労働者共産党 第6期第3回中央委員会総会決議 (16.11)   

  「3分の2」情勢下、
  左翼はいかに勝利を切り拓くか



     〈 経過と情勢 〉

 ①わが党は2中総で、「『集団的自衛権法制化阻止・安部たおせ!』闘いの総括」を決議し、2015年安保闘争を総括するとともに当面の方針を確認した。
 その総括では、闘いは戦争法を阻止できなかったものの、「民衆が自己の闘いによって政治のあり方を規定する時代を切り開いた」と基本的成果を確認した。しかし、労働運動や学生運動の職場・学園からの組織的決起が弱いこと、とくに「非正規下層の層的登場の欠落」を限界として確認し、また政治内容としては、闘いの大勢が、安倍クーデターの阻止、「立憲主義」「平和主義」「民主主義」の防衛・回復であり、「社会革命を目指す潮流の微弱さ」が露呈したと総括した。方針では、これらの「限界を超える意識性をもって」、労働者人民の大衆闘争の発展と、「第三極」政治勢力の形成をすすめると確認した。
 ②また、闘い全体としては、安倍政権が「中国・朝鮮脅威論」を戦争法の口実としていることに対し、意識的な対処が欠落していた。個別的自衛権で対処できるなどの、専守防衛論に闘いを収束させるのではなく、外交路線をめぐる闘い、国際連帯の発展の方向に導いていく必要があった。この総括視点から、わが党は2中総に「日中関係決議案」を提起し、継続審議となった。
 ③戦争法反対の闘いの高揚に押されて、「野党共闘」が形成された。2016年2月19日に、議会野党5党(当時)の党首が、「安保法制廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする」、「安倍政権の打倒をめざす」、「国政選挙などあらゆる場面でできるかぎりの協力を行なう」等を合意した。これにより、参院選1人区での選挙協力が加速された。5月19日の4党党首会談では、衆院選でのできる限りの協力が合意され、6月1日の書記長協議では、「TPPや沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治反対」、「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対」等の共通政策が合意された。
 この野党共闘の成立は、労働者人民の闘いの成果であり、安倍政権に当面の打撃を与える積極面を持つと同時に、日本人民の闘いの発展を抑え、独占資本主義と日米安保体制を擁護する中道リベラル政治(第二極政治)に収束させようとする二面性をもっている。
 ④この「第二極」政治勢力は、5月の伊勢志摩サミットを容認した。戦争法廃止と反戦の課題を、反帝国主義・反資本主義の課題とむすびつけて闘う勢力は、今のところ圧倒的少数派であった。この中で、わが党は反サミット共同行動を積極的に推進した。
 ⑤7・10参院選挙は、自民・公明の勝利、野党共闘の効果による民進党の一定の回復、自公・おおさか維新など改憲勢力の「3分の2」占拠などの結果となった。
参院選「1人区」での野党・市民共闘は、32選挙区の内11で勝利し、ある程度の効果を示した。与野対決を超えて、安倍政権対民衆という対決構図に拡大し投票率を上げたところでは、勝利・接戦となっている。
 沖縄では、「オール沖縄」候補が現職大臣に圧勝し、辺野古断念はさらに有利になった。沖縄では、衆参選挙区の選出としては自公ゼロになった。福島でも現職大臣に勝利し、安倍政権の復興政策・原発政策が否定された。山形、福島など東北6選挙区では、TPPを争点に5勝している。国会ではTPP批准案が焦点の一つであり、東北での野党共闘の優勢は大きな意味をもつ。
 しかし全国的には、安倍自民党は、アベノミクスとナショナリズムによって堅調な支持(このかんの比例得票率30数%、今回35・9%)を持続している。4野党や左翼勢力は、安倍政権の欺瞞的経済優先策や中朝脅威論に対し、うまく闘えているとは言えない。
 ⑥7・30東京都知事選挙では、野党共闘候補が惨敗した。都知事選敗北は、地域の労働者・市民の運動を糾合・発展できないまま、野党共闘の枠組みを最優先にしても、地域の実態に即した明確な政策・方針がない限り、その野党共闘は無力であるという教訓を示した。
 ⑦野党共闘の主力の一つである日本共産党は、7月参院選を経て、事実上の中道リベラル政党に転落した。日共・志位委員長は、その綱領路線に言う日本革命を実現する統一戦線と、現在の野党共闘を意識的に同一視し、「党綱領の統一戦線の方針が、国政を動かす新しい時代が始まっている」(9月20日・日共6中総の幹部会報告)と言明した。いわゆる革新三目標の統一戦線は投げ捨てられている。
