戦争法強行成立から一年、9・19国会前に2万3千人
  新任務の南スーダン派兵阻止

 戦争法強行成立から一年の9月19日、「戦争法廃止!9・19国会正門前行動」が午後3時半から行なわれ、23000人(主催者発表)の労働者・市民が結集した。
 大雨をついて続々とつめかけた参加者は、「戦争する国絶対反対!」「南スーダン派兵阻止!」を訴え、断固として闘いを貫徹した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会。
 安倍政権は、米国との軍事的連携を強めながら、今年3月29日施行の戦争法(安保法)に基づき、侵略戦争遂行の準備を加速している。
 自衛隊は8月14日、稲田防衛相の指示に先行して、戦争法の新任務の実動訓練を開始。政府は、南スーダンでのPKO(国連平和維持活動)に交代要員として11月に派遣される陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊(青森県)に、駆け付け警護等の任務付与を画策している。そして、新任務の訓練が始まった直後に、防衛装備庁は「中長期技術見積り」を作成、PKO部隊の装備を拡充させる必要性に言及した。対迫撃砲・対自爆テロの兵器開発、対空ミサイルに対する防御機能などが挙げられている。
 さらに、10月の日米共同統合演習「キーンソード」、11月の日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ」でも、新任務を反映させた訓練が目論まれている。戦争法は、本格的運用段階に入ろうとしている。

  派兵強行で改憲を画策

 9・19は、これを許さず、戦争法廃止・安倍政権打倒の闘いとして打ち抜かれた。行動は、「戦争法は必ず廃止」、「駆け付け警護は憲法違反」のコールに続いて、各野党のアピールで開始された。
 民進党の岡田克也前代表は、「1年たったが、戦争法が憲法違反なのは変わらない」と切り出し、「参院選では、全ての1人区で一本化し、11選挙区で勝利できた。野党がみんなで協力し、次の総選挙でもしっかり闘い抜く。党の新リーダーも同じ考えだ」と発言。(民進党は9月15日の臨時党大会で、蓮舫氏を新代表に選出)。
 日本共産党の志位和夫委員長も、「第2ラウンドは総選挙。野党はここでも、できる限り共闘することを何度も確認した」と述べ、野党共闘継続を呼びかけた。また社民党の福島瑞穂参院議員、生活の党・木戸口英司参院議員(岩手選挙区の野党統一候補で当選)も発言した。
 主催の総がかり実から、構成3団体が挨拶。その内、高田健さん(解釈で憲法9条を壊すな!実行委)は、「今後の闘争課題は、①南スーダン派兵をくいとめ、自衛隊員が殺し殺されることを阻止すること、②辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設の阻止、③野党共闘実現・安倍政権打倒の三つだ。青森の陸自から350名近くの隊員が派兵される。南スーダンは内戦状態だ。安倍政権は、隊員が死ぬことを前提に派兵しようとしている。南スーダン派兵を阻止しよう」と呼びかけた。
 次いで連帯アピール。「立憲デモクラシ―の会」呼びかけ人の西谷修・立教大学特任教授は、「国家が軍国主義化し、大学でも軍事のための研究を始めている。経済界でも軍事産業を進め、国の根底から軍事化が進んでいる。これに市民が声を上げている。ことあるごとに国会を包囲し声を上げよう」と訴えた。
 井筒高雄さん(元自衛隊3等陸曹レンジャー隊員)は、「自衛隊員の中から、負傷者や死者が出るような状況になった。安倍首相の独りよがりのために、自衛官の命がぞんざいに扱われる。自衛隊内の医官は、およそ5千人。米軍は1個小隊に30人以上の医師をつける。負傷した自衛官は助からない。」「南スーダンに派兵する理由はない。最強の米国でテロが起こった。抑止力を強めるのは武力ではない。外交努力で平和は獲得するものだ。安倍政権は、隊員の死を待って、その後に改憲に突き進もうとしている」と述べ、南スーダン派兵での安倍政権の目論見をばくろした。
 また、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックの石原さんは、「安倍政権の沖縄への攻撃は、権力の総力をあげた攻撃だ。今回の高江では警察庁の指示のもと、一千人に及ぶ機動隊が襲いかかっている。メインゲート前は、機動隊があふれる程だ。しかし闘いにより、資材の搬入ができず、自衛隊ヘリコプターを法的根拠も無く出動させて、重機を運んでいる。安倍政権のあせりの表現だ。」「辺野古埋立てでは、福岡高裁那覇支部が9月16日、とんでもない判決を出した。しかし知事は、『新基地は絶対造らせない、長い闘いになろうかと思う』と発言した。沖縄は闘い続ける」と決意を表明した。
 集会は雨が強まる中、最後に福山真劫さん(戦争をさせない千人委員会)が行動提起。「戦争法廃止・安倍政権打倒の闘いの方向は、市民運動の力で政権を包囲し、選挙でも勝つことだ。国会を包囲し、安倍政権を強く揺さぶってやる」と述べつつ、9・22代々木公園、10・6総がかり屋内集会(北トビア、午後6時半)、10・19「19の日」行動(衆院第二議員会館前)、そして、南スーダン派兵反対の10・30青森現地行動への結集を呼びかけた。
 なお9・19行動は全国各地で展開されたが、大阪では「9・19おおさか総がかり集会」(うつぼ公園)および御堂筋デモが行なわれ、約5000名が参加した。
 全国の地域・職場から、青森現地行動に参加しよう。南スーダン派兵を許さず、戦争法廃止・改憲阻止の闘いを拡大しよう。(東京O通信員) 


