2017年
  年頭アピール
    労働者共産党 中央常任委員会

  革命派は団結・統合へ
  
左翼はいかに勝利を切り拓くか、3中総決議が提案


 新年おめでとうございます、とは言っておられない。12月13日、沖縄で米軍オスプレイが墜落し、オスプレイの沖縄・日本からの追放、普天間基地閉鎖、辺野古新基地建設を阻止する闘いが、新たな決意をもって火蓋を切ったからである。
 新年2017年、筆頭の課題は、旧年3月の政府・沖縄県「和解」の以後の、第2ラウンドの闘いと言うべき辺野古埋立て工事の阻止であり、工事再開を許さず、安倍政権を打倒する闘いである。
 さて旧年2016年は、安倍政権の失速・失敗が、内政・外交で立て続けに露呈するなかで終った。
 安倍政権と与党自民・公明、および維新は、TPP批准案を12月14日に延長国会で成立させた。次期米大統領トランプの公約によってTPP破綻が明白となっているのに、政策を転ぜず、政権の面子だけで承認を強行した。それは無意味なだけでなく、今後の二国間交渉において合意レベルの前提を取られるだけ、と危惧されている。
また、超金融緩和のアベノミクスの失敗が明瞭となるなか、安倍政権は「カジノ解禁法」も12月15日に強行成立させた。それを通すためにのみ、国会再延長さえ強行した。この法は、世界的には一周遅れの過剰マネー誘致策であるが、安倍の民心からの遊離が示された強行採決であった。また、野党・維新の、新自由主義者としての与党化も明白となっている。
12月15~16日の日ロ首脳会談も、何の「成果」もなく、ロシア側の主権譲らずに押されて終了した。プーチンにとっては西側諸国の経済制裁の一角を崩した成果があったが、安倍には失点にしかならない。
安倍の12月27日真珠湾訪問も、アメリカ世論には受けても、日本世論には響かない。希望の日米同盟を謳っても、オスプレイは相変わらず、沖縄県民の命を脅かしているではないか。また安倍は、真珠湾奇襲攻撃が国際法違反であったことを語らず、オバマも5・27広島で、原爆投下が無差別殺戮の国際法違反であったことを語らなかった。偽善の日米同盟と言うべきだ。
 安倍政権の命運は尽きてきた。このなか、2017年はどのような闘いの年とすべきか。

労働者共産党は、昨年11月の第6期第3回中央委員会総会において、「『3分の2』情勢下、左翼はいかに勝利を切り拓くか」と題する決議を上げた。この決議は、党員が実行するとともに、すべての先進的な労働者・市民のみなさんに提案する活動指針である(前号に全文掲載)。
 決議では、改憲発議阻止・戦争法廃止をかちとるための「野党・市民共闘」を支持しつつ、また独自に「第三極」政治勢力の形成と左翼革命勢力の前進が問われていること、これを軸に国内情勢を評価している。
 安倍は、安倍政治が全面的に失速する前に、近々総選挙を仕掛けるとも見られている。決議は、「わが党は、来る総選挙での『野党・市民共闘』を支持する」と明確にしつつ、その野党共闘について、「安倍政権に当面の打撃を与える積極面を持つと同時に、日本人民の闘いの発展を抑え、独占資本主義と日米安保体制を擁護する中道リベラル政治(第二極政治)に収束させようとする二面性をもっている」と批判し、とくに日本共産党については、「事実上の中道リベラル政党に転落した」と徹底批判している。
 制度上、野党・市民共闘で総選挙に勝利し、改憲派「3分の2」を崩すことは重要である。しかし野党・市民共闘で社会変革はできない。それだけでは、選挙に勝つことすら覚束ない。労働者民衆自身の闘いと、その政治勢力化が最も問われている。
 そのための闘いの諸任務を、決議は以下のように提起している。
第一の政治闘争の領域では、「衰退するアメリカの統制下で補完的覇権国家への国家再編をすすめる支配階級の路線と対決する」である。
沖縄の自己決定権支持と新基地建設阻止、日本の軍拡阻止、自衛隊の南スーダン撤収、共謀罪阻止、天皇制廃止の闘い、これらを推進する。
第二の労働運動の領域では、「労働者階級の下層、とりわけ非正規労働者、失業者の運動の発展に道を開き、労働運動の新たな高揚を展望する。政府・支配階級の収奪に対する諸階層の反抗を支持する」である。
今年は、安倍政権が官邸主導ですすめる「働き方改革」、その労働法制改定との闘いが重要となる。
また、この四半世紀は中国の急成長に引っ張られた、東・東南アジアの経済成長の時代であった。しかし今や、その時代は基本的には終わった。日本の資本も中国成長で儲けたが、その儲けは日本国内に再投資されず、二十年間賃金がほぼ下がり続けた。中国バブルが終って、もっとひどくなることへの備えが必要だ。「個に解体されている非正規・失業者が大規模に集合し・生存を確保し・闘うための空間をつくり出す」ことが問われている。
第三の社会運動の領域では、「資本主義が社会を成り立たせえなくなり、国家が社会を統合できなくなる時代が深まる中で、住民自治を発展させ、共生・協同のシステムを創造していく」である。
原発再稼動を許さず、脱原発社会をめざす。NPO、協同組合、社会的企業などを推進する。これら協同社会の試みを柱に、住民自治の地域運動を進める。政治諸闘争や労働運動だけでは、大きな社会的政治的勢力を作ることはできない。
そして第四に、政治勢力の形成という領域では、「第三極の形成を目指す」である。
自公・維新は「第一極」であり、野党共闘は「第二極」である。「第三極」として労働者民衆自身の政治勢力化の必要を認めるのか、認めないのか、これが全ての活動家に問われている。
その「第三極」の推進軸こそ、日本の共産主義者の団結・統合である。決議は、日本の革命的左翼の分裂・分散と高齢化という危機を率直に認め、その危機の「克服には、比較的若い活動家が自らのものとして受容し、発展させていくことができるような現代的な革命理論の提起・普及という思想的課題と、旧い世代から若い世代に革命運動を橋渡しできるような組織形態を、党派を超えて共同で作り上げるという組織的課題、これらへの取り組みが必要である」と提起している。
同志・友人のみなさん! 私たちが歴史的役割を果たす第一歩として、2017年を勝ち取ろうではありませんか!