 ⑧9月15日に民進党・蓮舫新執行部が発足した。蓮舫民進党は、安保政策では「近くは現実的に、遠くは抑制的に」、戦争法については部分白紙化を掲げる対案主義であり、戦争法廃止などを求める野党・市民共闘にとって当てにならない存在である。9月23日の野党4党1会派党首会談では、野党共闘の継続、総選挙での選挙協力の協議開始が合意された。しかし、10月の二つの衆院補選では、候補者一本化の形とはなったが、野党共闘の合意は成立せず敗北した。民進党と連合による野党共闘への軽視、あるいは敵視が明らかとなったのである。ひきつづき民進党などに対する批判と圧力が必要である。
 ⑨「3分の2」情勢下でも、改憲発議はすぐにはできない。
一つは、野党第一党を巻き込んだ改憲翼賛状況をつくれていない。02年、13年のわが党・憲法闘争決議でいう「3分の2」情勢と、現在の「3分の2」情勢の違いは、おもに与野第一党の翼賛状況のあるなしにある。02年では、改憲手続き(改憲国民投票法など)は整っていないが、最大野党民主を取り込んだ動きであった。(その後「政権交代」によって一時、改憲は後景化)。13年では、エセ「三極」(維新、みんなの党)の躍進により、96条改憲の危険があった。現在の「3分の2」情勢は、手続きの進行としては最も危険であるが、「7・1閣議決定」と安保法制の闘いをへて、最大野党を取り込めていない与野対決状況となっており、9条以外の改憲においても、発議は拙速にはできない。
 しかし、憲法審査会の稼動を通じ、9条以外の改憲案をつうじて、民進党などが崩される危険性はしだいに高まってくる。戦地派兵、対中朝軍事的緊張の醸成などをテコにナショナリズムの民衆的高揚を呼び起こし、もって改憲作業を促進させる策動も強められよう。労働者人民の闘いの圧力が弱まれば、「第二極」勢力の密集は崩れる。
 また一つは、発議の前提として、憲法審査会による改憲条項の絞り込みがなされていない。今臨時国会から憲法審査会が再稼動したが、改憲ありきの審査に断固反対することが現在の課題である。
 また一つは、発議のまえに国政選挙は避けられない。7月参院選では与党(とくに公明)は、改憲の争点化を避けた。したがって、発議の前提として、改憲内容あるいはその反対を公約に掲げる国政選挙が問われる。安倍自民党は国政選挙を飛ばして、奇襲してくる危険もある(総裁任期18年9月)が、任期再延長を行なって、一定時間をかけての明文改憲を追求する動きとなっている。
 ⑩わが党は、来る総選挙での「野党・市民共闘」を支持する。次の総選挙は、最も遅くて18年12月であるが、「3分の2」を改憲派が使えるかどうかの決着をつける選挙となるだろう。議会制度的には、総選挙での「野党・市民共闘」によって、衆院で「3分の2」を崩すことが課題となる。
 7月参院選の比例全国平均では、自公49・4%、野党4党計36・2%の得票率であった。総選挙の小選挙区で野党共闘が多く勝つには、「プラスα」が不可欠である。情勢を動かし、選挙を含めて労働者人民を立ち上がらせるところの、社会深部からの階級闘争のの力が必要である。「プラスα」を生み出せるかどうかは、我々左翼の双肩にかかっている。
 ⑪8月8日、天皇メッセージが放送された。これは事実上、特定の法律(皇室典範)の改正を求めるなど、天皇明仁による違憲行為であった。しかし政府・国会・世論はそれを不問に付し、「生前退位」導入論議を通じて、「公的行為」合憲化など象徴天皇制を強化する翼賛状況となっている。今回の天皇メッセージが行われた背景には、憲法にも規定されていない「公的行為」の肥大化がある。戦没者追悼、被災地のお見舞い、新年の一般参賀・全国植樹祭・全国国民体育大会への参加など「公的行為」の肥大化は、一方で、歴代自民党政権による天皇制の政治利用、他方で、天皇自身の諸個人・諸勢力に超越し、国民に君臨する特権的立場の維持・再生産の狙いをもって進められた。「国民統合」の名によって体制秩序の再生産を担う天皇制廃止の闘いの再構築が問われている。
 ⑫安倍首相は、参院選で、「アベノミクスを加速させる」と強調した。しかし、アベノミクスの目玉である黒田日銀の脱デフレ政策は、破綻している。黒田日銀は、2013年4月に始めた大規模な金融緩和で、「2年程度で2%の物価上昇」を実現するとした。しかし、その見通しは、今年に入っただけでも3回、当初からすると都合5回も先送りした。今年9月の金融政策決定会合では、政策の重点を市場に流すカネの量の拡大から、長期金利を「0%程度」に調整することに切り替えた。この間、日銀が買い入れた国債は400兆円を越え(大規模緩和前は約130兆円)、国債発行残高の4割に迫っている。事実上、日銀が政府の借金を引き受ける「財政ファイナンス」に陥っているだけでなく、国債リスクは一段と高まり、金融市場はなお一層不安定となっている。
