第45回釜ヶ崎夏まつり(8・12~15)開催さる
  「特掃」拡充軸に連帯ひろげ

 今年も大阪・釜ヶ崎の三角公園を会場として、「第45回釜ヶ崎夏まつり」(8月12日・夕方の前夜祭~15日・夜まで)が開催された。
 「安心して生活できる釜ヶ崎の実現!」は、夏まつり、越冬の闘いの中で、昨今定着したメインスローガンとなった。
 各行動スローガンとしては、反失業をメインとしながら、原発の再稼動、戦争法の発動、そして人を人が喰う新自由主義政治とそれを下支えする社会排外主義、差別の助長と拡大、これらにに真っ向から反対していく等を押し出しながら、釜労働者・住民の団結と地区外からの連帯による取り組みであった。
 今次夏まつりの背景には、7月参院選の結果にみられるように、戦争推進の安倍政権与党の自公の勝利、それを補完する改憲勢力「おおさか維新」の関西における伸張という情勢があり、また全国で格差拡大がすすみ、下層労働者、生活困窮者に生活苦の押しつけが強まっているという情勢がある。
 こうした中、釜ヶ崎労働者は、「特掃」(大阪府市が釜NPOに委託する高齢者特別清掃事業)を軸とした日常の就労獲得と、その予算縮小の動きに反対しつつ、特掃・月13日の仕事の保障、若年(55歳以下)労働者が就労できる仕組みづくりなどの要求を掲げて、夏まつりに取り組んできた。
 釜ヶ崎では、アブレが日々拡大し、右肩下がりで求人が落ち込んでいる。だからこそいっそう、特掃の拡充をはじめとした社会的就労の仕組みづくりが強く求められている。釜ヶ崎では、すべての労働者が、特掃の今後の展望に注目していると言ってよい。
 夏まつりでは、力強い連帯の力が差しのべられた。反原発「若狭の家」から、木原さんの熱い連帯メッセージが寄せられた。伊方原発8・12再稼動の暴挙、連動する高浜、大飯の動きに抗していかねばならない。
 また、「辺野古に基地をつくらせない大阪行動」の仲間がアピールしてくれた。緊迫する東村高江のオスプレイパッド工事阻止の闘い、辺野古での陸上工事再開阻止に、関西から連帯しよう。
 また、「日本軍『従軍慰安婦』問題関西ネットワーク」の仲間も駆け付け、日韓両政府の欺まん的合意、隠蔽策をばくろしてくれた。
 こうした支援・連帯に力を得ながら、夏まつり実行委員会は、さらに闘いの輪を広げていくだろう。反失業・社会的就労の仕組みの確立を基軸にしながら、闘いを前進させていこう。
 
 また釜夏まつりの期間中、「釜ヶ崎講座」の恒例の取り組みとなっている「特掃体験」見学ツアーが13日に、「釜ヶ崎歩き」ツアーが14日に開催され、延べ26名が参加した。
 13日の特掃体験では、NPO釜ヶ崎支援機構のスタッフに協力してもらう中、今回は釜地区内の現場作業を体験した。
 体験後の座談会では、釜ヶ崎日雇労働組合の佐々木さんが、「景気後退の中で、資本が人材育成を放棄している。俺たちがノウハウを勝ち取って、労働者に技能を体得してもらうのだ、という意気込みが必要だ」と語っていた。
 14日の釜歩きツアーでは、水野阿修羅さんのガイドで、西成特区構想による街の変化をメインに、新しく出来たもの、無くなったものなどを見て回った。
時代につれて、行政・資本の釜ヶ崎への政策は変節していく。これと対比しつつ、水野さんは、「釜ヶ崎に流れて来る若い人など、それぞれに問題を抱えている人が大半だが、この街は何らかの形で、かれらを受け入れている。人として成長していくことを支援・包摂する街としての役割、それを形づくっていくことが大事だ」と語ってくれた。
(関西I通信員)


