新任務も安保も無効
   戦争法発動の南スーダン派兵閣議決定許すな!

 安倍政権は、11月8日投票の米大統領選挙の以前に、TPP(環太平洋経済連携協定)の既成事実化を作ろうと、その批准案の衆院通過を強行せんとしている(関係記事3面)。
 同時に、11月20日の南スーダンPKO自衛隊部隊の交替派兵を前提としたまま、その直前の11月15日に、安保法(戦争法)による新任務付与を閣議決定せんとしている。
 この二つの暴挙は、日米同盟の世界化、戦争化をすすめる安倍政権の暴走政治として一体のものである。
 南スーダン派兵については第一に、憲法違反の戦争法の、その初めての発動となる新任務付与は無効であり、認められない。
 戦争法成立(その一部のPKO等協力法改定)により、自衛隊PKO部隊は、自己と自己の管理下にある者の正当防衛という、これまでの自己保存型の武器使用に留まらず、任務遂行のための、また他国軍と共同しての武器使用(駆け付け警護、宿営地共同防護、任務遂行型住民保護)が可能になったとされている。
しかし安倍政権は、戦争法廃止を求め、自衛隊が殺し殺される事態に入ることに反対する広範な運動・世論に直面して、このかん新任務付与の決定を引き延ばしてきた。稲田朋美防衛相を10月8日、7時間だけ首都ジュバに滞在させ、「市内は落ち着いている」、「PKO5原則は維持されている」と報告させて、世論沈静化を図ってきた。
安倍政権は10月25日の閣議で、南スーダン派兵期間の来年3月までの延長を決めるとともに、「法的な意味での武力紛争は未発生」などとする「派遣継続に関する考え方」なるものを発表した。そして、限定的な新任務付与(他国軍警護は除く、首都ジュバの範囲内など)という策略を謀りつつある。
安倍政権は、「限定的」の文言を付けて集団的自衛権行使合憲化を強行した。「限定的」とは、憲法的制約を突破するための文言にすぎない。
第二に、南スーダンでは日本の「PKO参加5原則」は崩れており、交替派兵自体を中止し、日本は撤退しなければならない。
南スーダンの反政府勢力トップのマシャル前副大統領ば10月20日、朝日新聞の取材に対し「7月に起きた戦闘で、和平合意と統一政権は崩壊した」と表明した。この首都の戦闘に続き、10月中旬にも北東部で戦闘が続いている。安倍政権は、「5原則」中の「紛争当事者の停戦合意」が崩れている事態を無視し、マシャル派は「国家に準ずる組織」ではないと強弁している。この安倍の論理では、国または国に準ずる組織ではないとして、「対テロ」戦争にどこにでも介入できてしまう。
第三に現在、国連南スーダンPKO、それ自体が危機に瀕している。政権を握るキール大統領派は、8月の安保理の増派決定を結局受け入れたが、「主権侵害だ」とする反発が続いている。7月戦闘についてのアムネスティによる政権側批判も、この反発を促進する。「5原則」中の「当事者の受け入れ同意」自体が再び怪しくなっている。また国連によるPKO司令官解任に反発し、主力のケニア部隊が撤退を表明した。この中、戦闘を用意して日本の部隊が突入していくのは、いかにも愚かである。
さて、戦争法の発動は、演習面ではすでに開始されている。戦争法を反映した日米共同統合実動演習「キーン・ソード17」が10月30日から、日本・グアム周辺で開始された。沖縄周辺海域では、重要影響事態法を発動した捜索救助訓練を行なうとしている。
また9月13日には、朝鮮の核実験に対抗して、米戦略爆撃機B1Bが朝鮮半島上空を挑発飛行したが、空自の戦闘機が途中まで護衛飛行を初めて行なった。韓国側が同意していたら、半島上空に日本の軍用機が初めて再侵入するところであった。
南スーダン派兵を挫折させ、戦争法廃止の闘いを再強化しよう!