辺野古裁判で11・20〜21最高裁前連続行動
  高裁不当判決の破棄を

 11月20日~21日、東京・国会近くの最高裁判所前で、「JUSTICEforOKINAWA最高裁前連続行動」が取り組まれた。呼びかけは、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。
 沖縄県翁長知事が辺野古埋立て取り消しを是正しないのは違法だとして、国が訴えていた訴訟で9月16日に、福岡高裁那覇支部は国の主張を全面的に認める不当な政治的判決を出した。これに対し9月23日、翁長知事は最高裁に上告した。
 最高裁前11・20~21連続行動は、「最高裁は口頭弁論を行なえ!」「翁長知事に意見陳述を!」「高裁判決を破棄しろ!」と訴えた。最高裁への世論の包囲、メディアの監視が弱ければ、最高裁は口頭弁論を行なわず、来春にも上告を却下してしまう恐れがある。
 11月20日の夜には、最高裁前でキャンドル集会が行なわれ、約350人が参加。
 最初に、辺野古国会包囲実行委の野平晋平さんがアピール、「高裁那覇支部の判決は、仲井真前知事の埋立て承認について判断し、それを是として結論を導いているが、翁長知事の取り消しを判断できていない。改正自治法下で、初めての行政不作為の裁判である。国・地方の対等性の否定は、憲法違反である。口頭弁論が絶対に必要だ」と訴えた。
 沖縄からは、玉城健一郎さん(オール沖縄会議、宜野湾市議)、南城市島ぐるみ会議の島袋さんなど3名が発言。
 会派「沖縄の風」の伊波洋一参院議員が発言、「高裁・多見谷判決は、普天間の危険性を除去するには辺野古移設しかない、という政府の政治的主張をなぞったコピペでしかない。私は参院外交防衛委員会に属し、今年度28億ドルのグアム移転支援費について質問したが、政府も、沖縄海兵隊の空地任務部隊がハワイ、グアムに移ると答弁している。空地任務部隊とはイコール普天間ヘリ部隊であるのに、政府は具体的には不明などとごまかしている。これは『移設』ではない」と訴えた。
 連帯発言は、平和フォーラム、東京全労協、環境団体FoEなどからなされ、キャンドル・ウェーブが最高裁判所に掛けられた。
 翌日21日も午前中から、署名提出・最高裁要請行動が約200人で行なわれた。沖縄県の上告の受理、口頭弁論など中立・公正な審理、不当な高裁判決の破棄、これらを最高裁求める署名(個人3604、団体1703)が提出された。
また沖縄では同日昼に、「最高裁に中立・公正な審理を求める11・21集会」が高裁那覇支部前の公園でもたれ、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の主催発表で約900人が参加した。(東京W通信員)


異常な沖縄大弾圧
  山城博治さんらを即時釈放せよ!

