伊勢志摩サミット反対5・22新宿デモ
  今夏、国際連帯で安倍打倒へ

 5月22日、東京では「伊勢志摩サミット反対5・22新宿デモ」が、新宿西口の柏木公園を起点に行なわれ、約250名の人々が参加した。この都内唯一と言ってもよいサミット反対行動は、「戦争法廃止・安倍たおせ反戦実行委」などによる伊勢志摩サミット反対実行委員会、ならびに諸団体による主催であった。
 デモ前の集会は正午半、公安警察が百名以上で過剰・不当警備を行なう中、サミット反対実の土屋さんの司会で始まった。「今日の行動は、G7による戦争、貧困と格差拡大に抗議・反対することを一致点とした共同行動だ。そして沖縄で元海兵隊員による女性殺害事件が起きてしまった。『本土』での闘いの弱さが、事件を許してしまっている。基地をなくさない限り、犯罪はなくならない、全軍事基地撤去へ闘おう!」と基調を述べた。
 緊急アピールを、辺野古に基地をつくらせない実行委員会の中村さん。「米海兵隊員は、日常的に人殺しの訓練をしている。海兵隊を撤去させなければ、事件はなくならない。必死になって、これ以上基地をつくらせない闘いを! 5月25日夕刻の首相官邸前抗議行動に結集を!」と訴えた。
 各団体が発言した。最初に、「G7茨城・つくばサミットを問う会」の仲間が、G7科学技術相サミット(5・15~17つくば市)に反対する5・15デモ(約30人参加)など、つくば地域での取り組みを報告した。
 日韓民衆連帯全国ネットワークの仲間は、本当の脅威はアメリカ、朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に代え、朝鮮半島からの米軍の撤退を!と訴えた。
 反安保実行委員会の国富さんが発言、「安倍政権は、戦争法など日本の戦争する国家づくりへのG7協調をねらっていたが、沖縄女性殺害への抗議、オバマ広島訪問での謝罪要求の高まりによって、大きな異議を突きつけられる現況となっている。闘いを広げよう!」と訴えた。また名古屋市でも昨日5・21には、伊勢志摩サミットを問うシンポ、反サミット・デモが行なわれたことを報告した。
 救援連絡センターの仲間からは、刑事訴訟法等改悪案が民進党を含めて、成立させられようとしていることへの抗議が表明された。(警察・検察に都合のよい部分的取り調べ可視化、冤罪を生む司法取引制度の導入、盗聴拡大などを中味とするこの改悪案は5月24日、衆院で成立させられた)。
 また、労働団体からは争議団連絡会議および地域共闘交流会、学生団体からは「直接行動」(その前身は、安保法制阻止の学生ハンスト実行委)の仲間が、反戦闘争決起の発言を行なった。
 発言の最後に、サミット当日の三重県内での反対行動を現地共闘で準備する仲間から、伊勢志摩現地闘争への結集が訴えられた。
なお当日、5・26津市での屋内集会にはーーー人が参加し、5・27志摩市での反サミットデモにはーーー人が参加し、デモ隊はサミット会場の賢島へ肉薄して闘った。
 また柏木公園の集会では、伊勢志摩サミット反対5・22行動への、4ヵ国・地域からの連帯メッセージ(AWC韓国委員会、フィリッピンBAYAN、台湾労働人権協会、米国ANSWER連合)が確認された。
 さあ!デモだ。「サミット反対」「戦争反対」の基本コールを叫びつつ、数百名のデモ隊は、賑わう日曜日の新宿駅周囲を一周、柏木公園に戻る大宣伝戦を行なった。筆者も、沖縄女性殺害事件への抗議として、「オバマは、殺人=米軍基地持って帰れ!」の自家製プラカードを掲げて行進した。(東京W通信員)