 安倍政権は陰りの見えるアベノミクスへの幻想を補強しようと、名目GDP600兆円を打ち上げ、10月決定の第2次補正予算では、約28兆円の大型経済政策を決定した。バブル崩壊後、この種の経済対策は、何回となくくり返されたが、ほとんどの場合、厖大な財政資金の投入の割には効果は薄く、むしろ借金の累積という副作用の方が大きい。2020年度に基礎的財政収支を黒字化する目標は、ほとんど実現しえず、財政危機は深まるばかりである。
 ⑬「3・11」福島原発事故から6年近くを経たが、脱原発の世論・運動は、政治的左右を超えて広範に持続している。
 原発再稼働はこのかん、15年8月・川内、16年1月・高浜、8月・伊方と強行されたが、これに対し、3月には大津地裁判決が出て高浜原発を停止させ、7月鹿児島知事選では、川内停止を公約とする知事が生まれた。
 そして、今年10月の新潟県知事選では、柏崎刈羽原発再稼働が最大争点となって、民進党を含まない野党市民共闘の米山隆一候補が歴史的勝利を収めた。民進党は終盤でご都合主義的に米山支持へ転換したが、電力総連を抱える連合は一貫して敵対し、連合の反動性が際立って示された。この新潟知事選は、原発が最大争点となれば、野党共闘の成否を越えて、民衆が自公を打倒できることを如実に示した。
 ⑭「3分の2」情勢の国際背景の特徴。
 イギリスが6月の国民投票によって、EU離脱を決定し、1980年代以降の新自由主義グローバリズムに一定の動揺が生まれた。これは、新自由主義グローバリズムが帝国主義間矛盾によって解体することを意味するものではないが、新自由主義の結果に対して、各国が国家主権の一定の回復で取り繕うという現代資本主義の自己矛盾を露呈するものである。
 EU離脱は、新自由主義の結果に対するイギリス人民の不満の現われであるが、今は排外的ナショナリストに主導権をとられている。イギリスを含めEU各国で、排外主義勢力が台頭している。(日本では、反ヘイトの動きは前進しているが、7月都知事選でのヘイト集団による得票、また8月の相模原障がい者殺傷事件など憂慮すべき情勢がある)。
左翼による、新自由主義批判の国際的な再建が問われている。
 ⑮アメリカでも、11月8日の大統領選で、移民排斥・国益第一・反既成勢力を掲げたトランプが、大方の予想に反して勝利した。トランプの勝利も、イギリスのEU離脱と同様、新自由主義の結果に対するもう一つの反動である。
 しかしそれは、新自由主義の本拠米国で発生した変化であり、また、アメリカ帝国主義の超大国としての力量低下を反映するものとして、より重要な意味をもっている。トランプの勝利を機に、第二次大戦後続いてきた米帝を主柱とする国際反革命同盟体制の、その歴史的崩壊への序曲が始まったということができる。
 外交面では、トランプ新政権が、日米同盟やNATOなどに実際に取り得る新政策は未知数であるが、我々の闘いにとって利用できる可能性がありえる。内政面では、新政権下で米国の民族的・宗教的な分断はさらに進行し、白人労働者や中間層のトランプへの「期待」も裏切られ、米国の階級闘争が激化していくことは避けられない。
 ⑯ロシア対NATOの新冷戦、南シナ海・東シナ海での中国対米日の対抗、朝米の核対峙など国家間紛争が続く一方、「対テロ戦」の拡散が続いている。国家間戦争はコントロールが可能であっても、「対テロ戦」は諸大国がコントロールできない様相となっている。
戦争法による日本の「対テロ戦」への参戦反対が、当面の重要課題である。また、南シナ海への米日の軍事介入反対、南シナ・東シナ海の当事者による軍事化反対、沖縄の自己決定権と基地撤去による平和・共生の東シナ海の実現、日朝国交回復による朝米核対峙からの日本の脱却、朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に変え、朝米正常化を実現することなどが問われている。
 ⑰前述の世界情勢、東アジア情勢の中、朝鮮半島の緊張醸成と労働者弾圧をテコに支配維持をはかってきた朴クネ政権に対して、崔順実ゲートを決定的な契機として、朴打倒の巨万の韓国民衆が闘いに決起している。もはや朴クネに退路はなく、退陣はさけられない事態といえる。この闘いも、韓国社会各層が総決起している情況で、実質的に指導的役割をはたす階級、政党もみあたらず、進歩的勢力、進歩的階級的政党もその任をはたすにはいたっていない。日本労働者階級人民も、東アジアの平和構築のため、韓国民衆の進歩的前進との連帯が求められる。