 沖縄・高江では、全国動員による機動隊の暴圧、大阪府警隊員による「土人」「シナ人」の差別暴言、不当な逮捕・家宅捜索、自衛隊ヘリの違法な投入、県条例違反の土砂搬入・大量伐採の強行など、ありとあらゆる暴力・違法行為によってヘリパッド工事が強行されている。
安倍政権は年内に工事完成の目途をつけ、ヘリパッド移設を前提とするSACO合意の北部訓練場半分返還によって、米軍専用施設の沖縄負担は軽減と宣伝したいのである。宣伝的に、12月20日に返還式典をやるとしている。しかしその実態は、米軍が使用に不適とする部分を整理し、辺野古新基地建設と一体性をもった、オスプレイパッドを新たに得るものである。
安倍政権は、この「北部訓練場返還」と、あわよくば最高裁上告却下による辺野古「判決確定」、この2つによって沖縄県を揺さぶるなどして、来年の辺野古埋立て工事再開にもっていこうと策している。県民・国民の反対運動は暴力で押し切れる、と過信しているのだろう。
高江での反対運動への弾圧は10月以降、異常なレベルになっている。とくに、現場反対行動リーダー格の山城博治さん(沖縄平和運動センター)に対する、不当逮捕・長期投獄はファシズムである。
10・17、山城逮捕、器物損壊容疑(高江・作業ヤードでの有刺鉄線1本切断、損害額2千円)。
10・20、山城再逮捕、傷害・公務執行妨害容疑(高江8・25)。同容疑で、神奈川県を含む2名を逮捕。
10・21、山城自宅、高江テントへの家宅捜索。沖縄戦生き残り・島袋オバーに対する、暴行でっち上げ事情聴取。
11・8、沖縄で2名、三重県で1名逮捕、8月高江での傷害・公妨容疑。
11・11、那覇地検が山城さんを2容疑で起訴、また神奈川男性も起訴。
11・17、8月高江の容疑で、また1名逮捕、一連の逮捕で計6名が獄中に。
11・29、起訴拘留中の山城再々逮捕、威力業務妨害容疑(1月の辺野古ゲート前でのブロック積み)。同容疑で、2名に家宅捜索と逮捕。
山城さんを標的にして、繰り返し事件をでっち上げ、周りも逮捕している。とにかく山城を釈放しない、という国家権力の意図が見てとれる。駐留米軍刑事特別法の適用は裁判で自信がないが、それ以外は何でもありという弾圧だ。
「本土」マスコミは、これらの弾圧を報道せず、進歩的なはずの『赤旗』も沈黙しているのはどういうことか。高江・辺野古での安倍政権のファシズムを暴露し、糾弾しなければ、日本の民主主義は滅ぶ。(W)


安倍政権が新任務付与の自衛隊派兵を強行
  南スーダンから撤収せよ

 11月19日に国会衆参議員会館前で行なわれた、戦争法廃止を求める「19の日」行動は、陸上自衛隊の南スーダン派兵に反対する怒りの声が渦巻くものとなった。
 戦争法にもとづき新任務を担う自衛隊が、翌日20日に派遣されるのを前にした行動であり、雨模様をものともせず約3800名が参加。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会。
 安倍政権は11月15日、新任務付与の閣議決定を強行。18日、稲田朋美防衛相は、南スーダンPKOに派遣する陸上自衛隊に、安全保障関連法にもとづく新任務である、「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」を付与する命令を出した。この命令では、南スーダンPKO派遣開始来のこれまでの命令に変更があり、派遣部隊の活動地域を首都ジュバとその周辺とする等とされた。そして12月12日より、新任務遂行が可能とされている。
 陸自第九師団第五普通科連隊(青森)を中心にした、南スーダン派遣第11次隊およそ350名が、11月20日の先発隊130名出国を皮切りに、12月中旬までに順次派兵され、新任務を担うこととなる。
 南スーダンでは、昨年8月に和平合意が成ったものの、今年7月にジュバで大規模な戦闘が発生、その後も戦闘が続いている。国連特別調査報告書は11月1日、「キール大統領とマシャール前副大統領との和平合意は、崩壊した」と断定した。日本のPKO参加5原則「紛争当事者間での停戦合意」はすでになく、自衛隊は撤収しなければならない。
 しかも、新任務付与は、南スーダン政府軍との戦闘さえ予測され、海外での武力行使を禁じた憲法9条にも違反している。
 安倍政権は、PKO参加5原則を無視し、新任務付与を強引に進めた。自衛隊員の不幸を待って、戦争モードを掻き立て、改憲に突き進もうと画策している。7月のジュバの戦闘で、PKO中国軍は2名が戦死している。対アフリカ外交で中国に対抗するためにも、安倍政権は引くに引けない所にきている。
 南スーダンの自衛隊が殺し殺される事態、これが発生してしまったら、日本国内は決戦的な分岐となる。その事態を招いた安倍政権と戦争法への批判が一気に再燃するか、あるいは逆に、自衛隊に死者が出たのは9条による戦闘の制約のためだなどと事態を真逆に描き、戦争する国の覚悟を国民に求めて、安倍政権が開き直るかである。
 その事態が発生するまえに、南スーダンから自衛隊を撤収させ、安倍政権の外交失策として確定させることが最も望ましい。

