムが、今年は「〈トランプ登場後の世界〉で考える―東アジアの中の沖縄/日本」と題して、東京・文京区民センターにて開催され約100名が参加した。主催は、沖縄文化講座の呼びかけによる〈4・28〉シンポ実行委員会。
 4・28は、1952年にサンフランシスコ対日講和条約が発効し、日本政府によって沖縄が米軍支配下に売り渡された日であり、今年で55年目となる。その後沖縄民衆は、この「屈辱の日」を許さず、復帰闘争を闘って日米両政府を追いつめていったが、佐藤・ニクソン両政権による沖縄返還協定の強行によって、1972年5・15には、米軍基地が維持・強化され、日本軍(自衛隊)も再配備される形での日本復帰を余儀なくされた。現在の辺野古新基地建設の強行は、この歴史の直接の延長にある。
 「本土」ではここ数十年、これら「沖縄デー」での企画や闘争は少規模となっているが、この〈4・28〉シンポは、沖縄をめぐる課題を広い視野で考え直す意義ある企画となっている。
 さて今年のシンポでは、新垣毅さん(琉球新報、現在は東京支社)が基調講演を行ない、沖縄の闘いの現状と自己決定権の行方などについて語った。
 また、康宗憲(カン・ジョンホン、元在日韓国人良心囚)さんが、現在の朝鮮半島情勢と東アジアの平和について語り、丸川哲史さん(明治大学)が米中関係などについて語った。
 新垣さんは、政府の言う「負担軽減」とは、沖縄基地のリニューアル化、米軍と自衛隊の一体化にすぎないと批判しつつ、沖縄の自己決定権については、「独立というより、拒否権、主権行使の具体性が問われているのではないか」、またそれは「国の主権というより、人びとの『主権』回復という普遍性なのではないか」と提起した。
 康宗憲さんは、現在の朝鮮と米日の緊張について、「交流が閉ざされば、相手の悪魔化が容易にすすむ」と指摘しつつ、平和協定と朝鮮半島非核化の並行推進の必要を語った。
 討論の後、辺野古からは安次富浩さん(ヘリ基地反対協共同代表)のメッセージの紹介、また沖縄反戦地主会関東ブロック、日韓民衆ネット、共謀罪反対運動から各アピールがなされて終了した。(東京W通信員)


違法工事中止せよ!翁長知事は、埋立て承認「撤回」の実行を!
  護岸工事「着工」でも、埋立ては不可能

 防衛省沖縄防衛局は4月25日、砕石が入った網袋5個を、キャンプ・シュワブ北側の波打ち際に投げ捨てた。これをもって、日米両政府は東京とワシントンで、辺野古の埋立て本体工事に着工と仰々しく発表した。
 安倍政権は、うるま市長選挙(4月23日、オール沖縄側候補が惜敗)への影響を避けつつ、5月連休に入る前に、工事進展の印象を作るという作為的な日程で、護岸工事着工を発表したのである。ねらいは、埋立ては既成事実となったとデマ宣伝して、反対運動のあきらめを誘うこと、「普天間返還の確かな第一歩だ」(菅官房長官)としてオール沖縄の分断を策すことである。が、この埋立て違法工事の「着工」は、かえって反対世論と現場の抵抗闘争に油をそそぐことになるだろう。
 いぜんとして、辺野古埋立ては不可能である。政府・防衛局は、埋立て区域の北端から護岸を延ばしていく計画である。この護岸工事だけでも、莫大な石材や生コンの搬入を、シュワブ作業ゲート前の座り込み闘争にしばしば阻止されながら、長期にわたって続けなければならない。仮にいつの日か、護岸の囲いができたとしても、埋立て予定地に流れ込む美謝川の水路変更ができなければ、土砂埋立てはできない。稲嶺名護市長が水路変更に反対しており、設計変更の場合は沖縄県知事が許可権限を持っている。政府は、この水路変更問題を解決できないまま、昨年末に工事を再開してしまった。
 政府は、この問題を後回しにして護岸工事をすすめ、既成事実の積み上げを先行させる作戦である。しかし埋立てはできないままとなる。現在の護岸「着工」も、違法工事である。3月で岩礁破砕許可が切れたのに、政府は辺野古漁協の漁業権一部放棄をもって許可は不要などとしている。しかし県知事の工事認可権限は、県域の海を守り、環境を守るためであって、漁業権の有無を超えた権限である。
 翁長知事は、違法工事差し止め裁判をただちに提訴せよ。また、3・25ゲート前集会で「力強く、必ずやります」と約束した埋立認可「撤回」を、ただちに実行すべきである。「撤回」執行に対して、政府は執行停止の裁判に出るだろうが、「撤回」実行から決戦が始まると考えるべきだろう。
4月29日には、シュワブ・ゲート前で、「辺野古新基地建設阻止!共謀罪廃案!4・28県民屈辱の日を忘れない県民集会」が実行委主催で行なわれ、約3千名が参加した。参加者は、発生から一年の元海兵隊員による女性殺害事件の被害者に黙祷しつつ、新基地建設阻止の決意を新たにした。
現在、知事の「撤回」を支える闘い方、そして非暴力実力抵抗闘争の拡大・強化について、沖縄県民の知恵が結集されつつある。これら大衆運動を基礎として、来年1月名護市長選、7月名護市議選、11月県知事選の圧勝が準備されてくるだろう。(A)