    〈 任務 〉

 任務は、もとより第6回大会決議の実践ということであるが、ここではこの間の情勢変化等を踏まえ、第7回大会を見据えた当面の重点として、提起するものである。

Ⅰ 衰退するアメリカの統制下で補完的覇権国家への国家再編をすすめる支配階級の路線と対決する。

 安倍政権は、覇権国家への法的転換(集団的自衛権の法制化)の上に実体的転換へ乗り出している。それは9条改憲にむけた既成事実づくり、政治的地ならしでもある。全人民的反撃、労働者民衆の下層の闘いの構築、「第三極」の形成を実現していかねばならない。これらの闘いの当面の集約点として、改憲発議の阻止・戦争法廃止の闘いに勝利する。
        
   1、沖縄の自己決定権を支持し、新基地建設を破綻させる。
 沖縄では、辺野古新基地阻止の現地闘争を基礎にしたオール沖縄が、参院選でも大勝し、沖縄選挙区の全ての国会議席を獲得することになった。併合、差別、基地押しつけの抑圧の歴史に「怒りは限界を超えた」結果に他ならない。だが安倍政権はこの沖縄に対して、アメリカの圧力とバックアップの下、参院選での自民過半数・改憲勢力三分の二の達成を背景に、参院選投開票の翌日からこの沖縄に襲い掛かった(高江ヘリパット工事再開)。「他民族を抑圧する民族は自由ではありえない」。ヤマトの運動も問われているのである。日本政府の攻撃を、破綻させていこう。
   2、東アジアの民衆と連帯し、東アジアにおける覇権国家としての日本の登場と対決する。
 安倍政権は、中国の軍事的封じ込めと朝鮮の体制転覆を目指す超大国アメリカの東アジア戦略に積極的に組み込まれ、日本を地域軍事大国として登場させつつある。朝鮮半島、尖閣(釣魚)、南沙などでの対立を掻き立てて中国・朝鮮敵視を扇動しながら、米本土防衛のためのMDシステムの受け入れ、米軍指揮下への自衛隊の組み込み強化、自衛隊の外征軍への再編と軍拡、琉球列島の軍事要塞化を急いでいる。米日韓三角軍事同盟を再建し、東南アジア諸国や豪・印をも巻き込んだ対中包囲網作りを画策している。われわれは、これと対決できる政治の流れを創りだしていかねばならない。
   3、南スーダンPKO・11月戦争法発動、内戦への軍事介入に反対する。
 南スーダンは内戦状態に回帰した(自衛隊のPKO派兵が不可となるので日本政府は認めていない)。国連安保理はアメリカの強いイニシアティブの下(中露は棄権)、南スーダンへのPKO部隊4000増派(近隣諸国部隊中心・計17000へ)と武力行使条件の緩和を決定した。この決定は、国連PKO部隊が内戦の一当事者、侵略勢力になっていくということである。そこに自衛隊が、中核部隊として投入される。われわれは、国際投機マネーと多国籍企業の利権のための戦争に加担していくのか、国家と資本の支配をくい破り自己解放の道に就くのか、選択を迫られる時代に入るのである。
   4、共謀罪新設を阻止する。
 覇権国家への転換は、秘密法、盗聴法などの治安立法をその構成環として推進されてきた。それは今、共謀罪新設へとエスカレートせんとしている。打ち砕いていこう。
