ひろがる「最低賃金大幅引き上げ」キャンペーン
  めざせ1500円
   今すぐ1000円


 参院選挙の最大の争点は、安保法と憲法9条改定の是非であるが、隠れたもう一つの争点は、最低賃金の大幅引き上げを行うのか、行わないのかである。
 安倍自民党は、アベノミクス継続の是非が争点と言っているが、これは最賃「大幅引き上げ」には断固反対と言っているのと同じである。また、前2回の衆参選挙でも経済政策を最優先と言いつつ、それは本音を隠した謀略でもあった。選挙が終わる度に、特定秘密保護法、「集団的自衛権行使7・1閣議決定」、安保法の制定と強行し、戦争する国家づくりを最優先としてきた。
 安倍自民党は今参院選の公約では、時給「最低賃金1000円をめざす」としている。この公約は、全国加重平均しかも経済状況を加味して、と前提が付き、「年3%程度を目途」とするもので、順調に行っても平均1000円に達するのに2020年代半ばまでかかるという代物である。消費税8%から10%への画策、政府のインフレ目標2%を考慮すると、年3%では現状維持もむずかしい。(また自民党は、「同一労働同一賃金の実現」と掲げたが、「均等待遇」を「均衡待遇」と言い換え、「合理的理由のない賃金格差」を是正する具体性を全く欠くものである)。
 野党4党は、おおむね「今すぐどこでも1000円」で一致している。日本共産党は、「今すぐ1000円、さらに1500円をめざす」を公約としており、民進党、社民党は、連合方針の「早急に1000円、さらに大幅引き上げ」に沿った公約である。
 現在の法定最賃は、最高が東京で907円、最低が鳥取・高知・宮崎・沖縄で693円。この当たりの時給で窮々と暮らす人は、これを今すぐ1000円以上に上げるために、絶対に自民党に投票せず、棄権もせず、必ず野党に入れないといけない。
さて、「最賃大幅引き上げ」運動は、新自由主義グローバリズムに対抗する近年の国際潮流であり、かつ、日本の労働運動再建の新しい足がかりともなりつつある。
日本では、今春から「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」運動が始まった。これは、首都圏の賛同組合(全国一般南部、東部労組、首都圏青年ユニオンなど)が、コミュニティ・ユニオン全国ネットの統一行動と連動する形で開始され(2・27新宿)、世界同時アクションとして続き(4・15渋谷)、野党4党との連携も作られた(5・17院内集会)。
このキャンペーン運動とつながりをもって、生協労連など全労連系での独自の行動も生まれ、また、ネットで個人がつながる形で、「エキタス」の街頭行動も繰り返されている。
今や「めざせ1500円・今すぐ1000円」が合言葉となり、巷の共感を広げつつある。最賃の大幅アップは、時給労働者だけの課題ではない。初任給と賃金体系、労使の賃金協定、福祉政策の水準などに連動する全人民の課題である。
中央最低賃金審議会が、来年度の最賃目安を出そうとしている。6・14審議会に厚生労働省前で要求行動が闘われ、7・14審議会闘争と続く。7月下旬答申・目安3%程度で、その後の各地方審議会は右にならえ、などというのは絶対許せない。
8月5日(金)には、地方最賃審議を全国で闘うための決起集会が、最賃大幅引き上げキャンペーンの主催で行われる(渋谷勤労福祉会館、午後7時)。その前の5時からは、渋谷ハチ公前で街頭キャンペーンだ。どこの組合であれ、個人であれ、よってたかって最賃を上げさせよう!(A)


6・26三里塚東峰現地行動
  「第3滑走路」撤回せよ

 6月26日、「三里塚空港に反対する連絡会」は、「飛行制限時間緩和を許さない! 成田空港『第3滑走路』計画を撤回せよ! 横堀現闘本部裁判最高裁で勝利判決を! 反原発―再稼働やめろ! 沖縄・辺野古新基地建設反対! TPP反対!」のスローガンを掲げ、東峰現地行動を行ない、40人が参加した。
 前段集会を旧東峰共同出荷場跡で行ない、山崎宏さん(横堀地区)が現地状況について報告。
 「国土交通省、成田国際空港会社は一体となって、2030年までに第三滑走路を作るという計画案を出してきた。これまでの空港反対運動の歴史を無視して、空港拡大を推進する計画だ。成田市、芝山町は、地元住民有志という形で第三滑走路の誘致を進める組織ができ、運動を展開している。報道によれば、芝山町北側に3500mクラスの滑走路を作ろうということが有力視されている。芝山町、多古町、横芝光町などは、さらに騒音が拡大する。しかし芝山町は、自分たちの利害をかけて必死になって第三滑走路誘致活動を行なっている」。
 「2020年東京オリンピックを通して旅客増加が見込まれると称して、夜間の飛行制限時間の緩和への動きが出ている。成田市などの推進派に要望を出させながら、政府・空港会社はこれを梃子に、夜間飛行制限時間を緩和しようとしている。現在でも早朝6時から夜11時までは飛行し、住民の生活はギリギリのところにある。それをさらに制限時間を緩和して、もっと早朝、深夜まで飛行させようと策動している。かつて平行滑走路が作られる時、サッカーワールドカップに向けて旅客増が見込まれるからと滑走路拡大計画を掲げ、平行滑走路運用を強行した。スポーツイベントを利用しながら空港拡大をねらう、同じ手口を繰り返している」。
 「政府は事業認定を取り下げて土地の強制収用ができないが、裁判を通じて農民から土地を奪う、一坪共有地の解消を図ってきている。シンポ・円卓会議で、『強制的手段を行わない。住民と話し合って解決する』と確認してきたにもかかわらず、みんな反古にして一方的に権力を行使し空港拡張を行なってきた。このような攻撃を許さず、地元住民と連帯してともに闘っていこう。今後も闘いの地平を譲らず、空港絶対反対、空港拡張を許さない闘いを進めていこう」。
 平野靖識さん(東峰地区)が、三里塚闘争50年を迎え、新たな闘いに向けて決意表明を行なった。
石井紀子さん(成田市川上)からの、「7月17日の反対同盟50周年の集会には、私も参加した80年代の若い嫁たちの運動を話したいと思います」とのメッセージが読み上げられた。
根本博さん(泉州沖に空港を作らせない住民連絡会)は、「空港問題は、国のウソとデマによって進めてきた共通なところがある」と指摘し、「関西空港も需要が伸び、経済も大きくなると言われてきた。結局、需要は伸びず、開港20年にしても1兆円以上の借金が残っている。関西空港ができる前提であった14万回着陸さえカバーできていない。航空需要は、時の経済情勢によって左右され、うなぎ登りで伸びることはない。日本人の需要は、ここ3年で減っている。1兆円の借金を減らすために、空港運営権を売却したりなどで覆い隠そうとしている。環境破壊、兵站のための空港の軍事化を許さず空港建設のねらいを暴き出しながら闘っていきたい」と発言した。
 集会後、開拓道路に向けてデモに移った。開拓道路に到着後、B滑走路にむけて「三里塚空港粉砕!農民追い出しを許さないぞ!」のシュプレヒコールを響かせた。
 (「連絡会」の共同報道文を、編集部責任で略)