政府「もんじゅ廃炉」検討へ転換
  9・22さようなら原発さようなら戦争大集会に9500人

 9月22日、その前日に政府が「もんじゅ」の廃炉へようやく転換というビッグニュースが報道される中、「9・22さようなら原発さようなら戦争大集会」が東京・代々木公園で開かれ、9500名(主催者発表)の労働者・市民が関東近辺から参加した。主催は、さようなら原発一千万署名市民の会。
 この日は朝から大雨、どうなることかと思ったが、集会後のデモ行進は中止になったものの、降り続く雨の中、やはり続々と人々は集まった。原発再稼動の流れに対峙し、原発廃止を求める広範かつ強い意思が伝わってきた。
 安倍政権は9月21日、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖原型炉もんじゅについて、年末までに廃炉を含む抜本的見直しを行なう、しかし核燃サイクル推進の方針は維持し、フランスとの共同研究で「高速炉」の開発をすすめること、また実験炉「常陽」の活用などを決定した。事実上、もんじゅは廃炉、しかし、見通しのない日仏の新研究などを掲げて、核燃サイクルの破綻は認めないという決定である。
 集会でも、この政府決定に触れた発言が多く出された。
福島からは「ひだんれん」の武藤類子さん、長谷川健一さんなどが発言し、北海道平和運動フォーラムからは長田秀樹さんが、直面する泊原発の再稼動阻止を訴えた。
集会後半では、澤地久枝さん(一千万署名呼びかけ人)の主催者あいさつの後、アーサー・ビナードさん(詩人)が発言した。ビナードさんは、「原子力の『平和利用』というのは、核兵器開発を隠すためのペテンでした。日本政府は、最高純度の核兵器級プルトニウムを生産できるもんじゅを本当はやめたくないが、廃炉検討に追い込まれました。しかし六ヶ所の再処理施設は残して、核兵器開発を捨てていません。」「安倍政権が、オバマ大統領の核兵器先制不使用の検討に反対し、核先制使用の政策を続けるよう求めていることは超反動的対応で、もっと非難されるべき暴挙です」と訴えた。
もんじゅ立地県の福井からは、宮下正一さん(原発反対福井県民会議事務局長)が発言、「もんじゅは最も危険で、最も税金無駄使いの施設です。ナトリウム冷却であり、事故が起きて福島原発のように水をかけると、それこそ大爆発します。破局を止められない施設です。年末まで、瀬戸際の闘いとなります」と語った。
他に、木内みどりさん(俳優)、高校生核兵器廃絶1万人署名運動の高校生平和大使、また協力団体の「止めよう!辺野古埋立て国会包囲行動実」からは木村辰彦さん、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実」からは福山真劫さんが発言した。
閉会あいさつを、鎌田慧さん(呼びかけ人)が行なった。鎌田さんは、「今日は、もんじゅ転換点の集会となりました。かって私たちは、原子力船むつを廃船に追い込み、日本が核艦船を持つことを阻止しました。今度は、もんじゅを止めて、日本の核武装をとめねばなりません」と訴えた。
もんじゅ廃炉は、集会で強調されたように核武装阻止であるとともに、原子力発電全体を揺るがす。もんじゅ廃炉によって、核燃サイクルという幻想が崩壊する。「トイレなきマンション」という原発の根本矛盾の一つが、改めて突き出されるのである。使用済み核燃料の全量保管を永遠に行なう、これに責任を負える者はいない。原発「技術」は廃止だ。(東京W通信員)
 