   5、天皇制廃止のための闘いを粘り強くおし進める。
 象徴天皇制は、「国政に関する権能」を有していないにしても、王権制の一種であり、すべての人間が差別・蔑視されないだけでなく、特権者、超越者も作らないという平等思想に逆行するものである。また、象徴天皇制は、天皇・皇族自身の人権を大きく制約することからも廃止すべきである。安倍政権は、反動的な改憲策動の一環として、天皇の元首化をはかり、象徴天皇制総体の強化を狙っている。さらに一部の復古論者は、政教分離の思想を無視して、宮中祭祀などを全面的に「公的行為」に加え、神権天皇制の復活を狙っている。これらの策動に対決し、象徴天皇制を廃止する闘いを前進させよう。
 
Ⅱ 労働者階級の下層、とりわけ非正規労働者、失業者の運動の発展に道を開き、労働運動の新たな高揚を展望する。政府・支配層の収奪に対する諸階層の反抗を支持する。

   1、非正規労働者の闘いをつくる。
 非正規労働者の闘いをつくることが、焦眉の課題である。最低賃金の引き上げは、安倍が主導するものになっている。生活できる賃金の獲得に向けて、主体的な賃金底上げ闘争が求められる。企業内最賃、産業別最賃の引き上げ、公契約条例の制定と連携し、地域での共闘づくりをすすめる。また、実習生など「外国人」労働者との連帯を重視する。
   2、労働法制の改悪を阻止する。
 安倍政権は、アベノミクス第2ステージの社会づくりとして「ニッポン一億総活躍プラン」を提示したが、その重要な政策が「働き方改革」である。労働時間規制の撤廃、解雇の金銭解決に加えて、いわゆる「同一労働同一賃金」、「長時間労働の是正」などを交えた、労働関係法の一括改正案を次期通常国会に提出しようとしている。労働法制の改悪を阻止し、過労死するほどの正社員の働き方、生活できない非正規労働者の働き方を変えるため、ディーセントな働き方を実現する社会づくりを、非正規・正規労働者が連帯して闘う。
   3、新しい社会めざして下層からの闘いを。
 アベノミクスによって肥大化した金融バブルの崩壊、中国発の過剰生産恐慌は、不可避であるだろう。反失業闘争、炊き出しなどの生存のための活動、NPO・協同組合・社会的企業などの諸形態による仕事づくり等々が必要になる。個に解体されている非正規・失業者が大規模に集合し・生存を確保し・闘うための空間をつくり出すため、ネットワークを作っていく。
   4、政府・大資本が推し進める収奪に対する民衆の反抗を支持する。
 巨大投機マネーは、中間層をはじめ民衆からの収奪によって、資産拡大運動を維持し強めている。政府は、アベノミクスによるこれへの資金供給、年金資金の金融賭博市場への投入拡大、あるいは増税、保険料値上げと給付引き下げなどによって、これを支援・促進している。また政府は、TPP(環太平洋経済連携協定)の批准を急いでいる。TPPは台頭する中国を包囲するアメリカの覇権維持戦略の一環として構想され、巨大投機マネーと多国籍企業の利益を図り、農業や地場産業などの衰滅、失業の増大、格差の拡大、自然環境との関係の破壊をもたらすものだ。これらに対する各層の闘いを支持する。

