「実効性ある再発防止策」=軍事基地全面撤去!
  
 6月1日通常国会が閉会し、7月10日投票の参院選挙で自民・公明などを敗北させること(関連記事3面)、これを始めとする安倍打倒・戦争法廃止の今夏決戦に突入した。「6・5総ががり大行動」(記事2面)の成功によって、その火蓋は切られた。
安倍政権は、「アベノミクス」の失敗を認めないまま消費増税の再延期を表明し、内政の全面的な崩壊過程に入った。また安倍は、オバマ広島訪問の演出によって日米戦争同盟の粉飾を謀ったが、米軍属による女性虐殺事件を許さない沖縄米軍基地撤去要求の大きな高まりによって、その外交政策も破産した。
総がかりで安倍を打倒する夏が来た! しかし選挙が全てなのではない。職場・学園・地域から団結と自治を創造し、全世界人民と連帯して新しい社会をめざしていく。その質をもった運動・政治勢力を前進させよう。それが最も問われている。(編集部)

米軍属の沖縄女性殺害事件糾弾!
   在沖海兵隊撤退へ
  6・19県民大集会


560沖縄女性殺害
 5月19日に発覚した沖縄県うるま市での、米軍軍属・元海兵隊員による女性殺害・死体遺棄事件は、絶対に許すことのできない凶悪事件である。事件の態様は極めて残虐で、海外殴り込み部隊である米海兵隊が日頃行なっている殺人訓練を反映するものであり、沖縄の社会に米海兵隊が存在すること自体が問われるものとなっている。
この事件は、日米当局によるおきまりの「綱紀粛正」「地位協定の運用改善」などでは何の解決にもならず、更には日米地位協定の改正をもってしても根本的解決にはならないことを示している。辺野古新基地建設の撤回はもちろん、沖縄からすべての米軍事基地を撤去しないかぎり、沖縄の人々の生命を守り、人権を回復する道はないことが明らかとなった。
今回の殺害事件においてすら、またもや根本的解決の道が取られないならば、沖縄の人々とくに女性たちは誰一人、安心して道を歩くことすらできない。沖縄の人々は、戦慄・悲しみ・怒りのなかで、即座に抗議行動に、と言うよりも米軍基地そのものの撤去を求める行動に立ち上がった。
直ちに5月20日、米空軍嘉手納基地ゲート前で事件糾弾行動が行なわれ、中部地区労や嘉手納爆音訴訟団の呼びかけで250人が参加。沖縄各界の連日の抗議行動、声明が続いた。
5月25日、「オール沖縄会議」は嘉手納基地第1ゲート前で、「元米兵による残虐な蛮行糾弾!犠牲者を追悼し米軍の撤退を求める緊急集会」を開催し、約4000人が怒りの結集。安倍政権による形ばかりの対米「抗議」、地位協定改正要求の拒否が、厳しく批判された。
翁長沖縄県知事は、伊勢志摩サミットで来日するオバマ大統領との会談を設定するよう日本政府に求めていたが、安倍政権はいつもの「外交は政府の専権事項」としてこれを拒否。安倍は25日の夜、サミット開会前にオバマとの首脳会談を行なったが、それは沖縄女性殺害事件「対策」のための長時間の密談であった。結局、オバマは事件を謝罪せず、彼と安倍は、辺野古「移設」推進に変わりなし等々を表明した。
翁長知事は日米首脳会談後、「このまま日米地位協定の改定がなされなければ、県民は米軍基地に対する不安を解消できず、これ以上耐えることはできない」と述べ、両首脳を批判した。
沖縄県議会は5月26日、事件抗議、普天間基地の閉鎖撤去と「県内移設」の断念、地位協定の抜本改定、そして在沖米海兵隊の撤退を求める決議を採択した。県議会が、沖縄海兵隊の撤退そのものを決議したのは初めてである。公明は賛成したが、自民も公然と反対はできず退席しての、全会一致採択となった。
「本土」の民衆にも、沖縄女性殺害事件の重大性は伝わりつつある。事件直後から、各団体の抗議行動が開始され、25日には東京で、「怒!元海兵隊員による女性殺害絶対許さん 諸悪の根源の基地を撤去せよ!5・25首相官邸前緊急行動」が、辺野古への基地建設を許さない実行委員会などの呼びかけで行なわれ、約400人が日米両政府を糾弾した。
このかんの辺野古問題を通じて「本土」でも、沖縄基地問題を自分たちの問題として捉え、行動する傾向は広がっている。それはまた、日本・沖縄の関係性自体を問い直おす傾向としてもある。現在、沖縄が海兵隊撤退要求に踏み込むなか、「本土」の運動がどう応えるのかが問われてくる。
一方、辺野古の海では、5月下旬にようやくフロートや作業台船が撤去された。3月の代執行裁判「和解」で、翁長知事の取り消し処分が復活したからである。見た目、「美ら海」は戻ったが、沖縄防衛局は立入り禁止区域の解除などを拒み続けている。
日本政府は、元海兵隊員の残虐な殺人が起きても、海兵隊に新基地を作ってあげることに固執するのか。国地方係争委員会の判断がまもなく出るが、まともな判断なら、沖縄県内「移設」そのものの再考しかないはずだ。
 沖縄では6月19日、「オール沖縄会議」の呼びかけによる、事件に抗議する県民大会規模の大集会(十万人規模)が開催されようとしている(那覇市・奥武山公園)。
 問われているのは、「本土」の平和運動・民衆運動である。「本土」の我々は、沖縄に海兵隊を始めとする米軍基地を押しつけ続けている歴代政権を、いつまで許しているのか。とくに、自衛隊の集団的自衛権行使を解禁し、琉球列島全域の対中国・戦争前線基地化をすすめている安倍反動政権の存在を、いつまで許しているのか。
 7月参院選をはじめとする今夏、安倍政権を速やかに打倒し、沖縄の戦争基地化・戦場化を阻止しよう。これによって、軍事基地のない沖縄、東アジア平和交流拠点としての沖縄、これへの転換を開始しようではないか。(W)