  怒りの11・19国会前
 
 11・19国会前行動は怒りのコールで始まり、共産、社民、民進の各野党挨拶に続き、主催者から内田雅敏さん(1000人委員会事務局長)が発言。
内田さんは、「9条は、軍国主義を反省し、再び戦争を起こさせないことを誓って制定された。しかし安倍政権は、自衛隊海外派兵で新任務付与を命令した。私たちは、この事態を、危険な状況にあることを、カナリアとなって多くの人々に警告する必要がある。韓国やアジアの人々、世界の人々との共闘で闘おう」と訴えた。
 連帯アピールでは、VFP=ベテランズ・フォー・ピース(退役軍人・軍人家族等で構成する国際組織)の元米陸軍兵士ローリー・ファニングさんが登壇。「9・11のすぐ後、02年2月に志願して入隊した。私は自由と民主主義のために戦っている、と信じていた。しかしそれは、全くの逆だった。アフガンで目にしたのは、史上最強の米軍が、最も貧しい国の一つを攻めていることだった。殺害された人々の大半が、戦闘と無関係の市民だった。南スーダンも同じだ。誰が敵か味方か、判断するのは難しい。たくさんの市民が殺害される」と発言。
 また、元海兵隊特殊部隊のマイク・へインズさんは、「03年のイラク進攻に従軍した。目的は、大量破壊兵器の発見とテロ阻止。しかし、どれもウソだった。通報により、たくさんの家族を襲撃し、従軍可能な年齢の男性を軍の収容施設に送った。その人たちは、家に帰れなかった。6、7歳の子どもたち、老人たちの叫び声が耳にこびりついている。国のリーダーたちが、我々を戦争に巻き込んだのは何ゆえか。それを見極めないと、米国のようになる。9条を守ってほしい」と訴えた。
 戦場ジャーナリストの志葉玲さんは、「誰の目から見てもPKO派兵はおかしい。これは9条を破壊するための試みだ。戦争を知らず戦争をしたがっている安倍政権らが仕組んでいる。南スーダン政府軍がその気になれば、自衛隊など簡単にせん滅できる。実際『駆け付け警護』は難しい」、「安倍政権は9条を変えるために、自衛隊を『捨て石』にしようとしている。安部のねらいは石油だ」と指摘した。
 さらに、広渡清吾東大名誉教授(安保法に反対する学者の会)は、「新任務付与は、交戦を結果し、双方に死者がでる。9条によって築いた戦争しない70年の歴史が崩壊してしまう。南スーダン派兵は、戦争法が実行される第一歩」と批判した。
 青木初子さん(沖縄一坪反戦地主会関東ブロック)は、「沖縄・高江では機動隊が暴力をふるい、10月18日には『土人』『シナ人』と差別発言をした。沖縄の闘いは、差別を許さない闘いでもある。沖縄に来て高江、辺野古の闘いを見てほしい。沖縄と共に闘い、戦争を阻止しよう」と訴えた。
 今後の行動が提起された。
 12月10日には、日比谷野外音楽堂で「高江オスプレイ・バッド、辺野古新基地の建設を許さない!東京集会」(午後1時半開始、3時過ぎデモ)が、総がかり行動実行委などの主催で開催される。
 12月19日、および来年1月の「19の日行動」は、午後6時半より衆院議員会館前で取り組まれる。
 南スーダンから、自衛隊を撤収させよう。そして沖縄の基地建設を許さず、戦争法廃止・9条改憲阻止の闘いを再強化しよう。(東京O通信員)