Ⅲ 資本主義が社会を成り立たせえなくなり、国家が社会を統合できなくなる時代が深まる中で、住民自治を発展させ、共生・協同のシステムを創造していく。

   1、原発の再稼働を許さず、脱原発社会を目指す。
 「3・11」東日本大震災・福島第一原発事故という事態は、社会が存立し・人が生きていける社会の在り方を人々に問い、反・脱原発の大きなうねりを起こすものとなった。それは、民衆運動復権の基盤ともなってきた。安倍政権になって、国家と資本の側の巻き返しが露骨化してきている。経産省前脱原発テントの強制撤去は、その象徴だ。事故の責任をだれも取らず、放射能汚染水のたれ流しは止められず、汚染した土壌が復元できている訳でもない。事故が由来の怒りと不安は、福島をはじめ人々の間に渦巻き続けている。原発再稼働阻止、脱原発社会を目指して闘おう。
   2、共生・協同社会を創造していこう。
 われわれは、NPO、協同組合、社会的企業など、資本主義と異なる事業形態の発展と共生・協同社会の創造の試みを支持してきた。それは、資本主義の下では社会は成り立たず、人が生きていけなくなる時代に入ったからに他ならない。我々はこのスタンスを、安倍反動政治に抗して堅持していかねばならない。
   3、地域の運動を発展させる。
 住民自治の発展をめざして、安倍政権が強行する覇権国家化との対決、新しい労働運動の構築、脱原発社会を目指す運動、共生・協同社会の創造などをその柱に位置付け推進する。

Ⅳ 「第三極」の形成を目指す

   1、「第三極」の旗を立てよう。
 今日「第一極」は、アメリカの世界覇権を条件に巨大投機マネーと多国籍企業の利益を追求して社会の崩壊を招き寄せる。この「第一極」は、政権の中枢にあり、衰退するアメリカの覇権を軍事でも補完する役回りを積極的に引き受けようとしており、その脈絡で中間層の排外主義化する一半を糾合し、政権基盤を打ち固めている。これに対して「第一極」路線を一面で受け入れながらその社会破壊的性格を危惧するブルジョア階級の動揺的部分と労働者上層が、中間層の「第一極」批判勢力との大連合を野党共闘・市民連合として形成し始めた(「第二極」)。こうした中で労働者民衆は後者の政治の枠内で闘ってきたが、自己自身の旗を「第三極」として立てることを鋭く問われる局面に入っていくに違いない。
   2、共産主義者の団結・統合を
 日本の共産主義運動は、分裂・分散と高齢化の中で衰滅の危機にある。衰退の克服には、比較的若い活動家が自らのものとして受容し、発展させていくことができるような現代的な革命理論の提起・普及という思想的課題と、旧い世代から若い世代に革命運動を橋渡しできるような組織形態を、党派を超えて共同で作り上げるという組織課題、これらへの取り組みが必要である。惰性を超える勇気と政治的知恵が求められる。
  3、労働者共産党が歴史的役割を果たすために!
 現実に資本主義のシステムがそれなりに大きく崩れだし、新しい社会が求められ、その現実性が浮上することの中でしか、現在の政治の流れに根底から抗する革命勢力が政治勢力として登場することはあり得ない。とはいえその条件は成熟してきており、そうした事態の到来に備えなければならないところまで来ている。われわれはこの備えを①革命理論の現代的発展、②共産主義者の団結・統合、③「第三極」立ち上げへの展望づくり、そしてまずもってそれらの事業の一翼を担うわれわれ自身の組織と活動の強化として、為していかねばならない。
 共産主義運動の未来をかけて、われわれは何ほどの貢献ができるか。第7回大会が大事な大会となることは言うまでもないことである。どのような大会とするか、議論を始めよう。<了>