福島原発事故から5年 チェルノブイリ事故から30年
原発のない未来へ!3・26全国集会に3万5千人

  
闘いが大津地裁判決を生んだ!

 3月26日、東京・代々木公園では、「福島原発事故から5年 チェルノブイリ事故から30年 原発のない未来へ!3・26全国集会」およびデモ行進が行なわれ、3万5千人(主催者発表)が参加した。主催は、「さようなら原発一千万人アクション」「原発をなくす全国連絡会」「首都圏反原発連合」「反原発運動全国連絡会」の4団体で、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委」が協力した。
 昼前から三つのステージ、メインステージ(サッカー場)、「つながろう福島」をテーマとする代々木野音ステージ、「基地も戦争もいらない」をテーマとするケヤキ並木ステージが設けられ、正午過ぎからサッカー場でメイン集会が開始された。
最初に、主催4団体を代表してミサオ・レッドウルフさん(首都圏反原連)が挨拶、「5年目の3・11を前に、大きな希望が示された。3月9日大津地裁仮処分判決によって、稼動中の高浜原発を停止させることができた。参院選でも、脱原発勢力の勝利を。一日も早く原発ゼロに、そして被災者支援の継続を!」と訴えた。
つづいて鎌田慧さん(ルポライター)が挨拶、「このかん、どういう5年間だったか。再稼働も強行はされたが、脱原発の世論は大きく優勢になっている。再稼動強行の欠陥があらわになっている。川内原発の免震棟抜きの再稼動は、もはや犯罪である。再稼働したばかりの高浜原発は止まった。私たちの運動があったから、大津地裁判決があった。山本裁判長を支えていこう」と訴えた。なお人事異動の時期であるが、山本善彦裁判官を大津地裁から飛ばす策動は失敗した。
また澤地久枝さん(作家)は、「アベ政治を許さない」の「毎3日行動」などを語った。
福島現地からは、佐藤和良さん(福島原発告訴団副団長)が登壇、「いまだに10万人以上が避難している中、安倍政権は、年20ミリシーベルト以下からとにかく帰そう、来年3月までで支援は打ち切りだ、東京オリンピックへ向け復興だ、原発事故は無かったことにしようなどとしている。私たちに、被ばくを避けて生きる権利はないのか! 帰還強要、棄民政策、再稼働強行の安倍政権打倒!」と訴えた。
海外ゲストからは、チェルノブイリ原発事故被災者のジャンナ・フィロメンコさん(ベラルーシ)が発言、「わたしは事故から5年めに、やっと移住できた。ミンスクで移住者の権利運動をやっている。故郷を失ったフクシマの人々の辛さが分かる。被害者に話す権利が保障されねばならない」と語った。
伊方原発の立地県・愛媛県からは、中村嘉孝さん(原水禁愛媛事務局長)が報告、「7月に3号機再稼働強行がねらわれている。八幡浜市の住民投票条例案は、おしくも否決された(1月28日)が、県民の65・5%は再稼働に反対。瀬戸内海を核汚染してよいのか。また本日、山口市で反対集会(2千人)が開かれているが、対岸の上関原発建設計画も残っている。伊方1号機の廃炉は決まったが、2・3号機も廃炉しかない!」
そして「4月23日、県都松山市での『伊方原発再稼働を許さない4・23in松山』に、全国から参加を!」と訴えた。(午後1時、松山市堀之内「やすらぎ広場」。主催・伊方原発をとめる会)
集会では他に、脱原発首長会議の村上達也元東海村村長、もんじゅ関係で宮下正一さん(福井県民会議)、電力自由化について吉田明子さん(FOEジャパン)などが発言。
また、戦争法廃止については、福山真劫さん(総がかり行動実)がアピール。代執行裁判「和解」により工事が中断した辺野古新基地建設阻止について、また、3・13那覇でのシュワーブ米兵による観光客女性暴行事件については、高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない女たちの会)、山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)がアピールした。
この集会は、6回めの「ノーニュークス・ディ」企画であるが、辺野古新基地反対、戦争法反対、安倍政権打倒が、反原発と一つの課題として大きく取り上げられた。これは例年にない特長であった。情勢の煮詰まりが、そうさせていると言えるだろう。
最後に、3・12福島県民大集会から出発して、二週間かけて会場に到着した「フクシマ連帯キャラバン」が登壇、被害者と共にある運動を全参加者が確認した。
デモ行進は2コースで行なわれ、5年目に衰えることのない反原発の力量を、首都街頭に示し切った。(東京W通信員)


3・13さよなら原発関西アクション
  大津判決は「川内方式」を否定

 大阪では「3・11」からまる5年として、3月13日に「さよなら原発 関西アクション、NO!高浜再稼働 『もんじゅ』を廃炉に!」の集会が、中之島の大阪市中央公会堂で開かれ、約1300人が参加した。
 主催実行委からは、「ストップ・ザ・もんじゅ」の池島さんが挨拶し、先日3月9日の大津地裁による高浜原発運転差し止め仮処分決定は、関西のこのかんの運動の成果だ、再稼動を止めつづけようと訴えた。
 6年目のフクシマからは、武藤類子さん(福島原発告訴団団長)が報告し、被害者への支援打ち切りを止めるよう訴えた。
 脱原発・再生エネルギー転換を訴える集会アピールを採択した後、参加者は御堂筋パレードを難波まで行なった。
 今回の大津地裁仮処分決定(山本善彦裁判長)は、稼動中の原発を裁判所の判決によって初めて停止させたもので、画期的な意義をもつ。また判決は、福島原発事故の原因究明が進んでいないのに、新規制基準策定に向かう姿勢自体を批判した。また避難計画が自治体まかせになっている現状を批判し、国主導の避難計画の責任を問うている。
 そして、立地自治体・県ではない滋賀県の住民の請求を認めた。立地自治体・県の同意さえあれば再稼働できる、とした「川内方式」が真っ向から否定されたことになる。そうでなければ、関西の水がめ「びわ湖」を、核汚染から守ることはできなかった。
今回止まった高浜原発3、4号機は、稼動前の15年4月にも福井地裁で差し止め仮処分決定(樋口英明裁判長)が出されていた。しかし、15年12月に関西電力の異議(決定取り消し)が認められ、今年1月に3号機、2月に4号機と再稼働が強行されたばかりのものであった(4号機はすぐに事故で緊急停止し、決定により止まったままとなった)。
大飯原発3、4号機は、14年5月の福井地裁差し止め判決(樋口裁判長)によって、今も再稼働できないでいる。
樋口裁判長のこの二つの判決は、生命を守り生活を維持する人格権を、再稼働反対の請求権として認め、また250㌔圏の住民の請求権を認めた。また新規制基準を批判するだけでなく、不断の冷却ができなくなると破局的事態となるという、原子力発電のシステムそのものを批判した。
樋口判決があって、山本判決があるといえる。闘いは、判決で原発が停止することが当然という時代を拓いた。7月伊方再稼働を止めよう。
また、高速増殖炉実験炉「もんじゅ」は、事業主体の看板変えで延命させようとする策動が続けられているが、核燃サイクル計画の断念・もんじゅ廃炉しか選択肢はなくなっている。もんじゅ廃止を政治決断できるところの、政権交代が必要だ。(関西A)