  5・8集会

 5・22新宿デモの前には5月8日、都内の南部労政会館にて「伊勢志摩サミット反対5・8集会」が、伊勢志摩サミット反対実の主催で開かれ160名が参加した。
 集会では、実行委呼びかけ団体である「反戦実」からは、松平さんが、「対テロ」戦争反対!戒厳態勢構築をゆるすな!戦争と新自由主義推進のサミットに反対する、とのスローガンを掲げる本運動の基調を提起した。
 また、同呼びかけ団体の「破防法・組対法に反対する共同行動」からは、石橋さんが、サミット戒厳態勢や今国会での刑事訴訟法等改悪案、画策される共謀罪導入への批判に重点をおいて、基調を提起した。
 なお集会は、5月2日に大阪府警が強行した、京丹後Xバンド米軍基地反対運動関係者などに対する「詐欺容疑」デッチ上げの一斉家宅捜索が、サミット事前弾圧でもあることを確認し、これを糾弾した。
講演が、田原牧さん(『東京新聞』特報部)から、「中東から見た世界の現在」の演題で行なわれ、宗教過激主義の陥穽、グローバリズムによる社会解体、また対抗自治と左派の主体構築という課題について語られた。
 池田五律さん(練馬アクション)の司会で、講演についての討論も行なわれ、最後に大西一平さん(立川自衛隊監視テント村)から、新宿デモなどへの行動提起がなされて閉会した。(東京A通信員)


戦争法廃止「19の日」行動、5・19国会前に4800人
  沖縄女性殺害の報に衝撃

 戦争法廃止・発動阻止を掲げた8回目の「19の日」行動が、5月19日、衆参議員会館前で開かれ、主催者発表で4800名の労働者市民が結集した。主催は、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会。
 この日、行動前に衆院第一議員会館で、衆参両院議長に提出する1200万筆の戦争法廃止署名が、野党議員に託された。署名は6月末まで続けられ、2000万筆を目指すという。
 国会前行動は、国会野党発言(吉田忠智社民党首、志位和夫共産党委員長、小川敏夫民進党議員)の発言に続いて、主催3団体がアピール。
 「戦争をさせない千人委」の清水雅彦さん(日体大教授)は、「安倍首相は、『行政府の長』なのに、自分を『立法府の長』だと何度も言っている。緊急事態条項は、首相が行政・立法府の長になる。それを意識し、国民に馴れさせるために言っている。参院で3分の2を取らせず、退陣へ追い込もう」と訴えた。
 「解釈で憲法9条を壊すな!実行委」の高田健さんは、「9・19の後、野党5党で戦争法廃止法案を共同提出し、参院選の野党共闘が求められた。それは夢のような話だったが、しかし8ヵ月後の今、全国32の1人区すべてで、候補一本化がなされようとしている。市民が連携し、全国各地で実現させた。安倍に一泡ふかせよう」と訴えた。
 「戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター」の笠井美貴代さんは、「今月22日から、千歳の陸自北部方面隊第7師団が、南スーダンに派遣される。20代の自衛官が息子の母親が、戦争法に反対して声を上げた。息子に迷惑をかけぬよう『縁を切って』の駅頭活動。『恨まれるより死なれる方が辛い』との母の発言。一人の命も失わせてはならない」と語った。
 国会前に、沖縄で4月から行方不明になっていた女性の遺体遺棄容疑で、米軍軍属・元海兵隊員の男性が逮捕されたとの情報がもたらされた。
 燃え上がる怒りと悲しみの中で、沖縄選出の糸数慶子参院議員が特別発言に立った。「いったいいつまで、人権が脅かされるのか。女性は、はたちの若い命を奪われた。今までどれだけの命が奪われたのか。何度も申し入れているのに、再び悲しい事件が起こった。政府は、なぜ沖縄の現状を許しているのか。戦争につながる全てに反対し、安倍政権を打倒する」と、悲しみで言葉もつまりながらの発言であった。
 続いて、沖縄平和運動センターの大城悟さんが、「基地を撤去しない限り、事件はなくならない。辺野古の新基地建設工事が止まっている。闘いで工事中断に追い込んだ。しかし、安倍政権はあきらめていない。人権をないがしろにし、戦争を求める政治を止めよう。安倍が怖がっているのは、全国の世論だ」と結んだ。
 女性殺害事件に、沖縄は島ぐるみで抗議を高める。しかし重要なのは、「本土」世論が変わることだ。全国の人々が自分の問題としてこの事件を捉え、行動を起こすならば、安倍政権はたちまち倒される。
 5・19行動は最後に、総がかり行動実行委から、「6・5全国総がかり大行動」の提起を受け、その成功へ向けた拍手で終了した。(東京O通信員)


