韓国民衆闘争
  大統領弾劾は、始まりにすぎない
    財閥解体の社会革命へ

 韓国全民衆による12月3日朴槿恵退陣第6次汎国民行動が、ソウル170万人という韓国史上最大のデモンストレーションを実現した後、韓国国会は最終日の12月9日に、朴大統領弾劾決議案の採決を行なった。
 結果は、定数300のうち弾劾賛成が234名、反対56名、棄権2名、白票7名となり、予想に反し弾劾成立に必要な3分の2を大きく上回った。これにより憲法裁判所に持ち込まれ、180日以内に表決され、裁判官の多数が弾劾を支持すれば朴クネの大統領職は失格する。ただし韓国の憲法裁判所は、裁判官の多数が朴クネによって任命された連中であり、統合進歩党の解散命令を下した機関である。
 当然ながら韓国民衆は、翌12月10日第7次をソウル80万人、全国105万人の大デモで行ない、朴クネ即刻退陣、緊急逮捕、即刻拘束を掲げ、「弾劾は始まりに過ぎない」と主張した。翌週の12月17日第8次汎国民行動では、ソウルに65万人が結集し、6周連続となる大闘争を持続している。
 韓国民衆は朴退陣ばかりではなく、朴クネが任命した黄首相の退陣要求の声も出ている。韓国では国会で弾劾が可決されると同時に、大統領の職務停止が発生し、その代行を首相が務めることとなっているが、その首相をも許さない怒りが渦巻いている。
 今回の韓国全民衆総決起は、韓国民主労総があらゆる段階で指導的に準備し、闘いぬいてきたからこそ、崔順実ゲートをきっかけとして大爆発したと言えるし、民主労総が16年初頭より提示してきた目標が、この大闘争の主要なスローガンともなっている。警察の弾圧で虐殺された農民ぺク・ナギム氏の責任者処罰、拘束中のハン・サンギュ民主労総委員長の釈放、そしてセウォル号惨事の真相究明などが、中心的課題となっている。その他にも、ミサイル防衛システム(THAAD)配備計画の中止、当事者抜きの「従軍慰安婦」問題韓日合意の撤回等々、闘争の要求はきりがないぐらいある。
 そればかりではなく民主労総は、一貫して労働法制の改悪阻止と財閥解体を主張してきた。政府は、韓国サンケン電気にみられるような不正な企業を取り締まる実行力を持ち合わせていないし、取り締まろうともしていない。ここ二十年来の韓国での新自由主義の犠牲になった非正規、未組織の下層労働者を尻目に、莫大な財を成した一部資本家への怨嗟は鋭いものがある。今回明るみに出た崔順実ゲートでのサムソンばかりではなく、現代自動車、ロッテなどへの批判が続出している。
 「共に民主党」や国民党のような韓国国会野党は、「弾劾」から「大統領選」へと、闘争を収束させる路線を取っているが、これと異なり民主労総などの韓国進歩陣営は、社会の根本的な変革、すなわち社会革命の命題を含みつつ、財閥解体・民主・統一の道を進んでいる。
 我々日本労働者民衆も、韓国民衆が進もうとする闘いに学びつつ、日韓の労働者・民衆連帯を一層強めていかねばならない。(Ku)


解雇撤回!日本遠征闘争中
 「韓国サンケン労組を支援する会」に結集を

 日本の韓国進出企業での不当労働行為が表面化し、日韓労働者民衆の連帯闘争が続いている。
日本のパワーエレクトロ業界では屈指の企業であるサンケン電気(東証一部上場)の子会社・韓国サンケン電気(昌原市)は、2016年2月より整理解雇を進め、組合員69名中34名が希望退職に応じたが、残る36名はこれを拒否した。会社側は、操業をストップして外注による代替生産という手口で組合潰しを図ろうとした。違法な整理解雇に、韓国の地方労働委員会も解雇の不当を認め仲裁案を出したが、会社側は応ぜず、組合(韓国サンケン労組)は、10月から本社(埼玉県新座市)のある日本に、解決時点までという無期限の派遣団を送る遠征闘争に突入した。
10月19日より新座の本社前で、日本の支援者を交え、出勤時宣伝行動を開始した。早朝7時から一時間は本社前で、そのあとは最寄の東武東上線志木駅前での情宣を一時間、という争議行動が今日まで連日天候にかかわりなく行なわれている。
社前行動では、サンケン電気社員は会社側からの通達でもあるのかビラを受け取る人は皆無であるが、駅前での情宣では、多くの人が関心を示して徐々にではあれ関心の広がりを見せている。しかしながら会社側は、団体交渉開始など組合員たちの要請には答えず、写真を撮るなどという監視の態度に終始している。
毎週水曜日には、東京・池袋にある東京事務所(海外営業部)での抗議活動を展開している。さすがに副都心ともいえる池袋では、会社側も周辺環境を考慮してか、事務員が顔を見せ上司に伝えるなどしているが、曖昧な対応に終始している。
この闘いには、全労協、埼京ユニオン、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)、反戦実行委員会などの仲間たちが、連日、当該代表派遣組合員とともに、要請・抗議・情宣活動を続けている。
11月17日には東京・文京区民センターで、「韓国サンケン労組を支援する会」結成集会が行なわれ、約140名が参加した。結成集会は、折りしも韓国労働者民衆の朴クネ打倒闘争が燃え盛る情勢下であった。
集会では、この朴打倒闘争の内容紹介が、闘争の中心を担っている韓国民主労総の主要な力ともなっている全国金属労働組合(韓国サンケン労組も参加)の、副委員長から行なわれた。
「支援する会」では、金澤壽・全労協議長、渡辺一夫・韓国良心囚を支援する会全国会議代表などを共同代表とすること、鳥井一平さん(中小労組政策ネットワーク)を事務局長、尾沢孝司さん(日韓ネット)を事務局次長とするなどの事務局体制が決められた。事務局連絡先は、中小労組政策ネットワーク気付(電話03-5816-3960)。
韓国サンケン労組は、解雇は殺人だ!という横断幕を掲げて、必死の闘いを行なっている。支援する会に入り、あるいは呼応し、解雇撤回まで共に闘いぬこう。(東京Ku通信員)