7・10参院選
自民・公明・おおさか維新を打倒しよう!
  全「一人区」統一候補に投票を

 参議院選挙が6月22日告示、7月10日投票で行なわれる。この選挙で自民・公明、おおさか維新を敗北させ、憲法明文改悪の野望を粉砕するとともに、戦争法廃止・安倍政権打倒を半ば勝ちとることが問われている。
 5・19の国会前行動の日に、国会4野党(民進、共産、社民、生活)の党首会談が行なわれ、次の4項目が合意された。①来年4月からの消費税10%への引き上げに反対する。その他の共通政策について一致点を確認し、積み重ねていく。②参院1人区のすべてで野党統一候補を実現し、その勝利に全力をあげる。③衆院選についてできる限りの協力を行なうこととし、その具体化を加速。④安倍内閣不信任決議案を共同で提出することを検討、である。
 「2・19野党5党合意」では、戦争法廃止・安倍打倒・国政選挙協力が合意され、このかん参院1人区で候補一本化が急速に進められた。今回の「5・19野党4党合意」では、総選挙協力の検討とともに、消費税の再増税反対が合意された。(元来、旧民主党は民自公合意の消費税増税路線であった)。野党にこの過程を強制したのは、9・19戦争法成立以降の、「野党は共闘して安倍を倒せ」を求める市民運動の高まりであった。
 参院選挙区の改選数は73。1人区32の勝敗は大きい。5月末には全ての1人区で、国会野党・院外野党・市民運動による統一候補が実現された。32の内、無所属が15、民進公認が15、共産公認が1、オール沖縄が1。
すべての1人区で、これら統一候補に投票しよう。他の選挙区でも、自公と改憲勢力を落選させる観点で投票行動を取ろう。
参院比例区(改選数48)では、独自で戦うことが前提の日共を別として、このかん選挙協力の混迷が続いている。多くの人々は、民進・社民・生活などに統一名簿で戦うことをいぜん求めている。当選者を増やせることは自明であり、何よりも投票率を上げる効果が期待できる。統一名簿が実現されれば、積極的な投票対象となるだろう。
参院選の勝利は、我々にとって闘いの始まりにすぎない。ブルジョア改良勢力の勝利は、あらたな矛盾の始まりであり、労働者民衆自身の「第3極」政治勢力の台頭を促がさずにはいないだろう。(A)


明日を決めるのは私たち6・5全国総がかり大行動
  市民・野党の力で参院選勝利へ

 7月参院選を前にした6月5日、「明日を決めるのは私たち――政治を変えよう!6・5全国総がかり大行動」が、「戦争法廃止」「貧困・格差是正」「参院選野党勝利」「安倍内閣退陣」を掲げて、全国各地で行なわれた。主催は、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委の呼びかけによる同大行動実行委員会。
 東京では国会周囲・霞ヶ関一帯を会場に、主催者発表でーーー万人が参加し、午後2時から国会正門前を中心に集会が始まった。
 司会の菱山南帆子さんがまず、「沖縄女性の殺害許せません、つながっている私たちの命、命を大切にする政治を!」と訴え、コールを唱和した。「辺野古の新基地反対!」、「川内原発、今すぐ止めろ!」も叫ばれた。
 開会挨拶は、山口二郎さん(市民連合)。「参院選では、1人区すべてで統一候補が立てられた。9・19以降、あきらめず闘いを続けてきた皆さんの力によるものだ。参院選の争点は憲法。9条改憲の世論調査では、反対68%・賛成27%で圧倒している。与党に3分の2を取らせず、さらに半分を割らせ、安倍退陣へ追い込もう。衆院北海道5区補選は惜敗したが、課題は投票率。参院選挙で投票率60%を超えれば、私たちが勝てる!」と訴えた。
 国会野党4党は、民進党・枝野幹事長、日本共産党・山下副委員長、社民党、生活の党が発言した。枝野氏は、「一騎討ちの形を作らせてもらった。形だけでなく、勝たなければならない!」と決意を述べた。社民党の吉田党首からは、「参院比例区では、まとまらず申し訳ない」との一言もあった。
 市民発言が、音楽評論家の湯川れい子さん、ジャーナリストの高野孟さん、憲法学の浦田一郎さん、日弁連の山岸良太さん、シールズの奥田愛基さん、安保法反対ママの会の星さん等々と続いた。
 最後に行動提起がなされ、6・19沖縄県民大会に呼応する、国会正門前6・19大行動への結集などが確認された。
 この6・5は、いわば参院選総決起集会であった。その勝利に力を尽くすとともに、その結果を踏まえた、今後の大衆闘争方針を検討しておく必要があるだろう。(東京A通信員)


