南スーダン新任務付与阻止し、安倍打倒へ!
  止めろ!戦争法発動


 9月26日、臨時国会が開会した。今国会下の闘いとしては、新任務付与の南スーダン自衛隊派兵の阻止、衆参憲法審査会での改憲発議準備の粉砕、TPP批准案の阻止、新自由主義の労働法制改悪法案(「働き方」改革)の阻止、テロ対策を口実とした共謀罪法案の提出阻止などが問われている。これらの闘争と並んで、沖縄での高江ヘリパッド工事強行との闘い、9・16不当判決をテコとした辺野古工事再開策動の阻止を、沖縄・全国の闘いとしてさらに強化しなければならない。
直面する中心課題は、南スーダン派兵である。新任務付与によって戦争法(安保法)の稼動、その本格運用開始が強行突破され、それによって安倍首相ら改憲勢力が勢いづくのか、それとも新任務付与が阻止され、それによって戦争法の無謀さが改めて露呈し、安倍政権の動揺が始まるのか、現在はこの分岐点にある。
安倍政権は、11月派兵の青森駐屯地主力の南スーダン交代部隊に、すでに8月から新任務(駆け付け警護、宿営地共同防護)対応の訓練をさせているが、新任務付与の最終決定をまだ強行できないでいる。
9月28日の衆院では、日共・志位委員長が代表質問で「南スーダンでは、『PKO派遣5原則』は総崩れ」と指摘し、新任務付与に反対した。これに対し安倍は、「現地情勢、訓練進捗状況を見極めながら総合的に検討する」と答弁。安倍は、新任務付与を明言できなかったが、現地情勢は「落ち着いている」とでっち上げ、交代派遣は当然としている。
9月30日の衆院予算委員会では、民進・辻元清美氏の追及に対し、安倍は、「任務を付与する以上、私に責任がある。同時に自衛隊の諸君は身をもって任務遂行する宣誓をしている」などと答弁した。やはり安倍は、新任務付与にやる気充分である。
ところで、自衛官の入隊宣誓は、国土防衛の宣誓であって、アフリカの内戦に介入して殺し殺されてもよいなどと宣誓しているものではない。安倍は26日の所信表明演説で、「兵隊さんありがとう」復活の異様な起立拍手を与党国会議員などに演じさせたが、安倍もかっての軍部と同様、将兵を無駄に死なそうとしている。
さて開会日には、国会議員会館前で「9・26臨時国会開会日行動」が、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実の主催でひらかれた。約800人が参加し、「戦争法今すぐ廃止!」「南スーダン派兵やめろ!」と叫びつつ、野党国会議員を国会に送り出した。
野党からは、民進・福山哲郎、共産・小池晃、社民・吉田忠智、参院会派「沖縄の風」・糸数慶子ら多数の国会議員が参加した。糸数さんは、高江弾圧、9・16不当判決を糾弾しつつ、糸数・伊波の「沖縄の風」は「嵐を吹かせて、安倍政権を打倒します!」と盛り上げてくれた。
これに先立つ9月23日、野党4党代表(民進・蓮舫、共産・志位和夫、社民・又市征治、、生活・小沢一郎)および糸数「沖縄の風」代表による、野党党首会談が行なわれた。
この4野党1会派会談では、これまでの4野党合意の継承が一応確認されたが、来る総選挙での野党協力は、協議開始を確認するにとどまった。総選挙での野党協力の内容が、候補者一本化の調整次元なのか、それとも基本政策に関わる政権合意の次元なのかということは、我々労働者人民からするとどうでもよいことである。とにかく自公を負かすことであり、それができないようなら議会主義野党の値打ちは無い。
民進の連舫新執行部は、今のところ戦争法廃止・安倍打倒の野党市民共闘に一応はとどまっている。しかし代表質問に立った民進・野田佳彦幹事長は、自党の領域警備法案は語ったが、戦争法廃止はまったく語らなかった。参院代表質問の連舫代表も同様である。
10月23日投票の二つの衆院補選、東京10区と福岡6区では、ようやく野党市民共闘が成立した。この勝敗は、新任務付与に影響する。
しかし10月16日投票の新潟知事選では、民進が野党市民共闘から脱落。連合新潟による柏崎刈羽原発再稼動の容認は、度し難いものがある。米山隆一候補(社民、生活、共産、新社会、緑の党、市民団体)の当選を!
労働者人民の闘いの持続によって、リベラル保守・中道左派の野党共闘は維持されている。闘いが弱まれば、去る者は去るだろう。野党共闘を支持しつつ、それに頼ることのない労働者人民の自立した闘う連帯を強化すること、これが肝要だ。(了)


不当極まる9・16辺野古高裁政治判決
  沖縄を憲法番外地にするな


 9月16日、辺野古埋立て承認取り消しについて国土交通省の是正指示に従わないのは違法だとして、国が沖縄・翁長知事を7月に訴えていた訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷裁判長)は、たった2回の審理で、国の言い分を全面的に認めた不当判決を出した。
 この判決は、1996年の日米SACO合意によって辺野古「移設」問題が発生して以降、この問題についての初の司法判断であった。基地問題のみならず、日本の民主主義が問われ、日本と沖縄のあるべき関係も問われているこの問題について、拙速かつ「唖然とする」(翁長知事)不当判決が出されたことは、戦後憲政の一大汚点と言える。