共謀罪阻止!連休明け決戦へ
  4・6日比谷野音3700人結集で、国会闘争へ突入

 共謀罪法案(277の罪に共謀罪を新設する組織犯罪処罰法改正案)は3月21日に、安倍政権によって閣議決定・国会提出された後、4月6日には衆院本会議で金田法相が趣旨説明をして審議入りが強行され、19日からは衆院法務委員会で実質審議が開始された。
 この過程は、安倍政権にとっては遅れに遅れをとる事態となっており、衆院の山場は5月連休明け以降へずれこんだ。5月2日には民進党が、官僚答弁一辺倒で議事を強行する鈴木法務委員長(自民)に対する解任決議案を提出し、さらに日程は遅れつつある。しかし政府・自公は、審議時間30時間に達したら強行採決という内容抜きの強権姿勢で、衆院強行突破をねらっている。
 この情勢下、共謀罪反対の諸勢力による最初の大規模な共同行動として、4月6日東京・日比谷野音において、「話し合うことが罪になる 共謀罪法案の廃案を求める4・6大集会」および国会請願デモが、約3700名の参加で行なわれた。主催は、「共謀罪NO!実行委員会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。
 主催者挨拶は弁護士の海渡雄一さん(共謀罪NO!実行委)で、政党挨拶が民進党・有田芳生、共産・田村智子、社民党・福島みずほ、自由党・山本太郎、参院会派「沖縄の風」・伊波洋一と行なわれた。有田参院議員は、野党第一党が共謀罪廃案で非妥協的に闘う意思を示す力強い挨拶を行なった。
 各界からの共謀罪反対の発言が、高山佳奈子さん(京大・刑法)、吉岡忍さん(日本ペンクラブ)、青木初子さん(沖縄一坪反戦地主会関東ブロック)、佐藤学さん(安保関連法反対学者の会)、山口二郎さん(立憲デモクラシーの会)と行なわれた。山口さんは、共謀罪阻止が、戦争法廃止の野党・市民共闘の発展で闘われる、安倍政権を倒そうと訴えた。
 最後に行動提起が、福山真劫さん(総がかり実行委)からなされ、連休明け5月8日の国会前行動などが呼びかけられた。
 なお、3・13霞ヶ関デモなどを闘った「戦争・治安・改憲NO!総行動実行委」(戦争法廃止・安倍たおせ!反戦実行委、組対法反対共同行動など)の仲間たちは約百名を動員して、この4・6集会・国会デモの一翼を担った。
さて、衆院法務委員会は火・水・金曜に開かれており、これを監視しつつ各団体の国会闘争が展開されている。総がかり行動実は毎木曜夕に衆院議員会館前で 未来のための公共(元シールズ)は毎金曜夕に国会正門前で等々、多くの団体が国会前行動を続けている。
4月21日の法務委員会では、法務省の林刑事局長が「準備行為が行なわれていない段階でも、任意捜査を行なうことが許される」、また盛山法務副大臣が「一般人が捜査対象にならないことはない」と答弁した。
これによって共謀罪が新設されると、全ての人に、また相談も何もまったく無くても、警察の捜査が及んでくることが明らかとなった。共謀罪は、準備行為(相談・計画、下見、資金集めなど)の段階で強制捜査(令状捜査・逮捕など)を可能とするものであるが、その準備行為すら無くても、共謀罪容疑で任意捜査(内偵、事情聴取など)ができるとしている。現行の任意捜査でも人権侵害の乱用が多いが、共謀罪が新設されると、この任意捜査が共謀罪を名目に際限なく拡大し、かつ正当化されてしまう。まさに警察国家である。
4月23日には、法律家やジャーナリストなど個人参加による「共謀罪の創設に反対する百人委員会」が呼びかけて、一億三千万「共謀の日」キャンペーンが全国各地で取り組まれた。東京では秋葉原、立川駅、三鷹駅などで、また札幌、神戸、福岡、沖縄・石垣などで宣伝行動が展開された。夜には東京・文京区民センターで、小川敏夫(民進党参院議員)と足立昌勝教授との「共謀談話」、昼間の各地の行動報告集会が行なわれた。
共謀罪反対の声は、急速に広がりつつある。しかし大高揚とは言えない現段階にある。連休明けが、衆院法務委員会の強行採決を許さない決戦となる。この過程で、世論と運動の大きな飛躍が問われる。

  反戦実も連続行動

5月8日(月)~12日(金)の連日午後1時から5時、「反戦実」は、共謀罪阻止の国会前座り込み行動(衆院第二議員会館前)に突入する。
5月12日の午後4時からは同議員会館前で、「戦争・治安・改憲NO!総行動」主催の総決起として、抗議集会が行なわれる。
そして会期末18日の前の6月3日(土)には、共謀罪廃案・朝鮮戦争反対・辺野古新基地阻止などをかかげて、新宿・柏木公園(午後6時集合)で総決起集会・デモが貫徹される(主催・反戦実、協賛・総行動)。
以上の連続闘争に結集し、共謀罪と安倍政権を打倒せよ!(W)