朝鮮核戦争を挑発したG7伊勢志摩サミット
  オバマ広島演説は謝罪拒否

 5月26~27日、いわゆるG7主要国の首脳によって「伊勢志摩サミット」が戒厳体制下で開かれ、また27日の夕、米国現職大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地・広島を訪問した。オバマの広島訪問が決まって以来、日本人のおおかたの関心は、意味不明のG7首脳会合よりも、オバマが広島で何を話すかに集まった。
 伊勢志摩サミット首脳宣言は、世界経済対策について、「世界経済の見通しに対する下方リスクが高まっている。新たな危機に陥ることを回避するため、すべての政策手段(金融、財政、構造改革)を個別、総合的に用いる」と合意した。
 サミット議長国の安倍首相は、首脳宣言後の記者会見で、「最大のリスクは新興国経済」、「世界経済の成長率は昨年、リーマン・ショック以来最低」、「通常の景気循環を超えて危機に陥る大きなリスクに直面している」と強調し、対策として「3本の矢、アベノミクスを世界に展開する」ことが合意されたなどと大ボラを吹いた。
 ファシストに特有の、謀略好きな安倍は、アベノミクスの失敗を認めないまま消費増税(8%→10%)を再延期するために、サミットの場を利用した。政権危機に直結するアベノミクス破綻を頑なに認めず、世界経済とくに新興国経済に責任を転嫁したのである。この責任転嫁の一点だけでも、安倍政権は即時退陣に相当する。
 マスコミは、伊勢志摩サミットの最大テーマは「世界経済」、と事前宣伝した。これも、安倍謀略の下準備であった。中国などが参加していないサミットで、新興国リスクを焦点化すること自体が無責任であり、G7の打つ手なし状態を暴露している。
 したがって、G7が決めることのできる最大テーマの実際は、対テロ・対朝鮮・対中国の軍事・外交政策であった。
 サミット首脳宣言は「対テロ」では、何を言っているか。それは、IS(イスラム国)やシリア・イラク難民を発生させた根本原因としての、このかんの米英仏などによるイスラム圏への侵略・破壊行為をなんら反省せず、その侵略が生んだ結果への非難に終始している。昨年11月のパリでの、IS系による無差別テロ形態の自殺攻撃は、フランスによるシリア空爆の結果であった。国家テロを中止せずに、オランド仏大統領らがG7で何を合意しても、テロリズムとのイタチごっこである。
 「対朝鮮」では、朝鮮を名指しして、その核実験・弾道ミサイルを激しく非難した。朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に変える課題を無視し、6者協議についてすら触れていない。米日をはじめとするG7は、朝鮮半島の非核化へ向けた公正かつ平和的な方策の検討を、はなから排除している。これでは第二次朝鮮戦争、今度は核戦争の挑発宣言である。
 「対中国」では、中国包囲にやっきとなる日米と、アジア・インフラ投資銀行に参加するなど対中関係を進めるEU諸国との、温度差が露呈した。中国を名指しできず、「東シナ海・南シナ海の状況を懸念」等と述べるにとどまった。
 東シナ海(東中国海)、南シナ海(南中国海)は、第二次大戦後、長らく域外国の米国が制空・制海権を握っていた。しかし近年の中国の軍事力増強によって、それに制約が課せられるようになり、超大国と地域大国の力関係に歴史的変化が進みつつある。
両海域は領有権争いも含むが、その軍事化に反対し、当事者国・地域の平和・共生の海とすることが必要だ(関係論評4面)。非当事者の軍事介入は最も非難され、当事者による軍事利用・軍事基地化も批判されねばならない。しかしサミット宣言は、米日による南シナ海への軍事介入には少しも「懸念」していない。
東シナ海では、その軍事化の先頭を走っているのが、当事者日本である。中国は、日本の「尖閣」国有化を認めない措置を続けている程度であるが、安倍政権は、米海兵隊の辺野古新基地建設に固執するだけではなく、那覇基地に主力戦闘機を40機も密集させ、さらに琉球弧にミサイル部隊などを展開せんとしている。東シナ海で最も「懸念」されるのは、この安倍政権である。
その安倍政権はしかし今回、サミット宣言の中に、日本の安保法(戦争法)制定についての直接の記述を入れることはできなかった。日本では、安保法反対が優勢のまま、国論分岐状態が続いている。また、米国は安保法の後ろ盾であるが、EU諸国の場合は、日本の海外武力行使への踏み出しを世界情勢の不安定要因と見る傾向も強い。今回、G7が安保法を承認したとは言えない。安保法は、いぜん出来損ないである。