狭山事件再審を求める5・24市民集会
  取り調べ録音テープは、決定的新証拠

 「狭山事件の再審を求める市民集会」が5月24日、「不当逮捕53年!いまこそ事実調べ・再審開始を!」のスローガンを掲げて東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、全国から数千人が結集した。主催は、狭山事件の再審を求める市民集会実行委。
 第3次再審請求が申し立てられて10年、この狭山闘争の正念場で、決定的な新証拠がまた一つ明らかになった。石川一雄さんが逮捕された53年前の取り調べの実態が、証拠開示された録音テープによって暴露されたのである。
 自白直前の「取り調べ録音テープ」には、警察官らが「脅迫状を書いたことは間違いない」、「なぜ書いたか供述する義務がある」などと決めつけ、迫る場面が録音されている。不当な自白強要の実態が、取り調べテープから明らかになったのだ。
 しかも、筆記する場面の録音から、警察官に手助けされながら全て平仮名で書いていたにもかかわらず、正しく書けていないことも明確になった。これによって当時の石川さんは、部落差別によって教育を奪われ、脅迫状を書いていないことが証明された。警察官は法廷証言で、「矛盾なくスラスラ自白した」、石川さんが「言う通りに、自白調書を作成した」などと発言しているが、これも全くウソだったことが分かる。取り調べテープは、石川さんの無罪を示す決定的な新証拠だ。
 再審開始・無罪のカギは、証拠開示と事実調べであることは、布川事件や足利事件が示している。裁判所は、検察側の全証拠を開示させ、新証拠の録音テープをはじめ事実調べを開始しなければならない。
 さて集会では、組坂繁之・部落解放同盟中央本部委員長が開会挨拶、「次から次へと新証拠が明らかになり、無実が実証されている。狭山事件は、部落差別に基づく冤罪事件。この勝利なくして差別からの解放はない」と訴えた。
 民進党、社民党の挨拶に続いて、石川一雄・石川早智子さんが登壇。石川一雄さんは、「この第3次再審で決着をつけたいと、全国を回っている。重要段階で足踏みしているのは、検察・警察が隠し持っている証拠を出さないからだ」と指摘し、
「えんはらす気概をむねに真実を 黙する司法に総意で勝つ」
と詠んだ。早智子さんは、「第3次再審では、『不見当』などと言う検察を包囲し闘ってきた。この中で証拠リストは提出され、確実に勝利に向かって進んでいる」と語った。
 そして、中山武敏・狭山弁護団主任弁護人が報告、「百万を超える再審開始要求書名が提出された。3者協議では、裁判長が証拠開示の勧告を行ない、今、185点の証拠が開示され、180点以上もの新証拠が提出されている。弁護団に、小林節(憲法学者)さん、宇都宮健児さんが加わってくれる」と報告し、弁護団の必勝態勢が明らかにされた。
 片岡明幸・同盟副委員長は、「裁判がいつまで続くのか危惧される人もいるが、第3次再審は必ず勝てる。これ一つで無実が証明される証拠も出てきた。石川さんの上申書・手ぬぐい・取り調べ録音テープ、これが三大証拠だ。」「証拠開示をさらに進めることが大切。埼玉地検や県警も証拠を持っているはずだ」と指摘した。
 連帯アピールを、足利事件の菅谷利和さん、布川事件の桜井昌司さん、そして袴田事件の再審請求人で巌さんの姉・袴田秀子さんが発言した。秀子さんは、「巌も50年、石川さんは53年、冤罪の苦しみが続いている。力の限りがんばる」と語った。
 最後に、鎌田慧・狭山事件の再審を求める市民の会事務局長が、「絶対に勝つという確信を持って、地域に帰ってほしい。狭山、袴田の両再審闘争に勝利しよう」と訴えた。
 集会後、芝公園までデモ行進し、石川無罪を訴えた。(東京A通信員)


