選挙は終わる、これからが決戦だ!

 イギリスが国民投票(6月23日)によってEU離脱を決定し、「アベノミクス」の破綻と危険性が明瞭となった。安倍政権の経済政策は、投機資本によるみせかけの景気回復を作るための、株・為替市場の操作と財政出動が本質だ。英国EU離脱決定によって、株高・円安は一気に株安・円高へ転じ、アベノミクス=アベノリスクは現実となった。
 また、東京都の舛添知事が6月15日、政治資金流用問題等で辞職へ追い込まれた。自民・公明には、カネまみれの舛添、前任・猪瀬を支えてきた責任を取らせねばならない。
安倍政権と与党自公を打倒する好機である。しかし、参院選(7月10日投票)は、「1人区」では全てに野党・市民統一候補を立て切れたものの、複数区・比例区では選挙協力が無い乱立傾向となり、「3分の2」阻止は楽観できないものとなっている。都知事選(7月31日投票)でも野党4党は、未だに統一候補を立て切れず、参院選との相乗効果を作れないでいる。
「野党共闘」は必要であるが、ある意味幻想だ。我々労働者・市民は、このかんの共同行動の成果と限界をふまえつつ、闘いを再構築せねばならない。(編集部)


  女性殺害糾弾・海兵隊撤退
   6・19沖縄県民大会に6万5千


  6月19日、沖縄・那覇市の奥武山公園陸上競技場において、「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会」が、辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議の主催で開催された。炎天下に6万5千人が集まった。被害女性の冥福を祈り、海兵隊の撤退などを強く求めた。
 大会は、古謝美佐子さんが『童神(わらびがみ)』を歌い、全員が起立・黙祷し、静寂の中で始まった。被害女性の父親からのメッセージが読み上げられた。メッセージは、娘の無念や遺族の悲しみ、苦しみ、怒りを綴りつつ、「次の被害者を出さないためにも『全基地撤去』『辺野古新基地建設に反対』。県民が一つになれば可能だと思っています。県民、名護市民として強く願っています。ご来場の皆様には、心より感謝申し上げます。」と。
 そしてオール沖縄会議共同代表の方々からの挨拶。
 名護市長の稲嶺進さんは、「もうすぐ慰霊の日を迎える。71年前も今日のような暑さだったんだろうと思う」と、沖縄戦の犠牲に想いをはせ、「71年前から変わることなく、県民の人権が無視され」続けている、「でも我々は頑張らねばならない」と訴えた。
 金秀グループ会長の呉屋守将さんは、(安倍総理に対して)「遺族、そして県民に真剣に向き合って心から謝罪すべきではないのか。われわれ一人一人は弱いかもしれないが、決して屈しない」と。
 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表の高里鈴代さんは、「私は婦人相談員という仕事を通し、絞め殺されそうになり難を逃れた女性たちに会った。復帰して今日まで同じことが起こっている。」「声を上げることのできない女性の声を耳を澄まして聞こうではないか。その声を集めて、新たな基地建設や海兵隊の駐留をこれ以上認めないという思いにつなげていきたい」と。
 シールズ琉球の玉城愛さんは、「安倍晋三さん、本土にお住いの皆さん、今回の事件の『第二の加害者』は誰か。あなたたちだ。しっかり沖縄に向き合っていただけないか」とアピール。
 つづいて若い世代から、元山仁士郎さん(国際基督教大4年)、真鍋詩苑さん(名桜大3年)、小波津義嵩さん(名桜大3年)、平良美乃さん(琉球大大学院1年)が、事件に対するそれぞれの受け止め方と二度と起こさせない決意を発言した。
 大会に参加された議員・首長の紹介の後、注目の中で翁長・沖縄県知事が登壇。
 「政府は県民の怒りが限界に達しつつあること、これ以上の犠牲は許されないことを理解すべきだ。私はこのような事件が二度と起きないよう県民の先頭に立って、日米地位協定の抜本的な見直し、海兵隊の撤退・削減を含む整理縮小、新辺野古基地建設阻止に取り組んでいく」と決意を表明。最後はウチナーグチで「グスヨー、マケテェーナイビンランドー(皆さん、負けてはいけませんよ)。ワッターウチナーンチュヌ、クヮンマガ、マムティイチャビラ(私たちウチナーンチュの子や孫を守っていきましょう)。チバラナヤーサイ(頑張っていきましょう)」と締めくくった。会場はひときわ大きな拍手に包まれる。
 そして、日米両政府に対して「在沖米海兵隊の撤退」など三項目を求める大会決議(3面に掲載)が提案採択された。
 県民大会は最後に、「怒りは限界を超えた」、「海兵隊は撤退を」と大書されたメッセージボードを全員で掲げ、海勢頭豊さんが「月桃」を歌う中で終了していった。
 この県民大会について、官房長官・菅義偉は、「(自民・公明が参加しなかったから)県全体という話は当たらない」と強調したとのこと。
 現実の県民大会は、菅の言とは異なるものであった。沖縄では今回の事件を受けて、「全基地撤去」しかないという声が澎湃とわき起こっているのである。しかし県民大会は、目標を「海兵隊の撤退」等に抑制した。日米政府の厚い壁に立ち向かうために、沖縄の心を一つにしようとする意志が働いたのだろう。怒りが限度を超える中での難しい選択だったと思われる。そして文字通りの「県民大会」が実現されたのである。
 自民・公明の議員団の不参加は、沖縄の民意の分裂を意味しない。それは、「辺野古が唯一」をアメリカに誓約し続けて沖縄の民意を一顧だにしない日本政府の態度を象徴したに過ぎない。
 県民大会の成功は、大会決議の実現を目指す沖縄の人々の新たな闘いへの出発である。われわれは、「もう二度と起こさせない」という沖縄の怒りと決意に向き合い、これに応える闘いをヤマトの地で創りだしていかねばならない。(「本土」参加者M)