9・11経産省前テントひろば5周年・怒りのフェスティバル
  テントは今もここに有り!

 経済産業省前の脱原発テントが8月21日に強制撤去されてから、20日余りがたった9月11日、「経産省前テントひろば設立5周年・脱原発9・11怒りのフェスティバル」が開催され、東京・霞ヶ関の経産省前に約500名をこえる労働者・市民が結集した。主催は、経産省前テントひろば。
 この闘いは午後3時から、歌・音楽、「原発いらない福島の女たち」によるかんしょ踊りで開始され、集会、経産省包囲ヒューマンチェーンと4時間に及んで打ち抜かれた。
 振り返れば福島第一原発事故から半年後の2011年9月11日、その経産省包囲行動の日に、脱原発テントは有志10数名で設置された。それ以降、脱原発のひとつの闘争拠点として機能し続け、本行動は5周年の闘いとして貫徹された。この9・11はまさに、「テントいまだここにあり」を全国に示した闘いであった。
 集会は、「伊方原発南予連絡会」の八木建彦さんの発言で幕を開けた。八木さんは、「伊方3号機が再稼動された。しかし絶対あきらめない。あきらめるのは誇りを失うこと。『大分では、再稼動反対が一つの社会通念になろうとしている。賛成などともう言えないほどだ』、隣県大分の皆さんのこの発言に励まされている」と現地から報告し、また「8・21テント強制撤去と8・12伊方再稼動は連動している」として、権力の意図を明らかにした。
 続いて、「経産省前テントひろば」の渕上太郎さんが発言。「脱原発テントを、この世から消し去ることはできない。いま経産省前の一画に横断幕を掲げている。テントいまだここにあり、の垂れ幕だ。脱原発にむけ、これからも闘うことの意志表明だ」とアピール、いささかもたじろがず粛々と闘っていく決意を示した。
 沖縄平和運動センターの大城悟さんが連帯の挨拶、「9・16に福岡高裁那覇支部の判決が出る。判決以降の、地上部分も含めての辺野古工事再開は許さない。裁判は、判決によっては最高裁まで続く。我々はこれからも創意工夫して闘い続ける。」(不当判決により、沖縄県は9月23日上告した)、「高江では、全国から機動隊を動員し弾圧を加えて、ヘリパッド工事を強行している。権力は、沖縄を弾圧し、原発反対運動を弾圧している。思いを一つに闘おう」と訴えた。
 そして、テントひろばの正清太一さんは、一言アピールに思いのすべてを込めて、「原発はやめてほしい。私が生きている間につぶす」と発言、拍手がわき起こった。
 たんぽぽ舎の柳田真さんが、「経産省前では、テントが撤去された今も、座り込みが連日続いている。ここ5年、テントひろばが設けられ、闘争の拠点ができ、テントの存在で大きく運動が広がった。この役割を、この場からさらに広げる。平日は12時~午後6時、土日祭日は12時~午後4時まで座り込み、抗議の闘いを続ける」と報告した。テントひろばは、今も機能し続けているのである。
 以上の集会終了後の18時45分、一回目のヒューマンチェーンが決行された。「経産省は責任をとれ」、「再稼動やめろ」のコールが、夕闇の霞ヶ関に響きわたった。そして19時、二回めの人間の鎖が貫徹された。
 行動の結びの言葉は、「テントはないが、ひろばはある。座り込みとスタンディングをやり抜き、すべての原発の廃炉まで闘おう!」であった。この言葉に応え、テントひろばと連携して、地域・職場から脱原発闘争を拡大しよう。テントはいまもここにある!(東京O通信員)