福島原発告訴団らが5・21原発事故被害者集会
  一日も早い公判開始を

 5月21日、福島原発告訴団と福島原発刑事訴訟支援団は、東京・千駄ヶ谷区民会館で、「5・21原発事故被害者集会」を開催し、300名を超える参加者であった。
 集会は、「ただちに公判をひらけ!東電3被告人の刑事裁判」、「汚染水放出告発 福島検審は起訴決定を!」のスローガンの下、裁判闘争の意義と真実を広く知らせることを目的に開かれた。それは、「人類が同じ悲劇を二度と繰り返さないように、命を大切にする道が僅かでも開かれる」ことを願っての、精一杯の抵抗だ。
 安倍政権は戦争法、兵器・原発産業、新自由主義を強引にすすめていてる。そのため事故から6年を迎えた福島では、深刻な問題を抱えたまま、被害が見えないようにさせられている。来年3月、政府は原発事故避難者への住宅支援を打ち切り、避難者の存在を消し去ろうと画策している。そして、モニタリングポストを移設・撤去して、汚染が存在し無いかのように見せかけんとしている。
 事故の責任を問う闘いは、これらを許さず、被害者を救援し、再稼働阻止・全原発廃炉をめざす闘いの重要な環としてある。この長期戦をやりきる闘いとして、4・21集会はあった。
 冒頭、武藤類子・原発告訴団団長は、「今年2月29日、東電元幹部ら3名の強制起訴がなされた。一日も早い公判開始を」と述べ、汚染水問題でも今年4月13日、福島検察審議会に申し立て、6月22日には追加申し立てをすると報告した。そして、「7・18これ以上海を汚すな!いわき集会」(仮題)への結集を呼びかけた。
 佐藤和良・刑事訴訟支援団団長は、「これからの裁判を支えるには、生半可な気持ちではやれない。4月5日に直ちに公判を開始するよう申し入れたが、裁判所は4月27日、公判前整理手続きをやると表明した。長期戦覚悟の必要がある。10万人余を未だ避難させ、多くの人々を被曝させて、誰も罪を問われないでよいのか。支援団を増やしていこう」と訴えた。
 高木久仁子・高木仁三郎基金理事は、「企業犯罪の責任は、問われにくい仕組みがある。その中で、検察による不起訴が連発されている。企業は、三菱、東芝をはじめ、不正を次々に行なっている。企業の社会責任を問う仕組みを社会に作らなければならない。裁判闘争の賛同人は、ただ賛同するのみでなく、自分がいつでも被害を受ける可能性があるという思いで、闘うべきだ」と述べた。
 続いて、保田行雄弁護士が登壇。「公判前整理手続きは、裁判員裁判の導入時にセットで入った。これまでは起訴状のみを受け取り、裁判を始めた。すべて公開の原則だ。しかし裁判員裁判では、審理の迅速化のためとして、何を論点とし何を証拠として出すのかが密室で決められる。出席者は検察と裁判所だ。かなり長期にわたる可能性がある。引き延ばしである。この整理手続きを検察に任せるのではなく、我々が審理内容・必要証拠などを集会等で明らかにし、裁判所に市民の声を寄せていくことが大切だ。これを先取りし、公判開始に持ち込んでいく」と、闘争方針を鮮明にした。
 集会では、被害者リレースピーチとして、菅野みずえさん(浪江町)、菅野経芳さん(川俣町)、吉川好子さんらが次々に発言した。「原発は、先祖が作ってきた家や畑を、たった2年で猪の住み家とし、人の関係も奪った。黙っていても泣けてしまう。」「町長は、8月末には避難解除と表明した。しかし地区には、75万トンの廃棄物がある。除染委員会は『20ミリシーベルト以下だから大丈夫』と言うが、本当に生活できるのか。」「東電は追及されれば加害者だと言うが、その態度は加害者のものではない。責任を取らず、のうのうとしている。私たちは声を出し続ける」、避難の苦しみ・不安・怒りが表明された。
 安倍政権は、これら被害者の声を無視している。国・東電の責任を問い、安倍政権を打倒せねばならない。(東京O通信員)