  元海兵隊員による、残虐な蛮行を糾弾!
  被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める
  6・19沖縄県民大会決議


 
元海兵隊員の凶悪な犯罪により、20歳の未来ある女性のいのちが奪われた。これは米軍基地があるが故の事件であり、断じて許されるものではない。
 繰り返される米軍人・軍属による事件や事故に対し、県民の怒りと悲しみは限界を超えた。
 私たちは遺族とともに、被害者を追悼し、二度と繰り返させないためにこの県民大会に結集した。
 日米両政府は、事件・事故が起きるたびに「綱紀粛正」「再発防止」を徹底すると釈明してきたが実行されたためしはない。このような犯罪などを防止するには、もはや「基地をなくすべきだ」との県民の怒りの声はおさまらない。
 戦後71年にわたって米軍が存在している結果、復帰後だけでも、米軍の犯罪事件が5910件発生し、そのうち凶悪事件は575件にのぼる異常事態である。
 県民の人権といのちを守るためには、米軍基地の大幅な整理、縮小、なかでも海兵隊の撤退は急務である。
 私たちは、今県民大会において、以下決議し、日米両政府に対し、強く要求する。

①日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し完全な補償を行うこと
②在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小、県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去を行うこと
③日米地位協定の抜本的改定を行うこと
 宛先
 内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、沖縄及び北方対策担当大臣、米国大統領、駐日米国大使
2016年6月19日


