JFEは辺野古埋立てのケーソン作るな!
  横浜本社を全国包囲

 8月26日、JFEエンジニアリング(旧日本鋼管)が辺野古埋立て用の巨大な箱(ケーソン)を、三重県の津製作所で造ろうとしていることに反対し、JFE横浜本社行動が初めて行なわれた。主催は、「辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会」で、地元三重、神奈川県、東京など各地から約60名が参加した。
 JR鶴見線の弁天橋駅を降りると、目前がJFE横浜本社の正門である。駅を乗り降りする人は、ほとんどJFEや日本板硝子などの従業員や関係者とおもわれる。その中、普段と違ってノボリや横断幕を持った人々が集まってきた。
炎天下の午後1時から、駅前の小公園で集会。「三重県民の会」の柴田代表が、昨年2月に『琉球新報』で辺野古ケーソンがJFE津製作所で造られると知らされた以降の動き、すなわち3月の「三重県民の会」の結成、5月の津製作所への申し入れ、会社へのチラシ入れ、署名運動の展開などを述べ、本日の本社行動に到ったことを報告した。JFEに辺野古基地建設用のケーソンを造らないよう求める署名は、全国から16629筆(8月20日現在)寄せられている。
集会では、四国・瀬戸内からの阿倍悦子さん(辺野古土砂搬出反対全国連絡協共同代表)をはじめ、全造船JFE日本鋼管分会のみなさん、全造船関東地協、基地撤去をめざす神奈川県央共闘、また大成建設・五洋建設(これら埋立て受注企業がケーソンを受け取る)と闘っているSTOP辺野古埋立てキャンペーン、などの仲間が発言した。また三重や東海ブロックの、共産党や社民党の国会議員・地方議員からも連帯挨拶があった。
午後2時から、一同が正門に詰めての、本社申し入れ・署名提出行動が開始された。柴田さんが警備員に、二週間前から事前に通知している、私たちを通して会場を用意せよと求めるが、ゲートを閉めたまま通さない。総務部に電話をしても、いっこうに会社の担当者が出てこない。「みんな出払っていて~」と答えるだけの女性社員を隠れ蓑に、居ないふりという幼稚で恥知らずな対応である。これに徹底抗議し、正門前で座り込んだり、仲間たちの発言を続行。
午後3時、申し入れ書を読み上げ、警備員を通じて会社に提出。大事な署名簿のほうは警備員に託すわけにはいかないので、後日、再び提出に来ると通告して本社行動を終了した。
JFEは今回、完全無視という暴挙に出たが、この本社行動で深刻な打撃を受けた。JFEの労働組合を含めた広範な全国的運動に、会社は直面したのである。いわゆる一流企業JFEは、このままでは、環境破壊・戦争協力のブラック企業として世論の指弾を受けることとなるだろう。
なお、本社行動後、鶴見区内で今後の行動へ向けた交流会がもたれた。(東京W通信員)


8・8天皇メッセージ
  天皇明仁が違憲行為

 宮内庁は8月8日、公共の放送を使って天皇明仁が、事実上、皇室典範を改正し「生前退位」を可能とするよう国民と国会に要請する主旨の、ビデオメッセージを発表した。
皇室典範という皇室制度を規定する法律の範囲とはいえ、特定の法の制定・改廃について、天皇が直接に国民へ向けて演説を行なうというのは、日本国憲法下では初めての異例事態であった。
現憲法では、天皇は「国事に関する行為のみを行い、国政に関する機能を有しない」と規定されている。明仁は、国政への関与と問題視されることを避ける意図をもって、演説では、「皇室制度に具体的に触れることは控え」、かつ「私が個人として」発言するものであるとした。しかし演説が、「天皇の高齢化に伴う」制度的な危機意識を吐露しつつ、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくこと」を目的として、皇室典範改正を求めるものであることは明らかであった。
この天皇と宮内庁の行動が、安倍政権との連携の下に行なわれているのかどうかが、一つの注目点となった。安倍首相をはじめとする右派勢力は、ずっと「生前退位」に否定的であった。大日本帝国憲法では天皇主権制の安定の見地から、「生前退位」や「女性天皇」という過去の伝統を否定したが、安倍ら右派勢力は、この旧憲法をモデルとして改憲を追求している。
それで、現憲法を守り象徴天皇制を維持・強化せんとする天皇・皇族・宮内庁と、改憲によって象徴天皇制を復古的に強化せんとする安倍政権・右派勢力との、対立が露呈したという見方もある。
しかし、今回の天皇演説は、三つの意味で憲法違反である。それは結局、改憲勢力に手を貸すものとなるだろう。
一つは、今回の天皇演説それ自身が、現憲法をはみ出す政治的行為であり、「内閣の助言と承認」を得たのかも疑わしい違憲行為である。
一つは、憲法第5条で摂政を規定するにもかかわらず、明仁は演説で、摂政ではダメなんだと積極的に語っている。これは、憲法第99条の天皇・大臣・国会議員等の憲法擁護義務に違反している。
一つは、明仁は、「公的行為」という現憲法に規定の無い天皇の機能を、今後も維持・拡大することを前提として、皇室典範改正を求めている。安倍自民党の2012年改憲草案は、「式典への出席その他の公的な行為」が明記される。「公的行為」拡大論では、明仁と右派勢力は通底しているのである。
天皇にも退職の自由はあるべきだ、という人権論的な見方は的外れである。天皇・皇族に人権を保障するためには、天皇制を廃止するしかない。
労働者人民は、「公的行為」をはじめとする能動的象徴天皇制の強化に断固反対しよう。(W)