各地域最賃が出そろう、労働組合はどうすべきか
  最低賃金大幅アップはこれから

 各都道府県の地域最賃が8月下旬、中央最賃審議会が7月に出した3%上げの目安、これにそって出揃った。
平均では、25円時給アップで823円。東京932円、神奈川930円、大阪883円と続き、宮崎と沖縄では714円、地域格差は大きくなる傾向にある。
 昨年に続き、安倍政権自身が、ある意味「企業の支払い能力論」を打破し、経済政策主導によって最賃を上げさせたというのが特徴である。最賃を3%上げさせても、商品価格も2%上げれば企業もやっていけるし、日銀のインフレ目標にもかなうという思惑があるだろう。
 長年、中央・地域最賃審議会では「支払い能力論」によって、1%程度の改定に終始してきた。しかし結局、最低賃金というものが、政策的・政治的に決まるということが明らかになったのである。今度は、労働運動のほうが主役になって、階級的力関係を強化し、最賃大幅アップを実現していくことが問われている。安倍政権まかせでは、「今すぐ1000円」の実現もいつになるやら分からない。
 10月1日以降、各都道府県ごとに新しい最賃が施行される。労働組合には、次のような闘いが問われるだろう。
 非正規労働者は、最賃ぎりぎりの人が多い。労働組合は、最賃引き上げに合わせて、非正規労働者の雇用者に賃金引上げを要求しよう。
 正規雇用であっても、企業内最賃が、新しい最賃相当額を下回ってしまう危険がある。労働組合はチェックし、ただちに改善させなければならない。
 公務公共の労働組合は、自治体臨時職員など非正規の賃上げおよび冬季一時金支給を要求しよう。また自治体業務の委託会社は、非正規労働者ばかりである。自治体労組や地区労などが、最賃アップにみあった額を委託料金に確保するよう、自治体に要求することが必要だ。
 最賃が上がっても、人件費総額を抑制しようとする会社は、人員削減や店舗閉鎖で対応するかもしれない。せっかく時給が上がったのに、首を切られるのではたまらない。非正規労働者の雇用を守り抜こう。
 このような闘いを推進するために、各都道府県ごとに、改定最賃をアピールして実施をチェックし、非正規労働者の賃金引上げをさらに実現していくための労働組合の共闘が求められている。
当事者の非正規労働者じしんが、これらの闘いに参加できるように工夫することが、非常に大事である。(A)


8・26日韓労働者連帯交流集会
  韓国民主労総11月総決起へ

 参院選以降、沖縄・高江のヘリパッド建設の強行に始まり、矢継ぎ早に繰り広げられる安倍政権の暴力的民衆弾圧という事態があるが、これと同様に、韓国パク・クネ政権の韓国労働者民衆への弾圧は、日本の労働者民衆にとっても看過できない事態といえる。
 このような思いから、昨年に続き韓国民主労総・仁川地域本部の主要なメンバーらを招いて、8月26日に東京では「8・26日韓労働者連帯交流集会」が、文京区民センターで開催された。この集会は、いまの韓国労働者の状況を反映し、「最低賃金1万ウォン獲得、首切り自由化絶対阻止、朴槿恵政権の労働者抑圧攻撃と闘う韓国労働運動」という副題がつけられた。主催は、全国労働組合連絡協議会(全労協)ならびに、韓国労働者と結ぶ会を連絡先とする8・26日韓労働者連帯交流集会実行委員会であり、約百名の参加で行なわれた。
 集会ではまず、今年7月、9月のゼネストなどの模様を伝える、韓国民主労総作成のDVDの上映が行なわれた。集会は司会の挨拶に続き、金澤全労協議長が、昨年来の安保法制反対の闘いの一翼を全労協が担っていることを紹介しながら、韓国民主労総歓迎の言葉を述べた。
 このあと司会から、キム・チャンゴン民主労総仁川地域本部長ら6名による、仁川地域の訪問団の紹介が行なわれた。
 民主労総についての説明の後、キム・チャンゴンさんから、このかんの民主労総の闘いの報告が以下のようになされた。
 民主労総は、2月に行なわれた定期代議員大会で、労働法改悪の阻止、民主労組の死守など7つの総基調を設定し、2016年の闘いを開始した。
パク・クネ政権の労働法改悪との闘いでは、昨年末までには法制化を阻止し、4月に行なわれた総選挙でパク・クネ審判闘争を展開し、与党セヌリ党を国会内少数に追いやることを実現した。民主労総の戦略候補を3名当選させることができたが、前回総選挙で統合進歩党13名を当選させたことからは大きな後退となっている。しかしながら、革新政党の分裂状況からは、民主労総が中心となって、その再編に臨まねばならない。
韓国労働者の40%を超える非正規層に対しては、最低賃金1万ウォン獲得を戦略目標として、ゼネスト闘争を展開している。韓国の労組組織率は1987年には28%であったが、現在は韓国労総を含めて8%に過ぎないのであるから、この目標戦略は緊急の課題といえる。パク・クネ政権による民衆弾圧、民主労総弾圧に対し、全民衆と連帯し、今11月には20万民衆総決起を成功裏に実現する。
星州(ソンジュ)郡への米軍THAAD(高高度迎撃ミサイル)配備反対を闘いぬくことも、主要な課題とする。
以上の報告で、韓国労働者民衆が置かれている状況での民主労総の位置、その重要性を、集会参加者は改めて確認することができた。
休憩後、キム・チャンゴンさんへの質疑に続き、国鉄労働組合、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)から連帯の挨拶を受けた。最後に、中小労組政策ネットワークから閉会挨拶を受け、団結ガンバローを韓国式、日本式で行なって締めくくった。(東京Ku通信員)