  6・19沖縄県民大会に呼応する
  いのちと平和のための大行動


   国会前に知事発言中継

 6月19日、「怒りと悲しみの沖縄県民大会に呼応する いのちと平和のための6・19大行動」が、国会を包囲する1万人集会・行動として闘われた。6・19沖縄県民大会に呼応する同日行動は、全国40ヵ所以上で取り組まれた。
東京での国会前行動は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委と、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委の共催で取り組まれ、スローガンに「米軍基地は大幅整理・縮小」「辺野古新基地断念」「地位協定は抜本改定」「戦争法はいますぐ廃止」「海兵隊は全面撤退」「安倍内閣は退陣」「参院選で野党は勝利」を掲げて闘われた。
毎月19日には、戦争法廃止「19の日」行動が国会前などで続けられているが、この6・19は、沖縄女性殺害糾弾・海兵隊撤退を前面に出した一層大きな行動となった。国会正門前、南通用門、東北側の国会図書館、西南側の霞ヶ関・首相官邸方面、さらには脱原発テントが立つ経産省あたりの道々にも広範な層の人々、労働者、学生、市民が結集した。
午後2時に、正門前ステージを中心に集会は開始され、冒頭に全員が直立して、虐殺された被害者に1分間の黙祷を捧げた。
ついで、外間三枝子さん(沖縄一坪反戦地主会関東ブロック)が主催者挨拶に立ち、1945年の米軍沖縄上陸、72年の復帰、そして今日まで何ら解決されていない数々の課題について、日本政府・安倍政権の責任をきびしく追及する発言を行なった。
大城悟さん(沖縄平和運動センター事務局長)は、「45年から今日まで、重犯罪(強盗・殺人・強姦)凶悪事件が575件もある。基地の過重負担は沖縄差別であり、ガマンは限界にきている。アベ政治を倒すため、未来のために、全国の人々といっしょに行動していこう」と訴えた。
国会野党からは、初鹿明博(民進、衆院議員)、田村智子(共産、参院議員)、吉田忠智(社民、参院議員)の各氏が発言、野党共闘で参院選勝利などを訴えた。
さらに、沖縄出身の島袋みね子さん、青木はつ子さんが、「絶対に負けない、勝つまで闘おう」と力強く発言した。
そして国会前において、那覇で6万5千人が結集中の沖縄県民大会が同時中継され、翁長知事の発言が流された。翁長知事による、「守れなくて、ごめんなさい。」「絶対に地位協定を改定し、海兵隊を撤去し、新基地建設を阻止する」との決意表明、その会場からの地鳴りのような拍手・指笛が中継されて伝わり、国会前でも大きな拍手が沸き起こった。
最後に、共催各団体から落合恵子さん(作家)、山岸良太さん(日弁連)、清水雅彦さん(憲法学)、小田川義和さん(憲法共同センター)らが発言し、総がかり行動実行委から高田健さんが、「なんとしても参院選勝利、安倍政権打倒!」と訴えて、二時間の行動を終えた。
この6・19行動に示されたように、このかんの日本の大衆行動は、持続性・継続性が強化されており、米欧・南米・アジア・韓国などでの全世界的な新しい潮流との一体性を感じとれるものである。21世紀の歴史的闘いは、1990年前後・ソ連崩壊の頃からの後退の時代から脱し、勢いを復権しつつあるといえる。
何よりも、原則的に労働者は職場生産点を、学生は学園内を(かって戦後学生運動が果たした「学園の自治・学問の自由」を奪還!)、市民は地域社会の変革を目指して、農民は、三里塚のように農地奪還・農業再建のために、更にさらにねばり強く闘い抜くことが望まれる。さらに人民の中へ!(東京Y通信員)

    6・26新宿

 6月26日の日曜日、新宿駅東口アルタ前で、「安倍政権は辺野古新基地を断念しろ!6・26新宿デモ」の街頭行動が、数百人の参加で行なわれた。主催は、沖縄一坪反戦地主会関東ブロックをはじめ首都圏の諸団体による「辺野古への基地建設を許さない実行委」。
 この日の新宿行動は、沖縄での元海兵隊員による女性殺害事件の発覚(5・19)の以前から設定されていたもので、辺野古「和解」ならば、工事開始前の原状に完全にもどせ!等を訴えるのが当初のねらいであった。殺害事件によって、この日の行動は6・19国会前に続いて繁華街において、女性殺害に抗議し、沖縄海兵隊をはじめ全軍事基地を撤去せよ!を前面に出した行動となった。
 アルタ前集会は、虐殺された被害者を悼み黙祷を捧げて、開始された。辺野古実行委の仲村さんの訴えの後、シュワブ・ゲート前テント村から山城博治さんが参加し、熱くアピールした。
 山城さんは、「6・19県民大会で抗議して、それで終わりなんて有り得ない。各米軍基地前でも座り込みをやって、基地をガタガタにしていく。すべての米軍を叩き出すまでやる!」「自衛隊が、すでに与那国に入ってきたが、石垣、宮古への配備も、島民は『軍隊が来れば戦場になる』と強く反対している。自衛隊基地もいらない!」「国地方係争委員会は、政府と沖縄県の真しな協議を求めつつ、判断を出さなかった。それでも官房長官の管は、県に裁判に訴えろなどと言っている。係争委員会が引き続き話し合え、なのだから裁判に訴えたほうが負けるに決まっているではないか。翁長知事も命がけで闘っている、私たちも腹をくくって今こそ立ち上がろう!」と訴えた。
 集会は各団体発言や、「辺野古新基地建設断念を求める7・31全国交流集会」(連合会館・全電通会館、10~18時)などの確認の後、受注企業・大成建設へデモを行なった。(東京W通信員)