東アジアの民衆連帯を!
 戦争法廃止・安倍たおせ!6・11集会

  
安保法は半島再侵入

 6月11日、東京渋谷区の幡ヶ谷区民会館において、「東アジアの民衆連帯を!戦争法廃止・安倍たおせ!6・11集会」が、韓国ゲストなどを迎えて開かれ、約130名が参加した。集会は、戦争法廃止!安倍たおせ!反戦実行委員会(略称・反戦実)の単独主催。
 反戦実は、昨年来の安保法制反対と安保法廃止の共同行動を左翼的に推進し、また4~5月の伊勢志摩サミット反対運動の結集軸として、その存在感を一定示してきた。これら反戦実の闘いをふまえ、今後の闘争方向を探っていくものとして、今集会があった。
最初に、反戦実から岡崎さんから、安保法反対・伊勢志摩サミット反対の経過をふまえた主催者挨拶がなされた。
 続いて、シンポジウム「東アジアにおける反戦闘争の課題」として、韓国から高永大さん(コ・ヨンデ、韓国「平和と統一を開く人々」共同代表)、沖縄から大仲尊さん(沖縄一坪反戦地主会関東ブロック)、ヤマトから池田五律さん(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)のお三方の報告がなされた。
 メイン報告と言えるコ・ヨンデさんの報告は、スライド映写を使い、北東アジア・朝鮮半島の政治軍事情勢全般に及ぶものであったが、特に、韓国における米軍THAADレーダー配備計画の意味について、また韓国民衆から観た日本の安保法の意味について、強調するものであった。
 サードレーダー・高高度ミサイル迎撃システムの韓国配備によって、日米韓三角MD(ミサイル防衛)構築が完成する。これは、北に対するだけでなく、米中間の戦略バランスにおいて米国優位に確保し、また日本の集団的自衛権行使と対北先制攻撃を支援するものである。
 また安保法では、「重要事態」(これまでの「周辺事態」)において、日本軍が朝鮮半島に再侵入するにあたって、韓国政府の同意を要するとの条項は存在しない。わが政府は、再駐屯に反対できるのだろうか。
 こうした韓国からの指摘は、きわめて重要であった。日本の戦争法反対運動では、今のところ南スーダンPKOでの自衛隊活動におもな懸念が掛けられており、自衛隊が朝鮮半島に再上陸するかしないか、ということは主要な関心事になっていないからである。
 続いて、大仲さんが、与那国島・石垣島・宮古島での陸上自衛隊配備反対運動について報告した。
 与那国島では3月28日に、レーダー基地の沿岸監視部隊として、自衛隊配備が強行された。1490人の人口に、自衛官160人プラス家族94人である。
 石垣島では、対艦・対空ミサイル基地などのための用地取得が、来年度予算に盛り込まれようとしている。中山・石垣市長が態度をあいまいにしたままだが、防衛省の住民説明会に対し、市・平得・大俣3地区で住民が反対している。今年3・10に、自衛隊配備反対を掲げる市役所包囲行動に320人が参加した。
 宮古島ではすでに今年度予算で、同様のミサイル基地等の用地取得費が付いているが、河川が無い宮古島では、地下水ダムを守る闘いが自衛隊配備反対と結びついて闘われている。自衛隊配備について地下水審議会での事前協議は不要、とする下地・宮古島市長に抗議して、先日5・24には200人以上が市役所平良庁舎を包囲した。(その後、下地市長は6月20日定例議会で、自衛隊配備了解を表明したが、水源に関わる予定地の一つは認めないとしている。)
 最後に、池田さんが、練馬基地や朝霞基地など首都圏の日米軍事一体化について報告した。
 反戦実の松平さんから、東アジアの人々やオール沖縄と連帯して安倍政権を打倒していく、また、2015年安保闘争に欠けていた非正規下層・失業者の層的登場に道を拓き、共生と協同の新たな社会を目指していこう、などの主旨の基調が提起された。
 連帯発言では、辺野古リレーが、警察庁・海上保安庁に直接抗議した5・21「れじすたんす大行動」を報告した。また、「直接行動」(前身は安保法制反対学生ハンスト実行委)の学生が、6月5日の川崎市でのヘイトデモ中止行動を報告した。日韓ネットの尾沢さん、破防法・組対法に反対する共同行動の石橋さんも発言。石橋さんは、「反戦なら反治安、反治安なら反戦、今春以降の反戦実との共同は意義深い」と語った。
 集会後、新宿中央公園まで、「安倍たおせ!」など掲げてデモ行進を貫徹した。(東京W通信員)


反戦実などが6・23防衛省行動
  日米韓ミサイル演習反対

 6月23日、日米韓ミサイル防衛訓練(6月28日・ハワイ沖)の中止を求める行動が、東京・市ヶ谷の防衛省前で行なわれ、反戦実行委員会、日韓民衆連帯全国ネットワーク、AWC(アジア共同行動)など賛同する諸団体・諸個人から約30人が結集した。
 夕刻6時半より、日韓ネットの尾澤さんの司会で、抗議集会を開始。参加団体からは、反戦実の松平さんが、このかんの安倍打倒闘争の報告として、沖縄・韓国民衆の闘いと連携し、東アジア民衆の反戦・反米帝の闘いに連帯するものとして、「総がかり行動」の一翼を担う形で取り組んできたこと、その具体的一環として、本日の行動があることを訴えた。
 AWCからは佐古さんが、韓国の「平和と統一を開く人々(ピョントンサ)」からの連帯メッセージを紹介した。日韓ネットからは土松さん、労働運動活動者評議会、立川自衛隊監視テント村からも、それぞれ日米韓ミサイル防衛訓練中止を求める力強い挨拶が行なわれた。
 このあと集会は、防衛省の担当官に、安倍首相・中谷防衛大臣宛ての抗議文を読み上げて手渡した。抗議文の主旨は次のとおり。
 「北朝鮮の脅威を口実に、高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の韓国配備を早め、ミサイル情報など軍事情報共有体制を強化するために日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIR)を締結しようとしている。今回の日米韓ミサイル防衛訓練は、そのための軍事演習だ。このような軍事演習は、憲法違反の安保法制=集団的自衛権の行使を前提にするもので、中国への軍事的圧力を高め、南中国海問題とも関連し新たな軍拡競争を呼び起こすもので、アジアの平和と繁栄に逆行するものであり、我々は全面的に反対する。」
 また抗議文は、昨年12月に日韓両政府で合意した日本軍「慰安婦」問題にかかわっては、この合意が「被害者ハルモニの声を全く聞かない被害者不在の合意であり、日本国家の法的責任を否定するなど、被害者の望む解決に全く反する差別的合意である」と正しく指摘したうえで、「ミサイル防衛の共同軍事訓練などの日米韓軍事体制の強化によって朝鮮半島とアジアに対する軍事的圧力と緊張を高めることは、再び軍事的侵略につながることで、断固反対する」として、
 次の5項目、①日米韓ミサイル防衛訓練を中止しろ。②高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の勧告配備の撤回を韓米両国に強く要求する。③日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIR)および日韓物品役務相互提供協定(ACSA)を締結するな。④日本軍「慰安婦」問題12・28日韓合意を破棄して、国家責任を認めて、被害者が納得する解決を行え。⑤自衛隊は旭日旗を使用するな。を要求した。
 この行動は、緊急行動のためか参加者は少数であったが、安倍政権の政治の本質にもっとも鋭く対決する国際連帯行動であり、また京都丹後の米軍Xバンドレーダー反対の闘いと一体の、意義ある行動であった。(東京Ku通信員)