  「前向きの一歩」なのか?

さてサミット閉会後すぐに、オバマは米軍岩国基地に飛んで広島に入り、予想を上回る冗長な演説を行なった。
米軍の最高司令官であるオバマは、沖縄の自分の部下(軍属)が凶悪殺人容疑で捕まったのであるから、謹慎して広島行きを中止すべきであった。しかし彼は、この事件に対して「遺憾」の意を表明しただけで、謝罪もしないまま、広島演説で「すべての命は尊い」と説教した。これには怒りというより、虚しさを感じる。
オバマは無責任である。アメリカの一市民が広島・長崎に来て、文明と殺戮との矛盾や、人類的な課題について感慨を語るのならば理解できる。しかし、オバマは米国の行政・軍事の長である。オバマに問われていたのは、文学的な演説ではなく、広島・長崎で原爆を使用したことについての、政治的評価と法的是非を表明することであった。しかし彼は、原爆投下を謝罪しないことを前提に被爆地に立ち、すべてを抽象化した。唯一具体的であったのは、「他の国への核拡散を止める」決意表明だけであった。
オバマは言行不一致である。彼はヒロシマ演説で、09年プラハ演説と同様、「我々核保有国は、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならない」と語った。しかしオバマ政権は、昨年の国連総会で採択された「核全廃交渉の前進」決議に先頭で反対し、決議の作業部会に他の核保有国とともに参加せず、核兵器禁止条約作りを先頭に立って妨害している。またブッシュ政権ですら核弾頭を5千発減らしたが、オバマ政権は7百発しか減らしていない。米国は、包括的核実験禁止条約を批准していない。そしてオバマ政権は、今後30年に1兆ドルをかける核兵器近代化計画を進めている。
こうしたオバマに対して、日本原水爆被害者団体協議会は5月18要望書において、これまでの原爆投下「謝罪」要求を取り下げ、核禁止条約作業部会への米国の参加等を求めることに留めてしまった。日本被団協には、これを前例としないことを願う。
一方、広島での安倍首相のオバマ歓迎演説は、「日米両国の和解」を前面に出し、「日米同盟は世界に希望を生み出す」と強調する極めて醜悪な政治的代物であった。オバマ演説には実は、「日米同盟」という文言は一言もなく、「私たち人類」を主語とするものが多い。しかし、安倍の演説は、「日本と米国が力をあわせ」が全てである。
その安倍は、今回オバマ一行が、核発射ボタン・アタッシュケースを被爆地ヒロシマにも平然と持ち込み、市民感情を逆なでにすることを事前に知った上で、容認した。これは、米国の核政策を支える日本の「究極的な核廃絶」なる立場、その恥ずべき実態をまた示したエピソードである。
ところで、日本共産党や社民党は、オバマ広島訪問について何を言っているのか。核廃絶への具体的な行動が問われると注文をつけながらも、「前向きの歴史的な一歩」(日共・志位委員長)などと好意的に評価している。完全に誤まった態度である。
オバマ広島訪問は、戦争法を手にした日米核安保同盟を、日本の民衆に受け入れさせようとする悪らつな攻撃であった。我われは、闘いの陣形を整えねばならない。(W)