  9・16国会前行動

 当日の夕、東京の国会議員会館前では、不当判決抗議の国会前集会が怒りをもって開かれ、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの呼びかけで約300人が結集した。
 一坪関東ブロックの木村事務局長は、「承認取り消しで日米同盟に傷が付く」などの国の主張を丸写しにした判決を徹底糾弾。
また木村さんは、高江ヘリパッド建設で9月13日以降、自衛隊ヘリが工事車両搬入に使用されたことについて、政府は防衛省設置法を法的根拠と強弁しているが、米軍基地建設に自衛隊を使う規定は一切無い、脱法行為だと批判した。
電話メッセージで沖縄から、弁護団の徳田弁護士、安次富浩さん(名護ヘリ基地反対協共同代表)、山城博治さん(沖縄平和運動センター)が報告。
徳田さんは、「判決文を急いで読んだが、法的手続き上の判断というより、原告国と同様の政治判断をいろいろ書いている。これでは最高裁で困るのではないか」と報告した。高江の現場で闘争指揮にあたっている山城さんは、「判決は、高江で続く弾圧と軌を一にするもの」と糾弾。
これら沖縄の声を、国会前の仲間たちは共有し、怒りのコールを上げ続けた。

  翁長知事 批判見解

この判決について被告の翁長知事は当日16日、「こういった一方的な内容の場合には、沖縄県民のより大きい反発と結束がこれから出てくる」と記者会見で述べるとともに、大要次のようなコメント文を発表した。
①判決は、「普天間飛行場の被害を除去するには、本件新施設等を建設する以外にはない。言い換えると、本件新施設等の建設をやめるには普天間飛行場による被害を継続するしかない」と述べるなど、辺野古が唯一との国の主張を追認している。(つまり行政不作為の法的判断ではなく、国の防衛・外交政策に沿った政治的判断を前提とした政治判決である――筆者注)。
②公用水面埋立法の要件について、本来なら緻密に比較衡量を行なって判断しなければならないのに、一方では、埋立ての必要性の中で軍事的な面について踏み込んだ判断を行ない、他方では自然環境面については一切考慮していない。
③さらに、国地方係争委員会の決定(6・17)について、「元々和解において、決定内容には意味が無いものとしており」と述べ、地方自治法に定める係争処理制度を軽視し、平成11年地方自治法改正の趣旨からもほど遠いものとなっている。
④今日までの歴史的な状況を含めて、何故、沖縄県だけが他の都道府県と異なる形で物事が処理されるのか、大変疑問である。
⑤最高裁に上告し、不当な高裁判決の破棄を求めるとともに、憲法で認められた地方自治が本来の役割を果たすよう力の限りを尽くしていく、以上である。
 
  9・28沖縄弾圧許すな

 そして9月28日には、東京・日比谷野外音楽堂で「9・28日本政府による沖縄への弾圧を許さない集会」および都心デモが行なわれ、2500人(主催者発表)が結集した。主催は、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。
主催者あいさつで、野平晋平さん(ピースボート共同代表)は冒頭、「先日26日、臨時国会の所信表明演説で安倍首相は、『海上保安庁、警察、自衛隊の諸君に敬意を表そう』と呼びかけ、10秒ほど議場は起立・拍手となった。これは、大政翼賛会みたいだという批判も成り立つが、なによりも、高江、辺野古で権力の弾圧と闘っている沖縄民衆への侮辱である!」と切り出し、会場はそうだ!の拍手となった。続いて9・16不当判決への批判、沖縄への弾圧反対!高江・辺野古連帯の「統一署名運動」の開始などを報告した。
沖縄からの訴えは、大城悟さん(沖縄平和運動センター事務局長)が登壇。「高江では、参院選翌日の工事再開強行、テント撤去の以降、連日の闘いが続いている。こちらは水・土曜の集中日で300~350人、権力は県警を含め全国動員で800人。警察車両が工事作業員を運ぶ、ダンプ車の前後に機動隊装甲バスを付けて進んでくるなど、厳しい闘いであるが、多くが阻止行動に集まると資材搬入ができない日もある。」
「それでG地区、H地区への搬入に、自衛隊ヘリ使用の暴挙に出てきた。N1地区の2ヵ所では残念ながら、ヘリパッドの形ができている。政府・防衛局は、赤土流出防止条例などを無視する違法伐採を続け、来年2月までに完成させようと全力で攻撃している。3月からは希少生物の繁殖期となり、工事はできないからだ。ヤンバルが国立公園に指定されたが、工事を止め、基地を撤去しなければ無意味だ。」
「9・16判決は、政府と司法が結託し、和解勧告以降の8月余のシナリオを描いて、出してきたものと考えられる。県は23日上告したが、最高裁判決で事態は決まらない。県・名護市の今後の権限行使を含めた、私たちの闘いが決める。辺野古を止めれば、高江もとまり、普天間も閉鎖となる。勝利するまで、私たちはあきらめない!」と報告した。
続いて、ハワイで最近開催されたIUCN世界自然保護会議の報告を、三村昭彦さん(ジュゴン保護キャンペーンセンター)が行なった。「日本6団体による辺野古埋立てについての訴えが採択された。沖縄県外からの1700万トン土砂搬入に伴う、侵略的外来生物種による生態系破壊に反対する決議だ。大浦湾をジュゴン保護区に!」と訴えた。
連帯挨拶が平和フォーラム、全労協、安保破棄実行委から行なわれた後、辺野古9・16判決(「不作為違法確認訴訟」判決)について、白藤博行さん(専修大学教授)が解説した
最後に、「沖縄をこれ以上、憲法番外地にするな!」と訴える集会アピールを採択し、、辺野古の工事再開、高江の工事強行を許さない「本土」側の意思と、今後の現地応援行動を確認し、銀座方面のデモ行進を貫徹した。
参加者数は物足らなかった(どういう訳か全労連系がほとんど来てない)が、当日9・28高江現地における訓練場内での闘いにも呼応し、時機にかなった「本土」側での行動となった。(東京A通信員)
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